名古屋・大垣の弁護士事務所。離婚、相続・遺言、不当解雇、債務整理、契約書作成、刑事事件、取引紛争、渉外法務などの法律相談。

弁護士法人 片岡法律事務所
menu

名古屋の弁護士Q&A

工場の賃料の値上げ要求に応じなければなりませんか?

私は、20年前、地主から土地を借り、工場を建てて、製品を製造・販売してきました。
先日、地主から、10年以上地代を値上げしていないので、そろそろ値上げてほしい、もし値上げに応じないならば、土地を明け渡してほしい、と言われました。
私としては、地代の値上げに応じたくないのですが、応じなければ土地の明渡しをしなければならないでしょうか。大変不安です。
ご回答

1 原則として土地の明渡しが強制されることはありません

近時、物価の高騰であらゆる物の値段が上がりつつありますが、不動産賃料も例外ではありません。
賃借人の方から、地主側に地代の値上を要求されているが、どう対応したらいいでしょうか?という相談も入ってきています。
では、質問にあるように賃借人は地主からの地代の値上げ要求に応じなければ、土地を明け渡さなければならないのでしょうか。

結論からいうと、直ちに土地の明渡しを強制されることはありません
というのも、賃借人としては元々の賃貸借契約通りの地代を支払っているのですから、何ら契約違反をしておらず、地主から土地の明渡しを迫られる理由がないからです。
もちろん、過去に賃料の未払いが継続していたり、契約条項に違反するような行為をして地主との信頼関係を破壊した、というような特別な事情があれば別ですが、値上げ要求に応じなかったからといって賃貸借契約が解約されることはないのです。

2 賃料の増額・減額のための手続きが用意されている。

それでは、賃借人は契約書通りの地代を払い続けていれば大丈夫なのでしょうか?

不動産の賃貸借契約は、長期間継続することが予定されており、契約期間中に経済情勢の変動があるのに全く変更できないと大変不合理なことになります。
そのため、借地借家法という法律では、11条で土地の地代について、32条で建物の賃料について、地代等が不相当となったときは、現在の契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができると規定されています。

よって、地主も賃借人も、地代等が不相当になったと考えたら、相互に地代等の増減を請求できます。この増減の請求は相手方に対して内容証明郵便等で意思表示して行使します。

このような請求があっても、裁判の結論が出るまでどちらの言い分が正しいかは分かりませんから、請求を受けた側は、相当と認める額の地代等の支払をすれば足りる旨条文に記載されています。 

もっとも、裁判が確定したら、その確定した地代等との差額を年10%の利息をつけて精算する必要があります
よって、質問者は、相当と認める地代を支払っていれば良いのですが、裁判等で増額が確定した場合、支払っていた額との差額に利息をつけて払う必要があります。地主から地代値上げの内容証明が来るようなことがあれば弁護士に相談し慎重な対応を検討して下さい。

月刊東海財界2023年12月号掲載

※記事が書かれた時点の法令や判例を前提としています。法令の改廃や判例の変更等により結論が変わる可能性がありますので、実際の事件においては、その都度弁護士にご相談を下さい。

お気軽にご相談ください

tel52-231-1706

ご相談フォーム

経営法務」カテゴリーの他の質問はこちら

052-231-1706
ご相談フォーム

営業時間  
月曜日~土曜日9:00~18:00(休業日:日曜・祝日)※予約のあるご相談は、時間外でも対応いたします。

〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内二丁目19番25号 MS桜通7階 
FAX:052-204-1633