差し押さえることのできる財産
1 結論
判決・公正証書等により債権が確定していれば,裁判所に申立てをして,相手方の財産を差し押さえることができます。
また,債権が確定していなくても,相手方が勝手に財産を第三者に売ったり隠匿しないように,やはり裁判所に申立てをして,財産を仮に差し押さえ保全することができます。
但し,法律上差押えができない動産や債権がありますので,注意してください。
たとえば,給料・退職金の一部,生活必需品(衣服,寝具,家具,台所用品等),中退共からの退職金は差し押さえることができないので,ご注意ください。
2 理由
まず,あなたが相手方に対して有している権利は,裁判所等の機関によって,公的に確定してもらえなければ,財産を差し押さえる等執行することはできません。
一般には裁判をおこし,裁判所の判決によって認められる必要があります。もっとも当該権利について公正証書が作成されているならば,これを以て相手方の財産を差し押さえることが可能です。
判決等をとった後,初めて相手方の財産を差し押さえることになりますが,差し押さえる対象の財産には一定の制限があります。
それは,給料の4分の1以上は差し押さえられないとか,退職金の4分の1以上は差し押さえられないとか(民事執行法152条),生活必需品と見られる動産については,債務者の最低限の生活を守るため,差押禁止となっています(民事執行法131条,132条)。なお,法律上特別に差押禁止となっている財産としては中退共の退職金があります。同退職金は法律上差押えが禁止されており(但し,税金滞納の場合は除きます。),一切差押えをすることができません(中小企業退職共済法20条)。
もっとも,これらについて銀行預金に一旦振り込まれてしまうと,差し押さえることができる場合もあります。
以上
※本記載は平成24年5月25日現在の法律・判例を前提としていますので,その後の法律・判例の変更につきましてはご自身でお調べ下さい。
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。