契約を結ぶなら「終わらせ方」もセットで ―中途解約条項と期間設定の重要性―
すぐに解約したいと別々に申し出たところ、双方とも「契約期間が終わるまでは解約できない。」と断られてしまいました。契約書に中途解約の条項が無い場合、あきらめるしかないのでしょうか?
ご回答
契約締結時の「高いテンション」のままサインするのは禁物です。出口(解約)のルールが決まっていないと、期待外れのサービスにコストを払い続けるリスクが生じます。
1 「出口」を忘れる契約時の心理
よく相談を受けるのですが、契約を締結する際、多くの方は「やめるときのこと」をあまり意識していません。新規プロジェクトの開始時などは、期待感から気持ちが盛り上がっており、わざわざ「失敗して解約する状況」を想定したくないのが人情でしょう。
しかし、弁護士のもとに持ち込まれるトラブルの多くは、「やめたいのにやめられない」、あるいは「解約時に法外な違約金を請求された」というものです。契約書にサインする前に、一呼吸置いて「出口のチェック」をすることが不可欠です。
2 中途解約条項がないとどうなるか?
原則として、契約書に「中途解約できる」という規定(中途解約権)がない場合、期間満了まで一方的に解約することはできません。
相手方が合意してくれれば別ですが、そうでなければ残期間分の料金を請求されたり、損害賠償を求められたりするおそれがあります。
なお、民法上、コンサルタント契約のような「準委任契約」は、本来いつでも解除できるのが原則です(民法651条1項)。しかし、ビジネスの実務では「期間内の解約不可」や「解約時は残金を支払う」といった特約が規定されることが一般的です。駐車場契約についても、期間の定めがある場合、特約がない限り一方的な解約は困難です。
3 「サービスの質」を契約に盛り込む
もし解約条項がない場合でも、相手方のサービスが著しく悪い場合は「債務不履行」を理由に解除できる可能性があります。
ただし、単に「期待外れ」というだけでは不十分です。これを避けるためには、契約時に「どのような品質のサービスを期待しているか」を具体化しておくべきです。月に何回のミーティングを行うか、どのような成果物を提出するか。これらが明確であれば、実行されない場合に「約束違反」として解約の交渉を進めやすくなります。
4 有利な契約締結のためのアドバイス
契約を締結する際は、以下のポイントを必ず確認し、必要であれば修正を求めましょう。
・中途解約の可否:「○ヶ月前の予告により、いつでも解約できる」といった条項があるか。
・違約金の有無:解約時に残期間の料金を支払う必要がないか。
・口約束の排除:営業担当者が「いつでもやめられますよ」と言っても、契約書に「解約不可」とあれば、書面が優先されます。
5 適切な解決のために
契約書は「隅から隅まで見る」のが基本ですが、特に「期間」と「解除」の項目は死守すべきポイントです。
すでにトラブルになっている場合は、契約書の文言を精査することで、解除の糸口が見つかるかもしれません。大きな金額が動く契約については、サインする前に一度弁護士にリーガルチェックを依頼することをお勧めいたします。
月刊東海財界2026年4月号掲載


