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未払賃金と会社役員の責任について

【未払賃金と会社役員の責任について】
私が経営しているA社は2名の従業員がいます。何とか給料は払えていましたが,経営不振で1名を解雇することになりました。解雇した1名から,先日残業代を払えという請求がありました。
会社は赤字続きで到底残業代を支払える状態ではないため,支払えない旨回答しようと思いますが,私個人の責任は追及される可能性は無いでしょうか。

1 結論
倒産の危機にあり割増賃金を支払うことが困難な状況にあったなど特別な事情がある場合は責任追及されませんが,そうでない場合は,責任追及される可能性があるかもしれません。
あなたのケースでは,赤字続きであったということですから,特別な事情があったと言え,責任追及はされないだろうと思われます。

 

2 判例
大阪地裁平成21年1月15日判決は,取締役及び監査役の善管注意義務ないし忠実義務は,会社の使用者としての立場から遵守されるべき労働基準法上の履行に関する任務懈怠も包含すると解されるから,取締役及び監査役は,会社に労働基準法37条を遵守させ,被用者に対して割増賃金を支払わせる義務を負っているとして,被告らに任務懈怠が認められるとして,請求を一部認容した事例です。
この判例によると,倒産の危機にあり割増賃金を支払うことが困難な状況にあったなど特別な事情に無い限りは,時間外労働の割増賃金を支払わなかった会社の役員が個人責任を追及されるおそれがあります。
この判例の内容は確立した裁判例になっているとは言い難い(これと反する判例もあります。)ですので,今後も必ず踏襲されるとは限りませんが,注意はしておいた方が良いです。
残業代がそもそも発生しないように,就業規則上の工夫や給与の支払方法の工夫をした方が良いと考えます。

※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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