交通事故と刑事記録
交通事故で過失割合などが争いになったときに,事故当事者が警察にどのように事故態様を説明しているかはとても重要な資料です。
しかし,警察が持っている資料はなかなか開示されません。
特に,当事者の供述調書は,開示されないことが多いのが実情です。
意外に思われるかもしれませんが,あくまで刑事記録は刑事処分のための記録であり,民事の紛争解決のためのものではないから,原則開示されないのです。
但し,
①実況見分調書は開示してもらえます。
また,
刑事裁判になって判決が確定した場合は,②裁判に提出された刑事記録が開示してもらえます。
つまり,相手方が警察官に対して相手方にとって不利な内容の供述をしていたとしても,その供述は刑事裁判にでもならない限り,こちら側が知ることができないのです。
被害者保護の見地からは極めて不合理ですが,これが実務の現状です。
以上のような刑事記録の開示状況をふまえますと,どうしても相手方の供述内容を開示させたい場合には,相手方が刑事裁判を受けるように,厳罰を求める必要があります。
厳罰を求めれば必ず刑事裁判になるわけではありませんが(相手方の過失が小さい場合には刑事裁判になりません),相手方の過失が大きいときには刑事裁判になる可能性が高くなります。
なんだか本末転倒のような気もしますが,被害者側としては大事な自衛手段ですから,念頭に置いておいた方がいいことがらですね。
投稿日:2013年9月18日 17:02|カテゴリー:交通事故