求人広告詐欺にご注意
私は「4週間無料」という言葉に飛びつき、Y社から案内のFAXを送ってもらい、申込書に署名・押印をしてFAX返信しました。
その後、Y社の担当者からは、何の音沙汰も無く、広告原稿の確認依頼の連絡も、広告を掲載したとの連絡も一切ありませんでした。
何の連絡も無かったため、私はY社のことをすっかり忘れていました。
ところが、電話連絡から4週間経過した後、突然Y社から50万円の支払を求める請求書が送られてきました。
私は慌ててY社に連絡を入れましたが、Y社からは、FAXで送った文書の中に「規約」があり、4週間が経過すると有料に切り替わる旨、有料に切り替わる4日前までに書面で解約を申し入れる必要がある旨の規定があり、御社もその規約に同意して申し込みをしたのだから、広告掲載料を払うのは当然、と言われてしまいました。
たしかにFAXの中には規約があり、規約に同意して申し込む趣旨の記載もありました。
Y社のホームページで自社の広告を確認しましたが、とても雑な素人同然のページで、およそ広告効果があるとは思えないものでした。私は、お金を払わないといけませんでしょうか。
ご回答
このような相談は、7年程前から始まり、最近も被害を受けた企業があったため、ご紹介します。
さて、皆さんは、解約忘れを利用したアコギなビジネスであり、こんなものにお金を支払う義務は無いだろう、と思われたかもしれません。
ところが、本件のような事業者間の取引では、契約書の記載は特に重要視されますし、消費者保護の法律も原則として適用が無いため、「規約」に記載されたとおりの法律関係が生じてしまう可能性が高いです。つまり、掲載料を負担せざるを得なくなるかもしれないのです。
もっとも、本件の場合は、有料期間への切換えが全く説明されなかったり、ホームページに広告効果が全く無い等、極めて悪質である旨を指摘し、詐欺や債務不履行を理由として支払を免れる法的主張ができる場合もあります。
よって、速やかに弁護士に相談して、安易にこのような業者へ支払いをしないようにすべきです。
このような契約トラブルを避けるためには、
・日頃から書面には必ず全文に目を通し、その意味をしっかり把握する。
・取引の相手方の会社ホームページを確認し、その信頼性を確認する。
・期間管理を厳重にする。例えば、無料期間が4週間だとするならば、期間経過前に対応するよう手帳に記録する(管理ができないなら契約してはいけません。)。
・契約事は必ず本部で一括対応し、現場に任せない。
等の対応が必須です。
日常から契約の危険性を十分認識して頂ければと存じます。
月刊東海財界2025年3月号掲載
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。