ややこしい国際取引紛争
グローバル化した今日,商品を海外から仕入れて国内で販売することは非常に多くなりました。
それに伴い,国際取引にまつわる紛争も増加しつつあります。当事務所でもいくつか国際取引に関する相談があります。
国際取引にまつわる紛争については,2つの大きな問題があります。
1つ目は,①日本の裁判所で訴訟ができるか(管轄の問題),2つ目は,②どこの国の法律が適用されるか(準拠法の問題),です。
まず,①日本の裁判所で訴訟ができないならば,相手方の国で紛争を解決するほかありません。したがって,裁判管轄がどこになるかは最重要です。
それよりは重要度が劣りますが,2つ目の②準拠法の問題も重要です。
仮に日本で裁判ができるとしても,どこの国の法律が適用されるかで当事者の有利不利が決まることがあるからです。
読者の方の中には,日本で裁判するのに日本法を適用しないの?と驚かれる方もいらっしゃるでしょうが,実際,日本の裁判所では他国の法規が解釈適用されて判決が下される場合もあるのです。
これら①②の事項は,極めて重要な事項ですので,契約書にきちんと謳っておくのが一般的です。しかし,ごく稀にきちんと定めていない場合があり,こういった慎重でない契約をする時に限って,紛争が生じがちです。
契約締結の際には,売買条件等にばかり目が行きますが,紛争可能性を常に視野に入れて,管轄や準拠法等の契約条件をきちんと定めることが,無用な紛争回避や費用支出を回避する第1歩になると思います。
なお,①管轄や②準拠法については,色々法律や判例がありますので,またの機会にアップしたいと思います。