借りている不動産を買うとき、いくら払えばいい?
この度、賃貸人が相続で代替わりし、「相続税が払えないから、貸している土地を買ってくれないか。」と打診がありました。
当社としては、いくらで購入すればいいか判断がつきませんし、売買契約書を作成する必要があるため、専門家のアドバイスを受けながら進めたいと思っています。
まずは、売買金額をどうしたらいいかや、売買契約の際に留意すべき点について教えて下さい。
ご回答
借りている不動産は相場よりも安く買うことができる可能性があります。
ただ、安すぎると税務上の問題が生じるおそれがあるので、税理士と相談しながら交渉しましょう。
土地の公法上の規制については慎重に検討し、可能であれば不動産業者に重要事項の調査を依頼することもご検討下さい。
また、土地に埋設物等の欠陥(契約不適合)がある場合に、売主に責任追及できるよう契約書を整備するのが望ましいです。
1 借りている不動産の買取価格は?
まず、賃料を支払って借りている不動産の買取価格をどのように設定するかは難しい問題です。
様々な考え方がありますが、賃借人に有利に考えると、借地権が存在するため、本来の更地としての時価の5~7割程度の価格(底地価格)で交渉するのが一般的です。
なぜなら、賃貸人が土地を賃借人ではなく第三者に売却する場合、第三者は土地利用を制限される(賃貸借契約を引き継がなければならない)ため、更地価格で買い取ることはまずないからです。もちろん、どうしても買いたい事情があれば、相場通り支払うケースもありますが、第三者に売るよりも高く買ってもらえるといった視点から価格交渉を試みるべきでしょう。
2 安すぎると税務上の問題が生じるかも
留意すべきなのは、時価を大幅に下回る金額で買い取ると税務上のリスクが生じるということです。
時価に比べて著しく低い金額で買う場合は「低額譲渡」とみなされ、贈与税等の課税対象となるおそれがあります。
思わぬ税負担を避けるため、適正な範囲内での価格で交渉することが大切です。税理士と相談しながら、価格の下限を決めましょう。
3 土地の法的規制がないか気をつけましょう
不動産には、各種の法的規制がつきものです。
「そもそも建物が新たに建て替えられるか」「建てられるとして高さの制限はどこまでか」といった公法上の法規制を把握しておかないと、活用価値の低い土地に高値をつけてしまうおそれがあります。
不動産業者に法令制限の調査を依頼するのも有効な手段です。
4 地中に潜む「瑕疵(かし)」はないか
次に注意すべきは、土地そのものに「地中埋設物」や「土壌汚染」がないかという点です。
こうした物理的な問題も土地の価値を下げる要因となるため、購入前に調査するか、調査しない場合は「問題が発覚した際に売主が費用を負担する」といった契約不適合責任に関する特約を結ぶ等の交渉が必要です。
あるいは、「欠陥(瑕疵)」の調査を行わない、または後日の責任追及を免除する代わりに、売買価格をさらに下げる等の交渉も考えられます。
5 有利な売買交渉のために
以上、注意点を挙げましたが、借りている土地を買う場合には有利な条件で交渉できる余地が多くあります。
一方で、土地購入に潜む専門的なリスクにも対処する必要があるため、弁護士や不動産鑑定士、税理士といった専門家に加え不動産業者へ相談しながら進めることをお勧めいたします。
月刊東海財界2026年3月号掲載
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。




