仕入れ先の倒産
商品を毎月仕入れ、販売していました。
ところが、
仕入先の会社が突然倒産し、
破産申立代理人と名乗る弁護士から
商品の代金100万円を支払えと請求が来ました。
私の会社は、
いつも人気のない売れ残り商品を仕入先に返品していましたし、
代金の値引き交渉をしていましたので、
額面通り100万円を支払うのは納得がいきません。
100万円の支払いに応じなければいけないのですか?
結論から申し上げると、
100万円の支払いに応じる必要はありませんが、
どれくらい減額できるかは、交渉次第だと言えます。
まず、代金の値引き交渉についてですが、
毎度値引き交渉をしていたなら、
仕入先とは売買代金額が決められていなかったことになります。
したがって、額面100万円の請求にすんなり応じる必要はありません。
次に、返品ですが、これは難しいといえます。
倒産会社がいらない商品の返品に応じることは、まずありません。
返品在庫を抱えても売却先はありませんし、
仮にあっても買い叩かれるのがオチだからです。
比較的堂々と返品が要求できるのは、「委託販売」の場合です。
薬品の売買では「委託販売」の形式が多いのですが、
これは、小売業者が委託を受けて卸売業者の商品を店舗で販売するという契約です。
卸売業者からすると、小売業者の店舗を間借りしているようなイメージです。小売業者は卸売業者から商品を預かっているに過ぎないので、返品を要求できるのです。
したがって、委託販売の契約書があれば
これを提示して商品の返品を要求できることになります。
仮に倒産会社(又は破産管財人)が返品を拒む場合には、
代金を大幅に減額するよう交渉すれば良いと思います。
「委託販売」の契約書を取り交わしていない場合は、
実態が「委託販売」だと主張しても主張が通らないかもしれません。
取引の実情に合っていない請求が来た場合には、
とりあえずは1度ご相談頂いた方が無難であろうと思います。
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。