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弁護士法人 片岡法律事務所
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又貸し物件において転貸人が破産した場合の対応

【転貸人が破産した場合の対応】
弊社は,ある建物の又貸しを受けています。
賃貸人(A)→賃借人=転貸人(B)→弊社(どちら?)
 (破産管財人)
先般,転貸人(B)が破産し,その破産管財人から賃料を支払うよう請求がありました。
その後,賃貸人(A)の弁護士から,弊社に対し,民法613条に基づいて賃料を支払うように請求がありました。
弊社としましては,どちらに支払って良いか分かりません。どうしたら良いでしょうか?

【ご回答】
1 東京地裁平成14年12月27日判決によると,「 ア まず、民法613条1項は、転借人が賃貸人に対して直接に義務を負う旨を定めただけで、転貸人に対する義務に優先しあるいは先んじて賃貸人に対して義務を負う旨定めているものではないし、民法364条のように債権の優先・劣後の関係が生じる場合に準用される民法467条2項の規定も準用されていないから、文理上、賃貸人の転借人に対する賃料請求が転貸人の転借人に対する賃料請求に優先するものと解すことはできない。」と判示しています。
上記判旨をふまえれば,賃貸人Aからの請求があった後でも,貴社が転貸人B(破産管財人)に支払ってしまえば賃料支払義務は消滅すると考えられます。
もっとも,上記判旨はあくまで東京地裁という下級審が下した判断であり,他に判決も見当たらないため,確定的な裁判例と言うことまではできません(リスクは否定できません。)。

 
2 以上より,貴社としては,ABどちらに支払っても良いという結論になりますが,今後も当該建物を借り続けたいならば,賃貸人Aと交渉し,賃貸人Aに賃料を払うべきでしょう。
というのも,賃貸人Aとしては,賃借人(転貸人)Bから賃料を得られないため,契約が解除されてしまうことは明らかであって,賃貸人からの請求を拒絶することで,貴社が確実に当該物件から退去しなければならない結論になるからです。

 
3 逆に,もう建物を明け渡すというならば,転貸人B(管財人)に対して転借料を支払い,同時に寄託請求(破産法70条)を行うのが合理的だと思われます。

※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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