調停申立書の記載は簡単な方がいい
先日,家庭裁判所の調停委員の方と直接お話する機会がありました。
あまりなじみが無いかもしれませんが,家庭裁判所の調停委員というのは,遺産分割や離婚のような家事問題について当事者の間に入って当事者間の話し合いを調整して下さる方です。
遺産分割も離婚も,当事者の感情対立が激しい紛争ですから,調停委員の方々のご苦労は並々ならぬものです。
普段,私達弁護士は,調停の席でしかお会いしないので,調停委員の先生方がどのような気持ちで調停に臨んでみえるか,生の声を聴くことができません。その意味で調停委員の先生とお話しする機会は大変貴重なものでした。
お話を伺う中で特に印象に残ったのは,離婚の調停申立書の記載方法に関するご意見でした。
調停委員の先生からは,調停申立書は極力離婚に至る経過については簡単な記載にするべきだ,というご意見がありました。
普通に考えれば申立書が詳しい方が事情を知らない調停委員の理解に資するので良いのではないかと思いがちなのですが,詳しければ良いというわけでは無いとのことでした。
すなわち,家事事件手続法が平成25年1月1日に施行されてから,申立人が作成した調停申立書が相手方にも送付される扱いとなり,詳細な申立書(特に離婚事件)を読んだ相手方が感情を害した状態で調停に臨むケースが増えたとのことでした(従前は申立書が送付されないため,殆ど相手方が申立書を見ることはありませんでした。)。
なるほど,抽象的な理由で離婚したい,と言われるのと,具体的な理由を挙げられて離婚したい,というのでは,お互い色々言い分があるでしょうから,後者の方が紛争が激化するというのも頷けます。
私も,依頼者の気持ちを十二分に伝えたいため,詳しい申立書を作成して申し立てをしておりましたが,今後は,できるだけ簡単なものに止め,円満に離婚が成立するよう書面の記載を工夫する必要があると感じました。
いずれにしても,外部の方ともお話をして,弁護士としてのトータルな問題解決能力を向上させたいものです。