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名古屋の弁護士Q&A

相続放棄と生命保険金

夫が多額の借金を抱えて無くなりました。相続放棄をしたいと思いますが,生命保険金の受取人が,妻である私になっています。相続放棄をすると,生命保険金は受け取れなくなるのでしょうか。また,生命保険金を受け取ってしまうと,相続放棄ができなくなるのでしょうか。教えて下さい。

1 結論
受取人が被相続人以外であるならば,生命保険金を受け取っても,相続放棄には影響がありません。相続放棄後に生命保険金を受け取ることもできます。

 

2 理由
受取人が,亡くなった方以外の者に指定されている場合,生命保険契約は,第三者のためにする(民法537条)保険契約ということになり,指定された者が固有の権利として生命保険金を受け取ることができます。したがって,相続放棄があっても生命保険金は受け取れます。
また,生命保険金は相続財産に含まれませんから,生命保険金を受領しても,相続財産を処分したことにはならず,相続放棄が可能です。
但し,生命保険金の受取人が亡くなった方となっている場合,生命保険金は相続財産となり,これを受け取ると相続放棄ができなくなりますので,ご注意下さい(相続放棄をすると受け取れません。)。

 

3 判例
平成10年12月22日福岡高裁宮崎支部決定では,「本件保険契約では、被保険者の被相続人死亡の場合につき、死亡保険金受取人の指定がされていないところ、保険約款には、死亡保険金を被保険者の法定相続人に支払う旨の条項があるところ、この約款の条項は、被保険者が死亡した場合において被保険者の相続人に保険金を取得させることを定めたものと解すべきであり、右約款に基づき締結された本件保険契約は、保険金受取人を被保険者の相続人と指定した場合と同様、特段の事情のない限り、被保険者死亡の時におけるその相続人たるべき者である抗告人らのための契約であると解するのが相当である(最高裁第2小法廷昭和48年6月29日判決・民集第27巻第6号737頁)。かつ、本件においては、これと解釈を異にすべき特段の事情があると認めるべきものは、記録上窺われないし、抗告人らが本件保険契約による死亡保険金が被相続人のための契約と思い違いをしていても、これが特段の事情となるべきものではない。
そして、かかる場合の本件保険金請求権は、保険契約の効力が発生した被相続人死亡と同時に、相続人たるべき者である抗告人らの固有財産となり、被保険者である被相続人の相続財産より離脱しているものと解すべきである(最高裁第3小法廷昭和40年2月2日判決・民集第19巻第1号1頁)。
したがって、抗告人らのした熟慮期間中の本件保険契約に基づく死亡保険金の請求及びその保険金の受領は、抗告人らの固有財産に属する権利行使をして、その保険金を受領したものに過ぎず、被相続人の相続財産の一部を処分した場合ではないから、これら抗告人らの行為が民法921条1号本文に該当しないことは明らかである。」と判示しています。

※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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