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弁護士法人 片岡法律事務所
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名古屋の弁護士Q&A

パワハラトラブルにどう対応したらよいですか?

私は自動車部品製造会社の総務部長をしています。資本金が1億円、従業員が180名です。
先日、ある従業員甲から、「上司の営業課長から暴言を度々言われ、精神科でうつ状態と診断された」との申告がありました。どのような対応をしたらよいでしょうか。
ご回答

令和2年6月、パワハラの防止に関する法律(改正労働施策総合推進法)が施行されました。中小企業については、しばらく施行を遅らせましたが、令和4年4月にその対象となりました。

中小企業とは、中小企業基本法によると、製造業では、資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社、または常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人とされています。
従って、令和4年4月からは、御社も、パワハラの防止・対策を行なうことが義務化されます。

法律によれば、第30条の2で、
① 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
② 事業主は、労働者が前項の相談を行ったこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
と規定されています。

事業主は、相談窓口の設置や再発防止対策を求められ、行政の勧告に従わなかったときは、企業名が公表されることになります。

具体的な事業主の義務は、
①事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発、
②相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、
③職場におけるパワハラに係る事後の迅速かつ適切な対応、
④相談者・行為者等のプライバシーの保護と、その旨を労働者に対して周知し、パワハラの相談を理由として不利益取扱いをしてはならないこと
です。

実際の、企業や事業主の対応を見ていると、『当社はパワハラを絶対許しません。』との書き出しで、「事業主の方針等の明確化」した書面を作成して、社内の掲示板に張り出したり、朝礼などの場で、その内容を説明しているようです。

また、就業規則にパワハラに関する条項を加えたり、パワハラ規程を作成し、企業等がパワハラ対策を講じていることを従業員に周知させているところが多いです。

パワハラ規程の内容として、パワハラの定義、パワハラ被害を受けた人からの相談、苦情への対応や、パワハラの調査・審議をする対策委員会、調査委員会の組織構成、そしてパワハラ被害の申出があったときの、調査、審議のプロセス、結論の出し方、被害の申出をした者への伝達方法等を定めています。
パワハラの防止と対策を怠ると、安全配慮義務違反で損害賠償請求されることになります。

月刊東海財界2022年4月号掲載

※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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