少年事件の手続きの流れ
20歳未満の方(少年)が罪を犯した場合,20歳以上の方(成人)が罪を犯した場合とは異なる手続きによって処分されることになります。
最近,わき見運転をしていて,自転車に乗っている方をはねて死亡させてしまったという少年事件の付添人をしたので,その事件を例にお話しします。
(1)まずは警察署に留置
少年は,人をはねて死亡させてしまったので,過失運転致死罪に問われることになりました。そして,人の死亡という重大な結果を生じさせてしまったため,少年は警察に逮捕され,勾留されることになりました。
勾留されると,10日間(延長されれば最大20日間)警察署の留置場に入れられ,取調べを受けることになります。
(2)家庭裁判所に送致
成人であれば,取調べが済めば起訴(あるいは不起訴等)されることになりますが,少年の場合,直ちに裁判にかけられることはなく,事件は家庭裁判所に送致され,少年審判を受けることになります。
少年は,観護措置として少年鑑別所で拘束されて,反省文を書いたり,各種のテストを受けたりして,自分のしてしまった行為について反省を深めました。
(3)少年審判期日
少年鑑別所に移ってから通常4週間以内に少年審判期日が開かれます。
少年審判期日には,少年と両親が同席し,家庭裁判所調査官,付添人(弁護士が担当します)も立会い,審判官(裁判官)が少年と両親に色々質問します。その後,付添人,調査官が質問して,調査官,付添人が意見を述べます。
そしてすぐに審判官が審判を宣言します。その内容は次の通りです。
① 審判不開始(非行事実が認められない場合等)
② 不処分(保護処分を行わないとする決定)
③ 保護処分(保護観察,少年院送致等)
④ 検察官送致(刑事処分が適当と認められる場合。地方裁判所等に起訴されます。)
人が死亡する等結果が重大であったり,少年の年齢が成人に近かったりする場合には,検察官送致されることが多いです。本件事件も,人が亡くなってしまうという重い事件だったため,少年は検察官送致となりました。
(4)その後
地方裁判所に起訴されると,通常の成人の事件と同じ手続きによって進行していきます。
本件少年の事件は,現在地方裁判所に係属中です。少年の将来のために,執行猶予を獲得できるよう弁護活動を続けています。
未成年者は,周りの人の影響を受けやすかったり,自分の行動を反省することで考え方を再形成することが可能であったりするなど,成人にはない特徴があります。
刑事手続も成人とは異なる特殊なものなので,お困りの際は専門家にご相談ください。
弁護士 大口悠輔
投稿日:2016年11月26日 19:08|カテゴリー:弁護士の役立つ情報