割に合わないインサイダー取引
現在アベノミクスで株価が上昇し,株式の取引が活況を呈しています。皆様も株式取引には大きな関心を寄せていらっしゃるのでは無いでしょうか。
こうした株式取引が活発な状況下では,インサイダー取引の摘発例も多くなります。
インサイダー取引というのは,皆様もよく耳にされると思うのですが,会社と特別な関係を持つ者が,その地位ゆえに一般投資家が知り得ない,投資判断に影響のある重大な情報を知り,その情報が公表される前に,証券取引を行うような場合を指します。NHK職員によるインサイダー取引の例などは記憶に新しいのでは無いかと思います。
こうした取引は,投資家の信頼を損ない,市場の公正性を傷つけることから,厳しく金融商品取引法で禁じられています。
インサイダー取引は,目の前にえさがぶら下がっているようなものですから,多くの方が手を出してしまいがちです。バレないだろうという思いもあるのだろうと思います。しかし,インサイダー取引を監視している証券取引等監視委員会によれば(職員の方から直接お聴きしたことがあります。),独自の調査に加え,広く公衆から情報提供を受け付けていて,タレコミも多数あるそうです。
そうしたタレコミからインサイダー取引が露見して,告発されてしまった場合,刑事罰は重く,5年以下の懲役,500万円以下の罰金(金商法197条の213号),さらに利益が没収・追徴されるという刑事制裁を受けることになります(同法198条の2第1項・2項)。刑事制裁までいかなくとも,課徴金という行政的制裁があり,利益はゼロとなるばかりか,マイナスになりかねません。
このようにインサイダー取引はバレてしまうと重い制裁を受けるし,どこからバレるか分かりません。
また,インサイダー取引に該当するケースは意外に広いため(今後ご紹介できたらと思います。),証券がらみでいいネタがあると言われて飛びつくと重大な結果を招きかねません。甘い話には乗らないというのが鉄則でありましょう。