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片岡法律事務所
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名古屋の弁護士Q&A

私は一軒家を賃貸していますが、最近家賃の支払いが滞っています

私は一軒家を、62歳と56歳の夫婦に賃貸しています。
夫の方は建築関係の仕事をしていましたが、月5万円の家賃が滞りだして、1年分を滞納しています。
催促をしても、最初は申し訳ありません、と言っていましたが最近は開き直っています、裁判をするつもりですが、強制執行がかなり難しいと聞いていますが、その内容を教えて下さい。

ご回答
最近、建物明渡の強制執行を、三年続けてしましたが、強制執行期日に現地を訪れる時は、いつも緊張します。相手方が抵抗して暴れることもないとはいえません。

ところで、強制執行をするためには、その前提として債務名義(確定判決、和解調書、執行認諾文言付き公正証書等)が必要です。さらに、その判決等が相手方に送達されたことの証明(送達証明書)をとった上、これに執行文を付与してもらわなければなりません。

その上で、裁判所の民事執行の受付に申立書を提出します。

申立にあたり、添付書類として執行文付きの債務名義等を付け、執行官に支払われる費用等に充てるための予納金(約10万円)を裁判所に納めます。  
予納金を納めると、すぐに担当執行官から連絡が来て、第1回目の明渡しの催告の日と、第2回目の引渡し期限を決めます。最近、強制執行件数が減少し、執行官の人数も減少し、地方の裁判所だと、執行官が常駐しておらず、複数の裁判所の支部を掛け持ちしていますが、かなりスピーディーに進めてくれます。

明渡しの催告の日には、執行官と、弁護士、申立人本人(貸主)が対象建物へ行きますが、相手方が不在の場合があります。この場合、申立人が入口の合い鍵を持っていない場合は、鍵屋さん(鍵を開ける業者)を手配しなければなりません。通常、執行官が手配してくれます。但し、その費用は負担しなければなりません。

当日は、建物内に入り、執行官が、現況確認し、相手方に、引渡期限等を定めた催告書を渡して、1ヶ月以内の強制執行実施予定日を伝えます。引渡期限までに出て行かないと、明渡を実行し、室内の動産類は、1ヶ月以内に指定された期日までに、引き取らなければ競売手続きによる売却処分する旨伝えます。しかし、私が立ち会った事例では、すべて相手方から、残置した動産の所有権を放棄する旨の同意書に、署名捺印してもらっています。

引渡期限の日にも、執行官と弁護士、申立人本人、鍵屋さんとで、対象建物に行きます。その日には相手方はその建物から出なければならず、執行官が相手方に建物外に出るよう伝えます。今までの例では、相手方はこれに応じて退去しています。

退去させた後、相手方が再び入り込まないようにするため、ぜひ鍵屋さんに依頼して、入口の鍵は交換してもらって下さい。なお、心配がある時は、入口に板などを十字に打ち付けることもあります。
勿論、相手方が無断で入り込むと、住居侵入の犯罪が成立します。

月刊東海財界2020年2月号掲載

又貸し物件において転貸人が破産した場合の対応

【転貸人が破産した場合の対応】
弊社は,ある建物の又貸しを受けています。
賃貸人(A)→賃借人=転貸人(B)→弊社(どちら?)
 (破産管財人)
先般,転貸人(B)が破産し,その破産管財人から賃料を支払うよう請求がありました。
その後,賃貸人(A)の弁護士から,弊社に対し,民法613条に基づいて賃料を支払うように請求がありました。
弊社としましては,どちらに支払って良いか分かりません。どうしたら良いでしょうか?

【ご回答】
1 東京地裁平成14年12月27日判決によると,「 ア まず、民法613条1項は、転借人が賃貸人に対して直接に義務を負う旨を定めただけで、転貸人に対する義務に優先しあるいは先んじて賃貸人に対して義務を負う旨定めているものではないし、民法364条のように債権の優先・劣後の関係が生じる場合に準用される民法467条2項の規定も準用されていないから、文理上、賃貸人の転借人に対する賃料請求が転貸人の転借人に対する賃料請求に優先するものと解すことはできない。」と判示しています。
上記判旨をふまえれば,賃貸人Aからの請求があった後でも,貴社が転貸人B(破産管財人)に支払ってしまえば賃料支払義務は消滅すると考えられます。
もっとも,上記判旨はあくまで東京地裁という下級審が下した判断であり,他に判決も見当たらないため,確定的な裁判例と言うことまではできません(リスクは否定できません。)。

 
2 以上より,貴社としては,ABどちらに支払っても良いという結論になりますが,今後も当該建物を借り続けたいならば,賃貸人Aと交渉し,賃貸人Aに賃料を払うべきでしょう。
というのも,賃貸人Aとしては,賃借人(転貸人)Bから賃料を得られないため,契約が解除されてしまうことは明らかであって,賃貸人からの請求を拒絶することで,貴社が確実に当該物件から退去しなければならない結論になるからです。

 
3 逆に,もう建物を明け渡すというならば,転貸人B(管財人)に対して転借料を支払い,同時に寄託請求(破産法70条)を行うのが合理的だと思われます。

賃料を減額できないという合意は有効か

弊社は,大家さんから建物を借りて10年以上前から店舗を運営していますが,賃料が高すぎるように思えてきました。
賃料の減額交渉をしたいと思って,大家さんと交渉しているのですが,大家さんからは,契約書に「借地借家法32条はこれを適用しない」という条項があるから,減額交渉したいなら,一旦賃貸借契約を解約しないとダメだと言われています。
どう対応したら良いでしょうか。

(ご回答)
借地借家法32条は,いわゆる強行法規であり,賃貸借契約上適用が排除されていても,無効です。
強行法規というのは,当事者でこれに反する合意をしても,合意が無効となる法規を指します。
したがって,上記のような強行法規に反する条項があっても,強行法規が優先しますので,借地借家法32条が適用され,減額交渉は可能です。
もちろん,一旦賃貸借契約を解約する必要もありません。
賃貸借契約では,このような強行法規が沢山あるため,契約書上適用が排除されていても適用される可能性があるため,諦めずに相談して頂きたいものです。

抵当権の設定をするなら土地・建物両方をとろう

債権の担保のため,債務者の不動産に抵当権を設定しようと思っています。うわさでは,土地だけ抵当権を設定しておけばいい,建物はどちらでもいい,と聴きますが,その通りでしょうか。

1 結論
もし,建物が建っている土地にだけ抵当権を設定した場合,土地を競売しても大変な損をします。抵当権を設定するなら,土地と建物両方に登記を設定して下さい。また,保存登記が無い建物についても保存登記をして必ず抵当権を設定して下さい。

 

2 理由
建物が建っている土地にだけ抵当権を設定した場合(建物・土地ともに債務者の所有だったと仮定します。),債務者がお金を払えずに抵当権を実行すると,建物には法定地上権が成立する場合があります。
法定地上権は賃借権のようなものだと理解して下さい。
このため,競売しても,土地は,更地としての価値がありませんので,大幅に価値が下がります。よって債権回収に当たっては,土地だけに抵当権を設定するというのは完全な誤りです。
なお,建物が未登記であったとしても,この法定地上権は成立することになりますから,債務者に保存登記をさせた上で,抵当権を設定する必要があります。ご注意下さい。

賃貸物件の管理~物件を貸す際に行うこと

私は,建物賃貸を業としている会社に勤めていますが,退去する賃借人に原状回復を求めると,よく「借りた当初から汚れていた,壊れていた」と主張され,困ることがあります。どうしたら良いでしょうか。

1 結論
借りる前の部屋の写真を撮影したり,賃借人から最初に部屋の汚損や器具の破損の有無について確認書をとるなどして,トラブルを防止しましょう。

 

2 理由
基本的に,賃借人は,借りた物件が破損・汚損していたらこれを元通りにして賃貸人に返還する義務があります。
これを原状回復と言いますが,「元」がどうであったかが争いになると水掛け論となり非常に面倒なことになります。
したがって,当初の部屋の状態を写真におさめるか(もちろん,日付が写真に入るようにして下さい。),賃借人から部屋の汚損や器具の破損が無い旨の立会い確認書をとるようにして,後日の紛争を防止する必要があります。
高額な賃料の物件ほど,争点が多くなりますので,きちんと事前の対応をする必要があります。
貴社がこのような体制を一旦とるだけで上記のようなトラブルは無くなると思います。
以上
※本記載は平成24年5月31日現在の法律・判例を前提としていますので,その後の法律・判例の変更につきましてはご自身でお調べ下さい。

差し押さえることのできる財産

相手方に対して,お金を払ってもらおうと思いますが,相手方の財産を差し押さえることはできますか。

1 結論
判決・公正証書等により債権が確定していれば,裁判所に申立てをして,相手方の財産を差し押さえることができます。
また,債権が確定していなくても,相手方が勝手に財産を第三者に売ったり隠匿しないように,やはり裁判所に申立てをして,財産を仮に差し押さえ保全することができます
但し,法律上差押えができない動産や債権がありますので,注意してください。
たとえば,給料・退職金の一部,生活必需品(衣服,寝具,家具,台所用品等),中退共からの退職金は差し押さえることができないので,ご注意ください。

 

2 理由
まず,あなたが相手方に対して有している権利は,裁判所等の機関によって,公的に確定してもらえなければ,財産を差し押さえる等執行することはできません。
一般には裁判をおこし,裁判所の判決によって認められる必要があります。もっとも当該権利について公正証書が作成されているならば,これを以て相手方の財産を差し押さえることが可能です。
判決等をとった後,初めて相手方の財産を差し押さえることになりますが,差し押さえる対象の財産には一定の制限があります。
それは,給料の4分の1以上は差し押さえられないとか,退職金の4分の1以上は差し押さえられないとか(民事執行法152条),生活必需品と見られる動産については,債務者の最低限の生活を守るため,差押禁止となっています(民事執行法131条,132条)。なお,法律上特別に差押禁止となっている財産としては中退共の退職金があります。同退職金は法律上差押えが禁止されており(但し,税金滞納の場合は除きます。),一切差押えをすることができません(中小企業退職共済法20条)。
もっとも,これらについて銀行預金に一旦振り込まれてしまうと,差し押さえることができる場合もあります。
以上
※本記載は平成24年5月25日現在の法律・判例を前提としていますので,その後の法律・判例の変更につきましてはご自身でお調べ下さい。

破産から保証金を守る

破産から保証金を守る

顧問会社で商社のX社の総務課課長さんが弁護士の下を訪れました。
我が社は,準ゼネコンのY社から,Y社所有のビルの3階を借りて,名古屋支店を置いています(賃料月30万円)。
この度,Y社が破産するという弁護士からの通知がありました。
たまたま,我が社は,通知があった半年後にこのビルを退去することになっていたのですが,保証金を300万円ほどいれています。
保証金は戻ってくるのでしょうか。
また,保証金が戻ってこないとすると,半年間の賃料を払うのもバカバカしいのですが,何とかならないのでしょうか。

3つのシナリオ
弁護士 今回の保証金の話ですが,場合を分けてご説明する必要があります。
①最悪のシナリオ~退去前にビルが売れず,かつ何らの法的な対処もしない場合です。
②最善のシナリオ~退去前にビルが売れた場合です。
③次善のシナリオ~退去前にビルが売れなくとも,法的な対処をすることで①を避ける場合です。

 

①最悪のシナリオ
弁護士 まず,何もせず,しかも,ビルが第三者に任意売却されることもなく,御社がビルを退去することになった場合,御社の保証金は殆ど戻ってこなくなります。

 

課長 破産の通知が来ても誠実に家賃を払っている我々にとっては,あまりにむごい仕打ちではありませんか?

 

弁護士 そうですよね。しかし,保証金返還請求権を特別扱いしたら,他の債権者からはどうして?と疑問が出るでしょうね。

 

課長 なるほど。他の債権者も低い配当となるのですからしょうがない,ということですか。

 

②最善のシナリオ~棚からボタ餅
弁護士 しかし,運良く御社が退去する前にビルが任意売却されると,保証金は全額戻ってくることになります。

 

課長 え!どういうことですか?

 

弁護士 実は,保証金返還請求権は,賃貸借契約にお供をする権利なのです。したがって,御社の退去前にビルが任意売却されると,買った第三者に御社との賃貸借契約が引き継がれますが,保証金返還請求権もこれにお供して引き継がれますから,その第三者が払う必要が出てきます。

 

弁護士 賃借人の立場で言ったら当然のことですよね。保証金が新しいオーナーに引き継がれないとしたら,賃借人の関係の無いところで,保証金を回収できなくなってしまいますから。他方,新オーナーは,買うときに,いくら保証金を返せばいいか,預かっている保証金額を旧オーナーに尋ねることができますから,不合理ではありません。

 

課長 なるほど。でも,我が社が退去した後に売れた場合には引き継がれない,というのも変な話ですね。

 

弁護士 あくまで賃貸借契約にお供する,ということからすると,賃貸借契約が終わってしまうと,お供しなくなるわけですね。

 

弁護士 いずれにせよ,第三者が御社の退去前にビルを買ってくれれば,御社の損失はゼロです。

 

課長 しかし,それでは運任せになりますよね。

 

弁護士 そこで,③の話をさせて頂きます。

 

③次善のシナリオ~寄託請求

 

 

弁護士 ①で述べましたように,御社が何も手を打たずに,放置しておくと,賃料は退去までしっかり払わされるわ,保証金は殆ど戻ってこないわ,ひどい結果となります。そこで,「寄託請求」をして頂くと良いです。

 

課長 一体何ですか?

 

弁護士 要するに,「これから納める賃料を預かっておいて下さいね。退去するときに,保証金額を上限として,納めた賃料分を返してもらいますよ。」という制度です。破産法70条に規定されています。

 

課長 我が社のケースでは,保証金全額は戻ってこないとしても,これから払う30万円の賃料の半年分を確実に返してもらえる,ということでしょうか。

 

弁護士 その通りです。寄託請求の理屈を簡単に説明しましょう。賃貸借契約が終わり,借りていたものを返す際,未払賃料があったら保証金に当然に充当されます。寄託請求をすると,寄託された賃料は毎月の賃料に充当されなかったことになります。寄託請求しておかないと,毎月払うお金は毎月の賃料に充てられたことになり,保証金から差し引くべき未払賃料が存在しないことになります。

 

課長 難しいですが,何となくは理解できました。いずれにしても,知らないと大損になるところでした。

 

弁護士 寄託請求をする賃借人は,ほぼ皆無に近いです。ご相談頂いて本当に良かったです。

土地区画整理と賃貸借

<土地区画整理と賃貸借>

Xは,酒屋を営んでいる。
Xの先代は,昭和10年頃に,土地100㎡を借りて,木造建物を建築した。
しかし,昭和30年に火災で建物が焼失し,現在の建物(木造)はその当時に建築されたものである。
Xの先代も,賃貸人も死亡し,それぞれの子に相続がされている。
地代は,付近の相場より安い1㎡あたり300円である。
今回,土地区画整理事業が始まり,Xは来年度には建物を収去しなければならなくなったが,賃貸人からは,退去や買取を要望される可能性があるが,どう対応したら良いか。
なお,Xに支払われる補償金は,1000万円程度である。

1 土地区画整理事業と土地賃貸借契約
土地区画整理で仮換地が指定されると,土地の所有者や借地権者は,従前の土地に対する使用収益件を停止され,仮換地指定の効力発生日から仮換地を使用収益できる権能を取得します(土地区画整理法99条1項)。

(仮換地の指定の効果)
第九十九条  前条第一項の規定により仮換地が指定された場合においては、従前の宅地について権原に基づき使用し、又は収益することができる者は、仮換地の指定の効力発生の日から第百三条第四項の公告がある日まで、仮換地又は仮換地について仮に使用し、若しくは収益することができる権利の目的となるべき宅地若しくはその部分について、従前の宅地について有する権利の内容である使用又は収益と同じ使用又は収益をすることができるものとし、従前の宅地については、使用し、又は収益することができないものとする。

借地権者は,仮換地に建物を移転しなければなりません。
土地については,従前の土地と換地とが同一とみなされますが(土地区画整理法104条),建物は同一のものとみなされるという規定がありません。
そのため,賃貸借契約との関係で建物をどうするか検討する必要があります。
たとえば,今時,と思われるかも知れませんが,①建物をそのまま移動させる場合(建物を曳いていくことが昔はあったようです。),建物は従前の建物と何一つ変わることがありませんから,土地賃貸借契約は従前通りであり,何らの影響も無いことになります。
これに対し,②建物を解体して,換地でそのまま再築する場合は,判例上,建物の同一性は失われるとしています(最高裁昭和62年7月9日判決)。もちろん,③建物を取り壊し,換地に新築する場合は,建物の同一性はありません。
上記②③の場合,土地賃貸借契約に影響があります。
借地法7条,借地借家法7条には,次のような規定があります。

第7条 借地権ノ消滅前建物カ滅失シタル場合ニ於テ残存期間ヲ超エテ存続スヘキ建物ノ築造ニ対シ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ借地権ハ建物滅失ノ日ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ30年間、其ノ他ノ建物ニ付テハ20年間存続ス 但シ残存期間之ヨリ長キトキハ其ノ期間ニ依ル
(建物の再築による借地権の期間の延長)
第七条  借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失(借地権者又は転借地権者による取壊しを含む。以下同じ。)があった場合において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造するにつき借地権設定者の承諾がある場合に限り、借地権は、承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から二十年間存続する。ただし、残存期間がこれより長いとき、又は当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間による。
 借地権者が借地権設定者に対し残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造する旨を通知した場合において、借地権設定者がその通知を受けた後二月以内に異議を述べなかったときは、その建物を築造するにつき前項の借地権設定者の承諾があったものとみなす。ただし、契約の更新の後(同項の規定により借地権の存続期間が延長された場合にあっては、借地権の当初の存続期間が満了すべき日の後。次条及び第十八条において同じ。)に通知があった場合においては、この限りでない。

今回のケースでは,借地法が適用されますので,これを前提にしますと,賃貸人の異議がない場合は,堅固建物については,30年,非堅固建物については,20年,賃貸期間が延長されることになります。
なお,賃貸人が異議を述べても,元来の土地賃貸借契約の存続期間内であれば,そのまま再築建物のための借地権に適用されます。そうすると,借地法4条,6条の問題となり,正当事由や自動更新の話になります。正当事由の判断ですが,土地区画整理に基づく建物収去は,自らが希望した場合や,過失で建物を滅失させた場合とは違うので,この点は,プラスに評価されると思われます。

(借地法)
第4条 借地権消滅ノ場合ニ於テ借地権者カ契約ノ更新ヲ請求シタルトキハ建物アル場合ニ限リ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 但シ土地所有者カ自ラ土地ヲ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘタルトキハ此ノ限ニ在ラス
第6条 借地権者借地権ノ消滅後土地ノ使用ヲ継続スル場合ニ於テ土地所有者カ遅滞ナク異議ヲ述ヘサリシトキハ前契約ト同一ノ条件ヲ以テ更ニ借地権ヲ設定シタルモノト看做ス 此ノ場合ニ於テハ前条第1項ノ規定ヲ準用ス
ちなみに,賃貸人から,地代の増額請求の可能性があることに注意が必要です。土地区画整理により,土地の利用価値が高まる場合があるからです。

(土地区画整理法)

(地代等の増減の請求等)
第百十三条  土地区画整理事業の施行に因り地上権、永小作権、賃借権その他の土地を使用し、若しくは収益することができる権利の目的である土地又は地役権についての承役地の利用が増し、又は妨げられるに至つたため、従前の地代、小作料、賃貸借料その他の使用料又は地役権の対価が不相当となつた場合においては、当事者は、契約の条件にかかわらず、将来に向つてこれらの増減を請求することができる。
 前項の規定により従前の地代、小作料、賃貸料その他の使用料又は地役権の対価の増額の請求があつた場合において、同項に掲げる権利を有する者は、その権利を放棄し、又は契約を解除してその義務を免かれることができる。

 

2 結論
Xにおいて土地を買い取ることについては,賃貸借期間の存続を前提に,任意の交渉をされればよいというお答えしかできません。その場合,路線価の借地権価格が参考になるのではないでしょうか。
退去については,Xがすぐに退去を迫られるようなことではありませんが,将来の更新時期に紛争が生じることもありますので,リスクがあることは事実です。少なくとも,賃貸人との交渉経過を保存しておいた方が良いと思われます。再築後,建物買取請求権を行使するというのも不可能ではありません。

放置車両の撤去法

私は,一般の方に駐車場を貸しています。
賃借人のYは,車を置いたまま,行方不明になってしまい,1年が経過しています。
賃料の支払いも当然滞っています。
Yに連絡をとろうにも,携帯電話や自宅電話は通じません。
車を撤去したり,未払賃料を払ってもらうためには,どのようにしたらいいのでしょうか。

1 結論
その1 Yに対して訴訟を提起することができます。弁護士を通じて交渉することもできます。
その2 車が所有権留保されているならば,所有者名義人に対して,車両の撤去及び未払賃料の支払いを請求するべく,訴訟提起する余地があります。

 

2 理由
その1は,張本人であるYに対する請求です。
問題は,Yをどのように見つけ出すかですが,Yの住民票が移っている場合には,弁護士ならば,移転先の住民票を取り寄せることができます。住民票によって,移転先のYの所在を確認し,Yと交渉したり,訴訟提起することが可能となります。
住民票によってもYの移転先が不明な場合は,公示送達等の手段で訴訟を提起することが可能です。もっとも,この場合,Yの資力はあてにできませんので,撤去費用や未払賃料の回収は事実上不可能になります。

 

その2は,車検証上,オートローン会社が所有権者として名を連ねているような場合です。
張本人のYが相手ではないので,一定の条件を満たす必要があります。
大まかに言うと,オートローンの残債務全額の弁済期が到来している場合は,撤去義務等をオートローン会社が負担します。

 

3 判例
最高裁平成21年03月10日判決は,「動産の購入代金を立替払した者が,立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において,買主との契約上,期限の利益喪失による残債務全額の弁済期の到来前は当該動産を占有,使用する権原を有せず,その経過後は買主から当該動産の引渡しを受け,これを売却してその代金を残債務の弁済に充当することができるとされているときは,所有権を留保した者は,第三者の土地上に存在してその土地所有権の行使を妨害している当該動産について,上記弁済期が到来するまでは,特段の事情がない限り,撤去義務や不法行為責任を負うことはないが,上記弁済期が経過した後は,留保された所有権が担保権の性質を有するからといって撤去義務や不法行為責任を免れることはない。」と判示しています。
最高裁判例へリンク
つまり,オートローン会社も巻き込むことができる,という判例です。

共有者同士の使用をめぐる争いについて

(共有者の共有者に対する明け渡し請求)
Xは,父と父所有の家にただで住んでいました。
父が死亡し,兄弟であるX,Y,Zが相続人となりました。
遺産分割の話し合いで,この家は,X,Y,Zが3分の1ずつ所有することになり,その旨の登記もしました。
しかし,XとY,Zの折り合いが悪くなり,Y,Zは,3分の2の持分に基づいて,Xに対し,家の明け渡し請求訴訟を提起しました。
Xは,家から出なければいけませんか?

1 結論
Xは,家の明け渡しに応じる必要はありません。

 

2 理由
X,Y,Zはいずれも家の共有者であり,共有者から家を使用する共有者に対して,明け渡しを求めることはできません。
その理由は,共有者は,その持分の大小にかかわらず,共有物全体を使用することができるからです(民法249条)。
Y,Zは,争い方を考える必要があります。

 

3 判例
最高裁判例 昭和41年05月19日は,共有物の持分の価格が過半数をこえる者が共有物を単独で占有する他の共有者に対して共有物の明渡請求をすることができない,と判示しています。
最高裁判例へリンク

(最高裁判例サイト)

賃貸借の償却規定って有効ですか?

(賃貸借における償却規定の有効性)
私は、建物を借りてクリーニング店を営んでいますが、別の場所に移転します。今の建物を返すにあたり、大家さんは、契約書にある償却規定にもとづいて、2か月分の賃料相当額を保証金から償却すると言われています。こういう償却規定は有効なんでしょうか。

1 結論
償却規定は有効です。

 

2 理由
保証金の償却は、賃借人の使用による設備の償却費を一部賃借人に負担してもらうという趣旨で取り決められています。
これ自体に、合理性が認められないというわけではありません。
賃借人が消費者である場合には、別途消費者契約法上の救済措置があるかもしれませんが、事業者の場合は、厳しいというのが実際です。

 

2 判例
①東京地方裁判所判決/平成15年(ワ)第22201号、平成16年(ワ)第18783号
②東京地方裁判所平成18年(ワ)第4215号、平成18年(ワ)第10284号精算金請求事件平成19年4月13日

 

いずれの判例も、保証金乃至敷金の償却規定を有効と判断しています。

老朽建物の賃貸借契約を解約したい

私は、親から相続した築50年の長屋式住居を賃貸しています。老朽化した長屋式住居から借家人に出て行ってもらい、新しい賃貸物件を建築したいのですが、どうしたら良いですか。

賃貸家屋が朽廃し、およそ建物としての効用を失っている場合には、建物賃貸借契約が終了し、借家人に出て行ってもらうことができます。
しかし、朽廃まで至らないけれども、保安上危険がある程度に老朽化した建物の場合は、問題があります。

 

家主側の解約申出は、旧借家法1条の2の「正当事由」がある場合にはじめて有効となります。
したがいまして、特に家主側に敷地利用の差し迫った事情が無い限り、借家人に立退料を支払う必要があります。
立退料の金額は、一概には決められませんが、環境によっては、100万円~200万円程度になる場合もあるようです。

 

立退料を払いたくない方は、粘り強く交渉し、代替家屋を提供したり、新しく築造する建物への入居を認めたりして、借家人と円満な解決を結ぶべきでしょう。

競売による建物のオーナーチェンジ

建物を借りていたところ、大家さんが破産してしまいました。
建物には抵当がついていたので、競売されましたが、落札をした不動産業者から、即刻立ち退いて欲しいと言われています。
私としましては、敷金も納めていることですし、居座ることができたらいいと思っています。
何とかならないでしょうか?

1 結論
抵当権が設定されるよりも前に建物を借りていた場合
退去する必要はありません。

 

抵当権が設定された後に建物を借りた場合
→退去しなければなりませんが、6か月間の明渡猶予がなされます。

 

2 説明
①建物を借りた時期が抵当権設定より前だと、賃貸借が優先します(対抗できるといいます)。
これに対し、②抵当権設定より後だと、賃貸借が劣後します。
このように、抵当権設定時期というのは非常に重要なのです。
①の場合は、そのまま借り続けることもできますし、新しい賃貸人に対し、敷金の返還を請求することもできます。
②の場合も、すぐに退去しなければならないわけではありません。
民法395条1項には、建物買受人の買い受けの時点から6か月を経過するまでは、建物を買受人に引き渡さなくても良いと規定されています。ただ、賃料相当額の金銭の支払いを賃借人が免れる道理はありませんから、無料で建物に住める訳ではないことに注意しましょう。

 

3 活用
以上のように、建物賃借は危険が伴います。
大家に抵当権が設定されているかとかローンを返し終わっているか確認してから入居する必要があります。
また、競売物件を購入する場合、抵当権に劣後する賃借人がいる場合は、退去させることが比較的容易であるため比較的割安であることもあります。

不動産の売却先を業者に探してもらう時は!

保有不動産を売却する時には、
不動産業者との間で「媒介契約」を締結します。

 

「媒介契約」とは、簡単に言えば、
不動産を購入する客を捜してきて売買契約が成立するよう
仲介する契約を言います。

 

一般に、不動産の媒介契約には、3種類あります。
専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約
いずれかを依頼者が選択することができます。

 

①専属専任媒介契約
特定の不動産業者に仲介を依頼し、
他の不動産業者に重ねて依頼することができない契約です。
依頼者は、自分で購入希望者を見つけることはできません
②専任媒介契約
①とほぼ同じですが、
自分で購入希望者を見つけることはできます。

 

③一般媒介契約
複数の不動産業者に重ねて仲介を依頼でき
自分で購入希望者を見つけることもできます。

 

①に行くほど不動産業者が真剣に購入者を見つけてくれるイメージでしょうか。
逆に①に行くほど依頼者の拘束は大きく
安易に解除できなくなるわけです。
(不動産業者の方の豆知識)
なお、媒介契約締結の際には、
消費者保護の点から
国土交通省は、住宅宅地審議会の答申をふまえ
「標準媒介契約約款」を作成し、告示しています。
宅地建物取引業者が媒介契約書を作成する場合においては、
宅地建物取引業法施行規則第15条の7第4号により、
「標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別」を
契約書に記載しなければならないことになっています。
宅地建物取引業者が媒介契約書を作成する場合に
「標準媒介契約約款」を使用しないことも可能です。
→契約をチェックする必要があります。

賃借人が置いていった荷物は捨てていいの?

数ヶ月分の家賃を払ってくれなかった賃借人がようやく立ち退いてくれました。
しかし、新居に持って行けない荷物を残してそのまま出て行ってしまいました。
残していった荷物を捨ててしまってもいいでしょうか?

残していった荷物も、賃借人の所有物ですから、
賃借人に了解をもらえなければ、
原則として、訴訟を提起し、執行手続きを経る必要があります。
手続を経ないで、捨てたり、もらったりすると、
形式的には器物損壊とかに該当する可能性があります。
賃借人に連絡がとれるなら、
荷物を収去するよう原状回復の請求をし、
それが出来ない場合は
廃棄を承諾するよう請求します。
連絡が取れない場合は、
やむをえませんので、
きちんとした法的手続きをとることが無難です。

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