養子の相続関係は少しややこしい
養子縁組をした場合,縁組先の家族とはどういう関係になるでしょうか?
特に相続の場合,何か特殊なことはありますか?
- 民法には,次のような規定があります。
(第727条) 養子と養親及びその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。
したがって,たとえば,縁組先に子供がいれば,養子とその子供とは兄弟姉妹になります。
つまり,実の兄弟姉妹と全く同じ地位となるわけです。
したがって,もし養子が亡くなった場合,実の兄弟姉妹と縁組先の兄弟姉妹が同じ割合で相続することになります。
このように養子縁組は,縁組先の養親との関係だけで済まないので,注意が必要です。
- 二重の資格
ところで,若干理不尽に思われることもあるかもしれませんが,養子縁組を行うと,相続資格が二重になるケースがあります。
それは,親族間で養子縁組をしたケースです。たとえば,お祖父さんが長男の子供(孫)と養子縁組をしたケースを考えてみて下さい(子供は長男・二男のみだとしてください)。
そして,長男が先に亡くなってしまし,その後にお祖父さんが亡くなったとしましょう。
その場合,孫は,①お祖父さんの養子としての立場と,②長男の代襲相続人の立場という2つの資格を持つことになり,相続分が二重に与えられることになります。二男にとっては不平等だと感じるかもしれませんが,長男が亡くならなければ同じ結果だったので,特に不平等ではないことになります。
このように,養子縁組によって特殊な関係が作られることがあります。少しややこしいので,注意が必要でしょう。