ステルスマーケティングって何?
先日、インスタグラマーのAさんに、当社の製品を取り上げてもらい、インスタグラムの投稿でお褒めの言葉を頂きました。そうしたところ、製品の売上が3倍になりました。
改めて、SNSの影響力に驚き、御礼の意味を込めて、Aさんに報酬を払って、当社の製品をさらにPRしてもらおうと考えています。
しかし、最近、「ステルスマーケティング」が規制されるようになったという話を聴きました。
どういう場合に規制に触れるのか、知っておきたいです。
ご回答
1 ステルスマーケティングとは何か?
ステルスマーケティング、という言葉は、最近よく聴くようになりました。
ステルスマーケティングとは、本当は広告なのに、消費者には広告だということが分かりにくくされているもの、を指します。
質問の例ですと、Aさんに報酬を払って広告してもらうのに、あたかもAさんが自発的に製品を取り上げ、高く評価しているような体裁をとる、という場合には、ステルスマーケティング(「ステマ」とも略称されます。)に当たります。
ステマが悪いのは、事情を知らない一般消費者をだますことになるからです。
2 どんな法律に違反するのか?
ステマは、どんな法律に違反し、どんなペナルティがあるのでしょうか。
景品表示法5条3号では、内閣総理大臣が指定する、一般消費者に誤認される表示を規制していますが、令和5年10月1日から、ステマが指定されるようになりました。
消費者庁は、ステマを発見した場合、ステマを行っている事業者に対し、措置命令を出して改善を命じますが、事業者が命令に従わないと、2年以下の懲役または300万円以下の罰金等の刑罰が科せられるおそれがあります。
また、消費者庁はステマを実行した事業者を公表するため、評判や信頼が低下してしまいます。
3 どうすればいいのか?
では、ステマにならないようにするためにはどうすればいいか、ですが、まずは堂々と広告であることを表示しましょう。
SNSの投稿に、PR、プロモーション、広告といった記載をして、読者に分かるようにするのです。
あるいは、第三者が自主的な意思で投稿したといえるような状況を確保します。
例えば、事業者から投稿者に対して、投稿内容の依頼・指示をしない、自主性を無くすような対価を投稿者に提供しない、等です。
なお、事例とは違いますが、事業者自らが無関係の第三者を装って広告するというのも当然ながら規制されるので、ご注意下さい。
広告を頼むときには、ステマにならないよう、頼んだ相手方の監督をしないと思わぬ落とし穴にはまります。是非ともご注意下さい。
月刊東海財界2024年3月号掲載
※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。