ほったらかしにした代金
ある日、龍神の社員が帰宅途中、
高級外車に乗る立浪さんを目撃し、問い詰めたところ、
立浪さんはもう払わなくていいはずだ、というのです。
立浪さんには、
龍神から貸付金(10万円)もあるのにひどい話です。
もしかして時効なんですか。
時効は一律10年では?と思われている方も多いのではないでしょうか。
実は、時効は取引によって様々な期間と定められています。
たとえば、龍神の立浪さんに対する債権は、建材の販売代金(2年)、
工事の下請代金(3年)、会社からの貸付金(5年)です。
したがって、本件では、建材の販売代金の回収は無理なのです
(但し、後述の債務承認の方法なら回収できます。)
それにしても、龍神は立浪さんに毎月請求書を送っていたはずです。
これは全く意味が無かったのでしょうか。
結論から言うと、
普通の請求書を何枚送っても、法律上時効中断にはなりません。
このように請求書を送ることは、「催告」といいますが、
催告には、時効を中断するような効果はありません。
せいぜい時効を僅かに先送りにする程度の効果しかないのです。
たとえば、時効前に立浪さんに到着するよう内容証明で請求書を送付し、
なおかつそれから6ヶ月以内に龍神が裁判を起こさないと、時効が到来してしまうのです。
上記の方法では、龍神も金と手間がかかり大変です。
もっと容易に時効を中断させる方法は、「債務の承認」です。
これは、文書・口頭を問わず、債務者から債権の存在を認める言動を引き出すこととお考え下さい。
例えば、立浪さんに一部でも債務を払ってもらったり、いずれ払うから、と言わせれば、
債務の承認となり、時効が中断するのです。
さらに、時効がたとえ到来してしまったとしても、
債務者による債務承認があれば、時効を防げる場合もありますので、
諦めずに対応して下さい。
債務者にどういうことをしてもらえばいいか、
その証拠をどうやってとっておけばいいかについては
法律家にご相談下さったほうがよいです。
もちろん、最も重要なのは時効前に相談することです。
早めのご相談をお願いします。
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。