名古屋の弁護士 弁護士の役立つ情報【片岡法律事務所】

経験豊富な弁護士が、法律情報や、時の法律問題、中国情報などを易しい言葉でコメントします。

2017年07月09日

7月6日、大分に証人尋問に行きました。

本日は、大分で遺言に関する裁判の期日があったため、朝7:40セントレア発大分行きの飛行機に乗って大分の裁判所に行きました。

大分では、3日前に台風が直撃した上に、前日には梅雨前線が停滞して豪雨となり、大雨警報が発令中とのことで、飛行機内でも、もしかすると中部国際空港に引き返す可能性もあるため、ご了承頂きたいとの放送がありました。
なるほど、機内から見た九州は厚い雲に覆われ、その様子を見通すことができないような状況です。

また、高度が下がると機内がかなり揺れるとのことでした。
最終的な着陸の可否は大分の上空まで行かないと分からないということで、どうなることやら、と思いました。

無事、8:50に大分空港に着陸し、バスで大分駅まで向かうことにしました。

大分空港があるのは国東というところで、大分市までは高速バスで1時間10分もかかります。
証人尋問は、午後1時10分から予定されていますので、余裕があります。

途中、別府市を通りました。別府市は、大分市の隣にあり、同じ湾の中にあるイメージです。楽しそうな観光地を横目に大分市にバスは入りました。

前日の大雨の爪痕が見られるかと思いますが、実は大分市周辺は全く豪雨の影響を受けておらず、又、降り立ったときも小雨がぱらつく程度で拍子抜けしてしまいました。それでも、いつ豪雨が襲来するかと不安でした。

大分駅に10時に到着。大分駅はビックリするほど立派でした。
大きな時計が掲げられた駅ビルは、かなり真新しく大きく、名古屋の百貨店とそれほど遜色はなかったです。

食事は、アーケード街の中にある地元の人に勧められた海鮮の店へ。
そこで、あじの刺身と鶏天プラを頂きました。刺身は新鮮だったし、鶏天プラもおいしかったです。

その後、大分の裁判所へ向かいました。
大分の裁判所までの道程で感じたのですが、町並みは整備されきれいで、岐阜とは大違いです。ビルはどれも新しく、岐阜駅周辺のように老朽化したビルが建ち並んでいるということもありません。アーケードもシャッターが下りてしまっている建物が全くありませんでした。想像以上に大きな街でした。

とはいえ、官公庁はあまり関係無いのか、大分の裁判所は古めかしい昔ながらのつくりで、新しく建てられた別棟のみが現代化されていました。

尋問は午後1時10分から始まり、2人の証人、原告・被告の尋問を行いました。
尋問中は非常に白熱し、敵味方で追及したりされたり4時間緊張が続き、疲労困憊しました。自分としては結果はまずまずだったかな、と思っています。相手方の尋問も巧みで一方的に攻めるといった所までは至りませんでした。止むを得ない結果であったと思います。

帰りは、大分駅で空港行きのバスを待つ間にお土産を買いました。「荒城の月」という大分銘菓を購入しました。銘菓だけに結構高かったです・・・。

大分空港は午後8時10分発のセントレア行きの飛行機に乗り、9時20分に到着。依頼者と別れ、帰路につきました。飛行機は朝と夜の1便ずつしかなく、どうやら羽田とセントレアくらいしか行き先が無かったので、これでよく運営しているな、という印象です。

総じて、遠隔地の裁判は本当にアウェイ感があるので、消耗しますが、得がたい経験ですので、大事にしなければなりません。以前、札幌で尋問したときも良い経験をしたな、と思ったのですが、今回も貴重な経験となりました。
また、機会があれば遠隔地での尋問を経験してみたいと思っております。

投稿日:2017年07月09日 11:13|カテゴリー:随筆・雑文 まだコメントはありません

2017年04月05日

独占禁止法・下請法研修 ―実務において活用するための手続等について

1 はじめに
平成29年3月2日,弁護士会館5階で,「独占禁止法・下請法研修」が開催されました。
講師は,公正取引委員会中部事務所の総務管理官でした。公取委職員が当会で講演するのは初ではないか,ということで私も心待ちにしていました。
司法制度調査委員会(企画者)から「独占禁止法や下請法の一般的説明に止まらず,弁護士がどう公取委に申請して権利実現をすべきかも説明してほしい。」と依頼していましたが,その期待に正面から応えて頂きました。以下,具体的内容をご報告します。

2 最近の主な事件
最初に,近時の排除措置命令・課徴金命令の事例が紹介されました。入札談合やカルテルの例が挙げられましたが,アメリカやEUにまで波及した事例もありました(アルミ電解コンデンサおよびタンタル電解コンデンサの製造販売業者らによる価格カルテル事件)。課徴金額も100億円を超える事例もあることに衝撃を受けました。

3 独占禁止法の概要
独占禁止法の目的ですが,市場競争を制限する行為を禁止し以て消費者の利益を図るというものであり,公取委は法の解釈適用にあたっては消費者の利益を一番重視しているとのことでした。

(1) 私的独占(法2条5項)
私的独占は,市場をほぼ独占する強大な1社が他社の市場参入を制限するような行動をとるという類型のものです。
日本インテルの他の半導体メーカーに対する競争制限行為について平成17年の勧告審決が下された事例が紹介されました。

(2) 不当な取引制限(法2条6項)
複数の業者が寄り集まって競争制限を行う類型です。価格カルテルや入札談合があります。

ア 入札談合
入札談合については,競争制限の行為の類型・業種・企業規模・違反の経歴・役割の主導性によって課徴金の算定方法は決まっているとのことでした。
課徴金減免申請(リーニエンシー)についても説明がありました。これは,調査開始日前に談合等の違反を公取委に申請した当事者が課徴金を減免される制度で,同制度を導入後,違反の端緒として圧倒的な成果を上げているとのことです。

上記減免申請は,まずは電話等で公取委に相談し,減免申請にあたってはHPからもダウンロードできる所定書式で公取委にFAX送信しなければならないとのことでした。FAX送信日時で受付順位を仮認定する必要があるからだということでした。
上記申請書面は,違反行為をある程度具体的に事実摘示を行うことが要望されました。
なお,立入検査は基本的に予告なしで行うが,立入検査拒否は今まで無かったとのことでした。なので間接強制の制度はあるが,利用されたことは無いとのことでした。

イ 価格カルテル
近時,海外当局による日本企業の摘発例が散見され,特に自動車産業の盛んな愛知では,日本でカルテルの対象となった自動車をアメリカに輸出していることから,米当局に身柄拘束されたり,罰金が課せられるケースがあるとのことでした。

(3) 企業結合(法10,13~16条)
企業が結合して,一定規模になる場合の規制です。
地銀や家電や鉄鋼の合併の際問題があれば,当事者に解消措置を講じさせた上で容認している例が殆どです。
企業結合に関する申請は適用要件や申請書類が細かいため,企業結合で不安なときは早めに公取委にお電話下さいとのことでした。

(4) 不公正な取引方法(法2条9項)
ここで,事前相談制度という制度の説明がありました。事前相談制度では,独禁法に関する問い合わせを公取委から書面で回答してもらえます。
しかし,同制度では,HP上で氏名も含め相談内容が公表されてしまうこと,実際に取引行為を始めてからでは相談できないこと,等から,秘密で相談したいというニーズには合致せず,あまり問い合わせが無いのが実情です。
事前相談制度以外にも,公取委は電話や来庁による一般的な相談を受け付けており,本人でも弁護士でも対応してもらえます。
この場合,相談内容が公表されることはありません。ただ,一般論であるため,回答が曖昧になってしまうという限界があります。
なお,相談の事例は集約され,重要なものは,HPで公表されているので参考にしてほしいとのことでした。

http://www.jftc.go.jp/dk/soudanjirei/

不公正な取引方法の類型は8つほどありますが,特に問題となるのが,不当廉売,再販売価格の拘束,優越的地位の濫用です。
不当廉売の事例では,平成27年末に,常滑市のガソリン販売をめぐるユニーオイルとコストコに対する警告事例が紹介されていました。
優越的地位の濫用の事案は,その要件(優越的地位,正常な商慣習に照らして不当,濫用行為)が曖昧であること,立証のハードルが高いこと,から,課徴金が課せられても,訴訟で争われることが多く,なかなか解決までに時間がかかるというのが実情のようです。
このように優越的地位の濫用がなかなか適用が難しく,手続に時間がかかるいことから,下請業者の救済を簡易かつ迅速なものにすべく下請法が存在します。

4 下請法の概要

(1) 下請法の適用範囲
下請法は簡易迅速に手続を進められる一方,その適用範囲には制限があります。
取引内容や資本金によっては適用が無いケースがある点が重要です。
たとえば,単純な製品の売買は適用が無く,仕様が指定されて特別に受注生産したような場合(製造委託)でなければならない等適用条件がありますので,ひとまず電話で確認してもらえればありがたいとのことでした。
また,建設業は所管ではないので,注意が必要とのことでした(建設業法では下請法と同様の規定があります。)。

(2)  親事業者の義務
大きく,書面交付,代金の支払期日を定める,遅延利息の支払,取引記録の作成保存の義務があります。

(3)  親事業者の禁止事項
11の禁止事項がありますが,特に重要なのは,下請代金の支払遅延,代金減額,買いたたきの禁止です。
下請代金は商品受領等から60日以内に代金の支払をしなければならないことになっています。
又,発注時に決められた代金額をいかなる名目でも事後的に控除してはいけません。たとえば,事務手数料等名目で代金を減額する等です。
買いたたきについて,上記の減額と何が違うかですが,減額は発注後に代金を減らすことであるのに対し,買いたたきは発注前から代金が低く決められているような場合を指します。通常の対価を著しく下回る代金額を十分協議すること無く決定することは禁止されています。

なお,下請法違反については,下請業者が自主的に申告することは状況として困難であるため,随時行う書面調査により端緒を得ます。そうして得た端緒をもとに調査・検査を進め,違反事実があれば勧告・指導を行います。これらは強制力を持たないですが殆どの企業が処分に従って対処しています。

5 下請法違反を発見した場合の処理
違反者側で,調査着手前に自発的に違反の申し出をし,違反をやめて相手の不利益を回復し,再発防止策を講じる等すれば,勧告を回避できます。勧告は,社名が公表されるので,これを回避することは重要です。
下請業者側は,親事業者と示談交渉すると共に公取委に相談・申告してプレッシャーをかけることも法の実現に有効です。
なお,公取委への相談は匿名でも可能であり,守秘義務は可及的に守られます。申告の際には,発注書面や支払状況の資料,事実関係の時系列表等を用意してもらえると非常に動きやすいということでした。まずは気軽に電話で相談してみてほしいとのことでした。

6 最後に
講演は,非常に分かりやすく実践的な内容でしたので,今後も講演を公取委にお願いできればと感じました。

 

司法制度調査委員会副委員長 片岡 憲明

投稿日:2017年04月05日 01:47|カテゴリー:最近の法律問題 まだコメントはありません

2016年11月26日

少年事件の手続きの流れ

20歳未満の方(少年)が罪を犯した場合,20歳以上の方(成人)が罪を犯した場合とは異なる手続きによって処分されることになります。

最近,わき見運転をしていて,自転車に乗っている方をはねて死亡させてしまったという少年事件の付添人をしたので,その事件を例にお話しします。

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(1)まずは警察署に留置

少年は,人をはねて死亡させてしまったので,過失運転致死罪に問われることになりました。そして,人の死亡という重大な結果を生じさせてしまったため,少年は警察に逮捕され,勾留されることになりました。

勾留されると,10日間(延長されれば最大20日間)警察署の留置場に入れられ,取調べを受けることになります。

 

(2)家庭裁判所に送致

成人であれば,取調べが済めば起訴(あるいは不起訴等)されることになりますが,少年の場合,直ちに裁判にかけられることはなく,事件は家庭裁判所に送致され,少年審判を受けることになります。

少年は,観護措置として少年鑑別所で拘束されて,反省文を書いたり,各種のテストを受けたりして,自分のしてしまった行為について反省を深めました。

 

(3)少年審判期日

少年鑑別所に移ってから通常4週間以内に少年審判期日が開かれます。

少年審判期日には,少年と両親が同席し,家庭裁判所調査官,付添人(弁護士が担当します)も立会い,審判官(裁判官)が少年と両親に色々質問します。その後,付添人,調査官が質問して,調査官,付添人が意見を述べます。

そしてすぐに審判官が審判を宣言します。その内容は次の通りです。

① 審判不開始(非行事実が認められない場合等)

② 不処分(保護処分を行わないとする決定)

③ 保護処分(保護観察,少年院送致等)

④ 検察官送致(刑事処分が適当と認められる場合。地方裁判所等に起訴されます。)

人が死亡する等結果が重大であったり,少年の年齢が成人に近かったりする場合には,検察官送致されることが多いです。本件事件も,人が亡くなってしまうという重い事件だったため,少年は検察官送致となりました。

 

(4)その後

地方裁判所に起訴されると,通常の成人の事件と同じ手続きによって進行していきます。

本件少年の事件は,現在地方裁判所に係属中です。少年の将来のために,執行猶予を獲得できるよう弁護活動を続けています。

 

未成年者は,周りの人の影響を受けやすかったり,自分の行動を反省することで考え方を再形成することが可能であったりするなど,成人にはない特徴があります。

刑事手続も成人とは異なる特殊なものなので,お困りの際は専門家にご相談ください。

 

弁護士 大口悠輔

投稿日:2016年11月26日 07:08|カテゴリー:弁護士の役立つ情報 まだコメントはありません

2014年10月08日

診療情報の開示を求められたら

 

患者さん以外の第三者から,「患者さんの診断書を作成してほしい」とか,「患者さんの診療情報を教えてほしい」と依頼された場合,どう対応したら良いでしょうか。

  1.  家族だからと言って当然に開示していいものではありません。
     
    たとえば,その第三者が患者さんの家族だったとしても,診療情報は個人情報の最たるものですから,患者さんの同意なしに開示してよいものではありません。
     このように原則として患者さんの診療情報を第三者に開示してはならないことをよく覚えておいて下さい。
     ただ,そのような杓子定規だと,実務的に業務が滞るということであれば,患者さんの開示に対する反発や開示の必要性などを慎重に判断し,自己責任で開示して頂ければと思います(決して開示をおすすめしているわけではありませんので注意して下さい。)。
    病院の建物
  2.  できれば同意書をとって下さい。
     患者さんからの同意ですが,口頭での合意でも構いませんが,慎重を期するならば同意書をとった方が無難です。患者さんに説明するのが大変であるならば,開示を要求した方に対して,患者さんから同意書をとるよう要求しても良いと思います。
  3.  患者さんに理解能力が無い場合
     たとえば,家族から,患者さんについて成年後見の申立をしたいから,診断書を作成したり,診療情報を開示してほしいと依頼がされることもあるかもしれません。
     この場合,患者さんが意識不明であったり,痴呆で理解能力が無い場合には,その必要性を慎重に判断して開示しても良いでしょう。
     しかし,患者さんの理解能力がほぼ正常だと思われる場合には,まずは患者さん意思を確認するべきです。
     当該家族に,患者さんの同意書を取り付けるよう促すのが穏当だと言えます。

 医者とおじいさん

投稿日:2014年10月08日 12:58|カテゴリー:医療法務, 弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題 まだコメントはありません

2014年07月10日

何もとりきめがない場合の利息

金銭の貸し借りなどで,特にとりきめがない場合,利息は5%となります。ただし,商売の関係だと6%になります。

この利息の利率が下がると自動車保険料が上がるのですが,それは一体どういうことなのでしょう。

 

1 合意があればそれに従う

 金銭の貸し借りで当事者間が利息・遅延損害金の利率を取り決めておけば,取り決めた利率になるのが原則です

 たとえば,年利2%にしたり,年利10%にすることは自由であり,その通りの内容になります。

 もっとも,とんでもない高利の利息を契約すると,貸金業法や出資法などの規制法により,無効になる可能性がありますので,常識の範囲内で利率は設定する必要があります。

2 合意が無い場合は原則5%

 上のような合意が無い場合,民法では利息・遅延損害金を年利を5%と定めています(民法404条)。

 たとえば,交通事故でけがをしてしまったときの損害賠償額についても事故発生日から年5%の利息がつきます。

 したがって,交通事故発生からたとえば5年経過して判決が下ると,本来払わなければいけない金額よりも25%高い金額を支払わされることになります。

 なお,商行為の場合には,商法の適用があるため,年6%となる場合もあります。

3 民法改正のお話

 30年くらい前ならともかく,今のような超低金利時代に,5%は高金利すぎるのではないでしょうか。

 そのような問題意識から,この金利を下げるべきという意見が度々出されていました。

 しかし,今般,報道されているように,民法の抜本改正に合わせ,この利息についても見直しがされることになっています

 どうも3%を初期値とし変動金利制を導入するようです。

 変動するとなると,弁護士にとっては利息計算も細かくなり面倒な話です。

疑問を持つ人

4 自動車保険料の大幅値上げの可能性

 報道では,このように金利が大幅に引き下げられることから,自動車保険料が大幅に上がる可能性が高い,との報道がされています。

 なんで民法の金利が引き下げられると自動車保険料が上がるのか,意味が分からない!と思われるかもしれません。

 実は,交通事故の損害賠償の計算では,後遺障害が発生した場合の逸失利益(障害が無ければ得られたはずの収入に相当する損害)計算にあたって,民法の利息を前提にしていました。

 逸失利益は,将来に得られるはずの収入を現時点で受け取ってしまうものですから,利息分を控除しないと不公平です。その控除される利息を年利5%を前提に計算していたのです。

 たとえば,年収300万円の人があと20年働けたとすると,逸失利益を300万円×20=6000万円と計算できそうですが,そうではなく,5%を毎年割り引いた係数をかけて計算します。20年の係数は12.462ですから,300万円×12.462=3738万6000円となります。この場合では2200万円も金額が違うわけです。

 年利が5→3%に変わると,上記の係数がかなり変わる(大きくなる)ため,被害者にとってとても有利になります。他方で保険会社は多額の保険金を支払わなければならなくなります。

 そのため,報道にある通り,自動車保険料が大幅値上げになることが予想されるわけです。

 現在の金利環境をふまえれば利息を下げることも理解できるのですが,自動車保険料が大幅値上げされると任意保険に加入しない(できない)お年寄りドライバーが増え,おちおち道も歩けない状況になるのでは?と心配するのですが,杞憂でしょうか。

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投稿日:2014年07月10日 02:20|カテゴリー:交通事故, 弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題 まだコメントはありません

2014年07月03日

遺言執行者って何でしょうか?

遺言執行者を決めておくと遺言の内容を迅速かつ確実に実行できるので,遺言書には必ず書いてもらっています。

 

1 遺言執行者って何?

 遺言書の作成についてアドバイスを求められるときに,必ず書いておいて下さいね,とアドバイスするのが,「遺言執行者」の定めです。

 遺言執行者とは,簡単に言うと,遺言書に書いてある内容をその通り実現する特別な権限を与えられた者です。

 具体的には,遺言者名義の預金を解約したり,生命保険を解約したり,貸金庫の開錠,登記の移転手続など,遺言に書いてある内容を実行できます。

 遺言執行者には弁護士や司法書士など資格者がなることは当然できますが,相続人やご親族の方など素人もなることができます

2 遺言執行者が決まっていないと少し面倒

 このような遺言執行者が決まっていないと,不都合があります。たとえば,「財産を●●に遺贈する」などと記載しても,受遺者の方はすぐに財産を受け取ったり,登記が受けられないことがあります

 ちなみに,遺言執行者が決められていない場合には,裁判所に決めてもらうことができますが,誰がなるかは裁判所が決めますし,決まるまでは時間がかかるため,やはり早く遺言の内容を実行したい場合には不便です。

 以上のようなことから,私が作成に関与した遺言書では必ず遺言執行者を指定しています。遺言者の依頼があって私自身が遺言執行者になることも多いです。

おじいさんとお金

3 記憶に残る遺言執行

 私も遺言執行者を何回か担当したことがありましたが,記憶に残る遺言執行があります。

 それは,資産家の遺言者がめぐまれない子供のための育英基金に全遺産を寄付する,という件でした。

 遺言者の方は,生前から,育英基金を設立していて,亡くなってから,その財団に全財産を寄付することを計画されたのでした。

 私は,遺言者からの依頼で,遺言書を作成し,遺言執行者となることもお引き受けしました。

 遺言者がお亡くなりになった後,私は遺言執行者として,多種多様な財産を整理し,全て育英基金に引き継ぎがせて頂ました。

 具体的な手続は,銀行に出向いて貸金庫を開けたり,預金を解約したり,登記手続きを行ったり,ご自宅に伺ってどんな財産があるか一つ一つ写真撮影して点検したり,と,とても地味で手間のかかる仕事でしたが,故人の高潔な遺志を実現する一助となることができ,とてもやりがいを感じた事件でした。

投稿日:2014年07月03日 02:54|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 相続 まだコメントはありません

2014年06月26日

利益相反について

 弁護士は,弁護士職務規程というルールにのっとって仕事をしていますが,その中でも重要なのは,利益相反の禁止です。

 利益相反の禁止というのは,たとえば,以前相談に乗った顧客の相手方から,相談に乗った同じ件で,依頼や相談があった場合に,相手方から委任を受けたり相談を受けたりしてはならない,というものです。

クビ宣告

 よくあるのが,離婚や相続の案件で,一方当事者から相談があり,それからしばらくして,他方当事者から相談の依頼があり,知らずに相談を受けてしまうような場合です。

 当事務所でも希にそういうことがあり,気付けばすぐに相談をすぐに中止するのですが,名字が違っていたり,数か月間あいだが空いていたりしたら,利益相反だと気付かず相談を受けてしまうことがあります。

 この利益相反は,法律事務所の単位で問題になるため,同じ事務所のAという弁護士が相談を受けているだけで同じ事務所のB弁護士が相談を受けることすらできなくなります。

 したがって,沢山弁護士がいる事務所では,利益相反が頻発することになります。

 顧客だけでなく,顧客の相手方まで気にしなければならないというのはなかなか神経を使います。

 弁護士は信頼あっての仕事ですので,やむを得ないことです。

 

投稿日:2014年06月26日 01:25|カテゴリー:弁護士の役立つ情報 まだコメントはありません

2014年06月20日

公正証書遺言があるかは調べられます

 亡くなられた方が「公正証書」で遺言をのこされているかどうかは公証役場で調べることができます。

 もちろん相続人であれば亡くなられた方の公正証書の写しをもらうことができます。

 

1 意外と知られていないのですが,亡くなられた方の遺言(公正証書で作成されたものに限ります。)があるか無いか,公証役場で調べることができます。

 亡くなられた方の相続人にあたる方ならば,自分と亡くなられた方の身分関係を戸籍で証明すれば,亡くなられた方が過去に作成した遺言全部を検索できます

 現在は,データがオンライン化しているので,全国どこでも作成された遺言書を検索できます。

 ノートパソコン

 たとえば,名古屋で青森の遺言書を検索することもできます(あんまりそういうケースは無いのですが・・・)。

 我々,弁護士も,相続人の方から委任状を頂いて,遺言書を検索したことがあります。

 

2 注意して頂きたいのは,このように検索で見つかるのは,公正証書で作成された遺言書に限られるということです自筆証書遺言などは,公証役場で保管されているわけではありませんから,当然検索することはできません

 ただ,自筆証書遺言の場合は,家庭裁判所に検認手続という申立を行う必要があるため,これが申し立てられると相続人全員に手続の連絡が来ます。

 したがって,どちらにしても,相続人は遺言書があることを知ることができます。

 

3 検認手続が申し立てられないけど,遺言書がありそうだ,と思ったら,公証役場に行って遺言書が無いか確認してみられると良いと思います。

 

 

投稿日:2014年06月20日 04:27|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 相続 まだコメントはありません

2014年06月12日

一度認めてしまうと取り返しがつきません

事実と違うことを決して認めちゃいけません。

もし一度でも認めてしまうと,やっていない罪でも有罪になってしまうかもしれません。

 

  1.  刑事事件で,私たち弁護士が被疑者に面会に行くとき,必ず被疑者に次のような言葉で警告します。
     「事実と違うことを決して認めちゃいけません。
     もし一度でも認めてしまうと,やっていない罪でも有罪になってしまうかもしれません。」と。
  2.  そのおかげか,私自身が担当した身柄拘束事件で,ありもしない罪を追加されて起訴された例は一つもありません。
     もちろん警察も,自白に頼った捜査をするわけではないので,客観証拠も不十分なまま立件してしまう例は殆ど無いでしょうから,私の場合,心配しすぎかもしれません。
    クビ宣告
  3.  しかし,交通事故については,強引な捜査がされて,一方的な事実認定がされるリスクが大きいです。
     私も数多くの交通事故の民事裁判を経験しましたが,刑事記録を取り付けてみて,依頼者(加害者)の方に「私,そんなこと言ってませんけど。おかしいな。」と驚かれる例が散見されます。
  4.  交通事故は,死亡事故や飲酒運転でも無い限り,せいぜい罰金刑しか科せられず,身柄拘束もないため,加害者側も比較的気楽に捜査を受けてしまっていることが多いです。
     気楽な気分で,警察官の誘導に乗って,事実と異なる供述調書を作成してしまったり,実況見分調書で誤った指示説明をしてしまいやすいのです。
     面倒くさい,あまりちゃんと聴いていなかった,書類を見ていなかった,等,いい加減な理由で署名・押印をすると,後日の裁判で大変な苦労をすることになります。
  5.  こうした書面が一旦作成されてしまうと,後で違うと争っても,8,9割方ひっくり返せません。
     裁判所は,いい加減な対応をした加害者の供述などまったく信用してくれないのです。

    離婚

  6.  当たり前のことですが,交通事故であっても,安易に警察官の誘導に乗ること無く,事実をありのまま申告し,違うことは違うときちんと説明して頂きたいです。裁判官は警察官と違って,自分の言うことを信じてくれる,大丈夫だ,と思い込んではいけないのです。

 

投稿日:2014年06月12日 04:34|カテゴリー:交通事故, 弁護士の役立つ情報 まだコメントはありません

2014年06月10日

養子の相続関係は少しややこしい

 養子縁組をした場合,縁組先の家族とはどういう関係になるでしょうか?

 特に相続の場合,何か特殊なことはありますか?

 

  1. 民法には,次のような規定があります。

    (第727条) 養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる

    したがって,たとえば,縁組先に子供がいれば,養子とその子供とは兄弟姉妹になります
     つまり,実の兄弟姉妹と全く同じ地位となるわけです。
     したがって,もし養子が亡くなった場合,実の兄弟姉妹と縁組先の兄弟姉妹が同じ割合で相続することになります
     このように養子縁組は,縁組先の養親との関係だけで済まないので,注意が必要です。
    家族とマイホーム

  2. 二重の資格
     ところで,若干理不尽に思われることもあるかもしれませんが,養子縁組を行うと,相続資格が二重になるケースがあります。
     それは,親族間で養子縁組をしたケースです。

     たとえば,お祖父さんが長男の子供(孫)と養子縁組をしたケースを考えてみて下さい(子供は長男・二男のみだとしてください)。
     そして,長男が先に亡くなってしまし,その後にお祖父さんが亡くなったとしましょう。
     その場合,孫は,お祖父さんの養子としての立場と,②長男の代襲相続人の立場という2つの資格を持つことになり,相続分が二重に与えられることになります。

     二男にとっては不平等だと感じるかもしれませんが,長男が亡くならなければ同じ結果だったので,特に不平等ではないことになります。

     このように,養子縁組によって特殊な関係が作られることがあります。少しややこしいので,注意が必要でしょう。

投稿日:2014年06月10日 11:28|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 相続 まだコメントはありません