労働時間の自己申告制
今日,ほとんどの会社でタイムカードが設置され,正確な労働時間管理がなされるようになりました。
しかし,あえて労働時間を自己申告させている会社は少ないながらあります。
もちろん,自己申告じゃなければ時間管理ができない外回りの仕事が多い(直行直帰が多い)労働者が在籍する会社なら自己申告制をとるのはやむを得ないですが,そのような事情もないのに自己申告制を維持してる会社があります。
おそらく労働者に促して残業時間を短く申告させることができるから,好都合だ,という考えがあるのではないでしょうか。
このような安易な時間管理が行われないよう,厚生労働省は,原則としてタイムカード等の客観的な記録をすること,自己申告制を採用せざるを得ない場合も使用者は労働者に対して十分な説明と実態調査を行い,また,労働時間の上限設定等をしないよう通達を出しています(平成13年基発339号)http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000ufxb-att/2r9852000000ugaf.pdf 。
したがって,上記のような考えで自己申告制を採用している会社は,労働基準監督署に調査に入られたとき,全従業員に対する未払残業代の支払を余儀なくされる危険があります。また,個別に従業員から未払残業代の請求や付加金の請求がされ,紛争になるおそれもあります。
むしろ,タイムカードでしっかり時間管理をして,無駄な残業時間にメスを入れた方が全体として良かった,ということにもなりかねません。
以上のことから,企業の側から相談があった場合,トラブル回避のためタイムカードで管理することを推奨するようにしています。