後遺障害が発生した場合の請求
交通事故で,後遺障害が発生した場合,たとえば腕のシビレがとれない等,被害者は加害者にどのような請求ができるでしょうか。
後遺障害の程度に応じて請求できる項目が増えることもありますが,大きく,「後遺障害慰謝料」と「後遺障害逸失利益」の2つが請求できます。
「後遺障害慰謝料」というのは,そのような後遺障害と一生付き合って行かざるを得なくなったことへの慰謝料です。
これは,認定された後遺障害等級(1から14級まであり,1級に近づくほど重い)によって,金額がだいたい定まっています(判例が集積されており,あまりぶれがありません。)。
たとえば,一番低い14級だと90~120万円,12級だと250~300万円,高いものだと,1級が2700~3100万円となっています。
次に,「後遺障害逸失利益」ですが,要するに,後遺障害で逸失した利益,つまり,後遺障害のせいで働けなくなった分の補償の趣旨の賠償金です。
基本的には,①基礎収入×②労働能力喪失率×③喪失期間(に対応するライプニッツ係数)で計算します。
たとえば,①300万円の収入の人が,②1級の障害を負い(たとえば,四肢麻痺 喪失率100%),③あと40年働けるはずだった(ライプニッツ係数:17.159),ならば,
300万円×100%×17.159=5147万7000円となります。
もっとも,障害の内容によって,①②③は必ずしもはっきりとは定まらず,①②③の数値の決定は非常に難しいです。
また裁判所によってまちまちな判断がされるため,被害者の実情をきちんとアピールする必要があります。
「後遺障害逸失利益」は,極めてもめる可能性が高い損害項目だと言えましょう。