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弁護士法人 片岡法律事務所
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名古屋の弁護士ブログ(片岡法律事務所)

経験豊富な弁護士が、法律情報や、時の法律問題、中国情報などを易しい言葉でコメントします。

模倣商品に対する規制は?

 たまに,自社の製品が模倣されたということで他社製品の差止め請求をしたいと相談にみえるお客様がいらっしゃいます。

 模倣製品がお客様の登録商標や登録意匠を侵害している場合は,商標や意匠に基づいて差止請求をすることが可能です。

 しかし,特に商標登録や意匠登録が無い場合でも,不正競争防止法に基づく差止請求ができる場合があります。

 それが,不正競争防止法第2条第1項の第3号に規定されている,「他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為」に該当する場合です。

 ここで「模倣」という言葉の意味が問題になります。

 特許庁で登録されていなくても保護してもらえるわけですから,相当酷似していないと模倣とは言えません。

 有名な裁判例としては,ドラゴンキーホルダー事件というものがあります。

 この裁判では,結局模倣したとは言えないという判断となりましたが,かなり酷似していないと模倣とは言いがたいことがよく分かります。アイディアそのものを保護するわけではないので,外観がほぼ同一というレベルの模倣が必要だと言えます。

 なお,どれだけ似ているかはこちらのリンクから確認して頂くと良いと思います。http://www.kojimatokkyojimusho.net/hanketsu/h7.html

c1-13-1

東京高裁平成10年2月26日判決を引用しておきます。

「不正競争防止法2条1項3号にいう「模倣」とは、既に存在する他人の商品の形態をまねてこれと同一または実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいい、客観的には、他人の商品と作り出された商品を対比して観察した場合に、形態が同一であるか実質的に同一といえる程に酷似していることを要し、主観的には、当該他人の商品形態を知り、これを形態が同一であるか実質的に同一といえる程に酷似した形態の商品と客観的に評価される形態の商品を作り出すことを認識していることを要するものである。
 ここで、作り出された商品の形態が既に存在する他人の商品の形態と相違するところがあっても、その相違がわずかな改変に基づくものであって、酷似しているものと評価できるような場合には、実質的に同一の形態であるというべきであるが、当該改変の着想の難易、改変の内容・程度、改変による形態的効果等を総合的に判断して、当該改変によって相応の形態上の特徴がもたらされ、既に存在する他人の商品の形態と酷似しているものと評価できないような場合には、実質的に同一の形態とはいえないものというべきである。

 原告商品は頭部が1個の通常の竜であるのに対し、被告商品は胴体の両端に頭部のある双頭の竜であるという相違点が存するところ、被告商品の製造、販売時において、双頭の竜を表したキーホルダーが存在したことを認め得る的確な証拠はなく、また、双頭あるいは複数の頭を有する竜のデザイン自体がよく知られたものであることを認め得る証拠もないこと、原告商品、被告商品とも、基本的には、洋剣と竜のデザインを組み合わせたものであって、商品としての形態上、竜の具体的形態が占める比重は極めて高く、被告商品において洋剣の柄部分側と刃先側に表された竜の頭部が向き合っている形態は、需要者に強く印象づけられるものと推認されることからすると、被告商品における竜の具体的形態は、被告商品の全体的な形態の中にあって独自の形態的な特徴をもたらしているものと認められること、本体部分の大きさの違いもわずかであるとはいえず、表面部分の面積を対比しても、ほぼ1(原告商品)対2(被告商品)程度の違いがあり、量感的にも相当の違いがあることからすると、原告商品の形態と被告商品の形態との間に前記のとおりの共通点が存すること、及び、原告商品の製造、販売当時(平成6年1月)において、原告商品の基本的構成である、本体部分において、全体が金属製で偏平であり、柄及び刃体と鍔部とが交差して縦長の概略十字形で表面側の十字の中心部分に宝石状にカットされた円い形状のガラス玉がはめ込まれている双刃の洋剣に、竜が、洋剣の刃先部分から、刃体、鍔部、柄部と上方に向けて左巻きにほぼ二巻き螺旋状に巻きついた状態に表側、裏側共に浮彫りされている形態、あるいはこれに類似する形態を有するキーホルダーが存在していたことを認めるに足りる証拠がないことを考慮しても、被告商品の形態が原告商品の形態に酷似しているとまでは認め難く、実質的に同一であるとは認められない。

 したがって、被告商品は、原告商品の形態を模倣したものとは認められない。」

 

投稿日:2013年7月02日 17:15|カテゴリー:弁護士の役立つ情報

ややこしい国際取引紛争

 グローバル化した今日,商品を海外から仕入れて国内で販売することは非常に多くなりました。

 それに伴い,国際取引にまつわる紛争も増加しつつあります。当事務所でもいくつか国際取引に関する相談があります。

 国際取引にまつわる紛争については,2つの大きな問題があります。

 1つ目は,①日本の裁判所で訴訟ができるか(管轄の問題),2つ目は,②どこの国の法律が適用されるか(準拠法の問題),です。

 まず,①日本の裁判所で訴訟ができないならば,相手方の国で紛争を解決するほかありません。したがって,裁判管轄がどこになるかは最重要です。

 それよりは重要度が劣りますが,2つ目の②準拠法の問題も重要です。

 仮に日本で裁判ができるとしても,どこの国の法律が適用されるかで当事者の有利不利が決まることがあるからです。

 読者の方の中には,日本で裁判するのに日本法を適用しないの?と驚かれる方もいらっしゃるでしょうが,実際,日本の裁判所では他国の法規が解釈適用されて判決が下される場合もあるのです。

 これら①②の事項は,極めて重要な事項ですので,契約書にきちんと謳っておくのが一般的です。しかし,ごく稀にきちんと定めていない場合があり,こういった慎重でない契約をする時に限って,紛争が生じがちです。

 契約締結の際には,売買条件等にばかり目が行きますが,紛争可能性を常に視野に入れて,管轄や準拠法等の契約条件をきちんと定めることが,無用な紛争回避や費用支出を回避する第1歩になると思います。

 なお,①管轄や②準拠法については,色々法律や判例がありますので,またの機会にアップしたいと思います。

2012111601

 

投稿日:2013年6月07日 19:08|カテゴリー:中国情報, 弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

テレビガリレオの第7話犯人の動機

 現在,視聴率20%代をキープしている東野圭吾原作のテレビガリレオの第7話で,相続が犯人の動機になる場面がありました。

 父,母,子の3人家族で,父母が何者かに殺害された状態で発見され,発見時には,先に父が殺害されその後に母が殺害されたような物的状況となっていました。

 真相は,父が母を殺害した後,自殺したというものなのですが,犯人(子)は,その死亡順序を父→母に偽装したのでした。

 偽装の動機について,子供が母の連れ子で,父と養子縁組をしていなかった事実が明かされます。

 もし,母→父が死亡順序だと,父の遺産は,養子縁組していない子には相続されません。しかし,父→母だと,父の遺産は母に相続された後,連れ子に相続されることになります。

 これはミステリーで定番の法的知識でもあり,謎解きの前におおよその筋が分かってしまいました。

 ミステリーのトリックを見抜くとすぐに人に喋ってしまいたくなるのが人情ですが,一緒に見ている家族のためにはぐっと我慢しなければいけませんね(笑)。

 ちなみに,興醒めなことを申し上げると,この件だと,連れ子は,母の父に対する損害賠償請求権を取得し(殺されたため),これを相続することになりますから,実質的に父の遺産の一部を取得できることになります。

 そこまで調べてもらえると,我々弁護士としても,「よく勉強しているなー。」と思えるのですが,さすがに言及はありませんでした。

ミステリ

 

投稿日:2013年5月30日 09:57|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題, 随筆・雑文

高齢者と交通事故

 最近,自賠責保険料が値上がりしたり,任意保険の保険料が値上がりするという新聞報道がされています。http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130520/fnc13052022240017-n1.htm

 背景にあるのは,高齢者が加害者となる交通事故が増えている実情があります。

 私は,交通事故の案件を多数取り扱ってきましたが,最近は,高齢者の方が加害者となる事案が増えてきた,という印象があります。

 どういった事故態様が多いかというと,ご単純な追突です。

 すなわち,停止中の車両に気付くのが遅く,あるいは気付いてもアタフタしてブレーキが遅れ,追突してしまうというものです。高齢者でなければ,見通しがいいのになぜ追突してしまったのだろうと疑問に思うようなケースも散見されます。

 若い頃と同じように車間距離を詰めて走っていると,どうしても反応が遅れてしまうため,高齢者のドライバーには車5,6台分の車間距離をとって走行して頂きたいものです。

 高齢者の社会進出が求められる昨今,高齢者による自動車運転の機会は増えることが予想されますが,それに伴い,保険料の上昇も不可避だろうと思います。

 保険料の上昇を嫌ってますます若者の自動車離れが加速しないか心配です。

ojiisan

 

投稿日:2013年5月21日 13:20|カテゴリー:交通事故, 弁護士の役立つ情報

振り込め詐欺に対する有効な対抗策

 振り込め詐欺の被害については,広く社会に認識されるようになっているので,なぜ未だに無くならないのか,疑問に思われる方もいらっしゃると思います。

 しかし,詐欺の手口は日々巧妙化しており,金融庁とか弁護士などの肩書きを名乗られたり,何人もの人間から責め立てられるように電話が入ってくると,一人暮らしの高齢者は指定された口座に振り込んでしまうのです。

 基本的に一旦振り込んでしまうと,取り戻すことはほぼ不可能ですが,唯一,「少しは」有効と思われる回収手段があります。

 それは,銀行振込を利用した犯罪行為(例えば、振り込め詐欺やヤミ金融など)の被害者から依頼を受けた弁護士が,所定の書式で,振込先銀行にFAXを入れ,振込先銀行において当該口座を凍結してもらい(必ずではないですが),しかるべき手続を経て,凍結口座の預金を分配してもらえるという制度です。

 振り込め詐欺等の被害者の財産を守るためには,振り込んだ預金口座を一刻も早く凍結させることが必要ですが,おそらくこの方法が最も迅速ではないかと思います。しかし,一般に相談頂くのが,被害後数日を経過していることが多いので,空振りに終わることが多いのが実情です。もう少し早ければ,と,無念でなりません。

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投稿日:2013年5月16日 15:45|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

割に合わないインサイダー取引

 現在アベノミクスで株価が上昇し,株式の取引が活況を呈しています。皆様も株式取引には大きな関心を寄せていらっしゃるのでは無いでしょうか。

 こうした株式取引が活発な状況下では,インサイダー取引の摘発例も多くなります。

 インサイダー取引というのは,皆様もよく耳にされると思うのですが,会社と特別な関係を持つ者が,その地位ゆえに一般投資家が知り得ない,投資判断に影響のある重大な情報を知り,その情報が公表される前に,証券取引を行うような場合を指します。NHK職員によるインサイダー取引の例などは記憶に新しいのでは無いかと思います。

 こうした取引は,投資家の信頼を損ない,市場の公正性を傷つけることから,厳しく金融商品取引法で禁じられています。

 インサイダー取引は,目の前にえさがぶら下がっているようなものですから,多くの方が手を出してしまいがちです。バレないだろうという思いもあるのだろうと思います。しかし,インサイダー取引を監視している証券取引等監視委員会によれば(職員の方から直接お聴きしたことがあります。),独自の調査に加え,広く公衆から情報提供を受け付けていて,タレコミも多数あるそうです。

 そうしたタレコミからインサイダー取引が露見して,告発されてしまった場合,刑事罰は重く,5年以下の懲役,500万円以下の罰金(金商法197条の213号),さらに利益が没収・追徴されるという刑事制裁を受けることになります(同法198条の2第1項・2項)。刑事制裁までいかなくとも,課徴金という行政的制裁があり,利益はゼロとなるばかりか,マイナスになりかねません。

 このようにインサイダー取引はバレてしまうと重い制裁を受けるし,どこからバレるか分かりません。

 また,インサイダー取引に該当するケースは意外に広いため(今後ご紹介できたらと思います。),証券がらみでいいネタがあると言われて飛びつくと重大な結果を招きかねません。甘い話には乗らないというのが鉄則でありましょう。

 

投稿日:2013年5月15日 17:10|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

リストラ部署への異動

 企業が退職勧奨を行うにあたって,リストラ部署にリストラ予定者を送り込んで,パワハラをする会社があるそうです。http://news.livedoor.com/article/detail/7610045/ (但し,この事案では,会社側も争っているので,そのような事実があったのかどうかは不明です。)

 このようなリストラ部署を設置する企業は他にもあり,中には日本を代表するような一流企業にもあるのだそうです。

 なぜこういった部署を設置するかというと,労働者が自発的に退職届を出すようにもっていけば,安上がりにリストラができると企業側が考えているからだと思います。

 もし,企業側から解雇する場合,労働者に解雇予告手当を支払わなければいけないのはもちろん,解雇が無効になった場合の多額の補償を負担しなければなりません。また,解雇が無効になる可能性は極めて高いため,リスク・コストともに高額化が予想されます。

 他方,いったん労働者が退職届を提出すると,余程の事情が無い限り,退職の撤回は認められません。

 したがって,企業側からすると,退職届さえ出してもらえれば,解雇による紛争のリスクやコストがかからないため,圧倒的に有利なのです

 もっとも,最近は,労働者も秘密裏に録音をして証拠を確保するようになってきましたので,万が一管理職のひどい発言が録音でもされて公表されれば,企業イメージは地に落ちますし,違法と判断される可能性もあります。

 よって,基本的にはこのような方法での退職勧奨はかえってリスクが大きいですから,とるべきでは無いように考えます。

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投稿日:2013年5月04日 21:26|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

雨の日に乗る自転車

 今日のような雨の日には通勤にご苦労されているものと思います。

 雨の日によく見かける光景として自転車の傘差し運転があります。皆さんは子供の頃から傘差し運転をしてきた方も多いので悪いことであると思っていないかもしれませんが、実は違法です。

 罰則もあり五万円と決して安くはありません。

 http://www.pref.kyoto.jp/fukei/kotu/koki_k_t/jitensha/

 私も最近は雨の日にカッパを来て通勤しています。

 かなり前の話になりますが役所の無料法律相談で自転車事故の相談がありました。

 高校生の娘さんが傘差し運転をしていて,前方を歩行していたお婆さんにぶつかり,お婆さんが寝たきりになってしまったということでした。

 自転車には自賠責の制度がありませんから、このような被害に対する賠償は全額自己負担となり、重い怪我については1000万円を超える賠償が必要なケースも無いわけではありません。

 罰金は大したことがなくても、事故が発生した場合のダメージは計り知れないので、カッコ悪くてもカッパを装着して自転車に乗っていただきたいものです。

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投稿日:2013年4月30日 08:53|カテゴリー:交通事故, 弁護士の役立つ情報

弁護士会への入会

 弁護士は,弁護士登録をしないと弁護士としての業務ができません。

 各県にある単位会(たとえば愛知県弁護士会)を通じて弁護士登録をしないと弁護士業務が全くできないのです。

 では,入会に条件があるかというと,ほとんど無いというのが実際です。

  司法試験に合格し,司法修習を受けた人であれば,「ほぼ」無条件に弁護士会に入会できます。

 しかし,例外的に要注意な経歴を持つ人には入会が許されない例があります。

 たとえば過去に犯罪行為によって裁判官を罷免された方で,何度登録請求しても,弁護士会側で拒絶しているというものがあります。

  そのような方を入会させては,会としての品位を保てないという判断でしょう。

 他方で,多少の犯罪行為(たとえば酒気帯び運転をした方)を犯した方でもしばらく時間を経過している方には,登録を認めている例もあります。

 一般の方には抵抗感のある話だと思いますが,総合判断ということかと思います。

投稿日:2013年4月19日 11:50|カテゴリー:弁護士の役立つ情報

慰謝料の目安とは?

 「行列のできる相談所」などの法律番組では,よく,慰謝料がとれるかどうかがテーマになることが多いです。

 コメントをされる弁護士さんは,この事案なら慰謝料はとれる・とれない,とコメントしますが,慰謝料がとれるかとれないかは,とても微妙なこともあり,また,とれるとしてもいくらになるかは断言できないというのが実際です。

 しかし,慰謝料額がいくらになるか推定ができる分野があります。それは,交通事故の事案です。

 交通事故の場合,基準となる算定表があるため,特殊事情が無い限り,概ね算定表に沿った解決がされます。

 たとえば,事故をして,怪我をしたということだと一番重要なのは,入院・通院期間です。

 これらのデータが重要な指標になり補助的に怪我の程度が考慮されることになります。

 算定表を見れば,入院期間の月数と通院期間の月数によって慰謝料の目安が「●円~●円」と分かります(そのように書いてあります。)。

 その上で,怪我の程度が小さいと下限になり,大きいと上限に近くなる,といった具合です。

 この交通事故の慰謝料の基準は,交通事故以外の怪我に関する慰謝料でも適用されます

 慰謝料金額が皆目見当がつかない,というときには,交通事故の算定表を基準にすると,加害者被害者の納得が得られるものと思います。

 ・・・悩ましいのは,怪我をしたのに,病院に行かなかった場合です。通院期間ゼロのため,慰謝料はごく僅かな金額になってしまう可能性があります・・・。

 

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投稿日:2013年4月18日 16:31|カテゴリー:交通事故, 弁護士の役立つ情報

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