名古屋・大垣の弁護士事務所。離婚、相続・遺言、不当解雇、債務整理、契約書作成、刑事事件、取引紛争、渉外法務などの法律相談。

弁護士法人 片岡法律事務所
menu

名古屋の弁護士ブログ(片岡法律事務所)

経験豊富な弁護士が、法律情報や、時の法律問題、中国情報などを易しい言葉でコメントします。

共有関係の解消に関する法改正と、所有者不明土地の解消に向けた法改正

共有関係の解消に関する法改正と、所有者不明土地の解消に向けた法改正がありましたので、アナウンスさせて頂きます。

共有関係の解消に関する法改正

共有関係の解消を促進する必要性とは?
被相続人が土地を生前に所有していた場合、当該土地は相続人間で共有されることになりますので、当該土地を売却したり賃貸したりするためには、他の共有者の同意が必要となってきます。
しかし、共有者間での土地の管理方法等に関する話し合いがまとまらないために、土地の活用を諦めて当該土地を放置するケースが出てきており、これが社会問題となっております。
そこで、土地を放置するケースを減らすために、共有関係の解消をしやすくするための法改正がこの度なされました。

具体的に何が変わったのか?
大きな変化としては、以下の3点が挙げられます。
①共有物分割訴訟の内容が理解しやすくなりました。
②遺産分割手続を経なくても共有物分割訴訟が利用できるようになりました。
③所在不明の共有者の共有持分を他の共有者が取得できるようになりました。
以下、上記①から③について説明していきます。

①共有物分割訴訟の内容が理解しやすくなりました。
・共有物分割訴訟の要件について、改正前は、「協議が調わないとき」しか条文には明記されていませんでしたが、一部の者が協議に応じない等によりそもそも「協議をすることができないとき」も含まれることが明らかになりました。
・裁判による共有物分割の方法として、⑴現物分割(共有不動産を分筆して、分筆されたそれぞれの土地を、共有持分権者がそれぞれ取得する方法)⑵代償分割(一部の共有者に土地を取得させ、それ以外の共有者が土地を取得した共有者から代償金を受け取る方法)⑶競売分割(競売により土地を売却し、かかる売却代金を共有者間で分ける方法)の3つの方法を明示し、⑴と⑵の分割方法は同列で選択可能、⑶の分割方法は、⑴と⑵のどちらの方法も採ることができない場合に用いられるものということが条文上明らかとなりました。
 以上のとおり、要件や分割の方法等が条文で明記されることになりましたので、共有物分割訴訟がどのような手続なのかを一般の方も理解しやすくなりました。

②遺産分割手続を経なくても共有物分割訴訟が利用できるようになりました。
改正前は、遺産については、家庭裁判所による遺産分割の手続によるべきとされており、地方裁判所による共有物分割訴訟はできませんでした。
しかし、法改正により、相続開始から10年間、遺産分割手続が行われていない場合、遺産分割を経なくても共有物分割訴訟を提起すれば、共有関係を解消することができるようになりました。
※但し、遺産分割の請求を求める相続人から異議の申出があった場合はできません。

③所在不明の共有者の共有持分を他の共有者が取得できるようになりました。
改正前にはありませんでしたが、法改正により、例えば、共有者のAさんが所在不明の場合、他の共有者のBさんが裁判所に申し立てをすると、Aさんの共有持分を、Bさんが取得することができるようになりました。
これにより、共有者の一人が所在不明であるために、土地を活用することができないという問題を解消することができるようになりました。

所有者不明土地の解消に向けた法改正

そもそも所有者不明土地とは何か?
登記の記載が不十分であったり、亡くなった方の名義のままになっている等の理由で所有者が不明、又は所有者の所在を知ることができない土地のことを指します。

所有者不明土地の問題点とは?
例えば、道路または公共物を建築するのに土地を収用する必要がある場合に、土地所有者に連絡をとることができないために、収用手続が進まなかったり、土地所有者に連絡がつかないために、固定資産税の課税ができない等の問題が生じています。

所有者不明土地管理命令が新設されました。
上記のような問題を解消するために、所有者不明土地管理命令が新設されました。具体的には、裁判所は、所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができない土地について、必要があると認めるときは、所有者不明土地管理人による管理を命ずる処分をすることができるようになりました。
そして、所有者不明土地管理人が当該土地に関する様々な問題に対応することにより、上記のような問題を解消することができるようになりました。

まとめ

以上のとおり、共有関係の解消や所有者不明土地の解消に関して、様々な法改正がなされました。
当事務所では、不動産に関する紛争についても豊富な取扱・解決実績がありますので、ぜひご相談ください。

投稿日:2021年9月15日 13:53|カテゴリー:弁護士の役立つ情報

債権回収が少しやりやすくなった!?改正民事執行法

令和2年4月1日に改正された民事執行法によって、債権回収が以前より実行しやすくなった(債権者にとって有利になった)ので、アナウンスさせて頂きます。

何が変わったの?

まず、何が変わったのか? ですが、
大きなポイントは2つだと思います。

(1)債務者に対して、格段に強力な方法で、財産の開示を求めることができるようになった。
(2)債務者の財産をより広範囲に調査できるようになった。

ことです。

これらによって、債権者の債権回収は少しやりやすくなったと思います。
以下、具体的に見て行きましょう。

債務者にどこに財産があるか言わせる制度

以前の民事執行法の改正で、「財産開示」という制度が誕生しました。これは、債務者に対して、裁判所への出頭を命じ、債権者から債務者に対し、財産がどこにあるか、尋ねることができる、という制度です。

※債務者に対して判決をとったり、公正証書をとっても、債務者が全く支払いに応じず、債権者としても債務者の財産がどこにあるか分からず、全く債権回収ができない、ということが数多くありました。財産開示は債務者の財産を把握するために有効な制度として誕生しました。

しかし、驚くべきことですが、債務者は出頭しなくても、また財産があるのに無いと嘘をついても、大きな制裁がありませんでした(30万円以下の科料のみ)。そのため、この制度は殆ど利用されず、やるだけ無駄、実効性が無い、と言われていました。

ところが、今度の改正では、罰則が大幅に強化され、無視したり嘘をついたりする債務者には、6ヶ月以下の懲役、50万円以下の罰金が科せられるようになったのです。すなわち、債務者は財産開示の期日に出頭しなかったり、出頭しても、財産について嘘をついたりすると、上で書いたような重い刑罰が科せられることになるため、大変なプレッシャーを受けることになります。

今後、プレッシャーに負けて、債務者が正直に財産を開示し、あるいは、債権回収に応じる債権者が増えるのではないか、と予想されます。ただ、刑罰は検察官が起訴しないと科せられないため、この制度が開始されてしばらくしないと実効性が分からないところです。

このように、民事執行法の改正で、債務者は正直に財産を開示しなければならなくなったといえます。

より広範囲の財産調査

上の財産開示の手続をとっても財産が判明しない場合は、裁判所を通じて債務者の預貯金・証券、保有不動産、勤務先を調査する手続きができるようになりました。

(1)まず、今回の民事執行法の改正では、裁判所を通じ、預貯金や証券の有無・内容を金融機関に問い合わせることができるようになりました。

(2)また、登記所に対し、債務者名義の不動産が無いかを問い合わせることができるようになりました。

(3)さらに、債権者は限られますが(養育費を請求する債権者、生命・身体を傷つけられたことによって請求債を持つ債権者)、債務者の勤務先を市町村などに問い合わせることができるようになりました。これによって給与を差し押さえることが可能になります。

特に(3)は非常に強力です。(2)も活用できるところです。

あきらめない

以上のように、比較的強力な手続が用意されていますので、債権回収をあきらめず、断固たる手続をとっていきたいと思います。
(とはいえ、債務者にお金が本当にないときは回収しようがないのですが。。。)

メールマガジン

この記事は、当事務所のメールマガジンで過去にお送りしたものです。
メールマガジンでは、企業法務に詳しい弁護士が法律お役立ち情報をお届けしています。
ぜひご登録ください。
メールマガジン登録はこちら(無料)

投稿日:2021年3月18日 09:44|カテゴリー:弁護士の役立つ情報

052-231-1706
ご相談フォーム

営業時間  
月曜日~土曜日9:00~18:00(休業日:日曜・祝日)※予約のあるご相談は、時間外でも対応いたします。

〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内二丁目19番25号 MS桜通7階 
FAX:052-204-1633