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会社法改正の状況の説明

会社法改正の状況についての説明 その1

1 会社法改正要綱案
平成24年8月1日の法制審議会会社法制部会第24回会議で、「会社法制の見直しに関する要綱案」が取りまとめられた。
今秋から来年春までの間に会社法改正法案が国会に提出されると見込まれている。

2 要綱案の目次
第1部 企業統治の在り方
第1 取締役会の監督機能
第2 会計監査人の選解任等に関する議案の内容の決定
第3 資金調達の場面における企業統治の在り方
第2部 親子会社に関する規律
第1 親会社株主の保護等
第2 キャッシュ・アウト
第3 組織再編における株式買取請求等
第4 組織再編等の差止請求
第5 会社分割等における債権者の保護
第3部 その他
第1 金融商品取引法上の規制に違反した者による議決権行使の差止請求
第2 株主名簿等の閲覧等の請求の拒絶事由
第3 その他

 
3 解説(上記目次に沿って解説する)
第1部 企業統治の在り方

 

第1 取締役会の監督機能
1 監査・監督委員会設置会社制度
新しい会社類型として,「監査・監督委員会設置会社」が導入される。
監査・監督委員会設置会社は,取締役会と会計監査人の設置は強制されるが,監査役は置いてはならないものとされる。
監査役の代わりに会社の業務執行を監督する機関として,「監査・監督委員会」という今までにない機関を置く。
この監査・監督委員会は,監査・監督委員である「取締役」3名以上によって構成される。過半数は,社外取締役でなければならない。つまり,最低2名の社外取締役を用意しなければならないということだ。
監査・監督委員会が担うのは,取締役らの職務の執行の監査,監査報告の作成,会計監査人の選解任議案の内容決定等,であり,そのための各種調査権限が与えられ,取締役会招集権,不正発覚時に取締役会に報告する権限,不正に対する中止請求権等の権限が与えられることになる。
監査・監督委員は,取締役ではあるが,業務を執行する取締役とは一線が画されており,選解任においては独立性を確保するための制度が用意されている。
たとえば,監査・監督委員になることを前提に株主総会で選任されその他の取締役とは区別して選任される,監査・監督委員の選解任につき意見を陳述する権限がある,任期が普通の取締役が1年以内であるのに対し2年とされている,報酬も普通の取締役とは別に決定される,等である。
なお,監査・監督委員会設置会社への変更を促すため,会社にとってメリットとなるような内容も盛り込まれている。
その1つが,取締役(監査・監督委員である取締役を除く。)との利益相反取引について,監査・監督委員会が事前に承認した場合には,取締役の任務懈怠の推定規定(第423条第3項)を適用しないものとすることである。
もう1つが,定款で定めれば,重要な業務執行を取締役に委任することができるというものである。

 

上記のうち,重要な業務執行を取締役に委任することができるという制度は,委員会等設置会社にのみ許されてきた。
委員会等設置会社で許容されているため,委任の制度が導入されることになったのであろうが,委員会等設置会社では,取締役会の中に指名委員会・監査委員会・報酬委員会という3つの機関を置くことが要求されているのと比較し,監査・監督委員会設置会社では,指名委員会・報酬委員会が無いため,ガバナンスが相対的に劣り,定款でもって取締役に重要な業務執行を委ねてしまうのは危険ではないかという意見も寄せられていた。
裏を返すと,上記制度は,経営者側からしてみると,監査・監督委員会に組織変更する大きな動機付けになるものと考えられる。

 
2 社外取締役及び社外監査役に関する規律
平成24年8月1日の法制審議会会社法制部会会議では,以下の内容の附帯決議がされた。
「1 社外取締役に関する規律については,これまでの議論及び社外取締役の選任に係る現状等に照らし,現時点における対応として,本要綱案に定めるもののほか,金融商品取引所の規則において,上場会社は取締役である独立役員を一人以上確保するよう努める旨の規律を設ける必要がある。

 

2 1の規律の円滑かつ迅速な制定のための金融商品取引所での手続において,関係各界の真摯な協力がされることを要望する。」
経済界の強い反発があり,社外取締役の選任義務化は見送られたが,ソフトローにおいて社外取締役の選任義務化を事実上進めていこうという狙いである。
また,監査役会設置会社(公開会社で大会社であるものに限定。)のうち,発効株式について有価証券報告書を提出しなければならない株式会社(金融商品取引法第24条第1項)において,社外取締役が無い場合には,社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告の内容とするものとすることも定められた。
社外取締役を置かない理由を書かせることがどの程度企業にプレッシャーを与えるか疑問視されているところである。経営者の中には,簡単な理由付けで足りるという認識があるようである。
次に,社外役員の「社外」性の要件については,厳格化が図られると同時に,若干の緩和がされることになった。
まず,当該会社だけでなく,親会社や兄弟会社(親会社の別の子会社)の役員・従業員等の社外性が否定されることとなった。
また,事実上の影響力を考えて,会社の役員・従業員の配偶者や2親等以内の親族の社外性が否定された。
もっとも,重要な取引先等の関係者は,対象範囲の限定の困難さから,社外性の否定は見送られた。
他方で,対象期間は限定された。
すなわち,従前は対象期間の限定無く,過去に当該会社の業務執行取締役や従業員となった人物は社外性を否定されていたが,就任の前「10年間」株式会社又はその子会社の業務執行取締役等をやっていなければ,社外性が認められることになった。

 

(つづく)

※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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