ショムニで描かれた,従業員を監視する会社
先週より,人気ドラマ「ショムニ」の2013年度版が始まりました。
「ショムニ」は,会社から使えないと烙印を押された従業員達が,雑務ばかりをやらされる「庶務二課」(ショムニ 今でいうところのリストラ部屋ですね。)なる部署に送られ,様々な迫害を受けながらも,江角マキコをはじめショムニの面々が,たくましく能力を発揮し,むしろ会社を窮地から救う,という,痛快ドラマです。
江角マキコが,OL制服に身を包み,脚立を担ぎ,廊下をねり歩く姿がとても印象的です。
さて,
昨日放映されていた「ショムニ」の第2話では,
会社が従業員のインターネット閲覧履歴やメール送信歴を全て閲覧できるようにし,従業員を監視するという内容でした。
近時,会社のパソコンがインターネットに常時接続しているため,仕事をするふりをして,業務とは無関係のホームページを閲覧して業務をさぼっていたり,SNSで内部情報を流出させてしまったり,といった問題が頻発しており,会社が従業員を監視する必要性も高まってきました。
ショムニは,いささか大げさに描かれていましたが,多くの会社で,多かれ少なかれ,一定の監視がなされてきていると感じています。
このように会社の監視が日常的になった結果,従業員の職務怠慢の事実を掴んだ会社側が,安易に従業員に懲戒処分を下してトラブルになるケースが増加してきました。
安易な懲戒処分は認められていないのが実情です。
たとえば,
1日あたり2通の私用メールをしていた場合に職務専念義務違反にはあたらない,とした裁判例(東京地裁H15.9.22判決),
7か月のうちに28回の私用メールをしたこと,チャットソフトをダウンロードしたこと,を理由とする減給処分が無効とされた裁判例(札幌地裁H17.5.26判決),
6か月間に1700件余りIPメッセンジャーで私的連絡をしていた従業員に下された解雇処分を無効とした裁判例(東京地裁平成19年6月22日判決)
などがあります。
要は,常識論でしょうが,社員同士の世間話の延長的なものは,会社も許容しなければならないでしょう。
会社は,就業規則で私的なメールやHP閲覧を厳しく制限し,また,従業員に周知徹底をさせておかないと,懲戒処分を下すのも容易ではありません。