増えるメンタル関係の労災支給決定
会社内でメンタルヘルスの問題が増加しています。それに伴って,メンタルヘルス絡みの労災支給決定も増加しつつあります。
以前は,業務を原因とした精神障害(たとえば鬱病)が発生したとして,労働者側が労災認定を請求してもなかなか認められませんでしたが,最近,この傾向が変わってきています。
厚生労働省の資料として,次のようなものがあります。http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001f1k7-att/2r9852000001f1o2.pdf
表2-1によりますと,精神障害の労災補償に支給決定率が,それまで30.3%だった決定率が平成24年度に一気に39.0%まで増加していることが分かります。
このように急激に決定率が増加したのは,精神障害の労災の認定に際して,「業務による心理的負荷評価表」が使用されるようになったことが理由だそうです。
どういうものかは,http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/rousaihoken04/dl/120118a.pdf をご覧頂きたいのですが,会社での出来事の労働者に与える心理的負荷を数字で評価して,合計点が一定以上だと,精神障害を認める,という基準をもうけたことが一因だそうです。
たとえば,退職を強要された場合,退職の意思がないと言っているのに,執拗に退職を求められた場合や理由を説明されないまま解雇された場合には心理的負担の強度がⅢとなるなど,です。
労災支給決定が出ると,会社としては,その後に,安全配慮義務違反に基づく損害賠償を請求される可能性もありますから,労働者に重い心理的負荷をかけ続けないよう,コントロールすべきだということになります。
投稿日:2013年7月31日 11:05|カテゴリー:労働問題