飲酒運転で職を失う
飲酒運転に対する社会の目はどんどん厳しくなっています。
最近では,行政処分や刑事処分が厳罰化され,認知されるようになったためか,飲酒運転自体相当減少していると言われています。
近時,東京高等裁判所(東京高裁平成25年7月18日判決)で,プライベートで酒気帯び運転による物損事故を起こし,逮捕・新聞報道されるとともに,罰金刑を下された労働者について,懲戒解雇=有効,退職金=7割カットとする裁判例が下されました。
この労働者は,郵便局で集配業務を担当する従業員だったようですが,本当につまらないことで職を失い退職金の7割を失うことになりました。自業自得だとは言え,なかなか重い制裁です。
ただし,この裁判では,使用者である日本郵便(株)が退職金の全額カットを主張していましたが,7割カットの限度に止められました。
裁判所はそれ以上退職金を減額するのは行き過ぎだとの判断を下したのです。
なお,労働者が,仕事で自動車を利用することのない窓口業務の従業員であったならば,懲戒解雇が認められなかった可能性もありました。
労働者としては使用者の一方的な言い分を鵜呑みにすべきではないと思います。
他方,使用者も,感情的になったり,他の従業員への見せしめという意味合いで,苛烈な処分を下しがちですが,かえって余計な費用を支払うことになりかねませんので,慎重に対応して頂く必要があります。