正社員、パートタイマー、派遣社員、契約社員などの違いは?
ご回答
法律には規定されていないけど、日常使われている言葉があります。
例えば、会社で、法律上は規定されていないのに、社長、専務取締役、部長という用語が普通に使われています。先日も、代表取締役が2名いて、定款上、社長のみが株主総会招集権限がある、と定款に規定されていた事例がありました。この定款は有効なので、代表取締役社長の取締役解任決議する前に、社長変更のため株主総会を開催したことがありました。
今回のご質問の、正社員も、実は法律上の用語ではありません。
一般的には、安定した地位にある労働者を正社員と呼んでいますが、具体的にいうと、①雇用期間に期間の定めがなく、②フルタイム(1週間当たりの所定労働時間と同じ労働時間であること)で働いていて、③働いている会社と直接の雇用契約を結び、直接給与をもらっている社員を指します。
パートタイムは、正式な法律用語ではないですが、一般的には「パートタイム・有期雇用労働法」(正式には「「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)に規定されており、ほとんど法律用語と言ってもよいと思います。正確には、1週間の所定労働時間より短い時間、働く場合を、パートタイムといい、このような短時間労働者を、パートタイマーと呼びます。
派遣社員は、最近とても増えていますが、実際に働いている会社とは、直接の雇用関係はなく、雇用関係は派遣元会社との間にあります。
また、最近よく聞かれる契約社員は、やはり法律上は出てきません。一般的に、有期雇用契約を結んでいる場合をそのように呼んでいます。このような有期雇用の場合、期間がくる毎に、契約更新を繰り返している場合、突然更新を拒否されることがあり、これを雇止めと言いますが、その有効性について争われることが多いです。
法律上、このような雇用契約の場合使用者は、労働者に対して、契約の締結時に、契約更新の有無を明示しなければなりません。一般的には、①更新する場合がある、として、②判断の基準については、労働者の勤務成績、態度、及び 会社の経営状況による、とすることが多いです。
トラブルとしてよく見られるのは、正社員のケースでは、解雇事案もありますが、配置転換を巡る相談事例が多いと思います。就業規則で、「業務の必要上配置転換を命ずることができる」との規定がなされていると、業務命令として不利益な配置転換を命ぜられることがあります。配置転換を行う必要性があるか、配置転換を行う動機・目的は何か、社員に著しい不利益があるか、が配置転換命令の有効性の判断基準になります。
月刊東海財界2021年6月号掲載
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。