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弁護士法人 片岡法律事務所
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名古屋の弁護士ブログ(片岡法律事務所)

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経験豊富な弁護士が、法律情報や、時の法律問題、中国情報などを易しい言葉でコメントします。

交通事故で被害にあったときに請求できる相手方とは

 交通事故で追突事故を起こされ,あなたが怪我をしたとき,あなたは誰に対して,被害の回復を請求することができるでしょうか?

 まず,①追突してきたクルマの加害運転者に損害賠償請求できます。事故を起こした当事者なのですから,弁償しなければならないのは当然でしょう。
 次に,②クルマの所有者が加害運転者と別の場合に,クルマの所有者(保有者といいます。)に損害賠償請求ができます。
 これは,自賠法という特別法でクルマの保有者に特別な責任が認められていることによります。
 ただし,リース車のような場合には,クルマの運行支配や運行利益がないため,リース会社に責任はありません。
 さらに,③その加害者が仕事中だった場合には,会社等,当該加害者を使用する者が責任を問われることがあります(民法715条)。

 しかし,クルマの物的損害については,①追突してきた加害者と,③使用者に対して請求できるのですが,②保有者には責任を追及できません

 物的損害よりも人身損害の方が被害回復の必要性が大きいからです。

 以上の見たように,交通事故では,直接の加害者以外の人も責任を負う場合がありますから,安易に第三者にクルマを貸すことは危険です。
 やむを得ず貸す場合も,必ず任意保険に加入してください。

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投稿日:2014年2月20日 22:06|カテゴリー:交通事故, 弁護士の役立つ情報

社会福祉法人の事業承継

 高齢化社会が現実のものとなり,老人ホームが次々と建設されています。

 最近は,老人ホームを運営する社会福祉法人についてМ&Aの相談が増えてきているように感じます。

  社会福祉法人は,税制上の優遇措置があるため,非常に公益性の高い法人組織です。

 そのため,M&Aにあたっては,社会福祉法人の特殊性を考える必要があります。

 たとえば,株式会社なら,株式を購入すれば会社の支配権を得られます。しかし,社会福祉法人は上記のとおり公益性が高いため,株式のような社員持分権がそもそも存在しないのです。

 つまり,社会福祉法人には支配権の概念はありませんし,そのため支配権を譲渡するということも観念できないのです(そもそも支配権が無いから譲渡もないですよね。)。

 したがって,現理事長から社会福祉法人の支配権を譲り受ける対価として,現理事長側にお金を渡すということは建前上できません(対価性がないため贈与になってしまいます。高額の贈与税が発生します。)

 ただし,現理事長に社会福祉法人から退職金を支給するという方法ならば正当な対価支払が可能です。

 もっとも,退職金をねん出するために,社会福祉法人の基本財産を売却しなければならない場合には,所管官庁の承認が必要となります。

 また,退職金規定に則った退職金支払が必要ですから,社会福祉法人が立ち上がったばかりのような時期の事業承継の場合,退職金規定に定める年数が足りず,現理事長が求める多額の退職金を支払うことができないこともあります。ですから,少なくとも数年は役員を続ける必要があるのです。

 社会福祉法人を立ち上げるために資金をつぎ込んでも,資金回収は大変だということをご理解頂けるかと存じます。

 

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投稿日:2014年2月17日 13:03|カテゴリー:医療法務, 弁護士の役立つ情報

刑事事件における身柄拘束

 片山被告人が真犯人かどうかは不明ですが,犯人かどうか分からない人を,ここまで長期間身柄拘束し,また外部との接触をほぼ禁止できること自体,異常と言わざるを得ません。
 悲しいかな,これが刑事司法の現状なのです。まさに「人質司法」です。
 「勾留」について,裁判員裁判のように市民が関与できる手続ができれば,劇的な改善があるかもしれません。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20140211-00032567/

投稿日:2014年2月11日 23:14|カテゴリー:刑事事件

法廷の警備

 裁判所は,もともと争い事を扱う場所ですので,裁判所内でトラブルが発生することがあります。

 幸い,当事務所が扱った件で,トラブルに発展したケースはありませんが,当事者を制止するため警察官が来るのを目の当たりにした経験はあります。

 特にトラブルが起こりやすいのが,本人訴訟の場合です。

 本人訴訟とは,弁護士をつけずに,事件の当事者が裁判所に出頭して手続を行う場合です。

 本人訴訟では,紛争の当事者が出頭するため,感情的になりやすい傾向があります。

 私も,何件か本人訴訟を担当してきたのですが,激しい性格の相手方であったり,精神疾患にかかっているような場合には,若干危険を感じることもあります。

 裁判所も,事前に危険性を察知した場合には,法廷内に警備を置くことがあります。

 といっても,警備服を着用した警備員を置くことはほとんど無く,ごく普通に背広を着た一般男性職員が来るだけで,他の傍聴人にまぎれています。

 一応,法廷内の傍聴席に座って,当事者の動向を監視してくれていますが,緊急時に身を挺して弁護士をまもってくれるわけでもありません。

 弁護士は万が一のときに備えて,逃走術・護身術を身につけておく方が無難だと思います。

 もっとも,一番身につけておくべきは,そもそも危険なトラブルにまで発展しない話術・交渉術かもしれませんね。

 法廷

投稿日:2014年2月06日 13:01|カテゴリー:弁護士の役立つ情報

医療法人の理事長の権限

 当事務所では,社団医療法人内での経営紛争の相談をいくつも受けた経験があります。

 特に理事長と他の理事が経営方針で対立するような場面では,理事長の権限の大きさを考慮する必要があります。

 理事長の権限ですが,医療法46条の4では, 医療法人の代表権は理事長のみに帰属すると定められています。

 つまり,理事長は医療法人の代表者として,医療法人のためにいかなる契約も締結することができるのです(もちろん,医療法人の目的外の行為はできませんが。たとえば,理事長個人が使うためにリゾートマンションを医療法人で購入する,などです。)。

 では,理事会や社員総会で,理事長の権限を制限する決議をした場合はどうでしょうか。

 これについては,解釈上,医療法77条が一般社団法人及び一般財団法人77条5項を準用していないため,理事長の代表権に加えた制限は第三者の善悪にかかわらず対抗できない(つまり相手方が制限があることについて知っていても争えない),と解釈されています。

 つまり,いったん理事長になってしまえば,極めて強大な権限を有することになるのです。

 したがって,理事長が身勝手な行動をしているようなケースでは,理事長の行動に待ったをかけるためには究極的には理事長職を解職するしか無いことになります。

 しかし,理事長職の解職には大変な困難を伴います。そのことについては,また次の機会にご説明したいと思います。

病院建物画像

 

投稿日:2014年1月30日 13:32|カテゴリー:医療法務, 弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

症状固定って何?

 交通事故や怪我などの損害賠償の事案では,よく「症状固定」という言葉が登場します。

 たとえば,事故から6か月~1年ずっと病院に通院し続けたけど,いまだに体が痛く,まだまだ通院を続ける必要がある,というような場合,「もう症状固定になっていますから,そろそろ治療を終了させて下さい・・・」と,保険会社担当者から依頼されることがあります。

 ここに,「症状固定」とは,それ以上治療を続けても改善の見込みが無い身体状態になったことを指します。

 むちうちで言えば,病院で投薬やリハビリを受けると少しよくなるけれど,時間が経つとまた戻り,と一進一退の状態になっているような状態です。

 それ以上治療を続けても意味が無いので,実務的には症状固定を境に加害者は以後の治療費を負担しないで済むようになります

 もちろん,症状固定時に後遺障害が遺っていたと認定されれば,後遺障害に対する慰謝料や労働能力を失ったことに対する補償が別途必要となりますから,必ずしも症状固定によって加害者の負担が減るというものではありません。

 よくもめるのが,後遺障害が見込まれない軽微な傷害(骨折や画像所見の認められる傷害は除かれます。)の場合です。

  この場合に,症状固定と言われてしまうと,治療費の負担をしてもらえなくなるので,被害者側はなるべく症状固定時期を遅らせようとします。逆に加害者は症状固定時期を早めようとします。

 一般的には,軽微さの度合いによるのですが,軽微な傷害については,特別事情が無い限り,3~6か月というのが症状固定の目安になると考えています。

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投稿日:2014年1月23日 16:18|カテゴリー:交通事故

取引先の倒産と債権回収-転売した商品の代金をおさえよう

 当事務所のホームページにもQ&Aで取り上げたことがあるのですが,動産(各種商品)の売主は,買主が倒産の危機に瀕した場合,買主が動産を転売した先に債権が残っていればそこから優先的に債権回収することができます

 専門用語で言いますと,「動産売買先取特権に基づく物上代位」というものです。

 とは言っても,売主が座して待っていれば自動的に転売先から金が振り込まれてくるというものでは無く(そんな都合のよいことはありません),裁判所に差押命令を発令してもらう必要があります

 この動産売買先取特権に基づく物上代位は,判決手続を経ないで実行できる非常に強力な債権回収手続であるため,裁判所のチェックは厳しく(そのため,仮差押手続を併用することもあります。),また適用場面も限られているため,申し立てた経験の無い弁護士も多く,中にはそのような手続があることすら知らない(というか勉強したはずなのだが,あまりに使わないので忘れてしまったのでしょう)場合があります。

 弁護士になり立ての頃,2,3回この手続を利用して,運良く全額の債権回収を実現したことがあったのですが,数十社の債権者がいたにもかかわらず,この手続をとった債権者は,当該関与先だけだった,と破産管財人から聴いたことがありました。

 倒産=あきらめる,という思考に陥らず,一言相談頂ければ活路が開ける場合があります(常に必ずうまくいくわけではないので,あしからず)。特に顧問先の皆様には電話一本頂ければという思いです。

(執筆者:片岡憲明)

投稿日:2014年1月17日 15:56|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 破産債務整理

遺産としてのこされた不動産を譲渡する場合の税金

 遺産分割で相続人に公平に財産を分けるためにどうしても不動産を売却しなければならないことがあります。

 単純に考えれば,遺産の中の不動産がたとえば2000万円で売れれば,そのまま2000万円分相続財産が増えるからハッピーだということになりますが,ことは単純ではありません。

 常に念頭に置かなければならないものとして,不動産譲渡所得税があります。

 ご存じのこととは思いますが,不動産を譲渡する際には,不動産譲渡所得税が発生します。

 これは,不動産を取得したときの価格よりも高い金額で不動産を売却した場合に,その差額分の約2割が税金になるというものです。

 たとえば,1000万円で取得した土地が2000万円で売却した場合に差額の1000万円の2割の200万円が税金となります(正確なものではありませんので,ご了承ください。)。なお,マイナスの場合は税金はゼロです。

 問題は,相続の対象となる土地が一体いくらで取得されたのか不明な場合です(ご高齢の方の相続の場合,分からないことが多いです。)。

 こういった場合,もし取得価格が分からなければ,売却価格の5%で取得したものとみなされて課税がされます。

 たとえば2000万円の不動産を売却した場合は,2000万円の5%である100万円で取得したものとして,差額の1900万円が課税の対象額となり,その2割である380万円が不動産譲渡所得税となります。

 昭和の初期に購入した不動産ならともかく(不動産の価格も安いでしょう),ここ十数年で取得された不動産ならば,是が非でも取得した際の資料(売買契約書等)を探し出す必要があります。

 なお,遺産分割のために不動産譲渡がされる場合には,申告期限から3年以内であれば,譲渡所得税を減額できる特例がありますので,もめごとは3年以内としたいものですね。

投稿日:2013年12月26日 12:36|カテゴリー:相続

調停申立書の記載は簡単な方がいい

 先日,家庭裁判所の調停委員の方と直接お話する機会がありました。

 あまりなじみが無いかもしれませんが,家庭裁判所の調停委員というのは,遺産分割や離婚のような家事問題について当事者の間に入って当事者間の話し合いを調整して下さる方です。

 遺産分割も離婚も,当事者の感情対立が激しい紛争ですから,調停委員の方々のご苦労は並々ならぬものです。

 普段,私達弁護士は,調停の席でしかお会いしないので,調停委員の先生方がどのような気持ちで調停に臨んでみえるか,生の声を聴くことができません。その意味で調停委員の先生とお話しする機会は大変貴重なものでした。

 お話を伺う中で特に印象に残ったのは,離婚の調停申立書の記載方法に関するご意見でした。

 調停委員の先生からは,調停申立書は極力離婚に至る経過については簡単な記載にするべきだ,というご意見がありました。

 普通に考えれば申立書が詳しい方が事情を知らない調停委員の理解に資するので良いのではないかと思いがちなのですが,詳しければ良いというわけでは無いとのことでした。

 すなわち,家事事件手続法が平成25年1月1日に施行されてから,申立人が作成した調停申立書が相手方にも送付される扱いとなり,詳細な申立書(特に離婚事件)を読んだ相手方が感情を害した状態で調停に臨むケースが増えたとのことでした(従前は申立書が送付されないため,殆ど相手方が申立書を見ることはありませんでした。)。

 なるほど,抽象的な理由で離婚したい,と言われるのと,具体的な理由を挙げられて離婚したい,というのでは,お互い色々言い分があるでしょうから,後者の方が紛争が激化するというのも頷けます。

 私も,依頼者の気持ちを十二分に伝えたいため,詳しい申立書を作成して申し立てをしておりましたが,今後は,できるだけ簡単なものに止め,円満に離婚が成立するよう書面の記載を工夫する必要があると感じました。

 いずれにしても,外部の方ともお話をして,弁護士としてのトータルな問題解決能力を向上させたいものです。

 離婚

投稿日:2013年12月11日 18:48|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 離婚

ソフトウェアの不正コピー

 最近は,パソコンソフトのコピーは簡単にできない仕組みができていますが,それでも,一部のパソコンソフトについて不正コピーが後を絶ちません。

 こういった不正コピーをしてしまった場合,当事者が損害賠償責任を負うのは当然のことですが,たとえば,コピーした本人が反省し,後日正規に当該ソフトを買ってインストールした場合,損害賠償責任を免れることはできないでしょうか。

 ソフト会社にしてみれば,最初から正規にソフトを購入されていれば得られたであろう代金以上に損害賠償請求を認める必要はないのではないだろうか?とも思えるため,問題になります。

 この点について,マイクロソフト外2社とLEC(東京リーガルマインド)との間で争われた事件が有名ですので,ご紹介致します。

 東京地裁平成12年(ワ)第7932号損害賠償等請求事件を引用します。

「被告は,西校校舎内の本件プログラムについての違法複製品をすべて正規品に置き換え,正規品を購入することによって許諾料全額を支払ったから,原告らの損害は生じていないと主張する。
 しかし,被告の上記主張は,以下のとおり失当である。
 すなわち,被告の原告らに対する著作権侵害行為(不法行為)は,被告が本件プログラムをインストールして複製したことによって成立し,これにより,被告は,本件プログラムの複製品の使用を中止すべき不作為義務を負うとともに,上記著作権侵害行為によって,原告らに与えた損害を賠償すべき義務を負う。そして,本件のように,顧客が正規品に示された販売代金を支払い,正規品を購入することによって,プログラムの正規複製品をインストールして複製した上,それを使用することができる地位を獲得する契約態様が採用されている場合においては,原告らの受けた損害額は,著作権法114条1項又は2項により,正規品小売価格と同額と解するのが最も妥当であることは前記のとおりである。その意味で,本件においては,原告らの受けた損害額は,被告が本件プログラムを違法に複製した時点において,既に確定しているとみるのが相当である。」

 ★要するに,つまり,正規にソフトを購入しても過去に発生した損害賠償請求権を事後的に消滅させることにはならない,ということです。

「確かに,被告は,原告らから違法複製品の使用の中止を求められた後,新たに本件プログラムの使用を希望して,自ら選択して,本件プログラムの正規複製品を購入したこと,上記正規品は,違法複製品と同一又は同種(違法複製品とは版の異なるものも存在する。)のものであることが窺える。しかし,被告の上記行為は,不法行為と別個独立して評価されるべき利用者としての自由意思に基づく行動にすぎないのであって,これによって,既に確定的に発生した原告らの被告に対する損害賠償請求権が消滅すると解することは到底できない(もとより,弁済行為と評価することもできない。)。

 顧客は,価格相当額(許諾料相当額)を支払うことにより当該正規品(シリアル番号が付された特定のプログラムの複製品)を将来にわたり使用することができる地位を獲得するが,その行為(当該正規品についての所定の条件の下での使用許諾申込みを承諾する行為)により発生した法律関係が,顧客と著作権者らとの間において既に成立した権利義務関係(損害賠償請求権の存否又は多寡)に影響を及ぼすものではないことはいうまでもない。」

 ★要するに,任意に正規品を購入してもそれは将来の権利を設定したことにしかならない,ということです。

「この点,被告は,当初から正規品を購入した場合や,最後まで正規品を購入しなかった場合と不均衡が生ずるから不都合である旨主張する。しかし,当初から正規品を購入した場合には違法複製行為がないのであるから,損害を賠償する義務がないのは当然のことであって不均衡とはいえないし,最後まで正規品を購入しなかった場合には,本件プログラムの複製物の使用が許されないのであって,自らの自由意思により,正規品を購入して将来にわたり使用する地位を確保した本件のような場合とはその前提を異にするから,やはり不均衡とはいえない(被告において,本件プログラムに係る正規品を購入せず,他社のプログラムを購入するという選択もできる。)。さらに,本件全証拠によるも,被告が正規品を購入したことにより,原告らが被告に対して,損害賠償義務を免除する旨の意思表示をしたと認めることもできない。したがって,上記主張は理由がない。」

 ★正規品を購入するならば,そのときに,原告から損害賠償義務の免除を受けておくべきだった,ということになります。

 LECは,結果的に2倍の料金を支払うことになってしまいました。ソフトウェアの不正コピーに対する民事的制裁は重い,ということです。

投稿日:2013年11月29日 18:45|カテゴリー:弁護士の役立つ情報

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