倒産の前に登記をしておくように
1 結論
あなたは、破産管財人に対して、不動産の所有者であることを対抗できません(民法177条)。したがって、破産管財人に土地・建物を引き渡す必要があります。
2 理由
破産管財人は、破産者の地位をそのまま引き継いだものではなく、破産債権者の利益のために独立の地位を与えられた破産財団の管理機関にあたりますから、破産手続開始決定前に対抗要件(登記)を備えないと、破産管財人に対抗できません。
登記は代金支払時にすぐに移転しておいてもらわなければならないのです。
3 判例
最高裁昭和48年2月16日判決では、土地賃貸借契約について対抗要件を備えていなかったケースで、土地を借りていた方を敗訴させました。
※ 民事再生について
ちなみに、上記友人が、民事再生手続を開始した場合も、当該友人(再生債務者といいます。)に対抗できなくなる、という判例が近時、大阪地裁で出されました(大阪地裁平成20年10月31日判決)。
控訴されていますので、今後結論がどうなるかは不明ですが、破産と同様の結論になると思われます。破産よりも釈然としないと思われるでしょうが、登記は備えておくものだと肝に銘じておくべきでしょう。
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。