労働紛争, 労働紛争

理由なき降格処分を争う

私は運送会社の課長職でしたが,職場の上司に対し,その怠慢を指摘して注意したところ,特に理由も無く降格され,一般ドライバーとさせられてしまいました。降格の結果,給料も以前は80万円あったのが40万円と大幅に減額されましたか。

私が何らかの懲戒処分を受けた事実も無いのに,このような仕打ちを受けるのは納得できません。何かなりませんでしょうか?

1 ご回答
ご質問の内容だと,懲戒処分を下されたわけでは無いようですね。
そうすると,この件は,人事上の措置として役職や職位を引き下げられた結果,給与が大幅減額したということでしょうか。
基本的に人事権行使は,人事権の濫用とならないことが必要です。
人事権濫用かどうかは,①使用者側における業務上・組織上の必要性の有無及びその程度,②能力・適性の欠如等の労働者側における帰責性の有無及びその程度,③労働者の受ける不利益の性質及びその程度,④当該企業体における昇進・降格の運用状況,などの諸事情を総合考慮して判断されます。
したがって,貴殿の場合についても,①特に使用者側で必要性が無いのに,②特に貴殿の能力の適性と関係無く,③大幅な給与の減額を伴う降格がされ,④特に貴殿のような降格の例が他に例を見ないものであったならば,人事権の濫用として,無効になる可能性があります。

 

2 参考判例
★医療法人財団東京厚生会(大森記念病院)事件(降格)(東京地裁平成9年11月18日判決)
使用者に委ねられた裁量判断を逸脱しているか否かを判断するにあたっては、使用者側における業務上・組織上の必要性の有無及びその程度、能力・適性の欠如等の労働者側における帰責性の有無及びその程度、労働者の受ける不利益の性質及びその程度、当該企業体における昇進・降格の運用状況等の事情を総合考慮すべきである。前記のとおり、婦長と平看護婦は待遇面では役付手当5万円が付くか否かにしか違いがないうえに、本件降格が予定表という重要書類の紛失を理由としていることなどに照らすと、Yが降格を行うとの判断をしたことは一応理解できなくはないけれども、一方、〔1〕本件降格が実施された直後に、Xが予定表を発見していることに照らすと、YがXに対し、紛失した予定表を徹底的に探すように命じたのか否かにつき疑問も存し、予定表の発見が遅れたことについてXのみを責めることもできないこと、〔2〕予定表の紛失は一過性のものであり、Xの管理職としての能力・適性を全く否定するものとは断じ難いこと、〔3〕近時、Yにおいて降格は全く行われておらず、また、〔4〕Xは婦長就任の含みでYに採用された経緯が存すること、〔5〕勤務表紛失によってYに具体的な損害は全く発生していないこと等の事情も認められるのであって、以上の諸事情を総合考慮すると、本件においては、Yにおいて、Xを婦長から平看護婦に2段階降格しなければならないほどの業務上の必要性があるとはいえず、結局、本件降格はその裁量判断を逸脱したものといわざるを得ない。」

労働紛争, 労働紛争」カテゴリーの他の質問はこちら


企業のお客様へ

個人のお客様へ

その他の質問

用語集

事務所通信

片岡法律事務所公式facebook