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名古屋の弁護士Q&A

無理に提出させられた退職届を撤回したい

私は,従業員20名程度のA社に5年間勤務していました。
私は妻子ある同僚男性と交際し,それが社内で露見しました。
部長からは,私に対し,私を懲戒解雇するつもりであるが,すぐ退職届を提出すれば,退職金が出ると思う,と言われたので退職届を提出してしまいました。
同僚男性は特に解雇されることなくA社に勤務しており,なぜ私だけが,という思いです。
会社に対して退職届の撤回を請求したいのですが,可能でしょうか。

1 ご回答
退職の意思表示について強迫取消(民法96条1項)が認められ,撤回が請求できる可能性が高いと考えられます。
一般に,退職届を提出してしまうと,特段の事情が無い限り,撤回は認められないというのが実情です。
しかし,ご相談の事案だと,懲戒解雇が認められる余地が殆ど無いと考えられるのに,退職届を提出しないと重大な不利益が発生すると突きつけ,精神的な威迫を与えた上で,退職届を提出させたと言わざるを得ません。
よって,民法96条1項の強迫が認められる可能性は高いものと言えます。

 

2 参考判例
ちょっと古いですが,以下のような参考判例があります。
広島高裁松江支部昭和48年10月26日判決
「以上の認定によれば、控訴会社がその主張するようなバスガイドの職種の特殊性から被訴人につき将来風紀上の問題を起すおそれがあり、その適格性に疑問があると判断したことには相応の理由があるにせよ、前判示のとおり所定の懲戒解雇事由に該当する事実がないのに前記小山所長らが被控訴人に対し明らかに懲戒解雇に付すべき不当な行状があるとして退職願を提出するよう要求したことは、被控訴人が見習者であつたことを考慮にいれても、違法な強迫行為に当るものというべきであり、違法性がない旨の控訴会社の主張は採用できない。」

※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

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