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よくある質問

企業のお客様へ

倒産の前に登記をしておくように

私は、古くからの友人から自宅の土地・建物を買ってほしいと言われて、代金を渡しましたが、登記を移転させずに放置していました。今般、その友人が破産をし、破産管財人から、私が買った土地・建物は、破産管財人が換価するから、あなたのものではない、と言われましたが、そんな横暴な話があるのでしょうか?破産管財人と言っても、友人の代理人みたいなものではないですか?

 

1 結論

  あなたは、破産管財人に対して、不動産の所有者であることを対抗できません(民法177条)。したがって、破産管財人に土地・建物を引き渡す必要があります。

 

2 理由

  破産管財人は、破産者の地位をそのまま引き継いだものではなく、破産債権者の利益のために独立の地位を与えられた破産財団の管理機関にあたりますから、破産手続開始決定前に対抗要件(登記)を備えないと、破産管財人に対抗できません。

  登記は代金支払時にすぐに移転しておいてもらわなければならないのです。

 

3 判例

  最高裁昭和48年2月16日判決では、土地賃貸借契約について対抗要件を備えていなかったケースで、土地を借りていた方を敗訴させました。


※ 民事再生について
 ちなみに、上記友人が、民事再生手続を開始した場合も、当該友人(再生債務者といいます。)に対抗できなくなる、という判例が近時、大阪地裁で出されました(大阪地裁平成20年10月31日判決)。
 控訴されていますので、今後結論がどうなるかは不明ですが、破産と同様の結論になると思われます。破産よりも釈然としないと思われるでしょうが、登記は備えておくものだと肝に銘じておくべきでしょう。

 

賃貸借の償却規定って有効ですか?

(賃貸借における償却規定の有効性)

私は、建物を借りてクリーニング店を営んでいますが、別の場所に移転します。今の建物を返すにあたり、大家さんは、契約書にある償却規定にもとづいて、2か月分の賃料相当額を保証金から償却すると言われています。こういう償却規定は有効なんでしょうか。

 

1 結論

 償却規定は有効です。

 

2 理由

 保証金の償却は、賃借人の使用による設備の償却費を一部賃借人に負担してもらうという趣旨で取り決められています。

 これ自体に、合理性が認められないというわけではありません。

 賃借人が消費者である場合には、別途消費者契約法上の救済措置があるかもしれませんが、事業者の場合は、厳しいというのが実際です。

 

2 判例

①東京地方裁判所判決/平成15年(ワ)第22201号、平成16年(ワ)第18783号

②東京地方裁判所平成18年(ワ)第4215号、平成18年(ワ)第10284号精算金請求事件平成19年4月13日

 

いずれの判例も、保証金乃至敷金の償却規定を有効と判断しています。

 

老朽建物の賃貸借契約を解約したい

私は、親から相続した築50年の長屋式住居を賃貸しています。老朽化した長屋式住居から借家人に出て行ってもらい、新しい賃貸物件を建築したいのですが、どうしたら良いですか。

 

賃貸家屋が朽廃し、およそ建物としての効用を失っている場合には、建物賃貸借契約が終了し、借家人に出て行ってもらうことができます。

 しかし、朽廃まで至らないけれども、保安上危険がある程度に老朽化した建物の場合は、問題があります。

 

 家主側の解約申出は、旧借家法1条の2の「正当事由」がある場合にはじめて有効となります。

 したがいまして、特に家主側に敷地利用の差し迫った事情が無い限り、借家人に立退料を支払う必要があります。

 立退料の金額は、一概には決められませんが、環境によっては、100万円~200万円程度になる場合もあるようです。

 

 立退料を払いたくない方は、粘り強く交渉し、代替家屋を提供したり、新しく築造する建物への入居を認めたりして、借家人と円満な解決を結ぶべきでしょう。

 

 

 

運行供用者責任に関する新しい判例

(要旨)

20歳女子が父親所有乗用車を乗り出し、飲酒、泥酔したため、一緒に飲酒の親しい友人が女子を車に乗せて、車を運転、帰宅途中の本件事故につき、泥酔していたとはいえ、友人の運転には「女子の容認があった」、娘が乗り出した以上、所有者父の「容認の範囲内にあったと見られてもやむを得ない」と、女子車所有者・女子の父に運行供用者責任を認めた。

 

(判旨)

これらの事実によれば、女子は、父から本件自動車を運転することを認められていたところ、深夜、その実家から名古屋市内のバーまで本件自動車を運転したものであるから、その運行は父の容認するところであったと解することができ、また、女子による上記運行の後,飲酒した女子が友人等に本件自動車の運転をゆだねることも,その容認の範囲内にあったと見られてもやむを得ないというべきである。そして、女子は、電車やバスが運行されていない時間帯に、本件自動車のキーをバーのカウンターの上に置いて泥酔したというのであるから,客観的外形的に見て、本件運行について、運行供用者に当たると解するのが相当である。

以上によれば、本件運行について父が運行供用者に当たらないとして女子の請求を棄却した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、女子が父に対する関係において法3条にいう「他人」に当たるといえるかどうか等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。

 

(所感)

 審級毎に判断が分かれる微妙な事案だったのでしょうが,運行供用者責任は,盗難の場合など相当限定された場合にしか否認されないですので,上記最高裁判決も予想の範囲内でしょう。

 

最高裁平成20912日判決

 

 

株券電子化とは?

 

Aさんは、龍神商事の代表取締役ですが、龍神商事の顧問弁護士のところに相談に来たついでに、以前から気になっていた株券の電子化について質問しました。以下は、そのやりとりです。

 

 施行日は来年1月5日 

 

A 最近、株券が電子化されるというCMがたくさん流れているけど、株券が電子化されるのはいつですか?

 

弁 株券の電子化は、200915に一斉にされます。

 

A 私は会社経営をしているけど、我が社の株も電子化されるってことですか?

 

弁 御社が上場していなければ、電子化されないですよ。電子化されるのは上場株式だけなので誤解しないでください。

 

A で、電子化で何が起こるんですか?

 

弁 極端なことを申し上げれば、電子化によって、お手元の株券が紙切れになってしまいます。

 

A 今まで、殆どの株券を証券会社に預けていたんだけど、もしかしてそれが無価値になってしまうんですかね?

 

弁 たしかに株券は無価値になりますが、株式が消滅するわけではありません。株券預託先の証券会社がそのまま「口座管理機関」になり、あなたのために「一般口座」が開設されます。「一般口座」の株式は、従前通り売買が可能です。殆ど取り扱いの変更はございませんので、ご安心ください。

 

 タンス株にご注意 

 

A ほう、すると、証券会社に預けてある株券は問題ないってわけですね。じゃあ、昔買った株で家の金庫にしまっている株券は問題がありそうですね?

 

弁 いわゆるタンス株(証券会社に預託していない株式)については、株主名簿管理人とされている信託銀行等において、あなた名義の「特別口座」が開設されます。

 

A なんだ!自分で作らなくても口座が開設されるんだったらその方が楽でいいですね。

 

弁 そううまい話ばかりではありませんよ。この「特別口座」の株式は、「特別口座」に入れたままでは売買できません。

売買するためには、いったん証券会社で「一般口座」を開設していただいて、「特別口座」から「一般口座」に株式を振り替える必要があるんです。

特別口座から一般口座に振り替えるのには数日かかりますから、素早く売買できません。株主にとっては不利益ですよ。

 

 分かりやすく図を書いてみましょう。

勝手にできる   自分で作る

自分の特別口座 → 自分の一般口座 → 却 

 

A ふーん。それじゃあ、タンス株のままだと売りたいタイミングで売れないってことなんですか?

 

弁 そうなんです。ですから、極力今のうちにタンス株を証券会社に持って行って口座を作っておいた方がいいですよ。

今巷に流れているCMは、そういったことを勧めているんです。

言い忘れましたが、手続の都合で、「特別口座」の株式は、株券電子化から約5週間、取引所市場にて売却できない期間が発生するとの話です。

又、多くの証券会社は、株券の預託期限を平成2011月末から12月中旬限りとしていますので、株券預託はお早めに。

 

A いずれにしても、長期間売買できないというのは困る。早速、株券を証券会社に預けることにしよう。

 

 他人名義のままだと危険 

 

A そういえば、先月、資金繰りが悪くなった取引先からトヨダ株を買ってくれと言われて株券を時価で買ったんだが、株券を持っているだけで満足して、株主名簿の書換なんかしないまま放置しているだが、まずいでしょうか?

 

弁 まずいですね。会社の株主名簿には取引先の名義が記載されているので、取引先の名義で「特別口座」が開設されてしまいますよ。

取引先が、株式を自分のものとして売却してしまうことも可能です。そんなことはしないと信じたいですが。

 

A じゃあ、株主名簿の書換を早速しようか。いやむしろ、証券会社に口座を作って登録しておくべきだね?

 

弁 その通りです。そうした方が手間がかからず、良いでしょう。

なお、電子化後の特別救済措置として、電子化から1年間、株券の呈示と電子化前の株式取得を裏付ける証拠(たとえば契約書)を提出すれば、前の名義人の協力がなくても自己名義の特別口座へ振り替えてもらえることができます。

しかし、1年を超えてしまうと、①名義人と共同で振替請求したり、②判決をとったり、③名義人の利益を害さない旨の証明をしたりしないといけないなど、大変厄介なことになります。

 

A ま、そんな大事にならないように、事前に手続はとっておきますよ。

 

 株券を担保にしている場合 

 

A 最後に、取引先が支払いを滞らせていたので、取引先が持っている株券を質としてもらっているんだが、それは、どうなるんですか?

 

弁 株券の電子化により、お持ちの株券は紙切れになってしまいます。ですから、株式質についても「株券の占有」を失うことになるので、第三者対抗要件(他の債権者らに対して自らが質権者であることを対抗することができる力と理解してください。)が失われてしまいます。

  きちんと手をうっておかないとその取引先が電子化後、事情を知らない第三者に質権を設定させてしまうこともあり得るのです。

 

A いやー、株券の電子化って気をつけていないと損するかもしれないんですね。勉強になりました。ありがとうございます。

 

新判例:悪戯事故につき、保険金請求者側に「偶然の」事故であることの立証を要求した事案

(事案)
車愛好家の原告が、自宅マンション半地下駐車場に駐車中の高級車が落書傷をつけられたと、876万6,666円を求めて訴えを提起した事案。


(判決の概要)
裁判所は、落書傷が偶然な事故によるものとするには「合理的な疑いを払拭することができない」として、原告の請求を棄却した。
3人の若者との口論が落書傷の発端との主張につき、その若者達が塗装スプレーや「刃物などの道具を用意して犯行に臨んだ」とは考えにくく、事故現場は地下鉄出口の近くで、コンビニ店も近く、犯行が人目につく可能性が高い、落書傷発見時の供述等に不自然さが多々ある等、事故の偶然性を認める証拠がないとの理由で、原告の請求を棄却した。


(コメント)
被保険者等の故意を認めたのではなく、
偶然性がないことを認めて請求棄却した事例
であり、その意味で貴重です。


被保険者等の故意を立証することに比べると
保険会社の負担はかなり小さくなるものと言えましょう。


一見、先の最高裁判決と矛盾しているようにも見えますが、
東京地裁の判例ということもあり、一定の実務的影響があると思います。

会社に与えた損害と保証

 

従業員に入社させる際、我が社では、社員から、「会社に損害を与えた場合には損害賠償責任を負担する。」という念書を作成し、両親を連帯保証人として署名してもらっています。

今般、入社歴20年の社員が身勝手な判断をして会社に大損害を与えたので、両親に責任追及しようと思っていますが、問題は無いでしょうか?

 

 

1 結論

 連帯保証債務につき両親の同意がない限り、両親からは払ってもらえないことになります。但し、上記念書を3年ごとに取り付けている場合には、金額は制限されますが、払ってもらえます。

 

2 理由

 身元保証法では、

 身元保証の存続期間の上限を5年に定めています。

しかも、きちんと5年間と定めておかないと3年に制限されてしまいます。

 

 本件では、入社歴20年の社員ということになりますから、

上限を5年と定めていても、

 保証責任を追及できないということになります。

 

 したがって、社員からは、3年ごと乃至5年ごとに念書を差入させることが必要となります。

 

 なお、上記のような期間の問題がクリアされたとしても、

 損害額の一部しか請求できない場合もありますので、

 予め理解しておく必要があります(一切の事情を考慮して裁判所が決めます。)。

 

搭乗者傷害条項で救済される事例(新しい最高裁判決)

(事案)

Aは、平成14年12月18日午後9時50分ころ、
高速道路で、普通乗用自動車を運転中、運転操作を誤って、
車両を中央分離帯のガードレールに衝突させるなどし、
車両は、走行不能になり、走行車線と追越車線とにまたがった状態で停止した。
その付近には街路灯等がなく、暗かった。
Aは、すぐに本件車両を降り、小走りで走行車線を横切って道路左側の路肩付近に避難したが、
その直後に本件車両と道路左側の路肩との間を通過した後続の大型貨物自動車に接触、
衝突されて転倒し、
更に同車の後方から走行してきた大型貨物自動車によりれき過されて死亡した。
運転手の遺族が、保険会社に対し、自家用自動車保険契約の搭乗者傷害条項に基づいて死亡保険金の支払を請求した。


(判決の要旨)
以上の事案につき、最高裁(平成19年5月29日 判例時報1989号131頁)は、
搭乗者傷害条項に基づく保険金支払の請求を認めました。
要するに、車に乗っていることが必須の条件ではなく、運行起因事故と死亡との間とに相当因果関係がある場合は、広く被保険者を保護するべきという結論です。
事故後に降りた状況が重要ということになります。


(判決)

本件搭乗者傷害条項によれば、保険金は、「被保険自動車の正規の乗車装置等に搭乗中の者」(被保険者)が、「被保険自動車の運行に起因する急激かつ偶然な外来の事故(運行起因事故)により身体に傷害を被り、その直接の結果として死亡した場合」に支払われることになっている。
Aは、被保険自動車である本件車両を運転中、運転操作を誤り本件自損事故を起こしたというのであるから、Aは被保険者に、本件自損事故は運行起因事故にそれぞれ該当する。
そして、①Aは、本件自損事故により、本件車両内にとどまっていれば後続車の衝突等により身体の損傷を受けかねない切迫した危険にさらされ、その危険を避けるために車外に避難せざるを得ない状況に置かれたこと、②Aの避難行動は、避難経路も含めて上記危険にさらされた者の行動として極めて自然なものであったと認められること、③上記れき過が本件自損事故と時間的にも場所的にも近接して生じていることから判断しても、Aにおいて上記避難行動とは異なる行動を採ることを期待することはできなかった。そうすると、運行起因事故である本件自損事故とAのれき過による死亡との間には相当因果関係があると認められ、Aは運行起因事故である本件自損事故により負傷し、死亡したものと解するのが相当である。

トラック運転手と休憩時間

トラック運転手に対して与えなければならない休憩時間について教えて下さい。

 

 

1 休憩時間の原則

 まず、トラック運転手に限らず、1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上、の休憩時間を与えなければなりません。

 

 

2 いつ休憩を与えればいいか

 始業から終業までの間に任意の時間で入れられます(労基法43条1項)。分割も制限されていません

 

 

3 休憩時間の一斉付与の原則は除外される

 運送業については、休憩時間の一斉付与の原則が排除されています(労基規則31条)。

 したがって、事業場全体で何時から何時と定める必要もありません。

 

 

4 手待ち時間を休憩時間に充てられるか

 使用者の指揮監督にあり、労働者が自由に使えない時間は、労働時間です。

したがって、トラック運転手の手待ち時間も又労働者が自由に使えないので労働時間にあたります。

 

逆に、指揮監督から外れ、労働者が自由に使える時間は休憩時間です(39.10.6基収第6051)

したがって、

たとえば、積荷の到着間隔が確実に30分を超えるような場合、トラック運転手に対し、

「何時から何時までを休憩時間とします。何時には職場に戻って、積荷が届いたらすぐ作業できるよう待機してください」など指示を出し、

事前に休憩時間を指定すれば、

その時間を労働時問から除外することも可能になります。

しかし、後から、待機時間の一部を休憩時間にするような対応はできません。

以上

 


代表取締役の解任

私が代表取締役を務める会社は、私と共同経営者が立ち上げた会社で、取締役が4名います。最近、共同経営者との関係が悪化し、代表取締役を解任すると言われました。

私側につく取締役は1人います(つまり、私とその取締役とで2名です。)。他方、共同経営者側の取締役は2名です。

そうすると、共同経営者が私を解任することができないと思うのですが、どうですか?

 

1 特別利害関係

決議につき、特別の利害関係ある取締役は、決議の公正を期するため、議決に加わることができません(会社法369条2項)。

代表取締役の解任決議において、現代表取締役は、特別利害関係人ですから、この議決に加わることができません。

したがって、共同経営者側が2名、当方が1名で代表取締役決議で解任されてしまいます。

 

2 新たな代表取締役について

 もっとも、代表取締役が解任されても、新たな代表取締役を選任する決議が通らなければ、従前の取締役がなお代表取締役として振る舞うことは可能です(会社法351条)。

 そして、新たな代表取締役の選任決議については、元代表取締役も加わることができますから、新たな代表取締役の選任決議において、過半数議決をさせなければ、なお、代表取締役として暫く振る舞うことが可能です。

 

3 終局的には、株主総会で決着がつくことになるでしょう。

 

 

 

新判例 飲酒免責

新判例 飲酒免責

 

弁護士 片岡憲明が寺澤綜合法律事務所に所属していた時から担当していた事件で1審勝訴の判決を頂きましたので、ご報告致します。

 

 名古屋地裁平成20222日判決(控訴中)

 自動車保険ジャーナル1745号p13

 

① 原告が環状線で被保険車両を運転・走行中、側壁に衝突の単独事故を起こし保険金請求する事案につき、警察が飲酒運転としなかったのは、飲酒検知をしなかったからで、積載車の手配を依頼され、原告を病院へも送った業者は原告が「相当程度に酔った様子」と感じ、医師も原告に酒臭を感じ、打撲はないのに「うつむいてぐったりした様子」を認めている等から、原告の「酒によった状態が居眠り運転の原因となっている」とし、車両保険金請求には酒酔い免責を適用した。

② 文書、調査員への飲酒の事実の不実申告は、調査等の妨げとなり、その妨げを原告が「認識していたことを要する」が、原告にはこの点が「認められない」等から対物賠償保険金の支払いを認容した。

 

①については、警察が臨場したにもかかわらず、原告が検挙されなかった点は当方に不利な事実と主張されましたが、その他の間接事実から当方の勝訴となりました。

②については、裁判官のバランス感覚によるものと思います。


なお、平成20年8月22日の控訴審判決でも、①について勝訴判決を頂きました。

 

 

 

 


残業代はどうやって計算するの?

 私は、1週間前に会社を辞めたばかりですが、この会社では、残業をいくらしても給料が僅かしかもらえず、サービス残業を強いられてきました。

 残業代について、話をしたところ、お前は給料分の働きをしたと思っているのか?と逆に罵倒され、払う気は全くないようでした。

 私としては全く納得できません。どうにかして、残業代を請求したいと思いますが、どうしたらよいですか?

 

1 結論

 

まずは、タイムカードの開示を会社に請求し、時間外労働が何時間あるか確認します。

会社は、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を、時間外労働時間に掛け合わせた金額を会社は支払わなければなりません。

残業代は、内容証明郵便で、会社に支払を請求すべきです。会社が支払に応じなければ、法的手続を取る必要があります。

 

2 解説

 

残業代の計算方法

① 残業代=残業時間分の通常の賃金通常の賃金×時間外労働時間】

 

     +割増賃金通常の賃金×0.250.35×時間外労働時間】

 

 通常の賃金月による賃金額÷月における所定労働時間数

 

 月による賃金額=実際にもらっている金額-(家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金)

 

残業量によっては、100万円~200万円になることもありますので、きちんと計算したいものです。

 

 

なお、会社がずっと残業代を支払わずに、裁判を受けたときは、付加金支払を裁判所が命令することがあります。

 

付加金は、残業代と同額の限度で使用者に支払義務を課す制度です。会社は急いで残業代を支払わないと付加金まで支払わされてしまいます。

 

さらに、会社は、労働者退職日経過後支払済みまで年14.6%を乗じた金額を遅延利息として支払う必要があります(賃確法6条1項)。

 

以上のような制度で会社には残業代の支払いを迫ることができます。

以上


競売による建物のオーナーチェンジ

建物を借りていたところ、大家さんが破産してしまいました。

建物には抵当がついていたので、競売されましたが、落札をした不動産業者から、即刻立ち退いて欲しいと言われています。

 私としましては、敷金も納めていることですし、居座ることができたらいいと思っています。

 何とかならないでしょうか?

 

1 結論

 抵当権が設定されるよりも前に建物を借りていた場合

 →退去する必要はありません。

 

 抵当権が設定された後に建物を借りた場合

 →退去しなければなりませんが、6か月間の明渡猶予がなされます。

 

2 説明

 ①建物を借りた時期が抵当権設定より前だと、賃貸借が優先します(対抗できるといいます)。

 これに対し、②抵当権設定より後だと、賃貸借が劣後します。

 このように、抵当権設定時期というのは非常に重要なのです。

 ①の場合は、そのまま借り続けることもできますし、新しい賃貸人に対し、敷金の返還を請求することもできます。

 ②の場合も、すぐに退去しなければならないわけではありません。

 民法395条1項には、建物買受人の買い受けの時点から6か月を経過するまでは、建物を買受人に引き渡さなくても良いと規定されています。ただ、賃料相当額の金銭の支払いを賃借人が免れる道理はありませんから、無料で建物に住める訳ではないことに注意しましょう。

 

3 活用

 以上のように、建物賃借は危険が伴います。

 大家に抵当権が設定されているかとかローンを返し終わっているか確認してから入居する必要があります。

 また、競売物件を購入する場合、抵当権に劣後する賃借人がいる場合は、退去させることが比較的容易であるため比較的割安であることもあります。

 以上

 


顧客名簿の管理は大事!

落合商事は、薬局に業務用コンピューターを販売する会社です。

 落合商事で営業として働いていた山崎氏は、落合商事から預かった顧客名簿を見ながら得意先に営業していました。

やがてトップセールスマンになった山崎氏は、落合商事から同業他社のツバメ電子に引き抜かれました。

山崎氏はツバメ電子に引き抜かれるにあたって、落合商事の得意先全員に挨拶状を出し、その中でちゃっかりツバメ電子の宣伝までしましたが、こんなことは落合商事の顧客名簿を持って行かなければできないことです。

恩を仇で返すようなやり方で許せませんので、山崎氏に対して法的手続きをとって頂けませんか?

 

顧客名簿が営業秘密としてきちんと管理されていたならば、比較的損害賠償を請求しやすいと言えます。

 

 営業秘密なのか? 

不正に取得した「営業秘密」を使用した場合、不正競争防止法2条1項などによって、使用者は損害賠償責任を負います。

では、顧客名簿は「営業秘密」にあたるのでしょうか。

 

 管理がポイントに 

「営業秘密」は、秘密として管理されているものであることが必要です。秘密として管理されていないと、営業秘密にあたらないと判断されてしまいます。

したがって、どういう管理をすべきかが重要な問題になります。

判例は、はっきりした答えを出していませんが、一般的には、営業秘密が、従業員や部外者から一見して分かる程度に秘密管理状態に置かれていることが必要だと判断しています。

たとえば、当該営業秘密を記載した書類が会社内の机に無造作に放置してあるような場合は、従業員全員が見ることができるので、秘密とは言い難いでしょう。営業秘密にアクセスできる従業員が限定されていなければなりません

また、従業員と秘密保持契約を締結せずにいるよりも、きちんと秘密保持契約を締結していた方が、秘密にしていたと言えます。就業規則にも従業員に対し顧客名簿の持ち出しを禁止しておけば、なお良いでしょう。

さらに、顧客名簿に何も書かれていないよりも、部外秘と記載されていた方が、秘密にしていたと言えます。

つまり、①アクセス者の限定、②従業員との契約(含 就業規則)、③秘密であることを顧客名簿に記載することなどがポイントです。

 

 日頃の対策 

顧客名簿等の重要書類は、以上の点を意識して管理して頂きたいと思います。

また、被害を未然に防ぐためには、営業秘密を従業員に開示する際に、当該従業員が必要とする部分に限って開示する等の、手立てを講じておくべきでしょう。

 


新判例 被害者側の過失

A運転の自動二輪車とパトカーとが衝突し、

自動二輪車に同乗していたBが死亡した交通事故につき、

Bの相続人である被上告人らが、パトカーの運行供用者である上告人に対し、

自動車損害賠償保障法3条に基づく損害賠償を請求する事案。

ちなみにABは暴走族の仲間同士です。

 

以上のような事案につき、

 

最高裁(平成20年7月4日判決)は、

Bの損害賠償請求につき、Aの過失を斟酌するという

判断を下しました。

 

いわゆる被害者側の過失の法理

身分上生活関係上一体(幼児の監督者である父母等)」の場合と

財布が一つ(夫婦等)」の場合以外に

認めてきましたが、

上記のような類型も加えたものといえます。

 

    判例をチェック

 

(抜粋)

以上のような本件運転行為に至る経過や本件運転行為の態様からすれば,

本件運転行為は,BとAが共同して行っていた暴走行為から独立したAの単独行為とみることはできず,

上記共同暴走行為の一環を成すものというべきである。

したがって,上告人との関係で民法722条2項の過失相殺をするに当たっては,

公平の見地に照らし,

本件運転行為におけるAの過失もBの過失として考慮することができると解すべきである。

 


民事再生手続をとれますか?



私の会社は、20年続いた会社で従業員が20名います。

不動産投資の失敗により、銀行や信用金庫からの借入金が満足に返済できず、早晩手形の不渡りを出してしまいそうです。

破産も考えましたが、従業員が不憫なので何とか会社を存続させたいと思います。

民事再生手続はとれないでしょうか?

 

民事再生手続は再建型の手続と言われています。

 

民事再生手続にもいろいろな手法があり、大きく分けると、

    自力再建型

    スポンサー型

があります。

 

    自力再建型

は、不良債権が処理できれば収益をあげ続けていくことができる場合に

選択できます。スポンサーが見つからない場合にやむなく①をとることもあります。

 

    スポンサー型

施設に魅力があったり、技術力に確固たるものがある場合には、スポンサーが

現れる場合もあります。

 

自力再建型は、再生手続中の資金繰りをいかに確保していくか、

という重大な問題があります。

信用を失っているからです。

 

これに対し、スポンサー型は、スポンサーがバックにつき、信用を得ることができますので、

再生も比較的容易となります。

 

その意味で再生手続を開始する前に、水面下でのスポンサー交渉は不可欠なのです。

 


最新の道路交通法改正

平成20年6月に道路交通法が改正されました。シートベルトの点について改正があったようですが、正確なところは分かりません。教えて下さい。

①シートベルトの後部座席での着用義務


 自動車の運転者は、全ての座席について、
 シートベルトを装着しない者を乗車させて自動車を運転してはいけません。


 違反の場合 : 違反点数1点(当面は、高速道路及び自動車専用道路に限る。)
 ※罰則・反則金はございません(平成20年6月30日現在)。
 ※後部座席のシートベルト装着義務違反は、
  高速道路及び自動車専用道路に限り、
  違反点の対象です。


②75歳以上の者及び聴覚障害者の保護

 75歳以上の者及び聴覚障害者は、
 普通自動車を運転する場合、
 「高齢運転者標識」、「聴覚障害者標識」
 を表示しなければなりません。

 また、これらの標識を表示した普通自動車に対する幅寄せ等が禁止されています。

 対象者が高齢運転者標識・障害者運転者標識を表示しなかった場合

 2万円以下の罰金又は科料
 反則金は4千円
 違反点数1点です。


③普通自転車の歩道通行可能要件の明確化


 こういった場合、自転車も歩道を通行できます。


 道路標識等で指定(歩道通行可)された場合
 運転者が児童・幼児(13歳未満の子ども)の場合
 運転者が70歳以上の場合
 運転者が身体に障害のある場合
 車道又は交通の状況からみてやむを得ない場合


 主要な点は以上です。外にも細かい改正があります。


重要なのは、後部座席での着用義務です。
高速道路では必ず忘れないように心がけたいものです。


条文
第七十一条の三  自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章 及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため座席ベルトを装着することが療養上適当でない者が自動車を運転するとき、緊急自動車の運転者が当該緊急自動車を運転するとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
2  自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置(当該乗車装置につき座席ベルトを備えなければならないこととされているものに限る。以下この項において同じ。)に乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、幼児(適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有するものを除く。以下この条において同じ。)を当該乗車装置に乗車させるとき、疾病のため座席ベルトを装着させることが療養上適当でない者を当該乗車装置に乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
3  自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であつて、道路運送車両法第三章 及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。


診療情報の研究利用

病院内で、部外者のいない研究会を開き、実際の症例を発表してもよろしいですか?
また、学会発表やホームページへの掲載はどうしたらよいですか?


まずは、院内において、個人情報をそのようなことに使用する旨
公表しておく必要があります。

これは、利用目的の明示です。


その上で、
第三者提供は原則として本人の同意無くしては不可ですので、
院内での利用はともかく、
学会発表やホームページへの掲載については、
患者さん本人の同意を得るか、
個人の識別情報を外して公表する必要があります。


外すべき個人の識別情報についてですが、
氏名・住所はもちろん、入院番号も記載不可です。
なお、
疾患の発生場所については県単位なら可。
臨床経過のために年月日を書くことは特定につながらなければ可。
顔写真は目は隠す。目だけなら、顔全体が分からないようにすれば可。
です。


個人情報保護法施行に伴って厚生労働省は病院向けのガイドラインを作成していますので参考にして下さい。

ほったらかしにした代金



龍神株式会社は、 建材の販売、建築工事の下請を業としている会社です。 以前、大工の立浪さんに頼まれて建材を販売したり(50万円) 工事を下請したりしたことがありましたが(30万円) 立浪さんからは、資金繰りが悪いので待って欲しい、 と懇願されました。 龍神はとりあえず毎月請求書を送っていましたが、 立浪さんからは音沙汰がなく3年程そのままにしていました。

ある日、龍神の社員が帰宅途中、
高級外車に乗る立浪さんを目撃し、問い詰めたところ、
立浪さんはもう払わなくていいはずだ、というのです。
立浪さんには、
龍神から貸付金(10万円)もあるのにひどい話です。
もしかして時効なんですか。


時効は一律10年では?と思われている方も多いのではないでしょうか。
実は、時効は取引によって様々な期間と定められています。


たとえば、龍神の立浪さんに対する債権は、建材の販売代金(2年)、
工事の下請代金(3年)、会社からの貸付金(5年)です。

したがって、本件では、建材の販売代金の回収は無理なのです
(但し、後述の債務承認の方法なら回収できます。)

それにしても、龍神は立浪さんに毎月請求書を送っていたはずです。
これは全く意味が無かったのでしょうか。

結論から言うと、
普通の請求書を何枚送っても、法律上時効中断にはなりません。
このように請求書を送ることは、「催告」といいますが、
催告には、時効を中断するような効果はありません。
せいぜい時効を僅かに先送りにする程度の効果しかないのです。

たとえば、時効前に立浪さんに到着するよう内容証明で請求書を送付し、
なおかつそれから6ヶ月以内に龍神が裁判を起こさないと、時効が到来してしまうのです。 

上記の方法では、龍神も金と手間がかかり大変です。
もっと容易に時効を中断させる方法は、「債務の承認」です。
これは、文書・口頭を問わず、債務者から債権の存在を認める言動を引き出すこととお考え下さい。
例えば、立浪さんに一部でも債務を払ってもらったり、いずれ払うから、と言わせれば、
債務の承認となり、時効が中断するのです。
さらに、時効がたとえ到来してしまったとしても、
債務者による債務承認があれば、時効を防げる場合もありますので、

諦めずに対応して下さい。


債務者にどういうことをしてもらえばいいか、
その証拠をどうやってとっておけばいいかについては
法律家にご相談下さったほうがよいです。
もちろん、最も重要なのは時効前に相談することです。
早めのご相談をお願いします。
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仕入れ先の倒産


私の会社は、ある会社から
商品を毎月仕入れ、販売していました。
ところが、
仕入先の会社が突然倒産し、
破産申立代理人と名乗る弁護士から
商品の代金100万円を支払えと請求が来ました。
私の会社は、
いつも人気のない売れ残り商品を仕入先に返品していましたし、
代金の値引き交渉をしていましたので、
額面通り100万円を支払うのは納得がいきません。

100万円の支払いに応じなければいけないのですか?


結論から申し上げると、
100万円の支払いに応じる必要はありませんが、
どれくらい減額できるかは、交渉次第だと言えます。

 まず、代金の値引き交渉についてですが、
毎度値引き交渉をしていたなら、
仕入先とは売買代金額が決められていなかったことになります。
したがって、額面100万円の請求にすんなり応じる必要はありません。

次に、返品ですが、これは難しいといえます。
倒産会社がいらない商品の返品に応じることは、まずありません。
返品在庫を抱えても売却先はありませんし、
仮にあっても買い叩かれるのがオチだからです。
比較的堂々と返品が要求できるのは、「委託販売」の場合です。

薬品の売買では「委託販売」の形式が多いのですが、
これは、小売業者が委託を受けて卸売業者の商品を店舗で販売するという契約です。
卸売業者からすると、小売業者の店舗を間借りしているようなイメージです。小売業者は卸売業者から商品を預かっているに過ぎないので、返品を要求できるのです。
したがって、委託販売の契約書があれば
これを提示して商品の返品を要求できることになります。
仮に倒産会社(又は破産管財人)が返品を拒む場合には、
代金を大幅に減額するよう交渉すれば良いと思います。

「委託販売」の契約書を取り交わしていない場合は、
実態が「委託販売」だと主張しても主張が通らないかもしれません。

取引の実情に合っていない請求が来た場合には、
とりあえずは1度ご相談頂いた方が無難であろうと思います。

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取締役の責任と時効

 私達は、家族3人(父、弟、私)で株式会社を立ち上げ、 設立20年で会社の規模も20人以上となりました。
 ずっと父が代表取締役で弟と私が平取締役でしたが、父が引退することになり、会社の帳簿を私が引き継ぐことになりました。
 そうしたところ、弟が8年前から会社の金を遣い込んでいることが分かりました。
 父に聴いたところ、5年前には遣い込みの事実を知ったが、息子かわいさに見て見ぬふりをしてしまったとのことでした。
 私は会社の責任者として弟に対して責任追及をせざるを得ませんが、なにぶん昔の話なので、責任追及できるか分かりません。
 教えて下さい。

まず、会社の金を遣い込んだということですから、
弟さんには会社に対する損害賠償責任があります。
しかし、そもそも5年以上経過しているので、
時効が来ていないか問題となります。

今年、この問題について最高裁が判断を下しました。
○判決内容

要するに、取締役の責任(旧法266条1項5号)の時効期間は10年
とするものです。

一般に商行為の時効は5年とされていますが、
5年というのはあっという間に過ぎてしまいます。
特に、取締役は会社内部にあって自分の責任を隠すことがあります。

結局、弟さんに対して責任追及ができますので、
きちんと会社に返金してもらうべきでしょう。

なお、弟さんに対し訴訟を提起する場合、会社の監査役
会社の代表者となりますので留意して下さい。

外国人から不動産を購入する場合の注意点

外国人から不動産購入には本人確認の問題や税務上の問題が
あることを認識する必要があります。


外国人による日本の不動産に対する投資が
ブームになっていますが、
外国人も高値で売り抜けようとして売却をする場面が増えることが予想されます。


外国人などの海外居住者や海外法人から不動産を購入する場合、
まず、本人確認と登記のための必要書類を確実に取り付けるようにしなければなりません。

次に、
買主側には、源泉徴収義務(売買代金の10%)があることを
忘れないようにしなければなりません。


すなわち、海外居住者や外国法人が日本国内の不動産を譲渡した場合
買主はその譲渡代金の10%を売主に渡さないで、
源泉徴収して翌月10日までに税務署に納付する義務があります。

この源泉徴収の義務は購入者側にあります。
この時、源泉徴収を忘れると後から追徴されることになりますので、
それを売主から取り返す必要が出てきます。

今後このようなトラブルが多発することも予想されますので、
十分な注意が必要です。

なお、海外居住者とは外国人とは限りません。
日本人で海外に1年以上の長期勤務をしている人の場合も該当します。

但し、個人が居住用に譲り受けた1億円以下の土地建物については
源泉徴収する必要はありません。
                                            

不動産の売却先を業者に探してもらう時は!

保有不動産を売却する時には、
不動産業者との間で「媒介契約」を締結します。


「媒介契約」とは、簡単に言えば、
不動産を購入する客を捜してきて売買契約が成立するよう
仲介する契約を言います。


一般に、不動産の媒介契約には、3種類あります。
専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約
いずれかを依頼者が選択することができます。


①専属専任媒介契約
 特定の不動産業者に仲介を依頼し、
 他の不動産業者に重ねて依頼することができない契約です。
 依頼者は、自分で購入希望者を見つけることはできません
②専任媒介契約
 ①とほぼ同じですが、
 自分で購入希望者を見つけることはできます。
③一般媒介契約
 複数の不動産業者に重ねて仲介を依頼でき
 自分で購入希望者を見つけることもできます。


①に行くほど不動産業者が真剣に購入者を見つけてくれるイメージでしょうか。

逆に①に行くほど依頼者の拘束は大きく
安易に解除できなくなるわけです。

(不動産業者の方の豆知識)
なお、媒介契約締結の際には、
消費者保護の点から
国土交通省は、住宅宅地審議会の答申をふまえ
「標準媒介契約約款」を作成し、告示しています。
宅地建物取引業者が媒介契約書を作成する場合においては、
宅地建物取引業法施行規則第15条の7第4号により、
「標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別」を
契約書に記載しなければならないことになっています。

宅地建物取引業者が媒介契約書を作成する場合に
「標準媒介契約約款」を使用しないことも可能です。
→契約をチェックする必要があります。

契約書類の重要性


今までの苦労が実って、
大企業に商品を納めることができるようになりました。
その企業からは、取引基本契約書が渡され、
まずは契約書にサインしてほしいと言われました。
大企業ですから、問題ないと思って
余り条項を読まないでサインしてしまいましたが、
ちょっと不安です。大丈夫でしょうか?


大企業だから、大丈夫、というのは
必ずしも正しくはありません。
むしろ、大企業は様々なリスクにさらされていますから、
一般企業よりも契約条項にはシビアです。


分かりやすい例でいうと、裁判管轄です。
相手方企業の本社を管轄する裁判所になっているのではないでしょうか?
裁判になると、
遠隔地まで出向く費用がかかります。


共同開発で発明をした場合の、
特許権や実用新案権の帰属はどうなっているでしょうか?


自社の技術の核心部分を守る
営業秘密は、大企業側による無断利用から守られていますか?


よくよく読むと
自社に不利益且つ不公平な条項が盛り込まれています。


多くが紛争になった後で私達弁護士の下に持ち込まれますが、
後の祭りということも多いです。


ただの言葉に過ぎませんが、
その言葉が数千万円の不利益を産むとしたら
悔やんでも悔やみきれません。


契約締結に際しては、
特に金額の大きな契約の場合は、
専門家の助言を得るのが、大きな節約となります。

上場していない株式は譲渡できますか?

私は、ある会社の取締役を務めている時に、
会社の株式を100株持っていました。
このたび、取締役を退任することになったのですが、
会社は株式を引き取ろうとしません。
この会社は上場していませんが、株式を譲渡できますか?


まず、株式は自由に譲渡できるのが原則です(会社法127条)。
もっとも、会社の定款で
「株式の譲渡による取得については会社の承認を要する。」
などと、譲渡制限がうたってある場合、
会社(取締役会乃至株主総会)の承認が必要となります。

譲渡制限がある場合、
株式の譲渡ができなくなるわけではありません。
単に、
譲渡の際、承認が必要なだけです。

会社が承認しない時は、
会社が買い取るか、会社が指定する人物が買い取ることに
なります(会社法140条)。

会社が責任を持って譲渡先を決めない場合は、
あなたが譲渡したいと思っている人に譲渡することができることになります。

従業員が交通事故を起こしたら・・・


従業員にマイカー通勤を認めていたところ、
その従業員が帰宅途中、おじいさんと接触事故を起こし、
おじいさんに大怪我をさせてしまいました。
従業員はマイカーに任意保険をかけていませんでした。
おじいさんから会社も被害弁償に応じるよう言われていますが、
対応する必要がありますか?


 無関係の会社が払う必要は全く無い筈!と思われるかもしれません。
 しかし、会社が従業員にマイカーを業務に使うことまで認めていた場合は、
責任を免れません。

 その場合、社有車と使用実態が殆ど変わらないからです。
 では、マイカーの使用が通勤に限定されていた場合はどうでしょうか。
 残念なことに、裁判例ははっきりしないというのが実情です。

 原則として、マイカー通勤の事故について、会社の責任は否定されています。
 しかし、場合によっては、肯定されます。
 福岡地裁飯塚支部では、
会社員のマイカー通勤途上の事故につき、
会社も社員によるマイカー通勤を容認し、通勤手当も支給しているといった理由から、
会社の責任を肯定する旨の判決が下されました。
 他方、別の裁判所では、
あくまでも電車・バスといった公共交通機関による通勤が基本であり、マイカー通勤が例外であって、通勤手当としても、定期代代わりの通勤手当が支給されていたにすぎない事案で、
会社が積極的にマイカー通勤を認めていないという理由により、
会社の責任を否定する判決が下されています。

 積極的にマイカー通勤を認めていないなら会社の責任が否定されやすいということでしょう。
 なお、規則でマイカー通勤を全面禁止していても、事実上黙認している場合には、会社が責任を負うとされた事例がありますので、注意が必要です。

 以上のように会社が責任を負う可能性がゼロではない以上、次の対策を講じる必要があるでしょう。

 ①自動車通勤を許す場合には、マイカーに任意保険をかけるよう指導を徹底する。

 ②会社がマイカーの保険加入の有無をチェックする。

 従業員にしてみても、任意保険に加入していなかったために
莫大な損害賠償責任を一生背負い続けていくことになるのですから、
任意保険への加入強制は従業員のためにもなるのです。

お金を貸すときにはご注意~期限の利益喪失約款

 友人に100万円貸しました。私に月々5万円ずつ返していくという約束をし、契約書まで作成しました。契約書には、平成20年3月から各月15日までに5万円ずつ100万円を返済するとだけ書いてありました。
 その後、友人は、最初の返済日である2月15日から返済を怠り、知らん顔をしています。
 約束が違うので、友人に対して、すぐに100万円全額を返済してもらいたいと思っていますが、このような請求はできるでしょうか。


 契約書には、毎月15日までに5万円ずつ返済されれば良い、と定めていますから、1回目から支払を怠っても、友人に対して、月々5万円ずつしか請求できません。これを「期限の利益」と言います。100万円を支払う義務があるのだけれど、それを先延ばしにしてもらえれば債務者にとって利益です。それで「期限の利益」というのです。
 この事案では、裁判に訴えても、月々5万円ずつ支払えという判決しかもらえません。
 では、どういう対応をすればよかったのでしょう?
対応その1
 そもそも、契約書に分割払いの条項を書かなければ問題は発生しませんでした。
 事実上、友人に分割払いをしてもらって、契約書に書かなければいいのです。
対応その2
 友人が分割払いの条項を入れて欲しいと強く言った場合は、期限の利益喪失条項というものを入れておけば良いです。
 この条項は、例えば、「2回以上、支払が期限を徒過するようなことがあれば、残金を一括して支払う。」といった条項です。
 こういった条項を契約書に盛り込んでおけば、支払を怠った友人に対してすぐに残金100万円を返してくれと請求できたのです。
 市販の契約書式などには何気なく載っている条項ですが、非常に大事です。お金を貸す時は、必ず入れるようにして下さい。
 なお、保証人を沢山つけることも大事です。会社に金を貸すなら代表者、親族を保証人にすることを忘れないようにして下さい。 

いきなり取引を中止されてしまった

随分昔に取引基本契約書を締結し、長年製品を納めてきた会社が、突然、私の会社との取引を中止すると一方的に通知してきました。一体、どうしたらいいのでしょうか?


 まずは、なぜ取引を中止されたか確認する必要があります。
 中止の理由がない、または理由として正当とは思えない場合には、突然の中止は不当であり、中止を決めた会社に対して、損害賠償請求ができる可能性もあります。また、弁護士を通じて取引の継続を交渉してみる余地もあります。
 諦めないで、ご相談して頂きたいと思います。

保険会社の調査に対する協力義務

保険契約者が、保険会社から依頼した調査員に対して、回答をはぐらかしたり、嘘をついたりしています。どのように対処すればよいのでしょうか。


 保険事故発生の偶然性の立証責任は、最高裁判決により、保険会社側にあることが明らかになりました(盗難については微妙ですが。)。
 したがって、保険会社による調査は今まで以上に厳格に行う必要があります。
 にもかかわらず、契約者が調査に非協力的では、保険会社は打つ手がありません。
 近時、名古屋高裁で、調査協力義務違反による支払免責を認めた裁判例が下されました。したがって、保険会社としては、契約者に対し、調査への協力を誠実に依頼し、それでも拒絶された場合は、拒絶事実を記録し、弁護士にご相談されると良いと思います。


参考判例
自保ジャーナル(平成20年3月13日)

事実の要旨
 甲保険会社と自動車保険契約しているXは、平成17年5月13日午後6時59分ころ、
三重県下で路外逸脱し、海中に転落して新車価額保険金400万円を求めて訴えを
提起した。
 1審裁判所は、305万円の保険金支払いを認容した。
 甲保険会社控訴の2審は、Xは「約款の一般条項14条(9項)に違反する」として、
1審判決を取り消し、Xの請求を棄却した。
判旨の抜粋
ウ Xの上記12)アの説明内容は、上記鑑定結果と大きく食い違っている。
 即ち、
①本件車両の速度の点では、
クリープ走行程度(速度はほとんど出ていない。)なのか、
時速約19km/時間程度なのか、
②進行方向の点では、運河に向かって左ヘハンドルを切って進行したのか
(この場合、運河への落下は運転席側からとなる。)、
本件車両の前部を北に向け、護岸道路を左に逸脱して運河に転落したのか
(この場合、同運河への転落は助手席側からとなる。)
の点において、大きく食い違うことになる。
③ さらに、本件車両は、横転しながら転落したものと推測されるものの、
Xは、この特徴的な転落状況を窺わせるような説明は何もしていない。
このように本件車両の運転(切り返し操作)中に本件事故に至ったのであるならば、
速度、進行方向などの基本的な客観的状況と一致しない説明がなされるということは
明らかに不自然であり、
転落態様について横転という特徴的な事柄に関して説明が欠けるということも
通常考えがたいところである。
したがつて、Xの上記(2アの説明内容も、
記憶どおりに正しく説明されていないものと認められ、
これは甲において、本件事故が保険事故であるか否か、
支払拒絶事由(Xの故意による事故)があるか否か検討するための
重要な事故態様に関するものであったということができる。
(6)以上(3)ないし(5)で検討のとおり、
Xの本件事故の態様、本件事故後の経緯や携帯電話に関する説明は、
いずれも甲において本件事故が
保険事故であるか否か、支払拒絶事由があるか否か検討するための
重要な事項に関する説明であるところ、
その説明内容は、いずれもXの記憶のとおり正しくなされてはいないと認められる。
このようなXの行為は、
本件保険契約約款の一般条項14条(9)に違反するものであって、
同条項15条1項により保険金の支払拒絶事由にあたるものと認められる。


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