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片岡法律事務所
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名古屋の弁護士Q&A

私は一軒家を賃貸していますが、最近家賃の支払いが滞っています

私は一軒家を、62歳と56歳の夫婦に賃貸しています。
夫の方は建築関係の仕事をしていましたが、月5万円の家賃が滞りだして、1年分を滞納しています。
催促をしても、最初は申し訳ありません、と言っていましたが最近は開き直っています、裁判をするつもりですが、強制執行がかなり難しいと聞いていますが、その内容を教えて下さい。

ご回答
最近、建物明渡の強制執行を、三年続けてしましたが、強制執行期日に現地を訪れる時は、いつも緊張します。相手方が抵抗して暴れることもないとはいえません。

ところで、強制執行をするためには、その前提として債務名義(確定判決、和解調書、執行認諾文言付き公正証書等)が必要です。さらに、その判決等が相手方に送達されたことの証明(送達証明書)をとった上、これに執行文を付与してもらわなければなりません。

その上で、裁判所の民事執行の受付に申立書を提出します。

申立にあたり、添付書類として執行文付きの債務名義等を付け、執行官に支払われる費用等に充てるための予納金(約10万円)を裁判所に納めます。  
予納金を納めると、すぐに担当執行官から連絡が来て、第1回目の明渡しの催告の日と、第2回目の引渡し期限を決めます。最近、強制執行件数が減少し、執行官の人数も減少し、地方の裁判所だと、執行官が常駐しておらず、複数の裁判所の支部を掛け持ちしていますが、かなりスピーディーに進めてくれます。

明渡しの催告の日には、執行官と、弁護士、申立人本人(貸主)が対象建物へ行きますが、相手方が不在の場合があります。この場合、申立人が入口の合い鍵を持っていない場合は、鍵屋さん(鍵を開ける業者)を手配しなければなりません。通常、執行官が手配してくれます。但し、その費用は負担しなければなりません。

当日は、建物内に入り、執行官が、現況確認し、相手方に、引渡期限等を定めた催告書を渡して、1ヶ月以内の強制執行実施予定日を伝えます。引渡期限までに出て行かないと、明渡を実行し、室内の動産類は、1ヶ月以内に指定された期日までに、引き取らなければ競売手続きによる売却処分する旨伝えます。しかし、私が立ち会った事例では、すべて相手方から、残置した動産の所有権を放棄する旨の同意書に、署名捺印してもらっています。

引渡期限の日にも、執行官と弁護士、申立人本人、鍵屋さんとで、対象建物に行きます。その日には相手方はその建物から出なければならず、執行官が相手方に建物外に出るよう伝えます。今までの例では、相手方はこれに応じて退去しています。

退去させた後、相手方が再び入り込まないようにするため、ぜひ鍵屋さんに依頼して、入口の鍵は交換してもらって下さい。なお、心配がある時は、入口に板などを十字に打ち付けることもあります。
勿論、相手方が無断で入り込むと、住居侵入の犯罪が成立します。

月刊東海財界2020年2月号掲載

理由なき降格処分を争う

私は運送会社の課長職でしたが,職場の上司に対し,その怠慢を指摘して注意したところ,特に理由も無く降格され,一般ドライバーとさせられてしまいました。降格の結果,給料も以前は80万円あったのが40万円と大幅に減額されましたか。

私が何らかの懲戒処分を受けた事実も無いのに,このような仕打ちを受けるのは納得できません。何かなりませんでしょうか?

1 ご回答
ご質問の内容だと,懲戒処分を下されたわけでは無いようですね。
そうすると,この件は,人事上の措置として役職や職位を引き下げられた結果,給与が大幅減額したということでしょうか。
基本的に人事権行使は,人事権の濫用とならないことが必要です。
人事権濫用かどうかは,①使用者側における業務上・組織上の必要性の有無及びその程度,②能力・適性の欠如等の労働者側における帰責性の有無及びその程度,③労働者の受ける不利益の性質及びその程度,④当該企業体における昇進・降格の運用状況,などの諸事情を総合考慮して判断されます。
したがって,貴殿の場合についても,①特に使用者側で必要性が無いのに,②特に貴殿の能力の適性と関係無く,③大幅な給与の減額を伴う降格がされ,④特に貴殿のような降格の例が他に例を見ないものであったならば,人事権の濫用として,無効になる可能性があります。

 

2 参考判例
★医療法人財団東京厚生会(大森記念病院)事件(降格)(東京地裁平成9年11月18日判決)
使用者に委ねられた裁量判断を逸脱しているか否かを判断するにあたっては、使用者側における業務上・組織上の必要性の有無及びその程度、能力・適性の欠如等の労働者側における帰責性の有無及びその程度、労働者の受ける不利益の性質及びその程度、当該企業体における昇進・降格の運用状況等の事情を総合考慮すべきである。前記のとおり、婦長と平看護婦は待遇面では役付手当5万円が付くか否かにしか違いがないうえに、本件降格が予定表という重要書類の紛失を理由としていることなどに照らすと、Yが降格を行うとの判断をしたことは一応理解できなくはないけれども、一方、〔1〕本件降格が実施された直後に、Xが予定表を発見していることに照らすと、YがXに対し、紛失した予定表を徹底的に探すように命じたのか否かにつき疑問も存し、予定表の発見が遅れたことについてXのみを責めることもできないこと、〔2〕予定表の紛失は一過性のものであり、Xの管理職としての能力・適性を全く否定するものとは断じ難いこと、〔3〕近時、Yにおいて降格は全く行われておらず、また、〔4〕Xは婦長就任の含みでYに採用された経緯が存すること、〔5〕勤務表紛失によってYに具体的な損害は全く発生していないこと等の事情も認められるのであって、以上の諸事情を総合考慮すると、本件においては、Yにおいて、Xを婦長から平看護婦に2段階降格しなければならないほどの業務上の必要性があるとはいえず、結局、本件降格はその裁量判断を逸脱したものといわざるを得ない。」

事故で車が大破してしまった場合の修理費

先日,追突事故を起こされました。私の車は大破して修理費は200万円くらいかかると言われました。

しかし,保険会社の担当者からは,私の車の市場価格が150万円であるから,賠償金は,150万円が限度と言われました。

私としては,愛着がある車ですから,修理代を払ってもらいたいと思っているのですが,払ってもらえないのでしょうか。

1 ご回答
ご相談の事案で,本当に車の市場価格が150万円くらいだとすると,いわゆる「経済的全損」に該当し,市場価格が賠償金の限度となりますので,200万円の修理代を支払ってもらうことはできません。
但し,廃車や買換えのための費用の一部は追加で支払ってもらえる可能性があります。

 

2 参考判例
福岡高裁平成2年9月25日判決では,修理費>(交換価格-スクラップ価格)の場合,車両損害の損害賠償としては,(交換価格-スクラップ価格)が賠償金の限度となる旨の判示がされています。
交換価格というのは,市場価格と同じ意味です。スクラップ価格というのは,廃車したときの廃棄物の買取価格(鋼鉄なので一定の金額で売れます。)だとご理解下さい。
したがって,修理費が高額であっても,市場価格が限度になります。
高額の修理代が発生する場合は,買い換えた方が経済的に合理的な選択なので,裁判所はこのような結論をとっているのだと思われます。

無理に提出させられた退職届を撤回したい

私は,従業員20名程度のA社に5年間勤務していました。
私は妻子ある同僚男性と交際し,それが社内で露見しました。
部長からは,私に対し,私を懲戒解雇するつもりであるが,すぐ退職届を提出すれば,退職金が出ると思う,と言われたので退職届を提出してしまいました。
同僚男性は特に解雇されることなくA社に勤務しており,なぜ私だけが,という思いです。
会社に対して退職届の撤回を請求したいのですが,可能でしょうか。

1 ご回答
退職の意思表示について強迫取消(民法96条1項)が認められ,撤回が請求できる可能性が高いと考えられます。
一般に,退職届を提出してしまうと,特段の事情が無い限り,撤回は認められないというのが実情です。
しかし,ご相談の事案だと,懲戒解雇が認められる余地が殆ど無いと考えられるのに,退職届を提出しないと重大な不利益が発生すると突きつけ,精神的な威迫を与えた上で,退職届を提出させたと言わざるを得ません。
よって,民法96条1項の強迫が認められる可能性は高いものと言えます。

 

2 参考判例
ちょっと古いですが,以下のような参考判例があります。
広島高裁松江支部昭和48年10月26日判決
「以上の認定によれば、控訴会社がその主張するようなバスガイドの職種の特殊性から被訴人につき将来風紀上の問題を起すおそれがあり、その適格性に疑問があると判断したことには相応の理由があるにせよ、前判示のとおり所定の懲戒解雇事由に該当する事実がないのに前記小山所長らが被控訴人に対し明らかに懲戒解雇に付すべき不当な行状があるとして退職願を提出するよう要求したことは、被控訴人が見習者であつたことを考慮にいれても、違法な強迫行為に当るものというべきであり、違法性がない旨の控訴会社の主張は採用できない。」

相続した共有物の時効取得

私は,母から母が住んでいた不動産を相続しましたが,登記をする際,その不動産が母の単独所有ではなく,母と弟(私からすると叔父)の共有名義であることを知りました。
叔父も亡くなっていますので,どうして共有名義になっているかはわかりませんでしたが,特に私が住む分には困らないため,そのまま住み始めて20年経過しましたが,時効の主張はできますでしょうか?

1 ご回答
(1)長く占有していれば自分の物になるわけではありません。
まず,他人の物を長期間占有しているだけで時効取得ができるわけではありません。
たとえば,賃料を払って30年建物を借りている人が時効で建物所有権を得られる訳ではありません。時効を主張するためには,自主占有と言って,「所有の意思をもってする占有」がなければなりません。賃借している場合はあくまで他人の物を借りているという認識しかありませんから,こういった占有のことを,自主占有と対比して他主占有と言います。
共有物の場合も,占有していても他人の共有持分部分について自主占有と言うことはできず,他主占有だと言えます。
したがって,お母様は,自主占有をしていたとは認められず,お母様が時効取得していた余地はありません。

 
(2)相続で自主占有となる場合は限られています。
では,相続したご相談者の方が時効取得する余地はあるか,ですが,原則的にはお母さんの占有を相続によって承継したという立場ですので時効取得することはできません。
したがって,相続をする際に,共有であることを全く知らず,もっぱらお母様の所有物であることを信じ,固定資産税を支払ったり,その物からの収益を一方的に行ったりしていたような自主占有と認めるべき特別な事情がない限りは,時効取得できないものと考えていただく必要があると考えます。
弟さん側の相続人が不動産に興味が無い場合には当該相続人から相続分の譲渡を無償で受けるなどして,解決していくのがよいだと思います。

 

2 参考判例
最高裁昭和46年11月30日判決
「被相続人の死亡により、相続財産の占有を承継したばかりでなく、新たに相続財産を事実上支配することによつて占有を開始し、その占有に所有の意思があるとみられる場合においては、被相続人の占有が所有の意思のないものであつたときでも、相続人は民法185条にいう「新権原」により所有の意思をもつて占有を始めたものというべきである。」

最高裁平成8年11月12日判決
「これに対し、他主占有者の相続人が独自の占有に基づく取得時効の成立を主張する場合において、右占有が所有の意思に基づくもの であるといい得るためには、取得時効の成立を争う相手方ではなく、占有者である当該相続人において、その事実的支配が外形的客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解される事情を自ら証明すべきものと解するのが相当である。
けだし、右の場合には、相続人が新たな事実的支配を開始したことによって、従来の占有の性質が変更されたものであるから、右変更の事実は取得時効の成立を主張する者において立証を要するものと解すべきであり、また、この場合には、相続人の所有の意思の有無を相続という占有取得原因事実によって決することはできないからである。
2 これを本件についてみるに、前記事実関係によれば、上告人Aは、Dの死亡後、本件土地建物について、Dが生前にCから贈与 を受け、これを上告人らが相続したものと信じて、幼児であった上告人Bを養育する傍ら、その登記済証を所持し、固定資産税を継続 して納付しつつ、管理使用を専行し、そのうち東門司の土地及び花月園の建物について、賃借人から賃料を取り立ててこれを専ら上告 人らの生活費に費消してきたものであり、加えて、本件土地建物については、従来からCの所有不動産のうち門司市に所在する一団の ものとして占有管理されていたことに照らすと、上告人らは、Dの死亡により、本件土地建物の占有を相続により承継しただけでなく、 新たに本件土地建物全部を事実上支配することによりこれに対する占有を開始したものということができる。
そして、他方、上告人ら が前記のような態様で本件土地建物の事実的支配をしていることについては、C及びその法定相続人である妻子らの認識するところで あったところ、同人らが上告人らに対して異議を述べたことがうかがわれないばかりか、上告人Aが昭和47年に本件土地建物につき 上告人ら名義への所有権移転登記手続を求めた際に、被上告人Eはこれを承諾し、被上告人G及び被上告人Iもこれに異議を述べてい ない、というのである。右の各事情に照らせば、上告人らの本件土地建物についての事実的支配は、外形的客観的にみて独自の所有の 意思に基づくものと解するのが相当である。原判決の挙げる(1) Cの遺産についての相続税の修正申告書の記載内容について上告 人Aが格別の対応をしなかったこと、(2) 上告人らが昭和四七年になって初めて本件土地建物につき自己名義への所有権移転登記 手続を求めたことは、上告人らとC及びその妻子らとの間の人的関係等からすれば所有者として異常な態度であるとはいえず、前記の 各事情が存在することに照らせば、上告人らの占有を所有の意思に基づくものと認める上で妨げとなるものとはいえない。
右のとおり、上告人らの本件土地建物の占有は所有の意思に基づくものと解するのが相当であるから、相続人である上告人らは 独自の占有に基づく取得時効の成立を主張することができるというべきである。」

タイムカードが無くても残業代は請求できますか?

【タイムカードが無い場合の残業時間】
私は勤務先を1カ月前に辞めましたが,その勤務先は今までどれだけ長時間残業しても残業代を支払ってくれませんでした。
残業をすれば残業代を請求できるということは知っているのですが,その勤務先はタイムカードなどがありませんでした。
こういったタイムカードが無い場合でも残業代請求はできるのでしょうか。

【ご回答】
1 タイムカードがあると良いが無くても請求自体は可能
残業代は,残業時間を把握しないと請求できませんので,タイムカードなどで残業時間を把握する必要があります。
しかし,タイムカードは残業時間を把握するための1つの手段に過ぎませんから,別にタイムカード以外の方法で残業時間を把握できるならば,それで残業時間を認定することは可能です。
たとえば,毎日,業務日報・報告書を提出していたのであれば,当該日報に何時から何時まで労働したかが記載されている筈です。
また,パソコンのログやメールを調べれば,特定の時間まで働いていたことが証明できると思います。
これら客観的な証拠以外でも,日記・メモなどの個人的な証拠でも証拠価値が完全に否定されるわけではありません。
なお,元同僚の労働時間に関する陳述などがとれれば,ある程度残業時間を特定することも可能です。当事務所で取り扱った事例では,元同僚が依頼者の残業時間が毎日最低でも2時間あったことを陳述してくださったおかげで,毎日2時間分の残業時間が裁判所によって認定された例がありました。

 

2 タイムカード以上の残業時間があれば別途請求は可能
以上の通り,タイムカードは残業時間を把握するための1つの方法に過ぎません。
よって,タイムカードで把握されていない残業時間があれば,この時間について残業代が請求できるのは当然のことです。
どのような資料があるのか,具体的にお聴きして,適切な資料を探し,保全する必要があります。

財産分与の対象は増加分

【財産分与の対象は増えた分】
私と夫は,離婚することには了解したのですが,財産分与をどうするかもめています。
私としては,今ある財産を均等に分けるのが筋だと思っていますが,夫は結婚前にあった財産を考慮しないのかと言って均等に分けることを拒否しています。
どうしたらよいでしょうか?

【ご回答】
1 財産分与の対象は婚姻開始から別居までに増加した財産
財産分与の対象は,夫婦が婚姻してから(それよりも前に同居を開始していたならば同居開始から)別居までの間に増加した財産です。これを特段の事情が無ければ2分の1ずつをするというのが原則です。
たとえば,夫婦二人の財産が婚姻時300万円であり,別居時に900万円だったとすると,増加分600万円が財産分与の対象となります。
但し,増加した原因として相続や贈与があったなどの特殊事情がある場合にはややこしいので弁護士に相談するのが無難でです。

 

2 ご相談者のケース
本件では,夫の側の言い分が正しいということになります。
早く財産分与の問題を解決するためには,結婚した時の財産の洗い出しをし,別居時までにいくら増加したかを明らかにするのが良いと思います。そして増加分を均等に分けるというのが筋でしょう。

再婚したら養育費はどうなりますか?

【再婚したら養育費はどうなりますか?】
私は,元夫から,養育費として月5万円の養育費をもらっています。
今般,再婚することになり,再婚相手に子供と養子縁組してもらいました。元夫は,養子縁組をしたら,自分は養育費を支払う必要が無くなると言っていますが,本当なのでしょうか。

【ご回答】
1 裁判例
長崎家裁昭和51年9月30日審判は,「養親は未成熟子の福祉と利益のためにその扶養を含めて養育を全面的に引受けるという意思のもとに養子縁組をしたと認めるのが相当であり、このような当事者の意思及び養子制度の本質からいつて、事件本人に対する扶養義務は先ず第一次的に養親に存し、実親は養親が資力がない等の理由によつて充分に扶養義務を履行できないときに限つて第二次的に扶養義務(生活保持義務)を負うものと解すべきである」と判示し,再婚した先の家庭にかなりの収入があるので,元夫に養育費の負担を求めることはできない旨の判断をしています。
ただし,東京家裁平成2年3月6日審判のように,元夫側に2000万円ほどの収入があるケースで,元夫側の収入と元妻側(再婚相手を含む)の収入を考慮した上で養育費をゼロにすることなく,一定程度の減額に止めている例もあります。
なお,再婚しても養子縁組をしていない場合や再婚相手に収入が無い場合には養育費を負担しなければならないことになることは言うまでもありません(経済事情を考慮し,一定の増減があるかもしれませんが)。

 

2 ご相談者のケース
本件では,再婚相手の方の年収をふまえ,裁判所に判断してもらうことになりますが,再婚相手が子供の養育費を十分払える資力があれば養育費減額請求により養育費がゼロになるということも無い訳ではありません。
ただ,再婚相手の年収が低かったり,元夫の収入が高額であったりした場合には,積極的にこれを主張し,きちんと争うべきだと言えます。

お墓や仏壇は誰のものになるか?

【お墓,仏壇はどうなりますか?】
先日,母が亡くなりました。すでに父は亡くなっておりますので,私と弟の2人が相続人となります。私は名古屋に住んでいて,弟は実家の知多市に住んでいます。
遺産の分け方については私と弟で争いは全く無いのですが,知多市にあるお墓・仏壇については,弟が自分が取得したいと言って聴きません。
私としても,長男なのでお墓や仏壇を弟に譲れないと思っています。
お墓,仏壇がどちらのものになるか教えて下さい。

【ご回答】
1 民法の規定
民法897条には,次のような規定があります。
「第八百九十七条  系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2  前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。」
お墓は「墳墓」,仏壇は「祭具」に該当しますが,これらの物は,①被相続人の指定,②慣習,③家庭裁判所による判断,という順番で決まります。
①の被相続人の指定は,遺言の形式による必要は無く,口頭,書面,明示,黙示の如何を問いません。
②の慣習というのは,地域や職業に特有な慣習があれば,それに則るというものです。慣習については,立証が難しい場合が多いです。

 

2 裁判所はどのように決定しますか
では,③家庭裁判所による判断はどのようになされるか,ですが,東京家裁平成21年3月30日審判では,「被相続人との身分関係や生活関係,被相続人の意思,祭祀承継の意思及び能力,祭具等との場所的関係,祭具等の取得の目的や管理の経緯,その他一切の事情を総合して判断すべきである。」と判示されていますので,色々な要素をふまえて裁判所がケース毎に判断をすることが分かります。

 

3 ご相談者のケース
本件では,亡くなられた母のご意思や,あなたと弟さんの祭祀承継の意思の強さ,祭具が知多市にあること,弟さんが祭具等を現在どのように管理してみえるか,従前の話合いの経過等をふまえ,裁判所が判断します。
弟さんの方が若干有利な事情がありますが(知多市で同居していること等),種々のご事情を確認し,アドバイスさせて頂きたいと思います。

又貸し物件において転貸人が破産した場合の対応

【転貸人が破産した場合の対応】
弊社は,ある建物の又貸しを受けています。
賃貸人(A)→賃借人=転貸人(B)→弊社(どちら?)
 (破産管財人)
先般,転貸人(B)が破産し,その破産管財人から賃料を支払うよう請求がありました。
その後,賃貸人(A)の弁護士から,弊社に対し,民法613条に基づいて賃料を支払うように請求がありました。
弊社としましては,どちらに支払って良いか分かりません。どうしたら良いでしょうか?

【ご回答】
1 東京地裁平成14年12月27日判決によると,「 ア まず、民法613条1項は、転借人が賃貸人に対して直接に義務を負う旨を定めただけで、転貸人に対する義務に優先しあるいは先んじて賃貸人に対して義務を負う旨定めているものではないし、民法364条のように債権の優先・劣後の関係が生じる場合に準用される民法467条2項の規定も準用されていないから、文理上、賃貸人の転借人に対する賃料請求が転貸人の転借人に対する賃料請求に優先するものと解すことはできない。」と判示しています。
上記判旨をふまえれば,賃貸人Aからの請求があった後でも,貴社が転貸人B(破産管財人)に支払ってしまえば賃料支払義務は消滅すると考えられます。
もっとも,上記判旨はあくまで東京地裁という下級審が下した判断であり,他に判決も見当たらないため,確定的な裁判例と言うことまではできません(リスクは否定できません。)。

 
2 以上より,貴社としては,ABどちらに支払っても良いという結論になりますが,今後も当該建物を借り続けたいならば,賃貸人Aと交渉し,賃貸人Aに賃料を払うべきでしょう。
というのも,賃貸人Aとしては,賃借人(転貸人)Bから賃料を得られないため,契約が解除されてしまうことは明らかであって,賃貸人からの請求を拒絶することで,貴社が確実に当該物件から退去しなければならない結論になるからです。

 
3 逆に,もう建物を明け渡すというならば,転貸人B(管財人)に対して転借料を支払い,同時に寄託請求(破産法70条)を行うのが合理的だと思われます。

相続財産の調査

【遺産の調査方法】
父が90歳で亡くなりました。父と同居していた兄が遺産分割に応じてくれません。そもそも,父にどんな遺産があったかも分かりません。遺産はどうやって調査したら良いのでしょうか。

【ご回答】
まずは,弁護士を通じて,お兄さんに遺産の開示をするよう(相続税申告書を提出させるのが有効です。),請求してみます。
このような請求をすれば,8割以上の相手方は正直に遺産の開示をすると思います。
万が一,相手方が遺産を開示しない場合は(また生前贈与がありそうなら),自ら調査するしかありません。
たとえば,不動産については,不動産があると思われる市町村の役場でお父様名義の固定資産の名寄せをして頂きます。固定資産税を扱う部署で,お父様と自分の身分関係が分かる戸籍を持っていけば,開示してもらえます(ただし,当該市町村にある不動産のみしか分かりませんので,ご注意下さい。)。これで不動産の概要が把握できます。
預貯金については,お父様が預金していそうな銀行の支店に行き,お父様の名前の預金が過去に無かったか問い合わせて下さい。
なお,預貯金については,生前贈与の有無を確認するため,過去10年間の取引履歴を取り付けると公平分割ができると思います。
その他の資産については,管理している会社に問い合わせ,同様に現在残高や取引履歴を開示して頂くのが良いと思います。
もちろん,弁護士による調査も可能ですが,かえって迂遠なこともありますので,事案に応じて柔軟に対応しております。

交通事故の怪我と休業損害

【交通事故の怪我と休業損害】
交通事故で怪我をしました。骨折とかではなく,むちうち症だったのですが,6か月間全く会社に出勤できませんでした。

加害者の保険会社からは,5か月分の休業損害金をもらっていますが,最後の1か月分をもらっていません。保険会社の担当者からは休業期間としては4か月が精一杯などと言われていますが,休んでいるのに休業損害が認められないのはおかしいと思います。
どうしたらよいでしょうか?

1 ご回答
事故の状況・怪我の状況・仕事の内容をご説明頂いたり,場合によってはカルテ等を検討する必要がありますが,事故・怪我が軽微であったり仕事内容からして怪我が仕事に影響の無い場合は,休業損害が一部否定される場合があります。よって,そのような休業損害金はもらえない場合があります。医師とも相談の上,職場復帰をされた方が良い場合があります。

 

2 補足説明
事故の怪我によって会社を休んでも,休業損害として全額払ってもらえるのは,その休業損害とが事故と相当因果関係がある場合のみです。
ですので,極めて軽微な事故なのに何か月も働けなくないとか,肉体作業が全く無い仕事なのに長期間休業するというのは,事故と相当因果関係が無く,休業損害が否定される場合もあります。
なお,加害者側の保険会社から休業損害金が支払われていた期間についても,後日,休業損害金を払いすぎていた,ということで,慰謝料からの控除を主張される場合がありますので,医師とよく相談し,仕事ができない状況であるのかどうか,客観的に判断して頂く必要があると思います。
ご自身の判断だけで休業されるのはリスクが伴いますので,長期になってきた場合には弁護士等にご相談頂きたいと思います。

未払賃金と会社役員の責任について

【未払賃金と会社役員の責任について】
私が経営しているA社は2名の従業員がいます。何とか給料は払えていましたが,経営不振で1名を解雇することになりました。解雇した1名から,先日残業代を払えという請求がありました。
会社は赤字続きで到底残業代を支払える状態ではないため,支払えない旨回答しようと思いますが,私個人の責任は追及される可能性は無いでしょうか。

1 結論
倒産の危機にあり割増賃金を支払うことが困難な状況にあったなど特別な事情がある場合は責任追及されませんが,そうでない場合は,責任追及される可能性があるかもしれません。
あなたのケースでは,赤字続きであったということですから,特別な事情があったと言え,責任追及はされないだろうと思われます。

 

2 判例
大阪地裁平成21年1月15日判決は,取締役及び監査役の善管注意義務ないし忠実義務は,会社の使用者としての立場から遵守されるべき労働基準法上の履行に関する任務懈怠も包含すると解されるから,取締役及び監査役は,会社に労働基準法37条を遵守させ,被用者に対して割増賃金を支払わせる義務を負っているとして,被告らに任務懈怠が認められるとして,請求を一部認容した事例です。
この判例によると,倒産の危機にあり割増賃金を支払うことが困難な状況にあったなど特別な事情に無い限りは,時間外労働の割増賃金を支払わなかった会社の役員が個人責任を追及されるおそれがあります。
この判例の内容は確立した裁判例になっているとは言い難い(これと反する判例もあります。)ですので,今後も必ず踏襲されるとは限りませんが,注意はしておいた方が良いです。
残業代がそもそも発生しないように,就業規則上の工夫や給与の支払方法の工夫をした方が良いと考えます。

交通事故において相当因果関係とは何ですか?

私は,交通事故で怪我をしました。軽い追突でしたが怪我は重く1年通院しました。現在,加害者側の任意保険会社と示談金について交渉していますが,治療は6か月くらい,休業は1,2か月くらいが相当であり,それ以上の分は「相当因果関係」が無いと言われ,1年分の通院に伴う慰謝料や6か月の休業に対する補償が受けられない状況です。「相当因果関係」と言われてもよく分かりません。どういうことでしょうか。

1 結論
相当因果関係というのは,簡単に言うと,社会通念上,「A」という行為や事故から「B」という結果が生じることが相当であると考えられる場合にのみ,法的な因果関係を認める概念です。
極めて軽微な追突の場合,被害者に傷害が発生する場合があることは否めませんが,被害者に重大な傷害が生じるとは考え難いため,1年の通院に対応する治療費支払や6か月もの休業損害という結果が発生することが社会通念上相当ではないと保険会社の担当者は言っているのです。

 

2 実務的な話
実際に1年治療で通院されても,又,実際に6か月休業されても,必ずしも事故によってそのような結果が生じたかどうかははっきりしません。
相当因果関係の有無は,各車両の損傷状態や医師の診断書・カルテから長期間の通院や休業が必要であったか否かという見地から裁判所が客観的に判断します。
したがって,仮に保険会社が1年分の治療費や6か月分の休業損害金を支払っていても,後日,払いすぎだったという裁判所の判断が下る可能性もありますので,治療の必要や休業の必要性については,医師を含め専門家に判断を仰いだ方が良い場合があります。
なお,上記では,軽微な事故の場合は長期間の通院や休業が必ず不相当になるかのような印象を受けられるかも知れませんが,もちろん,重大な傷害が生じる特別な事情があれば,相当因果関係が肯定されます。
そのような特別事情があるならばそれらを主張・立証できれば,慰謝料や休業損害が全額認められる可能性がありますので,ご相談を下さい。

賃料を減額できないという合意は有効か

弊社は,大家さんから建物を借りて10年以上前から店舗を運営していますが,賃料が高すぎるように思えてきました。
賃料の減額交渉をしたいと思って,大家さんと交渉しているのですが,大家さんからは,契約書に「借地借家法32条はこれを適用しない」という条項があるから,減額交渉したいなら,一旦賃貸借契約を解約しないとダメだと言われています。
どう対応したら良いでしょうか。

(ご回答)
借地借家法32条は,いわゆる強行法規であり,賃貸借契約上適用が排除されていても,無効です。
強行法規というのは,当事者でこれに反する合意をしても,合意が無効となる法規を指します。
したがって,上記のような強行法規に反する条項があっても,強行法規が優先しますので,借地借家法32条が適用され,減額交渉は可能です。
もちろん,一旦賃貸借契約を解約する必要もありません。
賃貸借契約では,このような強行法規が沢山あるため,契約書上適用が排除されていても適用される可能性があるため,諦めずに相談して頂きたいものです。

離婚に伴って変わる氏・変わらない氏

夫から離婚を求められています。離婚自体についてはいいのですが,私や子供達(連れ子もいます。)の氏が変わるのには抵抗があります。離婚後の氏の変更について,教えて下さい。

 

(ご回答)
妻の氏:

原則として,婚姻前の氏に戻ります。但し,離婚から3か月以内に市区町村役場において,婚氏続称の届出をすることで,婚姻中の氏を名乗り続けることができます。また,3か月後であっても特別な事情がある場合には,婚姻前の氏への変更を家庭裁判所に申し立てることができます。

 
子の氏:

原則として,婚姻時の氏のままです。親権者となった子の氏を変更するためには,家庭裁判所に子の氏の変更許可審判を申し立てる必要があります。

 
連れ子の氏:

夫と連れ子とが離縁することになった場合には,原則として,連れ子の氏は直前の氏に戻ります。但し,縁組が7年続いているような場合には,市区町村役場への届出によって縁組時の氏を名乗り続けることは可能です。

別居時の生活費はいくら渡せばいいでしょうか

私は会社役員ですが,現在,妻と別居しています。子供を養育している妻から生活費を請求されていますが,いくら払えばいいのでしょうか。インターネットで調べると算定表がありますが,自営業と給与所得者と分かれていますが,私のような役員はどちらにあたるのかよく分かりませんので教えて頂きたいと思います。

 

(結論)
夫が妻に渡すべき生活費については,算定表があり,夫と妻の年収,妻が養育している子の数や年齢が分かればおおよその計算が可能です。算定表は,下記のアドレスを参照して下さい。

 

http://www.courts.go.jp/tokyo-f/saiban/tetuzuki/youikuhi_santei_hyou/index.html

 

生活費を支払うべき側の年収を縦軸でチェックし,生活費をもらう側の年収を横軸でチェックし,両方を延長して重なるマスが支払うべき生活費になります。なお,「婚姻費用」とは妻と離婚していない場合,「養育費」は妻と離婚している場合ですので,ご注意下さい(婚姻費用は配偶者の生活費も含みますので,婚姻費用>養育費となります。)。
なお,会社役員の役員報酬ですが,これは,「給与」に該当します。
算定の際には参考にして下さい。

抵当権の設定をするなら土地・建物両方をとろう

債権の担保のため,債務者の不動産に抵当権を設定しようと思っています。うわさでは,土地だけ抵当権を設定しておけばいい,建物はどちらでもいい,と聴きますが,その通りでしょうか。

1 結論
もし,建物が建っている土地にだけ抵当権を設定した場合,土地を競売しても大変な損をします。抵当権を設定するなら,土地と建物両方に登記を設定して下さい。また,保存登記が無い建物についても保存登記をして必ず抵当権を設定して下さい。

 

2 理由
建物が建っている土地にだけ抵当権を設定した場合(建物・土地ともに債務者の所有だったと仮定します。),債務者がお金を払えずに抵当権を実行すると,建物には法定地上権が成立する場合があります。
法定地上権は賃借権のようなものだと理解して下さい。
このため,競売しても,土地は,更地としての価値がありませんので,大幅に価値が下がります。よって債権回収に当たっては,土地だけに抵当権を設定するというのは完全な誤りです。
なお,建物が未登記であったとしても,この法定地上権は成立することになりますから,債務者に保存登記をさせた上で,抵当権を設定する必要があります。ご注意下さい。

生命保険金と特別受益

既に母は亡くなり,今般,父も亡くなりましたが,父は弟を多額の生命保険金の受取人に指定していました。弟がもらえる遺産は生命保険金の分だけ減るのでしょうか?

1 結論
原則として,生命保険金は特別受益とならず,弟さんが取得する遺産額はその分減ることはありません。但し,遺産額に比べ生命保険金額がとても多い場合(たとえば遺産額と比較して生命保険金額がその6割以上であるような場合。1割程度なら特別受益に該当しない旨の判例はあります。),特別受益に該当する場合があります。特別受益に該当すれば,その分,弟さんの遺産取り分が減ることになります。

2 理由
生命保険の死亡保険金は,生命保険契約に基づき被相続人の死亡によって直接保険金受取人が取得することになります。したがって,死亡保険金は遺産に含まれず,原則として特別受益にもなりません。
しかし,最高裁平成16年10月29日判決では,「保険金の額,この額の遺産の総額に対する比率,保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係,各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して,保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には,同条の類推適用により,特別受益に準じて持戻しの対象となる。」と判示し,例外的に生命保険金の受領が特別受益になる場合があることを認めています。
下級審では,遺産額の6~7割程度の生命保険金について,特別受益と認めた判例がありますので,諦めずに,特別受益だと主張する必要があるでしょう。

自動車保険で弁護士費用を負担してもらえる?

息子が交通事故に遭いました。加害者が自分には過失が無いと主張しているため,弁護士さんに手続を依頼しなければなりませんが,被害者なのに,弁護士費用をこちらで負担するというのは納得が行きません。

1 結論
本来的には,交通事故の被害者は加害者に対して弁護士費用を請求することができますが,実際にかかった費用ではなく,損害額の10%以下しか認められません。示談交渉段階では請求することが事実上できません。
しかし,ご自身のお持ちの自動車に弁護士費用特約がついている場合は,それを使うことで保険会社に弁護士費用を支払ってもらえる場合があります。

 

2 理由
交通事故のように不法行為に基づく損害賠償については,弁護士費用を相手方に請求できることが確定した判例です。したがって裁判を提起し,判決をとれば弁護士費用も相手方に一部負担させることができます。
しかし,その金額は,実際にお支払になった金額全額ではなく,その一部と判断されます(一般的に損額額の10%かそれ以下)。
近時,自動車保険の中には,弁護士費用を担保する特約が増えてきました。
かかる特約は,自動車保険を締結している本人だけでなく,その家族の交通事故の弁護士費用を担保するものがあります。
また,特別な特約に入っている場合は,交通事故ではない事故の弁護士費用までも担保する契約もあったりします。
まずは,保険証券をご覧になり,保険代理店や保険会社に連絡をし,弁護士費用特約の適用が無いかご相談下さい。

賃貸物件の管理~物件を貸す際に行うこと

私は,建物賃貸を業としている会社に勤めていますが,退去する賃借人に原状回復を求めると,よく「借りた当初から汚れていた,壊れていた」と主張され,困ることがあります。どうしたら良いでしょうか。

1 結論
借りる前の部屋の写真を撮影したり,賃借人から最初に部屋の汚損や器具の破損の有無について確認書をとるなどして,トラブルを防止しましょう。

 

2 理由
基本的に,賃借人は,借りた物件が破損・汚損していたらこれを元通りにして賃貸人に返還する義務があります。
これを原状回復と言いますが,「元」がどうであったかが争いになると水掛け論となり非常に面倒なことになります。
したがって,当初の部屋の状態を写真におさめるか(もちろん,日付が写真に入るようにして下さい。),賃借人から部屋の汚損や器具の破損が無い旨の立会い確認書をとるようにして,後日の紛争を防止する必要があります。
高額な賃料の物件ほど,争点が多くなりますので,きちんと事前の対応をする必要があります。
貴社がこのような体制を一旦とるだけで上記のようなトラブルは無くなると思います。
以上
※本記載は平成24年5月31日現在の法律・判例を前提としていますので,その後の法律・判例の変更につきましてはご自身でお調べ下さい。

差し押さえることのできる財産

相手方に対して,お金を払ってもらおうと思いますが,相手方の財産を差し押さえることはできますか。

1 結論
判決・公正証書等により債権が確定していれば,裁判所に申立てをして,相手方の財産を差し押さえることができます。
また,債権が確定していなくても,相手方が勝手に財産を第三者に売ったり隠匿しないように,やはり裁判所に申立てをして,財産を仮に差し押さえ保全することができます
但し,法律上差押えができない動産や債権がありますので,注意してください。
たとえば,給料・退職金の一部,生活必需品(衣服,寝具,家具,台所用品等),中退共からの退職金は差し押さえることができないので,ご注意ください。

 

2 理由
まず,あなたが相手方に対して有している権利は,裁判所等の機関によって,公的に確定してもらえなければ,財産を差し押さえる等執行することはできません。
一般には裁判をおこし,裁判所の判決によって認められる必要があります。もっとも当該権利について公正証書が作成されているならば,これを以て相手方の財産を差し押さえることが可能です。
判決等をとった後,初めて相手方の財産を差し押さえることになりますが,差し押さえる対象の財産には一定の制限があります。
それは,給料の4分の1以上は差し押さえられないとか,退職金の4分の1以上は差し押さえられないとか(民事執行法152条),生活必需品と見られる動産については,債務者の最低限の生活を守るため,差押禁止となっています(民事執行法131条,132条)。なお,法律上特別に差押禁止となっている財産としては中退共の退職金があります。同退職金は法律上差押えが禁止されており(但し,税金滞納の場合は除きます。),一切差押えをすることができません(中小企業退職共済法20条)。
もっとも,これらについて銀行預金に一旦振り込まれてしまうと,差し押さえることができる場合もあります。
以上
※本記載は平成24年5月25日現在の法律・判例を前提としていますので,その後の法律・判例の変更につきましてはご自身でお調べ下さい。

定年を迎えた従業員の雇用について

Y社は,60歳定年制を就業規則で定めているが,高齢者雇用安定法の改正に伴い,労使協定で継続雇用制度を導入した。
制度の内容としては,65歳まで嘱託として再雇用するが,1年更新の契約であり,一定の基準を満たす者のみ更新されるというものである(「一定の基準」は,定められていない。)。なお,労働条件は,会社と従業員とが協議して決める。
Xは,勤務態度が良好でなかったことから,60歳定年に伴い,定年退職後に再雇用されなかった。
Xは,これを不服とし,従業員としての地位確認請求をY社に対してした。
Y社はこれに応じなければならないか。

1 結論
基本的には応じなくても良いと思われます。

 

2 理由
高年齢者雇用安定法9条は,次のように規定されています。

(高年齢者雇用確保措置)
第九条  定年(六十五歳未満のものに限る。以下この条において同じ。)の定めをしている事業主は、その雇用する高年齢者の六十五歳までの安定した雇用を確保するため、次の各号に掲げる措置(以下「高年齢者雇用確保措置」という。)のいずれかを講じなければならない。
一  当該定年の引上げ
二  継続雇用制度(現に雇用している高年齢者が希望するときは、当該 高年齢者をその定年後も引き続いて雇用する制度をいう。以下同じ。)の導入
三  当該定年の定めの廃止

同法9条を素直に読むと,65歳までの雇用が当然に義務づけられているかのようにも読めます。
しかし,9条は,会社と労働者の間に私法的効力を認めることまで規定していないしどのような契約内容が成立するか規定されてないです。また,同法10条における制裁もごく軽微なものです。
したがって,9条により,当然に会社と定年後の労働者との間で労働契約が成立することは無いと言えます。裁判例でも同様の理由により,契約の成立を認めていない判例が多いです。
本件では,再雇用契約を締結する前は,契約内容が固まらないため,いずれにしても,XがYに対し従業員としての地位の確認を請求することはできないと言えます。

 

3 過去の裁判例のエッセンス ※正確な内容については原典をあたって下さい。
・高年齢者雇用安定法9条の法的効力
(岐阜地裁平成23年7月14日判決)→労働者側敗訴
原告が再雇用を拒絶した被告会社に対して地位確認請求をしたもの。
結論としては原告の請求を棄却。
原告は,解雇権濫用法理を主張→裁判所は再雇用契約の締結を求める権利は労働者に無いと判断し,解雇権濫用法理の適用の余地はないと判断。←高年法9条1項に私法的効力はないことを前提とする(私法的効力を認める旨の規定がない,制度内容が一義的でない,10条の制裁は軽いものであること)。
被告会社の再雇用基準は高年法9条に違反するものではない。
再雇用規程の内容からして,勤務条件は一切定まっていないため,実際に再雇用の契約が締結された場合にしか定年後の労働契約上の権利を主張できない。
原告が再雇用基準にあてはまるかどうかについては全く審理せず。

 

(大阪高裁平成23年3月25日判決)津田電気計器事件→労働者側勝訴(上告中)
詳細な再雇用基準がある事案である。
裁判所は,継続雇用の申込があった場合に,使用者側に採否の自由があるわけではなく,基準を満たす労働者は継続雇用を承諾しなければならないと判断。
本件では基準を満たすので,原告の地位確認を認める。解雇権濫用の法理を類推適用した画期的な内容であった。
その上で,継続雇用が認められた場合の賃金額が明確に定められているため,あてはめをして,賃金支払の請求も認めるものとした。

 

(東京高裁平成22年12月22日判決)西日本電信電話定年制事件→労働者側敗訴
原告が地位確認と,損害賠償を請求した事案。
高年法9条1項の私法的強行性を否定した。
同条項は,使用者の裁量を柔軟に認めるものとして,被告の継続雇用制度を違法と判断しなかった。

 

(大阪高裁平成22年12月21日判決)NTT東日本事件→労働者側敗訴
高年法9条1項の私法的強行性を否定。
9条は特定の継続雇用制度を推奨しているものではなく,多様な制度を容認している。
もっとも継続雇用にあたり,必要性合理性の無い大きな不利益変更がある場合には,継続雇用制度を定めたことにはならない。本件では必要性合理性のある不利益変更であるため,同条に反するとまでは言えない。

相続や遺言について知っておくと良いこと

相続や遺言について知っておくべきことがあったら,ざっと教えてもらえませんか?

相続のお話し
遺言を書く人が増えています。なぜでしょうか。
少し前から,遺言に関する本がたくさん出ており,専用のコーナーを設けてある本屋さんも少なくありません。
かつては,遺言を書く方は少なかったのですが,最近は非常に増えています。
相続に関する人々の意識や人間関係も変わってきたためか,昔であれば内輪で解決できた(解決せざるをえなかった)事柄が,裁判所に持ち込まれることが多くなってきています。相続問題はその典型と言えるでしょう。

 
もし遺言がないとどうなるのでしょうか。
遺言がないと,残された方々全員(夫,妻,子,親,兄弟,甥姪,いろいろなパターンがあります)で,遺産を分ける話し合いをすることになりますが,残された方々の「取り分」は,法律で決まっています。
もちろん話合いで法律の取り分とは異なる合意(たとえば,ある人は1円ももらわないと決める。)をすることはできます。しかし,内輪の話合いで解決できず,調停や裁判の場に持ち込まれてしまえば,法律で決まっている「取り分」で解決することになります
しかし,法律は,一般的なきまりにすぎませんから,あなたのご家庭の事情をくみとった相続ができるとは限りません。なにより亡くなった方の意思とはまったく違う相続になってしまうことすらあるのです。

 
お子さんがいないご夫婦は・・・
たとえば,お子さんがいない夫婦の一方(たとえば夫)が亡くなった場合,夫の財産の1/4は夫の兄弟姉妹の取り分ということになってしまいます。自宅が夫名義である場合,自宅の時価の1/4のお金を寄こせ,と言われかねないのですが,そのことを知っておられる方は,少ないのではないでしょうか。
もちろん,その兄弟姉妹の方が「いらないよ」と言って書類に実印を押してくださればよいのですが,そのようなことを頼まなければいけないのも大変です。
このような場合でも,遺言があれば,わざわざ頭を下げてお願いせずとも,奥様に自宅や預貯金などの財産を残してあげることができます。

 
遺留分とは?
とはいえ,遺言に書けば,どんなことでも有効になるものでもありません。兄弟姉妹以外の相続人には「遺留分」という最低限の取り分があって,「息子に1円もあげたくない」といっても,ふつうはできません(遺留分放棄などの例外もありますが,裁判所の手続が必要となります)。

 
会社のオーナーさんは・・・
ですので,たとえば会社のオーナーさんが「子の一人を跡継ぎとして全株式を相続させたい」という場合には,ふつうは,他のお子さんの遺留分を別に確保しておく必要があります(遺留分放棄ができる場合は別です)。
もし遺言を残さず,株式を半分ずつ兄弟で相続すると,誰も過半数を有していないので,会社が何も意思決定できなくなってしまいます。このような事態を避けるためにも,遺言を残す必要があるのです。

 
遺言を書くかどうか? どう書くべきか?
ご説明したのはほんの一例であり,ご家庭の事情はそれぞれ違いますので,家族関係,財産状況,これからの生活などいろいろな事情を考慮したうえで,ご自身の意思を最大限に生かした遺言を作るためには,まずは法律の専門家である私ども弁護士にご相談いただければと思います。当事務所では,相続問題につきましては30分の無料法律相談を行っておりますので,お気軽にお問い合わせください。

離婚について知っておくべき基本

離婚に伴って知っておくべきことがあったら,ざっと教えてもらえませんか?

◆離婚と財産分与
離婚の際に問題となることが多いのが,財産分与です。
法律では,離婚した場合,相手に対して財産分与の請求をすることができる,と定められています(民法768条1項)。
財産分与の請求とは,基本的には,これまで夫婦二人で共同して形成してきた財産の清算をしましょう,というものです。
ですから,たとえ離婚の原因を作ってしまった場合(たとえば不倫した場合)であっても,財産分与の請求はできますので,あきらめないようにして下さい。
ただし,離婚が成立してから2年経過してしまうと,請求できなくなってしまいますので,注意が必要です(同条2項)。

 

◆財産分与の流れ
財産分与を行うまでには,
①財産分与の対象となる財産を確定する。

②対象となる財産の評価額を確定する。

③どのような割合で分割するかを確定する。
という作業が必要です。

 

◆①財産分与の対象となる財産を確定する。
(1)財産分与の対象となる財産
財産分与の対象となる財産は,夫婦の共有財産です。
夫婦のどちらか一方の名義になっている財産であっても,婚姻中に夫婦の協力により取得した財産であれば,原則として夫婦の共有財産とみなされます。
不動産,預貯金,車,美術品,株式など,手許にある財産のみでなく,将来支給される予定の退職金,生命保険の積立金のように,手許にない財産も財産分与の対象となることがあります。
また,プラスの財産のみではなく,借金などのマイナスの財産も,財産分与として考慮されます
(2)財産分与の対象とならない財産
結婚前から所有していた財産,結婚後に相続により取得した財産などは,夫婦の協力によって形成された財産ではないので,原則として財産分与の対象にはなりません(特有財産といいます。)。
しかし,特有財産であっても,その維持に相手方が協力したと認められる場合には,財産分与の際に考慮されます。
結局のところ,財産分与の対象になるかどうかは,それぞれのご夫婦の事情によって判断されるということになります。

 

◆②対象となる財産の評価額を確定する。
預貯金の場合には,評価するまでもなく金額を確定することができますが,不動産や非上場の株式等の場合には,その評価額を確定する必要があります。
評価の方式について明確な決まりはありませんので,たとえば不動産の場合には,固定資産税評価額,路線価額,不動産業者の査定額など,さまざまな方法による評価が考えられます。

 

◆③どのような割合で分割するかを確定する。
分割割合は,原則として,財産の形成に対して,夫婦それぞれがどれくらい貢献したか,という点に基づいて判断されます。
最近は,共働きの夫婦ではなく,一方が専業主婦の夫婦の場合でも,2分の1ずつの割合で分割するという例が多いです。

 

◆きちんと財産分与をしてもらうために
財産分与の流れは以上のとおりですが,明確な基準がない点も多々あり,ご家庭の事情や,ご夫婦のご職業,財産の種類などによって,問題となる事項は千差万別です。
きちんと財産分与をしてもらうために,まずは法律の専門家である弁護士にご相談いただければと思います。

破産から保証金を守る

破産から保証金を守る

顧問会社で商社のX社の総務課課長さんが弁護士の下を訪れました。
我が社は,準ゼネコンのY社から,Y社所有のビルの3階を借りて,名古屋支店を置いています(賃料月30万円)。
この度,Y社が破産するという弁護士からの通知がありました。
たまたま,我が社は,通知があった半年後にこのビルを退去することになっていたのですが,保証金を300万円ほどいれています。
保証金は戻ってくるのでしょうか。
また,保証金が戻ってこないとすると,半年間の賃料を払うのもバカバカしいのですが,何とかならないのでしょうか。

3つのシナリオ
弁護士 今回の保証金の話ですが,場合を分けてご説明する必要があります。
①最悪のシナリオ~退去前にビルが売れず,かつ何らの法的な対処もしない場合です。
②最善のシナリオ~退去前にビルが売れた場合です。
③次善のシナリオ~退去前にビルが売れなくとも,法的な対処をすることで①を避ける場合です。

 

①最悪のシナリオ
弁護士 まず,何もせず,しかも,ビルが第三者に任意売却されることもなく,御社がビルを退去することになった場合,御社の保証金は殆ど戻ってこなくなります。

 

課長 破産の通知が来ても誠実に家賃を払っている我々にとっては,あまりにむごい仕打ちではありませんか?

 

弁護士 そうですよね。しかし,保証金返還請求権を特別扱いしたら,他の債権者からはどうして?と疑問が出るでしょうね。

 

課長 なるほど。他の債権者も低い配当となるのですからしょうがない,ということですか。

 

②最善のシナリオ~棚からボタ餅
弁護士 しかし,運良く御社が退去する前にビルが任意売却されると,保証金は全額戻ってくることになります。

 

課長 え!どういうことですか?

 

弁護士 実は,保証金返還請求権は,賃貸借契約にお供をする権利なのです。したがって,御社の退去前にビルが任意売却されると,買った第三者に御社との賃貸借契約が引き継がれますが,保証金返還請求権もこれにお供して引き継がれますから,その第三者が払う必要が出てきます。

 

弁護士 賃借人の立場で言ったら当然のことですよね。保証金が新しいオーナーに引き継がれないとしたら,賃借人の関係の無いところで,保証金を回収できなくなってしまいますから。他方,新オーナーは,買うときに,いくら保証金を返せばいいか,預かっている保証金額を旧オーナーに尋ねることができますから,不合理ではありません。

 

課長 なるほど。でも,我が社が退去した後に売れた場合には引き継がれない,というのも変な話ですね。

 

弁護士 あくまで賃貸借契約にお供する,ということからすると,賃貸借契約が終わってしまうと,お供しなくなるわけですね。

 

弁護士 いずれにせよ,第三者が御社の退去前にビルを買ってくれれば,御社の損失はゼロです。

 

課長 しかし,それでは運任せになりますよね。

 

弁護士 そこで,③の話をさせて頂きます。

 

③次善のシナリオ~寄託請求

 

 

弁護士 ①で述べましたように,御社が何も手を打たずに,放置しておくと,賃料は退去までしっかり払わされるわ,保証金は殆ど戻ってこないわ,ひどい結果となります。そこで,「寄託請求」をして頂くと良いです。

 

課長 一体何ですか?

 

弁護士 要するに,「これから納める賃料を預かっておいて下さいね。退去するときに,保証金額を上限として,納めた賃料分を返してもらいますよ。」という制度です。破産法70条に規定されています。

 

課長 我が社のケースでは,保証金全額は戻ってこないとしても,これから払う30万円の賃料の半年分を確実に返してもらえる,ということでしょうか。

 

弁護士 その通りです。寄託請求の理屈を簡単に説明しましょう。賃貸借契約が終わり,借りていたものを返す際,未払賃料があったら保証金に当然に充当されます。寄託請求をすると,寄託された賃料は毎月の賃料に充当されなかったことになります。寄託請求しておかないと,毎月払うお金は毎月の賃料に充てられたことになり,保証金から差し引くべき未払賃料が存在しないことになります。

 

課長 難しいですが,何となくは理解できました。いずれにしても,知らないと大損になるところでした。

 

弁護士 寄託請求をする賃借人は,ほぼ皆無に近いです。ご相談頂いて本当に良かったです。

土地区画整理と賃貸借

<土地区画整理と賃貸借>

Xは,酒屋を営んでいる。
Xの先代は,昭和10年頃に,土地100㎡を借りて,木造建物を建築した。
しかし,昭和30年に火災で建物が焼失し,現在の建物(木造)はその当時に建築されたものである。
Xの先代も,賃貸人も死亡し,それぞれの子に相続がされている。
地代は,付近の相場より安い1㎡あたり300円である。
今回,土地区画整理事業が始まり,Xは来年度には建物を収去しなければならなくなったが,賃貸人からは,退去や買取を要望される可能性があるが,どう対応したら良いか。
なお,Xに支払われる補償金は,1000万円程度である。

1 土地区画整理事業と土地賃貸借契約
土地区画整理で仮換地が指定されると,土地の所有者や借地権者は,従前の土地に対する使用収益件を停止され,仮換地指定の効力発生日から仮換地を使用収益できる権能を取得します(土地区画整理法99条1項)。

(仮換地の指定の効果)
第九十九条  前条第一項の規定により仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から第百三条第四項の公告がある日まで、仮換地又は仮換地について仮に使用し、若しくは収益することができる権利の目的となるべき宅地若しくはその部分について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができるものとし、従前の宅地については、使用し、又は収益することができないものとする。

借地権者は,仮換地に建物を移転しなければなりません。
土地については,従前の土地と換地とが同一とみなされますが(土地区画整理法104条),建物は同一のものとみなされるという規定がありません。
そのため,賃貸借契約との関係で建物をどうするか検討する必要があります。
たとえば,今時,と思われるかも知れませんが,①建物をそのまま移動させる場合(建物を曳いていくことが昔はあったようです。),建物は従前の建物と何一つ変わることがありませんから,土地賃貸借契約は従前通りであり,何らの影響も無いことになります。
これに対し,②建物を解体して,換地でそのまま再築する場合は,判例上,建物の同一性は失われるとしています(最高裁昭和62年7月9日判決)。もちろん,③建物を取り壊し,換地に新築する場合は,建物の同一性はありません。
上記②③の場合,土地賃貸借契約に影響があります。
借地法7条,借地借家法7条には,次のような規定があります。

第7条 借地権ノ消滅前建物カ滅失シタル場合ニ於テ残存期間ヲ超エテ存続スヘキ建物ノ築造ニ対シ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ借地権ハ建物滅失ノ日ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ30年間、其ノ他ノ建物ニ付テハ20年間存続ス 但シ残存期間之ヨリ長キトキハ其ノ期間ニ依ル
(建物の再築による借地権の期間の延長)
第七条  借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失(借地権者又は転借地権者による取壊しを含む。以下同じ。)があった場合において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造するにつき借地権設定者の承諾がある場合に限り、借地権は、承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から二十年間存続する。ただし、残存期間がこれより長いとき、又は当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間による。
 借地権者が借地権設定者に対し残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造する旨を通知した場合において、借地権設定者がその通知を受けた後二月以内に異議を述べなかったときは、その建物を築造するにつき前項の借地権設定者の承諾があったものとみなす。ただし、契約の更新の後(同項の規定により借地権の存続期間が延長された場合にあっては、借地権の当初の存続期間が満了すべき日の後。次条及び第十八条において同じ。)に通知があった場合においては、この限りでない。

今回のケースでは,借地法が適用されますので,これを前提にしますと,賃貸人の異議がない場合は,堅固建物については,30年,非堅固建物については,20年,賃貸期間が延長されることになります。
なお,賃貸人が異議を述べても,元来の土地賃貸借契約の存続期間内であれば,そのまま再築建物のための借地権に適用されます。そうすると,借地法4条,6条の問題となり,正当事由や自動更新の話になります。正当事由の判断ですが,土地区画整理に基づく建物収去は,自らが希望した場合や,過失で建物を滅失させた場合とは違うので,この点は,プラスに評価されると思われます。

(借地法)
第4条 借地権消滅ノ場合ニ於テ借地権者カ契約ノ更新ヲ請求シタルトキハ建物アル場合ニ限リ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 但シ土地所有者カ自ラ土地ヲ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第6条 借地権者借地権ノ消滅後土地ノ使用ヲ継続スル場合ニ於テ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 此ノ場合ニ於テハ前条第1項ノ規定ヲ準用ス
ちなみに,賃貸人から,地代の増額請求の可能性があることに注意が必要です。土地区画整理により,土地の利用価値が高まる場合があるからです。

(土地区画整理法)

(地代等の増減の請求等)
第百十三条  土地区画整理事業の施行に因り地上権、永小作権、賃借権その他の土地を使用し、若しくは収益することができる権利の目的である土地又は地役権についての承役地の利用が増し、又は妨げられるに至つたため、従前の地代、小作料、賃貸借料その他の使用料又は地役権の対価が不相当となつた場合においては、当事者は、契約の条件にかかわらず、将来に向つてこれらの増減を請求することができる。
 前項の規定により従前の地代、小作料、賃貸料その他の使用料又は地役権の対価の増額の請求があつた場合において、同項に掲げる権利を有する者は、その権利を放棄し、又は契約を解除してその義務を免かれることができる。

 

2 結論
Xにおいて土地を買い取ることについては,賃貸借期間の存続を前提に,任意の交渉をされればよいというお答えしかできません。その場合,路線価の借地権価格が参考になるのではないでしょうか。
退去については,Xがすぐに退去を迫られるようなことではありませんが,将来の更新時期に紛争が生じることもありますので,リスクがあることは事実です。少なくとも,賃貸人との交渉経過を保存しておいた方が良いと思われます。再築後,建物買取請求権を行使するというのも不可能ではありません。

特別縁故者にあたる場合

私の甥が莫大な遺産を残して亡くなりました。
甥は一生独身で,親兄弟も全員亡くなっていますが,私が甥の遺産を相続することはできますか。
ちなみに甥は癌になっていたのですが,私は毎日親代わりに看護していました。

1 結論
家裁の手続を経て,遺産の全部又は一部を取得できるかもしれません。

 

2 理由
相続人になりうるのは,民法上,配偶者,子(代襲,再代襲相続人を含む),親や祖父母などの直系尊属,兄弟姉妹(代襲相続人を含む)のみです。
したがって,死亡した本人から見て,叔父さんや従兄弟には相続権がありません。
但し,特別縁故者という制度があり,申し立てて要件が満たされれば特別な関係にある縁者に相続財産の一部又は全部が分与される場合があります。
したがって,叔父さんや従兄弟が特別縁故者にあたる場合には,相続財産が取得できることもあります。
特別縁故者に該当する場合ですが,具体的には,

 
①被相続人と生計を同じくしていた者
例えば,内縁の夫婦,事実上の養親子,子の妻

 
②被相続人の療養看護に努めた者
付添婦,看護婦など報酬をもらっていた人は除き,対価以上の看護をした者

 
③その他被相続人と特別な縁故があった者
生前,死後に縁故があった人です。

 
具体的には,被相続人が,遺言は作らなかったものの,死んだ後は●●に財産を渡す旨話をしていた,
生前の交流が多かった,
毎月1回会って金銭/衣類を仕送りした,
被相続人から援助を受けていた,
小遣いを渡していた,
近所迷惑があった際に代わりに謝罪しに行った,
葬儀を主催したり,墓を守ったり,遺産を管理したりした,
等々です。生前死後の関わりについて総合判断されて,決まります。
なお,密接度に応じて,与えられる財産額も増減します。

 
本件では,甥の療養看護をしていたようなので,特別縁故者に該当しそうです。ただ,療養看護の程度によっては,全額ではなく,一部の遺産を分与する形になると思われます。
申立人が多数に及ぶ場合は,自他共に認めるような縁故者がいないことの証左となり,否定される場合がありますので,注意が必要です。

成年後見人の選任が必要な場合

成年後見人の選任が必要な場合
夫の父が先日亡くなりました。そのため,夫の兄弟間で遺産分割を進めることになったのですが,あいにく夫は精神疾患のため,全く意思能力が無い状態です。
兄弟からは,妻である私が夫の代理で署名・押印してもらえれば良い,と言っていますが,兄弟からは不公平な割合での遺産分割案が提示されていて,私の力では手に余ります。
どうしたら良いですか?

1 結論
まずは,ご主人の成年後見人としてあなたを選任してもらう必要があります。その上で,あなたから弁護士に委任することができます。

 

2 理由
精神疾患等が理由で全く意思表示ができない場合は,有効な遺産分割を行うことはできません。
仮に,あなたがご主人の代わりに署名・押印しても全くの無効です。
有効な遺産分割協議を行うためには,まず,意思能力の無い方に代わって法律行為ができる「成年後見人」を選任してもらう必要があります。
成年後見人には,特にご家族の中でもめているといった事情が無い限りは,親族の方が就任することも可能です。逆に,親族間でもめているような場合には,弁護士などの専門家が就任することになります。
成年後見人選任には必要書類が多数ありますので,専門家や家庭裁判所でお問い合わせ頂けると幸いです。
成年後見人が選任されれば,その成年後見人が,各種の法律行為を行うことも可能となります。弁護士に依頼することも可能です。

非典型的な交通事故と過失割合その1

非典型的な交通事故と過失割合その1
私は普通乗用車を運転していましたが,前方を走行していた乗用車がセンターラインに寄っていくので,右折するかと思い,左側から追い抜こうとしました。
そうしたところ,ウィンカーも出さずに前方の車が突然左折したため(左にはコンビニの駐車場がありました。),避けきれずに前方車の左側面に衝突してしまいました。
前方車の運転手は,追突だから私が100%悪いと言いますが,変な動きをした前方車にも過失があると思います。
この場合の過失割合は何割くらいなのでしょうか?

1 結論
3割から4割程度の過失が相手方に認められる可能性があります(こちらは6割から7割の過失となる可能性があります。)。

 

2 理由
一般的に,追突の過失割合は100%です。
しかし,道路交通法34条では,
「車両は,左折するときは,あらかじめその前からできる限り道路の左側端に寄り,かつ,できる限り道路の左側端に沿つて(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは,その指定された部分を通行して)徐行しなければならない。」
と規定されており,本件のような大回り左折は許されていません。
あまり右側に寄っていたのだとすると,右折するように思われて左方を追越しされることも予見できるのですから,左後方も十分に確認の上,左折すべきです。
もっとも,後続車は,前方車の挙動に注意すべきですから,どちらかというと,後続車の過失割合の方が大きくなります。

 

3 判例
横浜地裁川崎支部 昭和53年12月22日判決(自保ジャーナル・判例レポート第27号-No,8)では,センターライン寄りにふくらんで左折した加害車に追随中の被害車が衝突した事案につき,左折合図を見落した被害車に3割の過失相殺を適用しています。

相続放棄と生命保険金

夫が多額の借金を抱えて無くなりました。相続放棄をしたいと思いますが,生命保険金の受取人が,妻である私になっています。相続放棄をすると,生命保険金は受け取れなくなるのでしょうか。また,生命保険金を受け取ってしまうと,相続放棄ができなくなるのでしょうか。教えて下さい。

1 結論
受取人が被相続人以外であるならば,生命保険金を受け取っても,相続放棄には影響がありません。相続放棄後に生命保険金を受け取ることもできます。

 

2 理由
受取人が,亡くなった方以外の者に指定されている場合,生命保険契約は,第三者のためにする(民法537条)保険契約ということになり,指定された者が固有の権利として生命保険金を受け取ることができます。したがって,相続放棄があっても生命保険金は受け取れます。
また,生命保険金は相続財産に含まれませんから,生命保険金を受領しても,相続財産を処分したことにはならず,相続放棄が可能です。
但し,生命保険金の受取人が亡くなった方となっている場合,生命保険金は相続財産となり,これを受け取ると相続放棄ができなくなりますので,ご注意下さい(相続放棄をすると受け取れません。)。

 

3 判例
平成10年12月22日福岡高裁宮崎支部決定では,「本件保険契約では、被保険者の被相続人死亡の場合につき、死亡保険金受取人の指定がされていないところ、保険約款には、死亡保険金を被保険者の法定相続人に支払う旨の条項があるところ、この約款の条項は、被保険者が死亡した場合において被保険者の相続人に保険金を取得させることを定めたものと解すべきであり、右約款に基づき締結された本件保険契約は、保険金受取人を被保険者の相続人と指定した場合と同様、特段の事情のない限り、被保険者死亡の時におけるその相続人たるべき者である抗告人らのための契約であると解するのが相当である(最高裁第2小法廷昭和48年6月29日判決・民集第27巻第6号737頁)。かつ、本件においては、これと解釈を異にすべき特段の事情があると認めるべきものは、記録上窺われないし、抗告人らが本件保険契約による死亡保険金が被相続人のための契約と思い違いをしていても、これが特段の事情となるべきものではない。
そして、かかる場合の本件保険金請求権は、保険契約の効力が発生した被相続人死亡と同時に、相続人たるべき者である抗告人らの固有財産となり、被保険者である被相続人の相続財産より離脱しているものと解すべきである(最高裁第3小法廷昭和40年2月2日判決・民集第19巻第1号1頁)。
したがって、抗告人らのした熟慮期間中の本件保険契約に基づく死亡保険金の請求及びその保険金の受領は、抗告人らの固有財産に属する権利行使をして、その保険金を受領したものに過ぎず、被相続人の相続財産の一部を処分した場合ではないから、これら抗告人らの行為が民法921条1号本文に該当しないことは明らかである。」と判示しています。

相続人の範囲を知りましょう

親戚の方が亡くなりましたが,その人には,配偶者も子もいません。
また,一人っ子で両親も既に他界しています。
亡くなった本人から見て叔父にあたる人物に相続権はありますか。
また,亡くなった本人から見て従兄弟にあたる人物に相続権はありますか。

1 結論
いずれもありません。但し,特別縁故者にあたれば相続財産が取得できる場合もあります。

 

2 理由
相続人になりうるのは,民法上,配偶者,子(代襲,再代襲相続人を含む),親や祖父母などの直系尊属,兄弟姉妹(代襲相続人を含む)のみです。
したがって,死亡した本人から見て,叔父さんや従兄弟には相続権がありません。
但し,特別縁故者という制度があり,申し立てて要件が満たされれば特別な関係にある縁者に相続財産の一部又は全部が分与される場合があります。
したがって,叔父さんや従兄弟が特別縁故者にあたる場合には,相続財産が取得できることもあります。

放置車両の撤去法

私は,一般の方に駐車場を貸しています。
賃借人のYは,車を置いたまま,行方不明になってしまい,1年が経過しています。
賃料の支払いも当然滞っています。
Yに連絡をとろうにも,携帯電話や自宅電話は通じません。
車を撤去したり,未払賃料を払ってもらうためには,どのようにしたらいいのでしょうか。

1 結論
その1 Yに対して訴訟を提起することができます。弁護士を通じて交渉することもできます。
その2 車が所有権留保されているならば,所有者名義人に対して,車両の撤去及び未払賃料の支払いを請求するべく,訴訟提起する余地があります。

 

2 理由
その1は,張本人であるYに対する請求です。
問題は,Yをどのように見つけ出すかですが,Yの住民票が移っている場合には,弁護士ならば,移転先の住民票を取り寄せることができます。住民票によって,移転先のYの所在を確認し,Yと交渉したり,訴訟提起することが可能となります。
住民票によってもYの移転先が不明な場合は,公示送達等の手段で訴訟を提起することが可能です。もっとも,この場合,Yの資力はあてにできませんので,撤去費用や未払賃料の回収は事実上不可能になります。

 

その2は,車検証上,オートローン会社が所有権者として名を連ねているような場合です。
張本人のYが相手ではないので,一定の条件を満たす必要があります。
大まかに言うと,オートローンの残債務全額の弁済期が到来している場合は,撤去義務等をオートローン会社が負担します。

 

3 判例
最高裁平成21年03月10日判決は,「動産の購入代金を立替払した者が,立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において,買主との契約上,期限の利益喪失による残債務全額の弁済期の到来前は当該動産を占有,使用する権原を有せず,その経過後は買主から当該動産の引渡しを受け,これを売却してその代金を残債務の弁済に充当することができるとされているときは,所有権を留保した者は,第三者の土地上に存在してその土地所有権の行使を妨害している当該動産について,上記弁済期が到来するまでは,特段の事情がない限り,撤去義務や不法行為責任を負うことはないが,上記弁済期が経過した後は,留保された所有権が担保権の性質を有するからといって撤去義務や不法行為責任を免れることはない。」と判示しています。
最高裁判例へリンク
つまり,オートローン会社も巻き込むことができる,という判例です。

共有者同士の使用をめぐる争いについて

(共有者の共有者に対する明け渡し請求)
Xは,父と父所有の家にただで住んでいました。
父が死亡し,兄弟であるX,Y,Zが相続人となりました。
遺産分割の話し合いで,この家は,X,Y,Zが3分の1ずつ所有することになり,その旨の登記もしました。
しかし,XとY,Zの折り合いが悪くなり,Y,Zは,3分の2の持分に基づいて,Xに対し,家の明け渡し請求訴訟を提起しました。
Xは,家から出なければいけませんか?

1 結論
Xは,家の明け渡しに応じる必要はありません。

 

2 理由
X,Y,Zはいずれも家の共有者であり,共有者から家を使用する共有者に対して,明け渡しを求めることはできません。
その理由は,共有者は,その持分の大小にかかわらず,共有物全体を使用することができるからです(民法249条)。
Y,Zは,争い方を考える必要があります。

 

3 判例
最高裁判例 昭和41年05月19日は,共有物の持分の価格が過半数をこえる者が共有物を単独で占有する他の共有者に対して共有物の明渡請求をすることができない,と判示しています。
最高裁判例へリンク

(最高裁判例サイト)

同時廃止ってなんですか?

私は,破産を考えておりますが,同時廃止という手続きなら,比較的安く破産申立ができると聞きました。
同時廃止って何なのか,教えてもらえますか。

1 同時廃止とは何か?
債務者に,まともに財産がないことがはじめから明らかな場合、破産手続開始決定と同時に,破産管財人(裁判所が選任した弁護士など)を選任することなく破産手続きを終えてしてしまう破産手続を同時廃止と呼びます。

 

2 通常の手続との違い
通常なら,裁判所は破産管財人を選任し,破産管財人が破産者の財産を調査し,換価・処分し,債権者に配当します。
しかし,破産者に殆ど財産がないことが明らかな場合,破産管財人にかける費用や手間を省き,手続きをより迅速,かつ破産者の負担を軽くするため,同時廃止の手続がもうけられています。
同時廃止となれば当然、債権者には配当は一切出ず,引き続き「免責許可の決定」(債務を払わなくてよくする)の手続きに入ります。
同時廃止になれば,破産手続開始決定時に破産者が持っていた財産の所有権(管理処分権)を失うことはありませんし,決定後に取得した財産も,本人の物となります。

 

3 名古屋地方裁判所の同時廃止の基準
では,どのような場合,同時廃止とできるかですが,あくまで目安ですが,
・ 債務者の資産総額が40万円以下の場合,かつ資産の一つが30万円を超えない場合
・ 資産総額が40万円を超える場合でも,一定の条件を満たす場合
に同時廃止が認められます。

 

4 同時廃止の場合の手続費用
同時廃止の場合の弁護士費用はおよそ30万円程度です。
また,これとは別に裁判所に納める費用として数万円が必要となります。

パワハラについて

龍達工業の織田総務課長は、困り顔で顧問弁護士の下を訪れました。織田課長の相談は次のようなものでした。

堂林という新入社員が,態度が悪かったため,担当の課長が「意欲がない,やる気がないなら,会社を辞めるべきです。会社にとっても損失です。あなたの給料でアルバイトが何人雇えると思っているのですか?」という叱責メールを堂林に送りました。叱責メールの文字は赤字で,しかも会社の同僚全員に一斉メールしました。
堂林は,担当課長のこのような行為はパワハラであり,訴えてやる!とテレビ番組の真似をして息巻いています。
会社として,何か対応した方が良いでしょうか?

パワハラって何?

 

織田 最近,パワハラという言葉をよく耳にします。新入社員が上司に楯突くときに使うようです。
一口にパワハラといってもどのような行為がパワハラなのか,よく分かりません。
言葉が一人歩きしているような気がしてなりません。

 

弁護士 セクハラと並んでパワハラという言葉は,認知度が高くなっていますね。
セクハラは,雇用機会均等法11条で定義されていますが,パワハラは法律上の定義がなされていません。
一般には,指導に名を借りた暴言・暴力,誹謗中傷,侮辱,職場における各種無視,過重・無理な業務を指示する,若しくは何もさせない,等の言動が繰り返されると,パワハラと言えるのだと思います。
織田 何となくは分かりましたが,非常に曖昧ですね。どういった事実があるとパワハラとして責任を負うことになるのですか?

 

弁護士 要は,社会通念上,許容される範囲を超えているかどうかがポイントになるでしょう。
言動の態様,行為者の地位,言動のねらい,必要性・合理性,言動によって従業員が受けた不利益の程度,反復継続性といった点が問題になると思います。

 

問題となった事例

 

織田 現実の裁判では,どんな事案でパワハラが認められているのでしょうか?

 

弁護士 まさしく今回のような事例で,東京高裁は,上司の責任を認めました(東京高判平成17年4月20日)。
裁判所によると,指導や叱咤激励の目的があったのは理解できるが,赤い大きな字のフォントを使ったり,職場の同僚全員にわざわざメールを送ったのは,許容限度を超えている,ということでした。
ただ,請求認容額は,5万円でした。

 

また,東芝府中工場事件では,ある従業員が春闘のビラを配っていたことから,上司に目をつけられ,上司から些細なミスについても、逐一始末書の提出を求められるようになった,という事案で,上司は感情に走りすぎたきらいがあるとのことで,違法と言わざるを得ないという結論になりました(東京地裁八王子支部平成2年2月1日)。
請求認容額は,15万円でした。

 

織田 上司にはいささか厳しい結論ですね。ましてや,我が社のケースでも違法と言われてはたまりません。

 

弁護士 まあでも,5万円のために裁判をする人はいないので,それほど心配しなくてもいいでしょう。
ただ,上司たるもの,ストレスの発散のような形で不必要に部下を叱ったりすると,しっぺ返しをくらいます。
今回の場合は,上司に「やりすぎた,すまん。」と謝罪させ,丸く収めた方がよさそうです。

 

弁護士 厄介なのは,被害従業員が精神的な疾患にかかり,仕事を辞めざるを得なくなるような場合です。こういうケースでは,従業員側が会社や上司が悪いと思い込むので,会社を巻き込んでの訴訟になりがちです。
パワハラの報告を受けたときの初期対応を誤ると,使用者である会社の責任まで認められてしまうことがあります。

 

織田 いわゆる使用者責任(民法715条)というものですか?

 

弁護士 さすが,お詳しいですね。
使用者責任という形だと,加害従業員の責任が認められれば,即会社の責任が認められることになりやすいです。
管理職にはパワハラについての研修を行って,管理職を監督することも転ばぬ先の杖ですよ。

 

織田 よく分かりました。社内でも励行したいと思います。

不倫慰謝料を一人で負担しなければならないか?

私は,妻子ある男性と交際していましたが,奥さんから,慰謝料請求をされました。
悪いことをしていたというのは分かるのですが,私だけが責任を負い,男性が何の責任も負わないというのは納得がいきません。
男性にも責任を負担してもらえるのでしょうか?

1 結論
あなただけでなく,男性も共同不法行為者として,責任を負います。
したがって,奥さんに慰謝料を支払った場合は,男性に対してその一部を求償することができます。

 
2 理由
奥さんは平穏な家庭生活を害されているので,あなたに対して慰謝料請求することができますが,男性はあなたと共同して,奥さんの平穏な家庭生活を害しています。
よって男性も共同不法行為者として,奥さんに対してあなたとともに不真正連帯債務を負担すると言えます。
あなたが奥さんに慰謝料を支払った場合,あなたは男性の分を肩代わりしたことになるので,男性に対して支払った慰謝料の一部を求償することができます。

 
3 判例
横浜地裁平成4年12月10日判決は,妻子ある男性と交際していた女性に対し妻が慰謝料を請求した事案(妻は男性を宥恕した)ですが,
「右各事情に加えて、その他本件において認められる一切の事情を考慮すれば、本訴において認容すべき慰謝料額は金五〇万円をもって相当と認める(ところで、原告の被った精神的苦痛に対しては、一郎も不法行為に基づく損害賠償債務を負うことが明らかであるところ、被告の義務と一郎の義務とは重なる限度で不真正連帯債務の関係にあって、いずれかが原告の損害賠償債権を満足させる給付をすれば他方は給付を免れ、給付をした者は他方に対して負担割合(本件においては、一郎の負担割合は少なくとも二分の一以上と認められる。)に応じて求償することのできる関係にある、と解される。)。 」
と述べて,慰謝料請求を支払後に,女性が男性に対して求償することができるとしています。

判決で離婚となった場合の離婚届手続

このたび,離婚判決を頂きましたが,役所にどのように届出をしていいか分かりません。教えて下さい。

離婚判決が確定してから10日以内に離婚の訴訟を申し立てた側(原告)が
住所地の市区町村役場に、届出を行う必要があります。

 
その際,必要な書類は,
・離婚届書 1通(証人欄の記入は不要です。相手方の署名等ももちろん不要です。)
戸籍謄本 1通(本籍地市区町村に届出する場合は不要です。)
・判決書謄本および確定証明書(これは,弁護士で取り付けます。)
です。

 
・届出人(申立人または訴えの提起者)の印鑑
・国民健康保険被保険者証,国民年金手帳など,身分証明書類も持って行くべきです。

 

念のため,お住まいの市区町村の役場にお問い合わせ頂ければ幸いです。

違約金の定め

私は、先日、車屋さんで、中古のベンツを購入することにして契約をしましたが、後で、やはりプジョーの車がいいと思い、その契約をキャンセルしました。
車屋さんは売買契約書にある違約金条項によると、自動車税・リサイクル費用・手続費用等の合計30万円が違約金にあたるとして、1週間以内にこれを支払うように請求してきました。
キャンセルしたのですから、実際に自動車税・リサイクル費用等を車屋さんが負担しているわけではないのに、私は違約金条項に基づき、30万円を払わなければならないのでしょうか?

1. 結論
結論から言いますと、消費者契約法第9条第1号に基づき、上記違約金条項は無効であり、あなたの支払義務はありません。

 

2. 理由
消費者契約法第9条第1号は、次のように定められています。

 

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分
二 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分

 

中古車売買契約は、消費者契約に該当しますから、消費者契約法9条1号の適用もあります。
そうすると、契約をキャンセルした場合に、業者側に発生する平均的損害はいくらになるか問題になりますが、実際に発生していない費用まで損害に該当することはありません。
したがいまして、発生しないであろう損害を根拠とする違約金条項は無効と言うことになります。

 

3. 判例
売買代金の15%が違約金となるという条項が入った中古車売買契約につき、当該違約金条項の効力を否定しています(大阪地裁平成14年7月19日判決)。

 

(1) 本件売買契約が,消費者契約法(平成13年4月1日施行)2条3項に定める消費者と事業者との間で締結される契約であり,同法の適用があることは明らかである。
そして,消費者契約法9条1号に定める「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額」は,同法が消費者を保護することを目的とする法律であること,消費者側からは事業者にどのような損害が生じ得るのか容易には把握しがたいこと,損害が生じていないという消極的事実の立証は困難であることなどに照らし,損害賠償額の予定を定める条項の有効性を主張する側,すなわち事業者側にその立証責任があると解すべきである。

 

(2) これを前提として本件について検討するに,本件では,被告による本件売買契約の撤回(解除)がなされたのは契約締結の翌々日であったこと,弁論の全趣旨及び証拠(被告本人)によれば,原告担当者は,本件売買契約締結に際し,被告に対し,代金半額(当初全額と言っていたが,被告が難色を示したため,半額に訂正した)の支払を受けてから車両を探すと言っていたことが認められることなどからすれば,被告による契約解除によって事業者である原告には現実に損害が生じているとは認められないし,これら事情のもとでは,販売業者である原告に通常何らかの損害が発生しうるものとも認められない。
原告は,本件売買契約の対象車両は既に確保していたとするが,それを認定するに足りる証拠はない上,仮にそうであったとしても,被告に対してそのことを告げていたとは認められないし,また,被告の注文車両は他の顧客に販売できない特注品であったわけでもなく,被告は契約締結後わずか2日で解約したのであるから,その販売によって得られたであろう粗利益(得べかりし利益)が消費者契約法9条の予定する事業者に生ずべき平均的な損害に当たるとはいえない。
もっとも,厳密に言えば,原告が取引業者との間で対象車両の確保のために使用した電話代などの通信費がかかっているといえないこともないが,これらは額もわずかである上,事業者がその業務を遂行する過程で日常的に支出すべき経費であるから,消費者契約法9条の趣旨からしてもこれを消費者に転嫁することはできないというべきである。

 
(3) したがって,本件特約条項③に基く本件違約金請求は,消費者契約法9条1号により許されない。

賃貸借の償却規定って有効ですか?

(賃貸借における償却規定の有効性)
私は、建物を借りてクリーニング店を営んでいますが、別の場所に移転します。今の建物を返すにあたり、大家さんは、契約書にある償却規定にもとづいて、2か月分の賃料相当額を保証金から償却すると言われています。こういう償却規定は有効なんでしょうか。

1 結論
償却規定は有効です。

 

2 理由
保証金の償却は、賃借人の使用による設備の償却費を一部賃借人に負担してもらうという趣旨で取り決められています。
これ自体に、合理性が認められないというわけではありません。
賃借人が消費者である場合には、別途消費者契約法上の救済措置があるかもしれませんが、事業者の場合は、厳しいというのが実際です。

 

2 判例
①東京地方裁判所判決/平成15年(ワ)第22201号、平成16年(ワ)第18783号
②東京地方裁判所平成18年(ワ)第4215号、平成18年(ワ)第10284号精算金請求事件平成19年4月13日

 

いずれの判例も、保証金乃至敷金の償却規定を有効と判断しています。

老朽建物の賃貸借契約を解約したい

私は、親から相続した築50年の長屋式住居を賃貸しています。老朽化した長屋式住居から借家人に出て行ってもらい、新しい賃貸物件を建築したいのですが、どうしたら良いですか。

賃貸家屋が朽廃し、およそ建物としての効用を失っている場合には、建物賃貸借契約が終了し、借家人に出て行ってもらうことができます。
しかし、朽廃まで至らないけれども、保安上危険がある程度に老朽化した建物の場合は、問題があります。

 

家主側の解約申出は、旧借家法1条の2の「正当事由」がある場合にはじめて有効となります。
したがいまして、特に家主側に敷地利用の差し迫った事情が無い限り、借家人に立退料を支払う必要があります。
立退料の金額は、一概には決められませんが、環境によっては、100万円~200万円程度になる場合もあるようです。

 

立退料を払いたくない方は、粘り強く交渉し、代替家屋を提供したり、新しく築造する建物への入居を認めたりして、借家人と円満な解決を結ぶべきでしょう。

運行供用者責任に関する新しい判例

(要旨)
20歳女子が父親所有乗用車を乗り出し、飲酒、泥酔したため、一緒に飲酒の親しい友人が女子を車に乗せて、車を運転、帰宅途中の本件事故につき、泥酔していたとはいえ、友人の運転には「女子の容認があった」、娘が乗り出した以上、所有者父の「容認の範囲内にあったと見られてもやむを得ない」と、女子車所有者・女子の父に運行供用者責任を認めた。

 

(判旨)
これらの事実によれば、女子は、父から本件自動車を運転することを認められていたところ、深夜、その実家から名古屋市内のバーまで本件自動車を運転したものであるから、その運行は父の容認するところであったと解することができ、また、女子による上記運行の後,飲酒した女子が友人等に本件自動車の運転をゆだねることも,その容認の範囲内にあったと見られてもやむを得ないというべきである。そして、女子は、電車やバスが運行されていない時間帯に、本件自動車のキーをバーのカウンターの上に置いて泥酔したというのであるから,客観的外形的に見て、本件運行について、運行供用者に当たると解するのが相当である。
以上によれば、本件運行について父が運行供用者に当たらないとして女子の請求を棄却した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨はこの趣旨をいうものとして理由があり、原判決は破棄を免れない。そして、女子が父に対する関係において法3条にいう「他人」に当たるといえるかどうか等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととする。

 

(所感)
審級毎に判断が分かれる微妙な事案だったのでしょうが,運行供用者責任は,盗難の場合など相当限定された場合にしか否認されないですので,上記最高裁判決も予想の範囲内でしょう。

 

最高裁平成20年9月12日判決

会社に与えた損害と保証

従業員に入社させる際、我が社では、社員から、「会社に損害を与えた場合には損害賠償責任を負担する。」という念書を作成し、両親を連帯保証人として署名してもらっています。
今般、入社歴20年の社員が身勝手な判断をして会社に大損害を与えたので、両親に責任追及しようと思っていますが、問題は無いでしょうか?

1 結論
連帯保証債務につき両親の同意がない限り、両親からは払ってもらえないことになります。但し、上記念書を3年ごとに取り付けている場合には、金額は制限されますが、払ってもらえます。

 

2 理由
身元保証法では、
身元保証の存続期間の上限を5年に定めています。
しかも、きちんと5年間と定めておかないと3年に制限されてしまいます。

 

本件では、入社歴20年の社員ということになりますから、
上限を5年と定めていても、保証責任を追及できないということになります。

 

したがって、社員からは、3年ごと乃至5年ごとに念書を差入させることが必要となります。

 

なお、上記のような期間の問題がクリアされたとしても、
損害額の一部しか請求できない場合もありますので、
予め理解しておく必要があります(一切の事情を考慮して裁判所が決めます。)。

搭乗者傷害条項で救済される事例(新しい最高裁判決)

(事案)
Aは、平成14年12月18日午後9時50分ころ、
高速道路で、普通乗用自動車を運転中、運転操作を誤って、
車両を中央分離帯のガードレールに衝突させるなどし、
車両は、走行不能になり、走行車線と追越車線とにまたがった状態で停止した。
その付近には街路灯等がなく、暗かった。
Aは、すぐに本件車両を降り、小走りで走行車線を横切って道路左側の路肩付近に避難したが、
その直後に本件車両と道路左側の路肩との間を通過した後続の大型貨物自動車に接触、
衝突されて転倒し、
更に同車の後方から走行してきた大型貨物自動車によりれき過されて死亡した。
運転手の遺族が、保険会社に対し、自家用自動車保険契約の搭乗者傷害条項に基づいて死亡保険金の支払を請求した。

 

(判決の要旨)
以上の事案につき、最高裁(平成19年5月29日 判例時報1989号131頁)は、
搭乗者傷害条項に基づく保険金支払の請求を認めました。
要するに、車に乗っていることが必須の条件ではなく、運行起因事故と死亡との間とに相当因果関係がある場合は、広く被保険者を保護するべきという結論です。
事故後に降りた状況が重要ということになります。

 

(判決)
本件搭乗者傷害条項によれば、保険金は、「被保険自動車の正規の乗車装置等に搭乗中の者」(被保険者)が、「被保険自動車の運行に起因する急激かつ偶然な外来の事故(運行起因事故)により身体に傷害を被り、その直接の結果として死亡した場合」に支払われることになっている。
Aは、被保険自動車である本件車両を運転中、運転操作を誤り本件自損事故を起こしたというのであるから、Aは被保険者に、本件自損事故は運行起因事故にそれぞれ該当する。
そして、①Aは、本件自損事故により、本件車両内にとどまっていれば後続車の衝突等により身体の損傷を受けかねない切迫した危険にさらされ、その危険を避けるために車外に避難せざるを得ない状況に置かれたこと、②Aの避難行動は、避難経路も含めて上記危険にさらされた者の行動として極めて自然なものであったと認められること、③上記れき過が本件自損事故と時間的にも場所的にも近接して生じていることから判断しても、Aにおいて上記避難行動とは異なる行動を採ることを期待することはできなかった。そうすると、運行起因事故である本件自損事故とAのれき過による死亡との間には相当因果関係があると認められ、Aは運行起因事故である本件自損事故により負傷し、死亡したものと解するのが相当である。

トラック運転手と休憩時間

トラック運転手に対して与えなければならない休憩時間について教えて下さい。

 

1 休憩時間の原則
まず、トラック運転手に限らず、1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上、の休憩時間を与えなければなりません。

 

2 いつ休憩を与えればいいか
始業から終業までの間に任意の時間で入れられます(労基法43条1項)。分割も制限されていません

 

3 休憩時間の一斉付与の原則は除外される
運送業については、休憩時間の一斉付与の原則が排除されています(労基規則31条)。
したがって、事業場全体で何時から何時と定める必要もありません。

 

4 手待ち時間を休憩時間に充てられるか
使用者の指揮監督にあり、労働者が自由に使えない時間は、労働時間です。
したがって、トラック運転手の手待ち時間も又労働者が自由に使えないので労働時間にあたります。

 

逆に、指揮監督から外れ、労働者が自由に使える時間は休憩時間です(昭39.10.6基収第6051号)。
したがって、
たとえば、積荷の到着間隔が確実に30分を超えるような場合、トラック運転手に対し、
「何時から何時までを休憩時間とします。何時には職場に戻って、積荷が届いたらすぐ作業できるよう待機してください」など指示を出し、
事前に休憩時間を指定すれば、
その時間を労働時問から除外することも可能になります。
しかし、後から、待機時間の一部を休憩時間にするような対応はできません。

財産分与や慰謝料請求の期限は?

私は、夫に不倫がばれて、夫と離婚することになりました。
しばらくは実家にいたのですが、今は一人暮らしを始め、勤め始めました。
ある人から、不倫をしていても、財産分与は認められるはずだと言われました。
もう離婚から2年半が経過していますが、今から、請求することは可能でしょうか?

1 不倫をしていても財産分与は認められます
まず、財産分与は、それまで二人で築いてきた共有財産を分割する手続ですから、不倫をしていようが、いまいが、財産分与ができることは間違いありません。
したがって、あなたも、財産分与の請求ができました。

 

2 財産分与の除斥期間は2年です
しかし、離婚成立から2年が経過すると、財産分与は請求できなくなります(民法768条2項)。
これは、除斥期間といわれていますが、その期間が過ぎると何があっても請求できなくなるものと考えて頂きたいと思います。
あなたの場合、2年半が経過していますので財産分与は残念ながら請求できないのです。

 

3 離婚慰謝料請求の時効は3年です
あなたが不倫したことを元の旦那さんが知っている場合、旦那さんから離婚慰謝料を請求される場合があります。
その場合の時効は3年です。財産分与の2年よりも長いのです。
したがって、財産分与を請求したためにかえって慰謝料請求を受け、100万円~300万円程度(事案によりますので、明確なことは申し上げられません。)の損害賠償をしなければならなくなる可能性があります。
どうぞ気をつけて下さい。

競売による建物のオーナーチェンジ

建物を借りていたところ、大家さんが破産してしまいました。
建物には抵当がついていたので、競売されましたが、落札をした不動産業者から、即刻立ち退いて欲しいと言われています。
私としましては、敷金も納めていることですし、居座ることができたらいいと思っています。
何とかならないでしょうか?

1 結論
抵当権が設定されるよりも前に建物を借りていた場合
退去する必要はありません。

 

抵当権が設定された後に建物を借りた場合
→退去しなければなりませんが、6か月間の明渡猶予がなされます。

 

2 説明
①建物を借りた時期が抵当権設定より前だと、賃貸借が優先します(対抗できるといいます)。
これに対し、②抵当権設定より後だと、賃貸借が劣後します。
このように、抵当権設定時期というのは非常に重要なのです。
①の場合は、そのまま借り続けることもできますし、新しい賃貸人に対し、敷金の返還を請求することもできます。
②の場合も、すぐに退去しなければならないわけではありません。
民法395条1項には、建物買受人の買い受けの時点から6か月を経過するまでは、建物を買受人に引き渡さなくても良いと規定されています。ただ、賃料相当額の金銭の支払いを賃借人が免れる道理はありませんから、無料で建物に住める訳ではないことに注意しましょう。

 

3 活用
以上のように、建物賃借は危険が伴います。
大家に抵当権が設定されているかとかローンを返し終わっているか確認してから入居する必要があります。
また、競売物件を購入する場合、抵当権に劣後する賃借人がいる場合は、退去させることが比較的容易であるため比較的割安であることもあります。

相続放棄について教えて下さい

父が多額の債務を負ったまま無くなりました。相続放棄をしたいと思いますが、 具体的には何をしたらいいのですか?

1 相続が開始した場合,相続人は次の三つのうちのいずれかを選択できます。

 

単純承認
相続人が被相続人(亡くなった人)の土地の所有権等の権利や借金等の義務を
すべて受け継ぐ

 

相続放棄 
相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない

 

限定承認
被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,
相続人が相続によって得た財産の限度で
被相続人の債務の負担を受け継ぐ

です。

 

2 相続人が,2の相続放棄又は3の限定承認をするには,
家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。

 

3 相続放棄の申述は,
自己のために相続の開始があったことを知ったときから
3か月以内にしなければならないと定められています。

 

4 相続放棄の申述は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
に申し立ててもらいます。

 

5 申述に必要な費用
申述人1人につき収入印紙800円
連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。)

 

6 申述に必要な書類
相続放棄の申述書1通
申述人の戸籍謄本1通
被相続人の除籍(戸籍)謄本,住民票の除票各1通

最新の道路交通法改正

平成20年6月に道路交通法が改正されました。シートベルトの点について改正があったようですが、正確なところは分かりません。教えて下さい。

①シートベルトの後部座席での着用義務

自動車の運転者は、全ての座席について、
シートベルトを装着しない者を乗車させて自動車を運転してはいけません。

 

違反の場合 : 違反点数1点(当面は、高速道路及び自動車専用道路に限る。)
※罰則・反則金はございません(平成20年6月30日現在)。
※後部座席のシートベルト装着義務違反は、
高速道路及び自動車専用道路に限り、
違反点の対象です。

 

②75歳以上の者及び聴覚障害者の保護
75歳以上の者及び聴覚障害者は、
普通自動車を運転する場合、
「高齢運転者標識」、「聴覚障害者標識」
を表示しなければなりません。

 

また、これらの標識を表示した普通自動車に対する幅寄せ等が禁止されています。
対象者が高齢運転者標識・障害者運転者標識を表示しなかった場合

 

2万円以下の罰金又は科料
反則金は4千円
違反点数1点です。

 

③普通自転車の歩道通行可能要件の明確化

こういった場合、自転車も歩道を通行できます。

道路標識等で指定(歩道通行可)された場合
運転者が児童・幼児(13歳未満の子ども)の場合
運転者が70歳以上の場合
運転者が身体に障害のある場合
車道又は交通の状況からみてやむを得ない場合

主要な点は以上です。外にも細かい改正があります。

重要なのは、後部座席での着用義務です。
高速道路では必ず忘れないように心がけたいものです。

 

条文
第七十一条の三  自動車(大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、道路運送車両法第三章 及びこれに基づく命令の規定により当該自動車に備えなければならないこととされている座席ベルト(以下「座席ベルト」という。)を装着しないで自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため座席ベルトを装着することが療養上適当でない者が自動車を運転するとき、緊急自動車の運転者が当該緊急自動車を運転するとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

 
2  自動車の運転者は、座席ベルトを装着しない者を運転者席以外の乗車装置(当該乗車装置につき座席ベルトを備えなければならないこととされているものに限る。以下この項において同じ。)に乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、幼児(適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有するものを除く。以下この条において同じ。)を当該乗車装置に乗車させるとき、疾病のため座席ベルトを装着させることが療養上適当でない者を当該乗車装置に乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

 
3  自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であつて、道路運送車両法第三章 及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

過失割合について

事故を起こして車が壊れましたが、相手の方が悪いのに あなたにも過失割合があると言われて、賠償金が減らされました。 過失割合って何ですか? どうやって決めるのですか?。

過失割合というのは、
交通事故が起きた原因を双方の過失の割合で数字で表したものです。
加害者:被害者=8割:2割などです。
過失割合については
判例タイムズ社が出版している
「民事交通訴訟における過失相殺基準の認定基準」
東京地裁民事第27部編
による判例に照らして割合が決められます。

 

この本は、市販されていますので、
大都市の書店なら手に入れることができます。

 

殆どの類型がこの本で網羅されていますので、
自分がどの類型にあたるのか
探してみて下さい。
又、相手方が過失割合を主張する場合は、
この本の何頁に該当するか教えてもらうようにして下さい。

 

類型がないような事故やちょっと特殊じゃないかと思われる事故については、
弁護士に相談されるのが良いでしょう。

財産分与と退職金(行列のできる法律相談)

1 先日、行列のできる法律相談を見ていて、大変驚きました。
以前は、よく見ていた番組で、私も弁護士として、妻の前でコメントをしていましたが、回答者間でも まちまちの結論が出るし、私の答えとも食い違い、余り愉快ではなく、最近はほとんど見なくなりました。
とはいえ、島田新助とタレントや回答弁護士の掛け合い部分は面白く、たまに見ることがありました。

 
2 先日たまたま見ていた、設定テーマの中に、退職金が財産分与の対象になるかというものがありました。
実務上では、離婚に関してある程度詳しい弁護士なら当然知っていることなのですが、4人の回答弁護士の答えは、財産分与の対象になるとするものが2人、ならないとするものが2人で、結論として財産分与の対象になる確率は40%という答えでした。

 
3 しかし、これはかなり酷い内容です。私は必ず、退職金請求権は財産分与の対象に加えています。この点につき判例もあります。

 
4 近い将来に退職金が出る事が確実であれば、財産分与の対象となることは、誰でも理解できます。ところが、退職までには間があるケースでは、勤務先の退職金規定では退職金が貰える事になって いる場合でも、本当にその金額がもらえるか不確かな場合はあり得ます。
倒産するかもしれない、リストラされるかもしれない、退職金規程が変わるかもしれない、等確かに不確定要素があるからです。

 
5 この点につき、古くは判例も、退職までまだ間があり、退職金の受給に関して不確定要素が多い場合には、財産分与の対象とはならないという立場をとっていました。弁護士もそのように考えてきました。

 
6 退職金は給料の後払いなので、夫婦共有財産の分割を認める財産分与制度の本質から考えて、財産分与の対象にならないと本来おかしいのです。
但し、将来受け取るとしても、まだ手にしていない退職金をすぐに支払えと言うのはおかしいわけで、名古屋高等裁判所で、平成12年12月に、「夫の定年退職まで8年余りあり、退職手当の受給に ついて確実ではないので、定年退職時に貰える予定の退職金の額を、現時点での財産分与に含める 事はできないが、将来、夫が退職して、現実に退職金を受給した時に妻に対して財産分与として支払 え」という内容の判断が出されました。

 
7  この判決の原審である名古屋地方裁判所では、実は定年退職時に貰える予定の退職金の額を、現時点での財産分与に含める内容だったのです。
実は、私は、この男性から相談を受け、確かに名古屋地方裁判所の判決はおかしいと思い、全面的 にバックアップして、名古屋高等裁判所の判決が出されたのです。

養育費はいくらもらえますか?

夫と別れることになったのですが、子供を2人抱えており、夫から養育費をもらう必要があります。
夫は、実際に養育にかかる費用は2人併せても9万円程度であり、それ以上払うつもりはないと言っています。
しかし、高給取りの夫ならもう少し出してほしいのですが、どうしたら良いでしょうか?

養育費は、それぞれの年収によって決まります。
その算定方法につきましては、次の図を見て下さい。
養育費の算定表(PDF)

 

この図の見方ですが、
まず、子供が何人か、子供の年齢がいくつかで表を決めます。
次に、養育費を支払う方の年収がいくらか(縦軸)
支払われる方の年収がいくらか(横軸)見ます。
縦軸と横軸が重なり合ったところが、養育費の相場となります。
特殊性は基本的に考慮されないと思って差し支えないと思います。
上記図に基づいて、算定した養育費を夫に示してみてはどうでしょうか?
もし、これに夫が応じない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てるなどした方が良いと思います。

ほったらかしにした代金

龍神株式会社は、 建材の販売、建築工事の下請を業としている会社です。 以前、大工の立浪さんに頼まれて建材を販売したり(50万円) 工事を下請したりしたことがありましたが(30万円) 立浪さんからは、資金繰りが悪いので待って欲しい、 と懇願されました。 龍神はとりあえず毎月請求書を送っていましたが、 立浪さんからは音沙汰がなく3年程そのままにしていました。
ある日、龍神の社員が帰宅途中、
高級外車に乗る立浪さんを目撃し、問い詰めたところ、
立浪さんはもう払わなくていいはずだ、というのです。
立浪さんには、
龍神から貸付金(10万円)もあるのにひどい話です。
もしかして時効なんですか。

時効は一律10年では?と思われている方も多いのではないでしょうか。
実は、時効は取引によって様々な期間と定められています。

 

たとえば、龍神の立浪さんに対する債権は、建材の販売代金(2年)、
工事の下請代金(3年)、会社からの貸付金(5年)です。
したがって、本件では、建材の販売代金の回収は無理なのです
(但し、後述の債務承認の方法なら回収できます。)

 
それにしても、龍神は立浪さんに毎月請求書を送っていたはずです。
これは全く意味が無かったのでしょうか。

 
結論から言うと、
普通の請求書を何枚送っても、法律上時効中断にはなりません。
このように請求書を送ることは、「催告」といいますが、
催告には、時効を中断するような効果はありません。
せいぜい時効を僅かに先送りにする程度の効果しかないのです。
たとえば、時効前に立浪さんに到着するよう内容証明で請求書を送付し、
なおかつそれから6ヶ月以内に龍神が裁判を起こさないと、時効が到来してしまうのです。

 
上記の方法では、龍神も金と手間がかかり大変です。
もっと容易に時効を中断させる方法は、「債務の承認」です。
これは、文書・口頭を問わず、債務者から債権の存在を認める言動を引き出すこととお考え下さい。
例えば、立浪さんに一部でも債務を払ってもらったり、いずれ払うから、と言わせれば、
債務の承認となり、時効が中断するのです。
さらに、時効がたとえ到来してしまったとしても、
債務者による債務承認があれば、時効を防げる場合もありますので、
諦めずに対応して下さい。

 

債務者にどういうことをしてもらえばいいか、
その証拠をどうやってとっておけばいいかについては
法律家にご相談下さったほうがよいです。
もちろん、最も重要なのは時効前に相談することです。
早めのご相談をお願いします。

不動産の売却先を業者に探してもらう時は!

保有不動産を売却する時には、
不動産業者との間で「媒介契約」を締結します。

 

「媒介契約」とは、簡単に言えば、
不動産を購入する客を捜してきて売買契約が成立するよう
仲介する契約を言います。

 

一般に、不動産の媒介契約には、3種類あります。
専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約
いずれかを依頼者が選択することができます。

 

①専属専任媒介契約
特定の不動産業者に仲介を依頼し、
他の不動産業者に重ねて依頼することができない契約です。
依頼者は、自分で購入希望者を見つけることはできません
②専任媒介契約
①とほぼ同じですが、
自分で購入希望者を見つけることはできます。

 

③一般媒介契約
複数の不動産業者に重ねて仲介を依頼でき
自分で購入希望者を見つけることもできます。

 

①に行くほど不動産業者が真剣に購入者を見つけてくれるイメージでしょうか。
逆に①に行くほど依頼者の拘束は大きく
安易に解除できなくなるわけです。
(不動産業者の方の豆知識)
なお、媒介契約締結の際には、
消費者保護の点から
国土交通省は、住宅宅地審議会の答申をふまえ
「標準媒介契約約款」を作成し、告示しています。
宅地建物取引業者が媒介契約書を作成する場合においては、
宅地建物取引業法施行規則第15条の7第4号により、
「標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別」を
契約書に記載しなければならないことになっています。
宅地建物取引業者が媒介契約書を作成する場合に
「標準媒介契約約款」を使用しないことも可能です。
→契約をチェックする必要があります。

遺留分って何ですか?

私は夫と子供の3人暮らしでしたが、
夫は私達を残して亡くなってしまいました。
夫の遺言書を見つけたので開封したところ、
全ての財産を慈善団体に寄付する、という内容でした。
私は専業主婦でしたので、
夫の遺産を頼りにせざるを得なかったのですが、
このような遺言だと何も私には何の権利もないのでしょうか?

遺留分とは、子や妻の遺産に対する期待を保護し、
生活を補償する趣旨で設けられた制度です。
貴方とお子さんには遺留分があります。
したがって、他に相続人がいないことを前提としますが、
遺留分減殺請求をして、
貴方とお子さん合わせて遺産の2分の1を取り戻すことが可能です。
一刻も早く遺留分減殺請求権を行使することが必要です。
その具体的方法については、専門家にお尋ねになった方が無難です。

誰が何割相続するのか?

先日、長年連れ添ってきた夫が亡くなりました。
夫と私との間には子供はいません。
夫とは再婚で、以前のことは余り知りませんが、
長年連れ添った私が夫の財産を全て相続できるのでしょうか。

1 まずは遺言を確認
亡くなられた旦那さんは、遺言を作成していなかったでしょうか?
まずは、公正証書でも自筆証書でも遺言がないか
確認してみて下さい。

 
2 法定相続分
遺言がない場合、民法が定める順番により、
遺産相続の内容が決まります。

本件では、貴方との間の子供がいないようですが、
前妻との子供がある場合、
子供と貴方とで、1/2ずつ遺産を分けることになります。
又、子供がいなくても、旦那さんの親が健在の場合、
2/3を貴方が、1/3を親が遺産を取得します。
なお、子供も親もいないが、兄弟がいる場合、
3/4を貴方が、1/4を兄弟が遺産を取得するのです。
※但し、代襲相続には注意が必要です。
子供も親も兄弟もいない場合は、貴方の単独相続になります。

 
3 確認方法
相続人の範囲がはっきりしない場合は、
専門家に依頼して、相続関係図を作成してもらうと良いです。
戸籍謄本を出生から死亡まで取り寄せ、
相続人の有無を確認するのです。
したがいまして、このような確認作業抜きに相続分を結論づけることは
できないのです。

早く被害弁償をしましょう

息子が酔っぱらって見ず知らずの人と喧嘩をして
その人に怪我をさせたということで
警察に逮捕されてしまいました。
何とか息子を助けてやってくれませんか?

突然のことでさぞ驚いていらっしゃるでしょうが、
冷静な対処が必要です。
まず、やらなければならないのは、
息子さんに事情を聴き、
怪我をさせた方に被害弁償をするということです。
非のない被害者こそ最初に救済されるべきです。
対応が遅れれば、溝は深まるでしょう。

 
被害弁償の結果、被害者が息子さんを許すこともあります。
そのときに、被害弁償をしたこと、息子さんを許したこと
を証拠として、捜査機関に提出する必要があります。
どのような書類を用意すべきか、
弁護士に相談して、きちんと書類を取り付けたいものです。

賃借人が置いていった荷物は捨てていいの?

数ヶ月分の家賃を払ってくれなかった賃借人がようやく立ち退いてくれました。
しかし、新居に持って行けない荷物を残してそのまま出て行ってしまいました。
残していった荷物を捨ててしまってもいいでしょうか?

残していった荷物も、賃借人の所有物ですから、
賃借人に了解をもらえなければ、
原則として、訴訟を提起し、執行手続きを経る必要があります。
手続を経ないで、捨てたり、もらったりすると、
形式的には器物損壊とかに該当する可能性があります。
賃借人に連絡がとれるなら、
荷物を収去するよう原状回復の請求をし、
それが出来ない場合は
廃棄を承諾するよう請求します。
連絡が取れない場合は、
やむをえませんので、
きちんとした法的手続きをとることが無難です。

未公開株にはご注意!

「とっておきの情報があるが、興味はないか。」という勧誘の電話の後、自宅を訪ねてきた販売員に、「今この会社の未公開株を買えば、半年後には上場して100万円の出資に対して70万円の儲けが加わり、170万円になる」と説明され、100万円で未公開株を購入しました。
その後、「別の会社の未公開株を50万円で買えば、4倍になる」と同じ販売員に再度勧誘され、応じてしまいました。
実際に儲かるか不安になったので解約して返金してほしいのですが。

まず、お金を出す前にやるべきなのは、
勧誘した会社が証券業の登録を受けている証券会社か否か調べることです。
未公開株の売買を営業として行うことができるのは、
証券業の登録を受けている証券会社のみです。
したがって、
勧誘してきた会社がそれに該当しなければ
違法なのです。

 
登録の有無は、金融庁のホームページで確認して下さい。
証券会社を騙るケースもありますので、
実際にHP上の証券会社の連絡先に問い合わせて
そのような勧誘員がいるか、聴いてみるのも良いです。

 
また、証券会社においては、
日本証券業協会の自主ルールにより、
グリーンシート銘柄
http://www.jsda.or.jp/html/greensheet/kaisya/gaiyou.html
以外の未公開株の勧誘は原則として禁止されています。
したがって、グリーンシート銘柄の株式かどうかも
調べてみると良いです。

 

お金を払ってしまった場合は、
上場予定がないのに上場予定と不実告知をしたことにより
消費者契約法上の救済手段がありますので
法的手続をとったり、
又、警察署に相談したり、
迅速に行動する必要があります。

自分で遺言書を書くときに気をつけることは・・・

自分で遺言書を作成するときは、次のことを忘れないで下さい。
(自筆証書遺言 民法968条1項)
①全文自署して下さい。
×ワープロで財産目録を作った
×自署した遺言をコピーして、その上に署名・押印した
△添え手は無効となる可能性があります

 
②作成年月日を書いて下さい。
×1年前の日付を記入
×○月吉日

 
③署名して下さい

 
④捺印して下さい(認め印でも良い)
→指印でも良いですが、争いのもとです(死後、対照できない)。
以上が自筆証書遺言の要件です。
なお、間違ったときなどの加除訂正は厳格です。
訂正箇所に印を押し、欄外に○字加入、○字削除と書いた上で、署名する必要があります
(民法968条2項)

上場していない株式は譲渡できますか?

私は、ある会社の取締役を務めている時に、
会社の株式を100株持っていました。
このたび、取締役を退任することになったのですが、
会社は株式を引き取ろうとしません。
この会社は上場していませんが、株式を譲渡できますか?

まず、株式は自由に譲渡できるのが原則です(会社法127条)。
もっとも、会社の定款で
「株式の譲渡による取得については会社の承認を要する。」
などと、譲渡制限がうたってある場合、
会社(取締役会乃至株主総会)の承認が必要となります。

 
譲渡制限がある場合、
株式の譲渡ができなくなるわけではありません。
単に、
譲渡の際、承認が必要なだけです。
会社が承認しない時は、
会社が買い取るか、会社が指定する人物が買い取ることに
なります(会社法140条)。
会社が責任を持って譲渡先を決めない場合は、
あなたが譲渡したいと思っている人に譲渡することができることになります。

離婚のときにもらえるものって何ですか?

結婚してから10年ですが、夫が浮気をしているようです。
愛想が尽きましたので離婚したいと思っていますが、
専業主婦ですし子供もいますので、
離婚後の生活が心配です。
夫からどんな補償をもらえますか。

離婚の際に夫から取得できるものとしては、
①財産分与
②慰謝料
③養育費
④年金分割
が挙げられます。

 

まず、①財産分与ですが、
夫婦が結婚後に二人で築き上げた共有財産を分けるものです。
絶対ではないですが、おおむね共有財産は2分の1ずつに分けられます。

 

次に、②慰謝料ですが、
まず、相手側に離婚に至る原因があったかなかったが問題になります。
その原因が証明されないと、請求できません。
したがって、浮気を主張するにも動かぬ証拠が必要です。

 

③養育費については、
自分と相手の年収を比較して、
又、子供の数に応じて
金額が決められています。

 

④年金分割
これは、
結婚から離婚時までの期間に対応する年金(基礎年金部分を除く)を
分割するもので、その割合は2分の1と決められています。

 

以上のように、補償は様々ですが、具体的な金額は
個々の事案に応じて千差万別ですので、
専門家との相談が必要となります。

サラ金の借金が雪だるま式に増えた

10年前からサラ金数社に借金があり、最近、利息が払えずにどうしようもなくなってしまいました。破産しかないでしょうか?

昔からの借金があるなら、場合によっては借金がゼロになり、 破産が回避できるかもしれません。 うまくいけば、サラ金からお金を取り戻せるかもしれません。

 

まずは、サラ金会社に対して、 自分の借入・返済の履歴を開示してもらい、 その履歴を下に、利息計算をしてみる必要があります。 当事務所では、迅速にサラ金会社から取引履歴を取り付け、 債務整理を実現致します。

従業員が交通事故を起こしたら・・・

従業員にマイカー通勤を認めていたところ、
その従業員が帰宅途中、おじいさんと接触事故を起こし、
おじいさんに大怪我をさせてしまいました。
従業員はマイカーに任意保険をかけていませんでした。
おじいさんから会社も被害弁償に応じるよう言われていますが、
対応する必要がありますか?

無関係の会社が払う必要は全く無い筈!と思われるかもしれません。
しかし、会社が従業員にマイカーを業務に使うことまで認めていた場合は、責任を免れません。
その場合、社有車と使用実態が殆ど変わらないからです。
では、マイカーの使用が通勤に限定されていた場合はどうでしょうか。
残念なことに、裁判例ははっきりしないというのが実情です。
原則として、マイカー通勤の事故について、会社の責任は否定されています。
しかし、場合によっては、肯定されます

 
福岡地裁飯塚支部では、
会社員のマイカー通勤途上の事故につき、
会社も社員によるマイカー通勤を容認し、通勤手当も支給しているといった理由から、
会社の責任を肯定する旨の判決が下されました。

 
他方、別の裁判所では、
あくまでも電車・バスといった公共交通機関による通勤が基本であり、マイカー通勤が例外であって、通勤手当としても、定期代代わりの通勤手当が支給されていたにすぎない事案で、
会社が積極的にマイカー通勤を認めていないという理由により、
会社の責任を否定する判決が下されています。

 
積極的にマイカー通勤を認めていないなら会社の責任が否定されやすいということでしょう。

 
なお、規則でマイカー通勤を全面禁止していても、事実上黙認している場合には、会社が責任を負うとされた事例がありますので、注意が必要です。

 
以上のように会社が責任を負う可能性がゼロではない以上、次の対策を講じる必要があるでしょう。
①自動車通勤を許す場合には、マイカーに任意保険をかけるよう指導を徹底する。
②会社がマイカーの保険加入の有無をチェックする。
従業員にしてみても、任意保険に加入していなかったために
莫大な損害賠償責任を一生背負い続けていくことになるのですから、
任意保険への加入強制は従業員のためにもなるのです。

借金返済のため家計が苦しく困っています。負担を軽減する方法はありませんか。

借金の整理を行う手段としては、主に『任意整理』、『破産・免責申立』、『個人再生手続き』(民事再生法)の各手続きがあります。

 

安定した収入があり、借入件数が少ない場合で、なるべく裁判による手続きを行いたくない方であれば任意整理という方法がとれますが、安定した収入があっても、それだけでは債務全額を返済できない方には、借金の一部を大幅に免除してもらう民事再生手続きが有効です。

 

収入が不安定な方、債務の額が大きすぎる方の場合、破産申立を検討せざる得なくなる可能性が高いと言えます。

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