抵当権の設定をするなら土地・建物両方をとろう
債権の担保のため,債務者の不動産に抵当権を設定しようと思っています。うわさでは,土地だけ抵当権を設定しておけばいい,建物はどちらでもいい,と聴きますが,その通りでしょうか。
1 結論
もし,建物が建っている土地にだけ抵当権を設定した場合,土地を競売しても大変な損をします。抵当権を設定するなら,土地と建物両方に登記を設定して下さい。また,保存登記が無い建物についても保存登記をして必ず抵当権を設定して下さい。
2 理由
建物が建っている土地にだけ抵当権を設定した場合(建物・土地ともに債務者の所有だったと仮定します。),債務者がお金を払えずに抵当権を実行すると,建物には法定地上権が成立する場合があります。
法定地上権は賃借権のようなものだと理解して下さい。
このため,競売しても,土地は,更地としての価値がありませんので,大幅に価値が下がります。よって債権回収に当たっては,土地だけに抵当権を設定するというのは完全な誤りです。
なお,建物が未登記であったとしても,この法定地上権は成立することになりますから,債務者に保存登記をさせた上で,抵当権を設定する必要があります。ご注意下さい。
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。