交通事故において相当因果関係とは何ですか?
1 結論
相当因果関係というのは,簡単に言うと,社会通念上,「A」という行為や事故から「B」という結果が生じることが相当であると考えられる場合にのみ,法的な因果関係を認める概念です。
極めて軽微な追突の場合,被害者に傷害が発生する場合があることは否めませんが,被害者に重大な傷害が生じるとは考え難いため,1年の通院に対応する治療費支払や6か月もの休業損害という結果が発生することが社会通念上相当ではないと保険会社の担当者は言っているのです。
2 実務的な話
実際に1年治療で通院されても,又,実際に6か月休業されても,必ずしも事故によってそのような結果が生じたかどうかははっきりしません。
相当因果関係の有無は,各車両の損傷状態や医師の診断書・カルテから長期間の通院や休業が必要であったか否かという見地から裁判所が客観的に判断します。
したがって,仮に保険会社が1年分の治療費や6か月分の休業損害金を支払っていても,後日,払いすぎだったという裁判所の判断が下る可能性もありますので,治療の必要や休業の必要性については,医師を含め専門家に判断を仰いだ方が良い場合があります。
なお,上記では,軽微な事故の場合は長期間の通院や休業が必ず不相当になるかのような印象を受けられるかも知れませんが,もちろん,重大な傷害が生じる特別な事情があれば,相当因果関係が肯定されます。
そのような特別事情があるならばそれらを主張・立証できれば,慰謝料や休業損害が全額認められる可能性がありますので,ご相談を下さい。
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。