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弁護士法人 片岡法律事務所
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名古屋の弁護士ブログ(片岡法律事務所)

経験豊富な弁護士が、法律情報や、時の法律問題、中国情報などを易しい言葉でコメントします。

診療情報の開示を求められたら

 

患者さん以外の第三者から,「患者さんの診断書を作成してほしい」とか,「患者さんの診療情報を教えてほしい」と依頼された場合,どう対応したら良いでしょうか。

  1.  家族だからと言って当然に開示していいものではありません。
     
    たとえば,その第三者が患者さんの家族だったとしても,診療情報は個人情報の最たるものですから,患者さんの同意なしに開示してよいものではありません。
     このように原則として患者さんの診療情報を第三者に開示してはならないことをよく覚えておいて下さい。
     ただ,そのような杓子定規だと,実務的に業務が滞るということであれば,患者さんの開示に対する反発や開示の必要性などを慎重に判断し,自己責任で開示して頂ければと思います(決して開示をおすすめしているわけではありませんので注意して下さい。)。
    病院の建物
  2.  できれば同意書をとって下さい。
     患者さんからの同意ですが,口頭での合意でも構いませんが,慎重を期するならば同意書をとった方が無難です。患者さんに説明するのが大変であるならば,開示を要求した方に対して,患者さんから同意書をとるよう要求しても良いと思います。
  3.  患者さんに理解能力が無い場合
     たとえば,家族から,患者さんについて成年後見の申立をしたいから,診断書を作成したり,診療情報を開示してほしいと依頼がされることもあるかもしれません。
     この場合,患者さんが意識不明であったり,痴呆で理解能力が無い場合には,その必要性を慎重に判断して開示しても良いでしょう。
     しかし,患者さんの理解能力がほぼ正常だと思われる場合には,まずは患者さん意思を確認するべきです。
     当該家族に,患者さんの同意書を取り付けるよう促すのが穏当だと言えます。

 医者とおじいさん

投稿日:2014年10月08日 12:58|カテゴリー:医療法務, 弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

社会福祉法人の事業承継

 高齢化社会が現実のものとなり,老人ホームが次々と建設されています。

 最近は,老人ホームを運営する社会福祉法人についてМ&Aの相談が増えてきているように感じます。

  社会福祉法人は,税制上の優遇措置があるため,非常に公益性の高い法人組織です。

 そのため,M&Aにあたっては,社会福祉法人の特殊性を考える必要があります。

 たとえば,株式会社なら,株式を購入すれば会社の支配権を得られます。しかし,社会福祉法人は上記のとおり公益性が高いため,株式のような社員持分権がそもそも存在しないのです。

 つまり,社会福祉法人には支配権の概念はありませんし,そのため支配権を譲渡するということも観念できないのです(そもそも支配権が無いから譲渡もないですよね。)。

 したがって,現理事長から社会福祉法人の支配権を譲り受ける対価として,現理事長側にお金を渡すということは建前上できません(対価性がないため贈与になってしまいます。高額の贈与税が発生します。)

 ただし,現理事長に社会福祉法人から退職金を支給するという方法ならば正当な対価支払が可能です。

 もっとも,退職金をねん出するために,社会福祉法人の基本財産を売却しなければならない場合には,所管官庁の承認が必要となります。

 また,退職金規定に則った退職金支払が必要ですから,社会福祉法人が立ち上がったばかりのような時期の事業承継の場合,退職金規定に定める年数が足りず,現理事長が求める多額の退職金を支払うことができないこともあります。ですから,少なくとも数年は役員を続ける必要があるのです。

 社会福祉法人を立ち上げるために資金をつぎ込んでも,資金回収は大変だということをご理解頂けるかと存じます。

 

001

投稿日:2014年2月17日 13:03|カテゴリー:医療法務, 弁護士の役立つ情報

医療法人の理事長の権限

 当事務所では,社団医療法人内での経営紛争の相談をいくつも受けた経験があります。

 特に理事長と他の理事が経営方針で対立するような場面では,理事長の権限の大きさを考慮する必要があります。

 理事長の権限ですが,医療法46条の4では, 医療法人の代表権は理事長のみに帰属すると定められています。

 つまり,理事長は医療法人の代表者として,医療法人のためにいかなる契約も締結することができるのです(もちろん,医療法人の目的外の行為はできませんが。たとえば,理事長個人が使うためにリゾートマンションを医療法人で購入する,などです。)。

 では,理事会や社員総会で,理事長の権限を制限する決議をした場合はどうでしょうか。

 これについては,解釈上,医療法77条が一般社団法人及び一般財団法人77条5項を準用していないため,理事長の代表権に加えた制限は第三者の善悪にかかわらず対抗できない(つまり相手方が制限があることについて知っていても争えない),と解釈されています。

 つまり,いったん理事長になってしまえば,極めて強大な権限を有することになるのです。

 したがって,理事長が身勝手な行動をしているようなケースでは,理事長の行動に待ったをかけるためには究極的には理事長職を解職するしか無いことになります。

 しかし,理事長職の解職には大変な困難を伴います。そのことについては,また次の機会にご説明したいと思います。

病院建物画像

 

投稿日:2014年1月30日 13:32|カテゴリー:医療法務, 弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

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