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片岡法律事務所
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名古屋の弁護士Q&A

相続した共有物の時効取得

私は,母から母が住んでいた不動産を相続しましたが,登記をする際,その不動産が母の単独所有ではなく,母と弟(私からすると叔父)の共有名義であることを知りました。
叔父も亡くなっていますので,どうして共有名義になっているかはわかりませんでしたが,特に私が住む分には困らないため,そのまま住み始めて20年経過しましたが,時効の主張はできますでしょうか?

1 ご回答
(1)長く占有していれば自分の物になるわけではありません。
まず,他人の物を長期間占有しているだけで時効取得ができるわけではありません。
たとえば,賃料を払って30年建物を借りている人が時効で建物所有権を得られる訳ではありません。時効を主張するためには,自主占有と言って,「所有の意思をもってする占有」がなければなりません。賃借している場合はあくまで他人の物を借りているという認識しかありませんから,こういった占有のことを,自主占有と対比して他主占有と言います。
共有物の場合も,占有していても他人の共有持分部分について自主占有と言うことはできず,他主占有だと言えます。
したがって,お母様は,自主占有をしていたとは認められず,お母様が時効取得していた余地はありません。

 
(2)相続で自主占有となる場合は限られています。
では,相続したご相談者の方が時効取得する余地はあるか,ですが,原則的にはお母さんの占有を相続によって承継したという立場ですので時効取得することはできません。
したがって,相続をする際に,共有であることを全く知らず,もっぱらお母様の所有物であることを信じ,固定資産税を支払ったり,その物からの収益を一方的に行ったりしていたような自主占有と認めるべき特別な事情がない限りは,時効取得できないものと考えていただく必要があると考えます。
弟さん側の相続人が不動産に興味が無い場合には当該相続人から相続分の譲渡を無償で受けるなどして,解決していくのがよいだと思います。

 

2 参考判例
最高裁昭和46年11月30日判決
「被相続人の死亡により、相続財産の占有を承継したばかりでなく、新たに相続財産を事実上支配することによつて占有を開始し、その占有に所有の意思があるとみられる場合においては、被相続人の占有が所有の意思のないものであつたときでも、相続人は民法185条にいう「新権原」により所有の意思をもつて占有を始めたものというべきである。」

最高裁平成8年11月12日判決
「これに対し、他主占有者の相続人が独自の占有に基づく取得時効の成立を主張する場合において、右占有が所有の意思に基づくもの であるといい得るためには、取得時効の成立を争う相手方ではなく、占有者である当該相続人において、その事実的支配が外形的客観的にみて独自の所有の意思に基づくものと解される事情を自ら証明すべきものと解するのが相当である。
けだし、右の場合には、相続人が新たな事実的支配を開始したことによって、従来の占有の性質が変更されたものであるから、右変更の事実は取得時効の成立を主張する者において立証を要するものと解すべきであり、また、この場合には、相続人の所有の意思の有無を相続という占有取得原因事実によって決することはできないからである。
2 これを本件についてみるに、前記事実関係によれば、上告人Aは、Dの死亡後、本件土地建物について、Dが生前にCから贈与 を受け、これを上告人らが相続したものと信じて、幼児であった上告人Bを養育する傍ら、その登記済証を所持し、固定資産税を継続 して納付しつつ、管理使用を専行し、そのうち東門司の土地及び花月園の建物について、賃借人から賃料を取り立ててこれを専ら上告 人らの生活費に費消してきたものであり、加えて、本件土地建物については、従来からCの所有不動産のうち門司市に所在する一団の ものとして占有管理されていたことに照らすと、上告人らは、Dの死亡により、本件土地建物の占有を相続により承継しただけでなく、 新たに本件土地建物全部を事実上支配することによりこれに対する占有を開始したものということができる。
そして、他方、上告人ら が前記のような態様で本件土地建物の事実的支配をしていることについては、C及びその法定相続人である妻子らの認識するところで あったところ、同人らが上告人らに対して異議を述べたことがうかがわれないばかりか、上告人Aが昭和47年に本件土地建物につき 上告人ら名義への所有権移転登記手続を求めた際に、被上告人Eはこれを承諾し、被上告人G及び被上告人Iもこれに異議を述べてい ない、というのである。右の各事情に照らせば、上告人らの本件土地建物についての事実的支配は、外形的客観的にみて独自の所有の 意思に基づくものと解するのが相当である。原判決の挙げる(1) Cの遺産についての相続税の修正申告書の記載内容について上告 人Aが格別の対応をしなかったこと、(2) 上告人らが昭和四七年になって初めて本件土地建物につき自己名義への所有権移転登記 手続を求めたことは、上告人らとC及びその妻子らとの間の人的関係等からすれば所有者として異常な態度であるとはいえず、前記の 各事情が存在することに照らせば、上告人らの占有を所有の意思に基づくものと認める上で妨げとなるものとはいえない。
右のとおり、上告人らの本件土地建物の占有は所有の意思に基づくものと解するのが相当であるから、相続人である上告人らは 独自の占有に基づく取得時効の成立を主張することができるというべきである。」

再婚したら養育費はどうなりますか?

【再婚したら養育費はどうなりますか?】
私は,元夫から,養育費として月5万円の養育費をもらっています。
今般,再婚することになり,再婚相手に子供と養子縁組してもらいました。元夫は,養子縁組をしたら,自分は養育費を支払う必要が無くなると言っていますが,本当なのでしょうか。

【ご回答】
1 裁判例
長崎家裁昭和51年9月30日審判は,「養親は未成熟子の福祉と利益のためにその扶養を含めて養育を全面的に引受けるという意思のもとに養子縁組をしたと認めるのが相当であり、このような当事者の意思及び養子制度の本質からいつて、事件本人に対する扶養義務は先ず第一次的に養親に存し、実親は養親が資力がない等の理由によつて充分に扶養義務を履行できないときに限つて第二次的に扶養義務(生活保持義務)を負うものと解すべきである」と判示し,再婚した先の家庭にかなりの収入があるので,元夫に養育費の負担を求めることはできない旨の判断をしています。
ただし,東京家裁平成2年3月6日審判のように,元夫側に2000万円ほどの収入があるケースで,元夫側の収入と元妻側(再婚相手を含む)の収入を考慮した上で養育費をゼロにすることなく,一定程度の減額に止めている例もあります。
なお,再婚しても養子縁組をしていない場合や再婚相手に収入が無い場合には養育費を負担しなければならないことになることは言うまでもありません(経済事情を考慮し,一定の増減があるかもしれませんが)。

 

2 ご相談者のケース
本件では,再婚相手の方の年収をふまえ,裁判所に判断してもらうことになりますが,再婚相手が子供の養育費を十分払える資力があれば養育費減額請求により養育費がゼロになるということも無い訳ではありません。
ただ,再婚相手の年収が低かったり,元夫の収入が高額であったりした場合には,積極的にこれを主張し,きちんと争うべきだと言えます。

お墓や仏壇は誰のものになるか?

【お墓,仏壇はどうなりますか?】
先日,母が亡くなりました。すでに父は亡くなっておりますので,私と弟の2人が相続人となります。私は名古屋に住んでいて,弟は実家の知多市に住んでいます。
遺産の分け方については私と弟で争いは全く無いのですが,知多市にあるお墓・仏壇については,弟が自分が取得したいと言って聴きません。
私としても,長男なのでお墓や仏壇を弟に譲れないと思っています。
お墓,仏壇がどちらのものになるか教えて下さい。

【ご回答】
1 民法の規定
民法897条には,次のような規定があります。
「第八百九十七条  系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
2  前項本文の場合において慣習が明らかでないときは、同項の権利を承継すべき者は、家庭裁判所が定める。」
お墓は「墳墓」,仏壇は「祭具」に該当しますが,これらの物は,①被相続人の指定,②慣習,③家庭裁判所による判断,という順番で決まります。
①の被相続人の指定は,遺言の形式による必要は無く,口頭,書面,明示,黙示の如何を問いません。
②の慣習というのは,地域や職業に特有な慣習があれば,それに則るというものです。慣習については,立証が難しい場合が多いです。

 

2 裁判所はどのように決定しますか
では,③家庭裁判所による判断はどのようになされるか,ですが,東京家裁平成21年3月30日審判では,「被相続人との身分関係や生活関係,被相続人の意思,祭祀承継の意思及び能力,祭具等との場所的関係,祭具等の取得の目的や管理の経緯,その他一切の事情を総合して判断すべきである。」と判示されていますので,色々な要素をふまえて裁判所がケース毎に判断をすることが分かります。

 

3 ご相談者のケース
本件では,亡くなられた母のご意思や,あなたと弟さんの祭祀承継の意思の強さ,祭具が知多市にあること,弟さんが祭具等を現在どのように管理してみえるか,従前の話合いの経過等をふまえ,裁判所が判断します。
弟さんの方が若干有利な事情がありますが(知多市で同居していること等),種々のご事情を確認し,アドバイスさせて頂きたいと思います。

相続財産の調査

【遺産の調査方法】
父が90歳で亡くなりました。父と同居していた兄が遺産分割に応じてくれません。そもそも,父にどんな遺産があったかも分かりません。遺産はどうやって調査したら良いのでしょうか。

【ご回答】
まずは,弁護士を通じて,お兄さんに遺産の開示をするよう(相続税申告書を提出させるのが有効です。),請求してみます。
このような請求をすれば,8割以上の相手方は正直に遺産の開示をすると思います。
万が一,相手方が遺産を開示しない場合は(また生前贈与がありそうなら),自ら調査するしかありません。
たとえば,不動産については,不動産があると思われる市町村の役場でお父様名義の固定資産の名寄せをして頂きます。固定資産税を扱う部署で,お父様と自分の身分関係が分かる戸籍を持っていけば,開示してもらえます(ただし,当該市町村にある不動産のみしか分かりませんので,ご注意下さい。)。これで不動産の概要が把握できます。
預貯金については,お父様が預金していそうな銀行の支店に行き,お父様の名前の預金が過去に無かったか問い合わせて下さい。
なお,預貯金については,生前贈与の有無を確認するため,過去10年間の取引履歴を取り付けると公平分割ができると思います。
その他の資産については,管理している会社に問い合わせ,同様に現在残高や取引履歴を開示して頂くのが良いと思います。
もちろん,弁護士による調査も可能ですが,かえって迂遠なこともありますので,事案に応じて柔軟に対応しております。

生命保険金と特別受益

既に母は亡くなり,今般,父も亡くなりましたが,父は弟を多額の生命保険金の受取人に指定していました。弟がもらえる遺産は生命保険金の分だけ減るのでしょうか?

1 結論
原則として,生命保険金は特別受益とならず,弟さんが取得する遺産額はその分減ることはありません。但し,遺産額に比べ生命保険金額がとても多い場合(たとえば遺産額と比較して生命保険金額がその6割以上であるような場合。1割程度なら特別受益に該当しない旨の判例はあります。),特別受益に該当する場合があります。特別受益に該当すれば,その分,弟さんの遺産取り分が減ることになります。

2 理由
生命保険の死亡保険金は,生命保険契約に基づき被相続人の死亡によって直接保険金受取人が取得することになります。したがって,死亡保険金は遺産に含まれず,原則として特別受益にもなりません。
しかし,最高裁平成16年10月29日判決では,「保険金の額,この額の遺産の総額に対する比率,保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係,各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して,保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には,同条の類推適用により,特別受益に準じて持戻しの対象となる。」と判示し,例外的に生命保険金の受領が特別受益になる場合があることを認めています。
下級審では,遺産額の6~7割程度の生命保険金について,特別受益と認めた判例がありますので,諦めずに,特別受益だと主張する必要があるでしょう。

相続や遺言について知っておくと良いこと

相続や遺言について知っておくべきことがあったら,ざっと教えてもらえませんか?

相続のお話し
遺言を書く人が増えています。なぜでしょうか。
少し前から,遺言に関する本がたくさん出ており,専用のコーナーを設けてある本屋さんも少なくありません。
かつては,遺言を書く方は少なかったのですが,最近は非常に増えています。
相続に関する人々の意識や人間関係も変わってきたためか,昔であれば内輪で解決できた(解決せざるをえなかった)事柄が,裁判所に持ち込まれることが多くなってきています。相続問題はその典型と言えるでしょう。

 
もし遺言がないとどうなるのでしょうか。
遺言がないと,残された方々全員(夫,妻,子,親,兄弟,甥姪,いろいろなパターンがあります)で,遺産を分ける話し合いをすることになりますが,残された方々の「取り分」は,法律で決まっています。
もちろん話合いで法律の取り分とは異なる合意(たとえば,ある人は1円ももらわないと決める。)をすることはできます。しかし,内輪の話合いで解決できず,調停や裁判の場に持ち込まれてしまえば,法律で決まっている「取り分」で解決することになります
しかし,法律は,一般的なきまりにすぎませんから,あなたのご家庭の事情をくみとった相続ができるとは限りません。なにより亡くなった方の意思とはまったく違う相続になってしまうことすらあるのです。

 
お子さんがいないご夫婦は・・・
たとえば,お子さんがいない夫婦の一方(たとえば夫)が亡くなった場合,夫の財産の1/4は夫の兄弟姉妹の取り分ということになってしまいます。自宅が夫名義である場合,自宅の時価の1/4のお金を寄こせ,と言われかねないのですが,そのことを知っておられる方は,少ないのではないでしょうか。
もちろん,その兄弟姉妹の方が「いらないよ」と言って書類に実印を押してくださればよいのですが,そのようなことを頼まなければいけないのも大変です。
このような場合でも,遺言があれば,わざわざ頭を下げてお願いせずとも,奥様に自宅や預貯金などの財産を残してあげることができます。

 
遺留分とは?
とはいえ,遺言に書けば,どんなことでも有効になるものでもありません。兄弟姉妹以外の相続人には「遺留分」という最低限の取り分があって,「息子に1円もあげたくない」といっても,ふつうはできません(遺留分放棄などの例外もありますが,裁判所の手続が必要となります)。

 
会社のオーナーさんは・・・
ですので,たとえば会社のオーナーさんが「子の一人を跡継ぎとして全株式を相続させたい」という場合には,ふつうは,他のお子さんの遺留分を別に確保しておく必要があります(遺留分放棄ができる場合は別です)。
もし遺言を残さず,株式を半分ずつ兄弟で相続すると,誰も過半数を有していないので,会社が何も意思決定できなくなってしまいます。このような事態を避けるためにも,遺言を残す必要があるのです。

 
遺言を書くかどうか? どう書くべきか?
ご説明したのはほんの一例であり,ご家庭の事情はそれぞれ違いますので,家族関係,財産状況,これからの生活などいろいろな事情を考慮したうえで,ご自身の意思を最大限に生かした遺言を作るためには,まずは法律の専門家である私ども弁護士にご相談いただければと思います。当事務所では,相続問題につきましては30分の無料法律相談を行っておりますので,お気軽にお問い合わせください。

特別縁故者にあたる場合

私の甥が莫大な遺産を残して亡くなりました。
甥は一生独身で,親兄弟も全員亡くなっていますが,私が甥の遺産を相続することはできますか。
ちなみに甥は癌になっていたのですが,私は毎日親代わりに看護していました。

1 結論
家裁の手続を経て,遺産の全部又は一部を取得できるかもしれません。

 

2 理由
相続人になりうるのは,民法上,配偶者,子(代襲,再代襲相続人を含む),親や祖父母などの直系尊属,兄弟姉妹(代襲相続人を含む)のみです。
したがって,死亡した本人から見て,叔父さんや従兄弟には相続権がありません。
但し,特別縁故者という制度があり,申し立てて要件が満たされれば特別な関係にある縁者に相続財産の一部又は全部が分与される場合があります。
したがって,叔父さんや従兄弟が特別縁故者にあたる場合には,相続財産が取得できることもあります。
特別縁故者に該当する場合ですが,具体的には,

 
①被相続人と生計を同じくしていた者
例えば,内縁の夫婦,事実上の養親子,子の妻

 
②被相続人の療養看護に努めた者
付添婦,看護婦など報酬をもらっていた人は除き,対価以上の看護をした者

 
③その他被相続人と特別な縁故があった者
生前,死後に縁故があった人です。

 
具体的には,被相続人が,遺言は作らなかったものの,死んだ後は●●に財産を渡す旨話をしていた,
生前の交流が多かった,
毎月1回会って金銭/衣類を仕送りした,
被相続人から援助を受けていた,
小遣いを渡していた,
近所迷惑があった際に代わりに謝罪しに行った,
葬儀を主催したり,墓を守ったり,遺産を管理したりした,
等々です。生前死後の関わりについて総合判断されて,決まります。
なお,密接度に応じて,与えられる財産額も増減します。

 
本件では,甥の療養看護をしていたようなので,特別縁故者に該当しそうです。ただ,療養看護の程度によっては,全額ではなく,一部の遺産を分与する形になると思われます。
申立人が多数に及ぶ場合は,自他共に認めるような縁故者がいないことの証左となり,否定される場合がありますので,注意が必要です。

成年後見人の選任が必要な場合

成年後見人の選任が必要な場合
夫の父が先日亡くなりました。そのため,夫の兄弟間で遺産分割を進めることになったのですが,あいにく夫は精神疾患のため,全く意思能力が無い状態です。
兄弟からは,妻である私が夫の代理で署名・押印してもらえれば良い,と言っていますが,兄弟からは不公平な割合での遺産分割案が提示されていて,私の力では手に余ります。
どうしたら良いですか?

1 結論
まずは,ご主人の成年後見人としてあなたを選任してもらう必要があります。その上で,あなたから弁護士に委任することができます。

 

2 理由
精神疾患等が理由で全く意思表示ができない場合は,有効な遺産分割を行うことはできません。
仮に,あなたがご主人の代わりに署名・押印しても全くの無効です。
有効な遺産分割協議を行うためには,まず,意思能力の無い方に代わって法律行為ができる「成年後見人」を選任してもらう必要があります。
成年後見人には,特にご家族の中でもめているといった事情が無い限りは,親族の方が就任することも可能です。逆に,親族間でもめているような場合には,弁護士などの専門家が就任することになります。
成年後見人選任には必要書類が多数ありますので,専門家や家庭裁判所でお問い合わせ頂けると幸いです。
成年後見人が選任されれば,その成年後見人が,各種の法律行為を行うことも可能となります。弁護士に依頼することも可能です。

相続放棄と生命保険金

夫が多額の借金を抱えて無くなりました。相続放棄をしたいと思いますが,生命保険金の受取人が,妻である私になっています。相続放棄をすると,生命保険金は受け取れなくなるのでしょうか。また,生命保険金を受け取ってしまうと,相続放棄ができなくなるのでしょうか。教えて下さい。

1 結論
受取人が被相続人以外であるならば,生命保険金を受け取っても,相続放棄には影響がありません。相続放棄後に生命保険金を受け取ることもできます。

 

2 理由
受取人が,亡くなった方以外の者に指定されている場合,生命保険契約は,第三者のためにする(民法537条)保険契約ということになり,指定された者が固有の権利として生命保険金を受け取ることができます。したがって,相続放棄があっても生命保険金は受け取れます。
また,生命保険金は相続財産に含まれませんから,生命保険金を受領しても,相続財産を処分したことにはならず,相続放棄が可能です。
但し,生命保険金の受取人が亡くなった方となっている場合,生命保険金は相続財産となり,これを受け取ると相続放棄ができなくなりますので,ご注意下さい(相続放棄をすると受け取れません。)。

 

3 判例
平成10年12月22日福岡高裁宮崎支部決定では,「本件保険契約では、被保険者の被相続人死亡の場合につき、死亡保険金受取人の指定がされていないところ、保険約款には、死亡保険金を被保険者の法定相続人に支払う旨の条項があるところ、この約款の条項は、被保険者が死亡した場合において被保険者の相続人に保険金を取得させることを定めたものと解すべきであり、右約款に基づき締結された本件保険契約は、保険金受取人を被保険者の相続人と指定した場合と同様、特段の事情のない限り、被保険者死亡の時におけるその相続人たるべき者である抗告人らのための契約であると解するのが相当である(最高裁第2小法廷昭和48年6月29日判決・民集第27巻第6号737頁)。かつ、本件においては、これと解釈を異にすべき特段の事情があると認めるべきものは、記録上窺われないし、抗告人らが本件保険契約による死亡保険金が被相続人のための契約と思い違いをしていても、これが特段の事情となるべきものではない。
そして、かかる場合の本件保険金請求権は、保険契約の効力が発生した被相続人死亡と同時に、相続人たるべき者である抗告人らの固有財産となり、被保険者である被相続人の相続財産より離脱しているものと解すべきである(最高裁第3小法廷昭和40年2月2日判決・民集第19巻第1号1頁)。
したがって、抗告人らのした熟慮期間中の本件保険契約に基づく死亡保険金の請求及びその保険金の受領は、抗告人らの固有財産に属する権利行使をして、その保険金を受領したものに過ぎず、被相続人の相続財産の一部を処分した場合ではないから、これら抗告人らの行為が民法921条1号本文に該当しないことは明らかである。」と判示しています。

相続人の範囲を知りましょう

親戚の方が亡くなりましたが,その人には,配偶者も子もいません。
また,一人っ子で両親も既に他界しています。
亡くなった本人から見て叔父にあたる人物に相続権はありますか。
また,亡くなった本人から見て従兄弟にあたる人物に相続権はありますか。

1 結論
いずれもありません。但し,特別縁故者にあたれば相続財産が取得できる場合もあります。

 

2 理由
相続人になりうるのは,民法上,配偶者,子(代襲,再代襲相続人を含む),親や祖父母などの直系尊属,兄弟姉妹(代襲相続人を含む)のみです。
したがって,死亡した本人から見て,叔父さんや従兄弟には相続権がありません。
但し,特別縁故者という制度があり,申し立てて要件が満たされれば特別な関係にある縁者に相続財産の一部又は全部が分与される場合があります。
したがって,叔父さんや従兄弟が特別縁故者にあたる場合には,相続財産が取得できることもあります。

共有者同士の使用をめぐる争いについて

(共有者の共有者に対する明け渡し請求)
Xは,父と父所有の家にただで住んでいました。
父が死亡し,兄弟であるX,Y,Zが相続人となりました。
遺産分割の話し合いで,この家は,X,Y,Zが3分の1ずつ所有することになり,その旨の登記もしました。
しかし,XとY,Zの折り合いが悪くなり,Y,Zは,3分の2の持分に基づいて,Xに対し,家の明け渡し請求訴訟を提起しました。
Xは,家から出なければいけませんか?

1 結論
Xは,家の明け渡しに応じる必要はありません。

 

2 理由
X,Y,Zはいずれも家の共有者であり,共有者から家を使用する共有者に対して,明け渡しを求めることはできません。
その理由は,共有者は,その持分の大小にかかわらず,共有物全体を使用することができるからです(民法249条)。
Y,Zは,争い方を考える必要があります。

 

3 判例
最高裁判例 昭和41年05月19日は,共有物の持分の価格が過半数をこえる者が共有物を単独で占有する他の共有者に対して共有物の明渡請求をすることができない,と判示しています。
最高裁判例へリンク

(最高裁判例サイト)

相続放棄について教えて下さい

父が多額の債務を負ったまま無くなりました。相続放棄をしたいと思いますが、 具体的には何をしたらいいのですか?

1 相続が開始した場合,相続人は次の三つのうちのいずれかを選択できます。

 

単純承認
相続人が被相続人(亡くなった人)の土地の所有権等の権利や借金等の義務を
すべて受け継ぐ

 

相続放棄 
相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない

 

限定承認
被相続人の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合等に,
相続人が相続によって得た財産の限度で
被相続人の債務の負担を受け継ぐ

です。

 

2 相続人が,2の相続放棄又は3の限定承認をするには,
家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。

 

3 相続放棄の申述は,
自己のために相続の開始があったことを知ったときから
3か月以内にしなければならないと定められています。

 

4 相続放棄の申述は、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所
に申し立ててもらいます。

 

5 申述に必要な費用
申述人1人につき収入印紙800円
連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。)

 

6 申述に必要な書類
相続放棄の申述書1通
申述人の戸籍謄本1通
被相続人の除籍(戸籍)謄本,住民票の除票各1通

遺留分って何ですか?

私は夫と子供の3人暮らしでしたが、
夫は私達を残して亡くなってしまいました。
夫の遺言書を見つけたので開封したところ、
全ての財産を慈善団体に寄付する、という内容でした。
私は専業主婦でしたので、
夫の遺産を頼りにせざるを得なかったのですが、
このような遺言だと何も私には何の権利もないのでしょうか?

遺留分とは、子や妻の遺産に対する期待を保護し、
生活を補償する趣旨で設けられた制度です。
貴方とお子さんには遺留分があります。
したがって、他に相続人がいないことを前提としますが、
遺留分減殺請求をして、
貴方とお子さん合わせて遺産の2分の1を取り戻すことが可能です。
一刻も早く遺留分減殺請求権を行使することが必要です。
その具体的方法については、専門家にお尋ねになった方が無難です。

誰が何割相続するのか?

先日、長年連れ添ってきた夫が亡くなりました。
夫と私との間には子供はいません。
夫とは再婚で、以前のことは余り知りませんが、
長年連れ添った私が夫の財産を全て相続できるのでしょうか。

1 まずは遺言を確認
亡くなられた旦那さんは、遺言を作成していなかったでしょうか?
まずは、公正証書でも自筆証書でも遺言がないか
確認してみて下さい。

 
2 法定相続分
遺言がない場合、民法が定める順番により、
遺産相続の内容が決まります。

本件では、貴方との間の子供がいないようですが、
前妻との子供がある場合、
子供と貴方とで、1/2ずつ遺産を分けることになります。
又、子供がいなくても、旦那さんの親が健在の場合、
2/3を貴方が、1/3を親が遺産を取得します。
なお、子供も親もいないが、兄弟がいる場合、
3/4を貴方が、1/4を兄弟が遺産を取得するのです。
※但し、代襲相続には注意が必要です。
子供も親も兄弟もいない場合は、貴方の単独相続になります。

 
3 確認方法
相続人の範囲がはっきりしない場合は、
専門家に依頼して、相続関係図を作成してもらうと良いです。
戸籍謄本を出生から死亡まで取り寄せ、
相続人の有無を確認するのです。
したがいまして、このような確認作業抜きに相続分を結論づけることは
できないのです。

自分で遺言書を書くときに気をつけることは・・・

自分で遺言書を作成するときは、次のことを忘れないで下さい。
(自筆証書遺言 民法968条1項)
①全文自署して下さい。
×ワープロで財産目録を作った
×自署した遺言をコピーして、その上に署名・押印した
△添え手は無効となる可能性があります

 
②作成年月日を書いて下さい。
×1年前の日付を記入
×○月吉日

 
③署名して下さい

 
④捺印して下さい(認め印でも良い)
→指印でも良いですが、争いのもとです(死後、対照できない)。
以上が自筆証書遺言の要件です。
なお、間違ったときなどの加除訂正は厳格です。
訂正箇所に印を押し、欄外に○字加入、○字削除と書いた上で、署名する必要があります
(民法968条2項)

052-231-1706
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