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片岡法律事務所
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名古屋の弁護士ブログ(片岡法律事務所)

経験豊富な弁護士が、法律情報や、時の法律問題、中国情報などを易しい言葉でコメントします。

独占禁止法・下請法研修 ―実務において活用するための手続等について

1 はじめに
平成29年3月2日,弁護士会館5階で,「独占禁止法・下請法研修」が開催されました。
講師は,公正取引委員会中部事務所の総務管理官でした。公取委職員が当会で講演するのは初ではないか,ということで私も心待ちにしていました。
司法制度調査委員会(企画者)から「独占禁止法や下請法の一般的説明に止まらず,弁護士がどう公取委に申請して権利実現をすべきかも説明してほしい。」と依頼していましたが,その期待に正面から応えて頂きました。以下,具体的内容をご報告します。

2 最近の主な事件
最初に,近時の排除措置命令・課徴金命令の事例が紹介されました。入札談合やカルテルの例が挙げられましたが,アメリカやEUにまで波及した事例もありました(アルミ電解コンデンサおよびタンタル電解コンデンサの製造販売業者らによる価格カルテル事件)。課徴金額も100億円を超える事例もあることに衝撃を受けました。

3 独占禁止法の概要
独占禁止法の目的ですが,市場競争を制限する行為を禁止し以て消費者の利益を図るというものであり,公取委は法の解釈適用にあたっては消費者の利益を一番重視しているとのことでした。

(1) 私的独占(法2条5項)
私的独占は,市場をほぼ独占する強大な1社が他社の市場参入を制限するような行動をとるという類型のものです。
日本インテルの他の半導体メーカーに対する競争制限行為について平成17年の勧告審決が下された事例が紹介されました。

(2) 不当な取引制限(法2条6項)
複数の業者が寄り集まって競争制限を行う類型です。価格カルテルや入札談合があります。

ア 入札談合
入札談合については,競争制限の行為の類型・業種・企業規模・違反の経歴・役割の主導性によって課徴金の算定方法は決まっているとのことでした。
課徴金減免申請(リーニエンシー)についても説明がありました。これは,調査開始日前に談合等の違反を公取委に申請した当事者が課徴金を減免される制度で,同制度を導入後,違反の端緒として圧倒的な成果を上げているとのことです。

上記減免申請は,まずは電話等で公取委に相談し,減免申請にあたってはHPからもダウンロードできる所定書式で公取委にFAX送信しなければならないとのことでした。FAX送信日時で受付順位を仮認定する必要があるからだということでした。
上記申請書面は,違反行為をある程度具体的に事実摘示を行うことが要望されました。
なお,立入検査は基本的に予告なしで行うが,立入検査拒否は今まで無かったとのことでした。なので間接強制の制度はあるが,利用されたことは無いとのことでした。

イ 価格カルテル
近時,海外当局による日本企業の摘発例が散見され,特に自動車産業の盛んな愛知では,日本でカルテルの対象となった自動車をアメリカに輸出していることから,米当局に身柄拘束されたり,罰金が課せられるケースがあるとのことでした。

(3) 企業結合(法10,13~16条)
企業が結合して,一定規模になる場合の規制です。
地銀や家電や鉄鋼の合併の際問題があれば,当事者に解消措置を講じさせた上で容認している例が殆どです。
企業結合に関する申請は適用要件や申請書類が細かいため,企業結合で不安なときは早めに公取委にお電話下さいとのことでした。

(4) 不公正な取引方法(法2条9項)
ここで,事前相談制度という制度の説明がありました。事前相談制度では,独禁法に関する問い合わせを公取委から書面で回答してもらえます。
しかし,同制度では,HP上で氏名も含め相談内容が公表されてしまうこと,実際に取引行為を始めてからでは相談できないこと,等から,秘密で相談したいというニーズには合致せず,あまり問い合わせが無いのが実情です。
事前相談制度以外にも,公取委は電話や来庁による一般的な相談を受け付けており,本人でも弁護士でも対応してもらえます。
この場合,相談内容が公表されることはありません。ただ,一般論であるため,回答が曖昧になってしまうという限界があります。
なお,相談の事例は集約され,重要なものは,HPで公表されているので参考にしてほしいとのことでした。

http://www.jftc.go.jp/dk/soudanjirei/

不公正な取引方法の類型は8つほどありますが,特に問題となるのが,不当廉売,再販売価格の拘束,優越的地位の濫用です。
不当廉売の事例では,平成27年末に,常滑市のガソリン販売をめぐるユニーオイルとコストコに対する警告事例が紹介されていました。
優越的地位の濫用の事案は,その要件(優越的地位,正常な商慣習に照らして不当,濫用行為)が曖昧であること,立証のハードルが高いこと,から,課徴金が課せられても,訴訟で争われることが多く,なかなか解決までに時間がかかるというのが実情のようです。
このように優越的地位の濫用がなかなか適用が難しく,手続に時間がかかるいことから,下請業者の救済を簡易かつ迅速なものにすべく下請法が存在します。

4 下請法の概要

(1) 下請法の適用範囲
下請法は簡易迅速に手続を進められる一方,その適用範囲には制限があります。
取引内容や資本金によっては適用が無いケースがある点が重要です。
たとえば,単純な製品の売買は適用が無く,仕様が指定されて特別に受注生産したような場合(製造委託)でなければならない等適用条件がありますので,ひとまず電話で確認してもらえればありがたいとのことでした。
また,建設業は所管ではないので,注意が必要とのことでした(建設業法では下請法と同様の規定があります。)。

(2)  親事業者の義務
大きく,書面交付,代金の支払期日を定める,遅延利息の支払,取引記録の作成保存の義務があります。

(3)  親事業者の禁止事項
11の禁止事項がありますが,特に重要なのは,下請代金の支払遅延,代金減額,買いたたきの禁止です。
下請代金は商品受領等から60日以内に代金の支払をしなければならないことになっています。
又,発注時に決められた代金額をいかなる名目でも事後的に控除してはいけません。たとえば,事務手数料等名目で代金を減額する等です。
買いたたきについて,上記の減額と何が違うかですが,減額は発注後に代金を減らすことであるのに対し,買いたたきは発注前から代金が低く決められているような場合を指します。通常の対価を著しく下回る代金額を十分協議すること無く決定することは禁止されています。

なお,下請法違反については,下請業者が自主的に申告することは状況として困難であるため,随時行う書面調査により端緒を得ます。そうして得た端緒をもとに調査・検査を進め,違反事実があれば勧告・指導を行います。これらは強制力を持たないですが殆どの企業が処分に従って対処しています。

5 下請法違反を発見した場合の処理
違反者側で,調査着手前に自発的に違反の申し出をし,違反をやめて相手の不利益を回復し,再発防止策を講じる等すれば,勧告を回避できます。勧告は,社名が公表されるので,これを回避することは重要です。
下請業者側は,親事業者と示談交渉すると共に公取委に相談・申告してプレッシャーをかけることも法の実現に有効です。
なお,公取委への相談は匿名でも可能であり,守秘義務は可及的に守られます。申告の際には,発注書面や支払状況の資料,事実関係の時系列表等を用意してもらえると非常に動きやすいということでした。まずは気軽に電話で相談してみてほしいとのことでした。

6 最後に
講演は,非常に分かりやすく実践的な内容でしたので,今後も講演を公取委にお願いできればと感じました。

 

司法制度調査委員会副委員長 片岡 憲明

投稿日:2017年4月05日 13:47|カテゴリー:最近の法律問題

診療情報の開示を求められたら

 

患者さん以外の第三者から,「患者さんの診断書を作成してほしい」とか,「患者さんの診療情報を教えてほしい」と依頼された場合,どう対応したら良いでしょうか。

  1.  家族だからと言って当然に開示していいものではありません。
     
    たとえば,その第三者が患者さんの家族だったとしても,診療情報は個人情報の最たるものですから,患者さんの同意なしに開示してよいものではありません。
     このように原則として患者さんの診療情報を第三者に開示してはならないことをよく覚えておいて下さい。
     ただ,そのような杓子定規だと,実務的に業務が滞るということであれば,患者さんの開示に対する反発や開示の必要性などを慎重に判断し,自己責任で開示して頂ければと思います(決して開示をおすすめしているわけではありませんので注意して下さい。)。
    病院の建物
  2.  できれば同意書をとって下さい。
     患者さんからの同意ですが,口頭での合意でも構いませんが,慎重を期するならば同意書をとった方が無難です。患者さんに説明するのが大変であるならば,開示を要求した方に対して,患者さんから同意書をとるよう要求しても良いと思います。
  3.  患者さんに理解能力が無い場合
     たとえば,家族から,患者さんについて成年後見の申立をしたいから,診断書を作成したり,診療情報を開示してほしいと依頼がされることもあるかもしれません。
     この場合,患者さんが意識不明であったり,痴呆で理解能力が無い場合には,その必要性を慎重に判断して開示しても良いでしょう。
     しかし,患者さんの理解能力がほぼ正常だと思われる場合には,まずは患者さん意思を確認するべきです。
     当該家族に,患者さんの同意書を取り付けるよう促すのが穏当だと言えます。

 医者とおじいさん

投稿日:2014年10月08日 12:58|カテゴリー:医療法務, 弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

何もとりきめがない場合の利息

金銭の貸し借りなどで,特にとりきめがない場合,利息は5%となります。ただし,商売の関係だと6%になります。

この利息の利率が下がると自動車保険料が上がるのですが,それは一体どういうことなのでしょう。

 

1 合意があればそれに従う

 金銭の貸し借りで当事者間が利息・遅延損害金の利率を取り決めておけば,取り決めた利率になるのが原則です

 たとえば,年利2%にしたり,年利10%にすることは自由であり,その通りの内容になります。

 もっとも,とんでもない高利の利息を契約すると,貸金業法や出資法などの規制法により,無効になる可能性がありますので,常識の範囲内で利率は設定する必要があります。

2 合意が無い場合は原則5%

 上のような合意が無い場合,民法では利息・遅延損害金を年利を5%と定めています(民法404条)。

 たとえば,交通事故でけがをしてしまったときの損害賠償額についても事故発生日から年5%の利息がつきます。

 したがって,交通事故発生からたとえば5年経過して判決が下ると,本来払わなければいけない金額よりも25%高い金額を支払わされることになります。

 なお,商行為の場合には,商法の適用があるため,年6%となる場合もあります。

3 民法改正のお話

 30年くらい前ならともかく,今のような超低金利時代に,5%は高金利すぎるのではないでしょうか。

 そのような問題意識から,この金利を下げるべきという意見が度々出されていました。

 しかし,今般,報道されているように,民法の抜本改正に合わせ,この利息についても見直しがされることになっています

 どうも3%を初期値とし変動金利制を導入するようです。

 変動するとなると,弁護士にとっては利息計算も細かくなり面倒な話です。

疑問を持つ人

4 自動車保険料の大幅値上げの可能性

 報道では,このように金利が大幅に引き下げられることから,自動車保険料が大幅に上がる可能性が高い,との報道がされています。

 なんで民法の金利が引き下げられると自動車保険料が上がるのか,意味が分からない!と思われるかもしれません。

 実は,交通事故の損害賠償の計算では,後遺障害が発生した場合の逸失利益(障害が無ければ得られたはずの収入に相当する損害)計算にあたって,民法の利息を前提にしていました。

 逸失利益は,将来に得られるはずの収入を現時点で受け取ってしまうものですから,利息分を控除しないと不公平です。その控除される利息を年利5%を前提に計算していたのです。

 たとえば,年収300万円の人があと20年働けたとすると,逸失利益を300万円×20=6000万円と計算できそうですが,そうではなく,5%を毎年割り引いた係数をかけて計算します。20年の係数は12.462ですから,300万円×12.462=3738万6000円となります。この場合では2200万円も金額が違うわけです。

 年利が5→3%に変わると,上記の係数がかなり変わる(大きくなる)ため,被害者にとってとても有利になります。他方で保険会社は多額の保険金を支払わなければならなくなります。

 そのため,報道にある通り,自動車保険料が大幅値上げになることが予想されるわけです。

 現在の金利環境をふまえれば利息を下げることも理解できるのですが,自動車保険料が大幅値上げされると任意保険に加入しない(できない)お年寄りドライバーが増え,おちおち道も歩けない状況になるのでは?と心配するのですが,杞憂でしょうか。

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投稿日:2014年7月10日 14:20|カテゴリー:交通事故, 弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

成年後見制度はどういう場合に使われていますか

成年後見制度はどういう場合に使われているのでしょうか。その実情を簡単にご説明します。

  1. 増えてきた成年後見制度の利用
     近年,成年後見の申立てに関する相談が増加しています。
     成年後見の相談をされる方が増えたのは,高齢化社会が進んで,認知症のお年寄りが増加したことが背景だろうと思います。
     認知症のお年寄りが当事者として各種契約するためには成年後見人が不可欠です。
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  2. 相続紛争の前哨戦
     今も昔も,認知症のお年寄りはいましたが,現在ほど成年後見制度が活用されてはいませんでした。
     以前はコンプライアンスの意識が低かったので,意思能力に多少問題があっても契約を結ぶのに関係者もそれほど気にしていなかった傾向がありました。
     コンプライアンスが重視されるようになった昨今では,きちんと後見人をつけるべきという考えが浸透していると言えます。

     また,現在,成年後見制度がよく利用される例としては,お年寄りの財産確保のケースがあります。
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     たとえば,認知症の親を介護するため同居している子供と,そうでない子供とがいて,親の財産の管理方法を深刻な対立が生じたとします。
     親と同居していない子供は,親の財産管理から遠ざけられ,事実上手出しできません。
     そこで,同居していない子供が成年後見人の選任を申立てることで,親の財産の管理権限を第三者(弁護士等)に移管するのです。
     これによって,同居している子供が勝手にお金を使うことはできなくなります。

     同居していない子供にとっては,後見人の費用だけ遺産は減りますが,不正支出がされるリスクが無くなるわけです。

     このように成年後見制度は,相続紛争の前哨戦(財産保全)として利用されているのです。

  3. 成年後見人を選任しなかった場合
     ここで,あれ?と疑問に思われるかもしれません。
     たとえ成年後見人をつけなくても,不正支出があった場合には,相続開始後に同居している子供に責任追及ができるのではないか?と。

     しかし,不正支出かどうかは,証拠上分からないことがあります
     また,相続財産のほとんどを費消されてしまったら,あとで相手方から取り返すのは手続上困難を伴います

     結局,不正支出を事前に止める方が手間が少ないことが多いです。

投稿日:2014年6月03日 07:02|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題, 相続

著作権の帰属について

 ソフトウェアの開発会社が注文を受けてコンピュータープログラムを開発する際,発注者にプログラムの著作権が帰属する,という契約書が作成されることがあります。

 発注者としては,こちらがお金を払うんだから,自分がプログラムに関する権利を全て取得するのが当然だと理解し,このような契約書を取り交わすのでしょうが,そのような著作権の帰属条項は無効になる可能性が高いです。

 というのも,著作権法17条1項では,著作者が著作権及び著作人格権の原始的な帰属主体とされています

 つまり,プログラムを開発した開発会社が著作者である以上,開発会社が著作権及び著作人格権の原始的な帰属主体となるわけです。

 そして,著作権法17条1項は強行規定ですから,これと異なる内容を契約しても無効となってしまいます。

 したがって,上記のようなプログラム帰属先に関する規定は無効になる可能性があるわけです。

ノートパソコン

 そうすると,発注者としては,どのような契約書にしておけば権利を確保できるでしょうか。

 それは,著作権を開発会社から譲渡を受けるとともに,開発会社が著作人格権を行使しないという特約を結んでおくことです

 このような特約を結べば,開発会社に帰属した著作権や著作人格権について,発注者が自由に活用できることになります。

 このことは,開発会社が下請会社にプログラム開発を委託した場合もほぼ同様(解釈によっては,直接開発会社に帰属するという考え方もありますが。)ですので,同様にきちんと特約を結んでおくと良いです。

 

 

投稿日:2014年5月22日 15:26|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

本が定価より安く買える場合(独占禁止法のはなし)

 皆さんもよくご存じのとおり,日本では本の定価が決まっていて,原則として定価より安い値段で買うことができません。新聞等も値段が決まっていますね。

 これは,日本では著作物について再販売価格を拘束することが許されているからです。

 「再販売価格の拘束」というのは,メーカーが,自分の商品の販売価格を卸売業者や小売業者に指示し,それを遵守させる行為を指します。

 独占禁止法2条9項4号イ,ロでは,こういった再販売価格の拘束をしてはならない旨の規定があります。

 ですから,あらゆる製品は,原則として,メーカーが定価を決めて業者に販売価格を守らせるようなことは許されないのです。

 そのため,メーカーが価格を表示する場合も「メーカー希望小売価格」というように,「あくまで希望に過ぎませんよー,うちとしてはこの価格を強制してませんよー。」とアピールしているわけです。

買物をするところ

  このように,独占禁止法上,原則として,再販売価格の拘束は許されないこととされているのですが,これには重大な例外があります。

 すなわち,著作物および公正取引委員会の指定を受けた商品については,独占禁止法の適用が無いことになっています。

 たとえば,書籍・雑誌・新聞・音楽ソフトやタバコが独占禁止法の適用除外を受けています。

 このため,皆さんが本を買うときは定価で買うことが事実上強制されているのです(なんでこれらの商品だけ適用除外にされているのか,批判がされてます。)。

 もっとも,独占禁止法23条5項では,各種協同組合はこの再販契約を遵守しなくてもよいと規定されていますので,大学の生協などでは本が安く買えます。このような団体には例外的な取り扱いがされているわけですね。

 弁護士会の本屋は定価の7%引きになっていますが,お客が弁護士協同組合員しかいないことを前提に割引を受けられているのです。

 「原則」の,「例外」の,「そのまた例外」,で本が定価よりも安く買えるわけですが,法律ってほんとややこしくて複雑だなあと感じますね。

 

投稿日:2014年4月24日 17:55|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

ゴルフ場での事故

 たまにある裁判例なのですが,ゴルフ場での事故にまつわる裁判がありました(岡山地裁H25.4.5判決)。

 皆さんもよくやるゴルフの話なので,ちょっと取り上げてみたいと思います。

 

 「ベテラン」のゴルフ仲間同士がキャディさん付きでラウンドしていました。

 ところが,仲間の1人が打った打球がシャンクし,前を歩いていた人の左目にあたってしまいました。

 その結果,被害者は失明していました。

 被害者が加害者よりも前にいたのは,先に打った被害者が,早く打球の行方を見に行きたかったためでした。

アイアンショット

 

  被害者は,①加害者,②キャディ,そしてキャディの使用者である③ゴルフ場会社を訴えました。

 それぞれの責任の根拠として被害者が挙げたのは次の点でした。

 ①加害者:前方に被害者がいるのに十分な安全確認をしないままに打った過失

 ②キャディ:前方に被害者がいるのに注意喚起しなかった過失

 ③ゴルフ場会社:キャディの使用者責任

 判決では,被害者にも不注意があったということで,

 被害者3割,加害者6割,キャディ1割(会社も同じ)の過失割合だと認定して,4408万7502円の損害賠償を認めました。

 法廷

 ちなみに加害者とキャディ,会社は,一緒に被害を与えたものとして「共同不法行為者」と言います。

 通常,裁判では共同不法行為者間の過失割合を明言しないことが多いです。

 それは,共同不法行為者間では,めいめいが全額損害賠償責任を負うことになるからです。

 全額負担する以上,求められた裁判の中ではその過失割合を論じる必要が無いのです。

 しかし,それだと,後日,加害者とキャディ(ゴルフ場会社)とで誰がどれだけ負担するべきか,もめます。

 上記判決のように割合を書いてもらえれば,話し合いが容易になるので,裁判所はちょっとの手間を惜しまないでほしいものですね。

 

 

 

投稿日:2014年4月03日 10:31|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

株式の内容は株式ごとに変えられる

 平成26年2月19日,東京証券取引所が,複数議決権方式を利用したCYBERDYNE(株)の新規上場を承認しました。複数議決権方式の会社の上場は日本で初めてだということです。

 CYBERDYNE(株)は,身体機能を改善させるサイボーグ型のロボットを発表した会社として有名です(http://www.cyberdyne.jp/products/HAL/index.html)。メディアにも結構取り上げられ,注目も高いです。

 具体的に同社にはどのような議決権が存在するか,ですが,①上場する株式の方の議決権と,②上場しない株式(B種類株式)の議決権が,1:10なのだそうです(つまり,②の株式が①よりも10倍の議決権を持つということです。もっとも,配当は株式数に応じて平等だそうです。)

 このように,会社の株式について複数の内容を認めることは,会社法上認められており,非上場の小規模な会社においては,色々と活用されてきました。

 たとえば,私が経験したある事案では,ある人物の株式(株式数は全体の90%もありました。)だけ定款変更により議決権を完全に無くしてしまい,その人物の相続人が議決権を行使できない状態にされていた,というものがありました。

 この会社では,残り10%の株式を保有する人物が会社経営を支配することができます。被相続人としては,相続人に是が非でも会社経営をさせたくなかったのでしょう。

 このような極端な内容の株式も,株主たちがいいと言うならば,自由に作り,普通の株式と併存させることができます。

共同出資

 ただ,上場している会社の場合は,多数の関係者が株式を取引するので,内容が異なる株式がいくつもあると混乱のもとです。よって,東証は,議決権の内容が異なる株式が発行される会社についての上場を禁じていました。その規則が2008年に改正され,上場が許されるようになったのですが,ようやく今回第1号が出たのです。

 今後,このような複数議決権方式の会社の上場がどれだけあるかは分かりませんが,柔軟な資金調達の見地からは,望ましいことです。

 

投稿日:2014年3月27日 11:33|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

原状回復費用の相談がありました

 

 先日,「原状回復費用は意外に高くならない」というテーマで投稿させて頂きましたが,偶然,その翌日にあるお客様から,原状回復についてのご相談がありました。

賃貸住居?

  最近,退去をした物件で,建物管理会社(名古屋では大手の業者でした)から,「原状回復費用が30万円くらいになる。20万円の保証金は返せないし,むしろ,追加で10万円支払ってもらいたい。」という連絡と見積書が届いたそうです。

 

 お客様によると,10年借りていたけど,汚損した部分も無い,とのことで,なぜそのような高額な請求になるか理解できない,とのことでした。

 私からは,原状回復ガイドラインに違反するような請求の可能性があるので,抗議した方がいい,とアドバイスしました。

 それから数日後,そのお客様から電話があった際,管理会社から,突然,保証金を5万円だけ返すという解決でどうか,と連絡があったとの話でした。

 このように,早期に大幅な減額提案があると,果たして最初の提案が妥当だったのか,大いに疑問です。

 根拠も無く高額な原状回復費用をふっかけて,ごねる人にだけは譲歩するという手法はあまり感心できないものです。

 電卓と家

 

 

投稿日:2014年3月06日 09:53|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

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