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弁護士法人 片岡法律事務所
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名古屋の弁護士Q&A

仕入れて組みこんだ他社部品が製品の不具合を引き起こしました。当社は仕入先に損害賠償を請求できるのでしょうか。

私の会社は、大手メーカーに部品を納めています。大手メーカーはその部品を製品に組み込んで、一般消費者向けの製品を販売しています。
納めてから1年後、消費者から、製品の重大な不具合が報告されました。その原因は、当社が納めた部品の不具合によるものでした。
回収した部品を調査したところ、当社が仕入れて組み込んだ他社部品が、根本的な不具合の原因となっていました。

当社と大手メーカーとの間には、契約書があり、今回のような不具合について当社が賠償することは免れません。
他方、仕入先は、損害を負担する契約書がないから、という理由で当社の要求を拒絶しています。当社は、仕入先に損害賠償を請求できるのでしょうか。

ご回答

今回のようなケースは実はよくあります。
大手メーカーとの間では、取引基本契約書を取り交わさなければならず、その契約書の中で、売主の責任を長期間とする規定が入れられています。他方、仕入先については、何も契約書を取り交わしておらず、発注書と受注書で処理している、というようなケースです。
このようなケースで大変困るのは、中間の企業であり、大手メーカーからは長期間責任追及がされてしまう一方、仕入先に対しては比較的短期間しか責任追及できないことになります。

一般的に、大手メーカーは、消費者からの信用を大事にしており、製品の保証期間を設けることが多いです。そのため、仕入先に対する責任追及を長期にわたって行うことができるよう、契約書上の規定を入れていることが多いです。
今回のように、仕入れの対象物に不具合(契約不適合)があった場合には、不適合を知ってから一定期間内(例:1年)に仕入先に対して通知することによって、損害賠償請求ができる、という規定が入っていることが多いです。
このような規定により、長期間にわたって、仕入先に対して責任追及することが可能となり、大手メーカーは損害を回避しているのです。

他方、多くの中小企業では、さらにその仕入先に対する契約書を取り交わさず、大手メーカーとの間の契約書に記載されているような長期の責任追及に関して合意をしていないです。
本件のような場合、貴社と仕入先は、お互い商人ということになりますから、商法526条が適用されます。
商法526条2項では、直ちに発見できない契約不適合であっても目的物受領から6か月以内に不適合を発見し通知しないと、損害賠償や契約解除が請求できなくなると規定されています。
つまり、契約書等で特別な合意をしていないと、この商法規定が適用され、受領から6か月で、損害賠償等の請求ができなくなってしまうのです。
貴社の場合、特別事情がない限り、仕入先に責任追及できなくなっている可能性があります。

このような事態を回避するためには、全取引について契約書をきちんと取り交わすのが望ましいです。それが無理でも、責任追及される期間と責任追及できる期間とが釣合いがとれているか、全取引について再確認するべきでしょ

月刊東海財界2023年9月号掲載

※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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