たまにある裁判例なのですが,ゴルフ場での事故にまつわる裁判がありました(岡山地裁H25.4.5判決)。
皆さんもよくやるゴルフの話なので,ちょっと取り上げてみたいと思います。
「ベテラン」のゴルフ仲間同士がキャディさん付きでラウンドしていました。
ところが,仲間の1人が打った打球がシャンクし,前を歩いていた人の左目にあたってしまいました。
その結果,被害者は失明していました。
被害者が加害者よりも前にいたのは,先に打った被害者が,早く打球の行方を見に行きたかったためでした。
被害者は,①加害者,②キャディ,そしてキャディの使用者である③ゴルフ場会社を訴えました。
それぞれの責任の根拠として被害者が挙げたのは次の点でした。
①加害者:前方に被害者がいるのに十分な安全確認をしないままに打った過失
②キャディ:前方に被害者がいるのに注意喚起しなかった過失
③ゴルフ場会社:キャディの使用者責任
判決では,被害者にも不注意があったということで,
被害者3割,加害者6割,キャディ1割(会社も同じ)の過失割合だと認定して,4408万7502円の損害賠償を認めました。
ちなみに加害者とキャディ,会社は,一緒に被害を与えたものとして「共同不法行為者」と言います。
通常,裁判では共同不法行為者間の過失割合を明言しないことが多いです。
それは,共同不法行為者間では,めいめいが全額損害賠償責任を負うことになるからです。
全額負担する以上,求められた裁判の中ではその過失割合を論じる必要が無いのです。
しかし,それだと,後日,加害者とキャディ(ゴルフ場会社)とで誰がどれだけ負担するべきか,もめます。
上記判決のように割合を書いてもらえれば,話し合いが容易になるので,裁判所はちょっとの手間を惜しまないでほしいものですね。