相続財産の調査
父が90歳で亡くなりました。父と同居していた兄が遺産分割に応じてくれません。そもそも,父にどんな遺産があったかも分かりません。遺産はどうやって調査したら良いのでしょうか。
【ご回答】
まずは,弁護士を通じて,お兄さんに遺産の開示をするよう(相続税申告書を提出させるのが有効です。),請求してみます。
このような請求をすれば,8割以上の相手方は正直に遺産の開示をすると思います。
万が一,相手方が遺産を開示しない場合は(また生前贈与がありそうなら),自ら調査するしかありません。
たとえば,不動産については,不動産があると思われる市町村の役場でお父様名義の固定資産の名寄せをして頂きます。固定資産税を扱う部署で,お父様と自分の身分関係が分かる戸籍を持っていけば,開示してもらえます(ただし,当該市町村にある不動産のみしか分かりませんので,ご注意下さい。)。これで不動産の概要が把握できます。
預貯金については,お父様が預金していそうな銀行の支店に行き,お父様の名前の預金が過去に無かったか問い合わせて下さい。
なお,預貯金については,生前贈与の有無を確認するため,過去10年間の取引履歴を取り付けると公平分割ができると思います。
その他の資産については,管理している会社に問い合わせ,同様に現在残高や取引履歴を開示して頂くのが良いと思います。
もちろん,弁護士による調査も可能ですが,かえって迂遠なこともありますので,事案に応じて柔軟に対応しております。
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。