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弁護士法人 片岡法律事務所
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名古屋の弁護士ブログ(片岡法律事務所)

経験豊富な弁護士が、法律情報や、時の法律問題、中国情報などを易しい言葉でコメントします。

結局出てきた預金

 今年1月に、かなり以前預けていた銀行預金通帳を、合併後の新銀行の通帳に切り替えようと思い、支店へ行きました。

 それ以前、事務員さんに代わりに行ってもらったところ、本人に来てもらって下さいと言われました。

 その日には1時間以上待たされたあげく、今日中には無理なので、後日連絡します、と言われました。

 数日後、銀行から連絡が来て、「貴方の定期預金も普通預金も2003年9月22日解約払戻されており、残高はありません。」と言われました。

 大変驚きました。通帳も印鑑も持っているし、銀行窓口に行ったこともないので、誰かが紛失届を出して解約したのかとも思いました。

 しかし、諦めるにしては少なくない金額でしたので、再度解約払戻したときの伝票などを確認して欲しい、と伝えました。

 ところが、それからしばらくして、定期預金も普通預金もありました、と連絡がありました。合併などがあったし、古い預金なので、辿るのが難しかった、との説明でした。

 また、店頭まで来て下さいとのことで、またまた出向きました。その場では、新通帳がこうふされず、かなりの日にちが経って、やっと昨日届きました。

 それにしても、なぜ解約された、と伝えてきたのかという理由については、説明がなく、謝罪もありませんでした。

 疑問を持つ人

 

投稿日:2014年4月10日 13:40|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 随筆・雑文

ゴルフ場での事故

 たまにある裁判例なのですが,ゴルフ場での事故にまつわる裁判がありました(岡山地裁H25.4.5判決)。

 皆さんもよくやるゴルフの話なので,ちょっと取り上げてみたいと思います。

 

 「ベテラン」のゴルフ仲間同士がキャディさん付きでラウンドしていました。

 ところが,仲間の1人が打った打球がシャンクし,前を歩いていた人の左目にあたってしまいました。

 その結果,被害者は失明していました。

 被害者が加害者よりも前にいたのは,先に打った被害者が,早く打球の行方を見に行きたかったためでした。

アイアンショット

 

  被害者は,①加害者,②キャディ,そしてキャディの使用者である③ゴルフ場会社を訴えました。

 それぞれの責任の根拠として被害者が挙げたのは次の点でした。

 ①加害者:前方に被害者がいるのに十分な安全確認をしないままに打った過失

 ②キャディ:前方に被害者がいるのに注意喚起しなかった過失

 ③ゴルフ場会社:キャディの使用者責任

 判決では,被害者にも不注意があったということで,

 被害者3割,加害者6割,キャディ1割(会社も同じ)の過失割合だと認定して,4408万7502円の損害賠償を認めました。

 法廷

 ちなみに加害者とキャディ,会社は,一緒に被害を与えたものとして「共同不法行為者」と言います。

 通常,裁判では共同不法行為者間の過失割合を明言しないことが多いです。

 それは,共同不法行為者間では,めいめいが全額損害賠償責任を負うことになるからです。

 全額負担する以上,求められた裁判の中ではその過失割合を論じる必要が無いのです。

 しかし,それだと,後日,加害者とキャディ(ゴルフ場会社)とで誰がどれだけ負担するべきか,もめます。

 上記判決のように割合を書いてもらえれば,話し合いが容易になるので,裁判所はちょっとの手間を惜しまないでほしいものですね。

 

 

 

投稿日:2014年4月03日 10:31|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

株式の内容は株式ごとに変えられる

 平成26年2月19日,東京証券取引所が,複数議決権方式を利用したCYBERDYNE(株)の新規上場を承認しました。複数議決権方式の会社の上場は日本で初めてだということです。

 CYBERDYNE(株)は,身体機能を改善させるサイボーグ型のロボットを発表した会社として有名です(http://www.cyberdyne.jp/products/HAL/index.html)。メディアにも結構取り上げられ,注目も高いです。

 具体的に同社にはどのような議決権が存在するか,ですが,①上場する株式の方の議決権と,②上場しない株式(B種類株式)の議決権が,1:10なのだそうです(つまり,②の株式が①よりも10倍の議決権を持つということです。もっとも,配当は株式数に応じて平等だそうです。)

 このように,会社の株式について複数の内容を認めることは,会社法上認められており,非上場の小規模な会社においては,色々と活用されてきました。

 たとえば,私が経験したある事案では,ある人物の株式(株式数は全体の90%もありました。)だけ定款変更により議決権を完全に無くしてしまい,その人物の相続人が議決権を行使できない状態にされていた,というものがありました。

 この会社では,残り10%の株式を保有する人物が会社経営を支配することができます。被相続人としては,相続人に是が非でも会社経営をさせたくなかったのでしょう。

 このような極端な内容の株式も,株主たちがいいと言うならば,自由に作り,普通の株式と併存させることができます。

共同出資

 ただ,上場している会社の場合は,多数の関係者が株式を取引するので,内容が異なる株式がいくつもあると混乱のもとです。よって,東証は,議決権の内容が異なる株式が発行される会社についての上場を禁じていました。その規則が2008年に改正され,上場が許されるようになったのですが,ようやく今回第1号が出たのです。

 今後,このような複数議決権方式の会社の上場がどれだけあるかは分かりませんが,柔軟な資金調達の見地からは,望ましいことです。

 

投稿日:2014年3月27日 11:33|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

支払ってもらえない退職慰労金

 株式会社の内紛で創業者メンバーの1人であった取締役の方がいきなり解任され,追放されるといったことがあります。

 この場合,追放される取締役は,どんな法律上の保護が受けられるでしょうか

 しろうと的には,たとえば,①任期までの役員報酬,②退職慰労金,それから,③株式を持っていれば株式譲渡ができるのではないか,と考えられます。

 しかし,この中で,法律上与えられている取締役の保護は,①のみです。

 仁義として,②③をやってくれてもいいじゃないか,と思われるのは至極もっともなのですが,そのような権利を会社法は認めてくれていないのです。

 ②については,退職金規定がない場合はもちろん,退職金規定がちゃんとあったとしても,株主総会において退職慰労金の支払いに関する決議が得られない限りは,取締役に権利はありません

 よって,当該会社の株式の大半を対立相手が保有している場合は,株主総会決議を得られず,退職慰労金も満足に支払ってもらえない可能性があるのです。

 ③についても,株式の買取義務は当該会社にも他の取締役にもありませんから,いわば温情的に買ってもらうしかありません。

 多くのケースでは,追放される取締役の株式は不当と言ってよいほど安い値段で買いたたかれています。でも,非上場の株式だと,買ってもらえないよりマシなので,上場する可能性が無い限りは,安い値段でも買い取ってもらった方が有利だと言うことになります。

 このように,追放される取締役の保護は極めて薄いものです。

 労基法で守られている労働者とは全く異なりますので,中小企業だと役員になることが逆にリスクになるとも言えるのです。

クビ宣告

 

 

投稿日:2014年3月20日 07:38|カテゴリー:労働問題, 弁護士の役立つ情報

原状回復費用の相談がありました

 

 先日,「原状回復費用は意外に高くならない」というテーマで投稿させて頂きましたが,偶然,その翌日にあるお客様から,原状回復についてのご相談がありました。

賃貸住居?

  最近,退去をした物件で,建物管理会社(名古屋では大手の業者でした)から,「原状回復費用が30万円くらいになる。20万円の保証金は返せないし,むしろ,追加で10万円支払ってもらいたい。」という連絡と見積書が届いたそうです。

 

 お客様によると,10年借りていたけど,汚損した部分も無い,とのことで,なぜそのような高額な請求になるか理解できない,とのことでした。

 私からは,原状回復ガイドラインに違反するような請求の可能性があるので,抗議した方がいい,とアドバイスしました。

 それから数日後,そのお客様から電話があった際,管理会社から,突然,保証金を5万円だけ返すという解決でどうか,と連絡があったとの話でした。

 このように,早期に大幅な減額提案があると,果たして最初の提案が妥当だったのか,大いに疑問です。

 根拠も無く高額な原状回復費用をふっかけて,ごねる人にだけは譲歩するという手法はあまり感心できないものです。

 電卓と家

 

 

投稿日:2014年3月06日 09:53|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

意外に高くならない原状回復費用

 皆さんは,賃貸住宅にお住まいになられた経験が1度くらいあるのではないでしょうか?

 賃貸住宅を借りる際には保証金や敷金を大家さんに差し入れるのが通常ですが,これらは家賃が未払になったときや退去時に部屋に汚損・傷等がある場合の原状回復費用を担保するためのお金です。

 このうち,家賃未払は賃借人も自覚しているでしょうから,もめることはありません。問題は,原状回復費用です。

 きれいに使っていて目立った傷も無いのに原状回復費用が請求されたり,傷があるのは確かだけど原状回復費用が異常に高かったりして,結果的に保証金はゼロ,と連絡されることもあります。

 感覚的には,たしかにひどい使い方をしていれば保証金がゼロになることはありますが,特に傷をつけていなければほぼ全額に近い金額が返還されるべきものです。

 まず,賃借人が負担しなければならない原状回復費用は,特別損耗に関するものに限定されます。

 特別損耗とは,通常使用で経年劣化した部屋の汚れ(通常損耗)を除く,賃借人の故意・過失により,部屋を汚損させたような場合を指します。

 そして,特別損耗が発生している場合でも,賃借人が負担すべき原状回復費用は,当該部分の修復に必要な費用に限定されますし,減価償却を考慮に入れることも可能です。

 たとえば,壁クロスの一部を汚損させたとしても,汚損部分のみ張り替えることができるのであれば,一部分のみのクロス張り替えだけ負担すれば足ります。

 また,長年住んでいたならば,壁クロスの価値も毎年減価している筈ですので,新クロスの張り替え費用の一部を負担すれば足ります。

 つまり,原状回復費用としては,大家さんが請求する金額の一部の一部で済むこともあるということです。高額すぎる原状回復費用が請求された場合は,相談して頂きたいです。

賃貸住居?

 

投稿日:2014年2月27日 17:03|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

交通事故で被害にあったときに請求できる相手方とは

 交通事故で追突事故を起こされ,あなたが怪我をしたとき,あなたは誰に対して,被害の回復を請求することができるでしょうか?

 まず,①追突してきたクルマの加害運転者に損害賠償請求できます。事故を起こした当事者なのですから,弁償しなければならないのは当然でしょう。
 次に,②クルマの所有者が加害運転者と別の場合に,クルマの所有者(保有者といいます。)に損害賠償請求ができます。
 これは,自賠法という特別法でクルマの保有者に特別な責任が認められていることによります。
 ただし,リース車のような場合には,クルマの運行支配や運行利益がないため,リース会社に責任はありません。
 さらに,③その加害者が仕事中だった場合には,会社等,当該加害者を使用する者が責任を問われることがあります(民法715条)。

 しかし,クルマの物的損害については,①追突してきた加害者と,③使用者に対して請求できるのですが,②保有者には責任を追及できません

 物的損害よりも人身損害の方が被害回復の必要性が大きいからです。

 以上の見たように,交通事故では,直接の加害者以外の人も責任を負う場合がありますから,安易に第三者にクルマを貸すことは危険です。
 やむを得ず貸す場合も,必ず任意保険に加入してください。

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投稿日:2014年2月20日 22:06|カテゴリー:交通事故, 弁護士の役立つ情報

社会福祉法人の事業承継

 高齢化社会が現実のものとなり,老人ホームが次々と建設されています。

 最近は,老人ホームを運営する社会福祉法人についてМ&Aの相談が増えてきているように感じます。

  社会福祉法人は,税制上の優遇措置があるため,非常に公益性の高い法人組織です。

 そのため,M&Aにあたっては,社会福祉法人の特殊性を考える必要があります。

 たとえば,株式会社なら,株式を購入すれば会社の支配権を得られます。しかし,社会福祉法人は上記のとおり公益性が高いため,株式のような社員持分権がそもそも存在しないのです。

 つまり,社会福祉法人には支配権の概念はありませんし,そのため支配権を譲渡するということも観念できないのです(そもそも支配権が無いから譲渡もないですよね。)。

 したがって,現理事長から社会福祉法人の支配権を譲り受ける対価として,現理事長側にお金を渡すということは建前上できません(対価性がないため贈与になってしまいます。高額の贈与税が発生します。)

 ただし,現理事長に社会福祉法人から退職金を支給するという方法ならば正当な対価支払が可能です。

 もっとも,退職金をねん出するために,社会福祉法人の基本財産を売却しなければならない場合には,所管官庁の承認が必要となります。

 また,退職金規定に則った退職金支払が必要ですから,社会福祉法人が立ち上がったばかりのような時期の事業承継の場合,退職金規定に定める年数が足りず,現理事長が求める多額の退職金を支払うことができないこともあります。ですから,少なくとも数年は役員を続ける必要があるのです。

 社会福祉法人を立ち上げるために資金をつぎ込んでも,資金回収は大変だということをご理解頂けるかと存じます。

 

001

投稿日:2014年2月17日 13:03|カテゴリー:医療法務, 弁護士の役立つ情報

法廷の警備

 裁判所は,もともと争い事を扱う場所ですので,裁判所内でトラブルが発生することがあります。

 幸い,当事務所が扱った件で,トラブルに発展したケースはありませんが,当事者を制止するため警察官が来るのを目の当たりにした経験はあります。

 特にトラブルが起こりやすいのが,本人訴訟の場合です。

 本人訴訟とは,弁護士をつけずに,事件の当事者が裁判所に出頭して手続を行う場合です。

 本人訴訟では,紛争の当事者が出頭するため,感情的になりやすい傾向があります。

 私も,何件か本人訴訟を担当してきたのですが,激しい性格の相手方であったり,精神疾患にかかっているような場合には,若干危険を感じることもあります。

 裁判所も,事前に危険性を察知した場合には,法廷内に警備を置くことがあります。

 といっても,警備服を着用した警備員を置くことはほとんど無く,ごく普通に背広を着た一般男性職員が来るだけで,他の傍聴人にまぎれています。

 一応,法廷内の傍聴席に座って,当事者の動向を監視してくれていますが,緊急時に身を挺して弁護士をまもってくれるわけでもありません。

 弁護士は万が一のときに備えて,逃走術・護身術を身につけておく方が無難だと思います。

 もっとも,一番身につけておくべきは,そもそも危険なトラブルにまで発展しない話術・交渉術かもしれませんね。

 法廷

投稿日:2014年2月06日 13:01|カテゴリー:弁護士の役立つ情報

医療法人の理事長の権限

 当事務所では,社団医療法人内での経営紛争の相談をいくつも受けた経験があります。

 特に理事長と他の理事が経営方針で対立するような場面では,理事長の権限の大きさを考慮する必要があります。

 理事長の権限ですが,医療法46条の4では, 医療法人の代表権は理事長のみに帰属すると定められています。

 つまり,理事長は医療法人の代表者として,医療法人のためにいかなる契約も締結することができるのです(もちろん,医療法人の目的外の行為はできませんが。たとえば,理事長個人が使うためにリゾートマンションを医療法人で購入する,などです。)。

 では,理事会や社員総会で,理事長の権限を制限する決議をした場合はどうでしょうか。

 これについては,解釈上,医療法77条が一般社団法人及び一般財団法人77条5項を準用していないため,理事長の代表権に加えた制限は第三者の善悪にかかわらず対抗できない(つまり相手方が制限があることについて知っていても争えない),と解釈されています。

 つまり,いったん理事長になってしまえば,極めて強大な権限を有することになるのです。

 したがって,理事長が身勝手な行動をしているようなケースでは,理事長の行動に待ったをかけるためには究極的には理事長職を解職するしか無いことになります。

 しかし,理事長職の解職には大変な困難を伴います。そのことについては,また次の機会にご説明したいと思います。

病院建物画像

 

投稿日:2014年1月30日 13:32|カテゴリー:医療法務, 弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

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