名古屋・大垣の弁護士事務所。離婚、相続・遺言、不当解雇、債務整理、契約書作成、刑事事件、取引紛争、渉外法務などの法律相談。

弁護士法人 片岡法律事務所
menu

名古屋の弁護士ブログ(片岡法律事務所)

  • ホーム
  • 名古屋の弁護士ブログ(片岡法律事務所)

経験豊富な弁護士が、法律情報や、時の法律問題、中国情報などを易しい言葉でコメントします。

賃料の増減額請求

 世間ではあまり知られていないことですが,一定の場合,借りている土地の賃料の改定を請求できることがあります。

 たとえば,工場を建てるために土地を借り,工場を建設したがが,土地を借りたのがバブルの頃で,賃料が異常に高い場合,賃料の減額を請求できる場合があります(借地借家法11条)。

 当事務所で扱った件では,借り手の立場で事件を受任し,小泉政権下で定められた賃料を数万円減額した例があります。

 しかし,このような賃料の改定を請求できる賃貸借は,「建物所有目的」の賃貸借に限られます。

 たとえば,青空駐車場として借りているような土地については,借り手がそこに建物を建築する目的で借りているわけではありませんから,「建物所有目的」にはなりません。よって,賃料の改定を請求することはできないということになります。

 なぜ,建物所有に限られているかというと,建物所有目的だと,賃貸借が長期間になることが前提となっていますし,建物を取壊しから保護すべきですから,長期間の賃貸借が不合理とならないよう柔軟な賃料改定が必要だからです。

 問題は,ゴルフ場などで,土地の一角にクラブハウスを建築するような場合,です。

 果たして,「建物所有目的」で土地を借りたと言えるでしょうか。

 旧借地法の裁判例では,ゴルフ練習場として使用する目的で土地が賃貸された場合には,たとえ事務所用建物を建築することが予定されていたとしても,建物所有目的にあたらないと判断しています(但し,契約期間が争いとなった裁判例です。)。

 そうだとすると,一般的にゴルフ場の賃貸借契約については,賃料の改定は難しそうです。

 近時,最高裁で,ゴルフ場を経営するために借りている土地について,借り手側(ゴルフ場経営会社)の地代減額請求を棄却した裁判例がありました(最高裁平成25年1月22日判決)。

 この裁判の事案では,どうやら問題となっている土地上には建物が建っていなかったようですので,どちらにしても,建物所有目的では無いと判断されたでしょうが,仮に,なにがしかの建物が建築されていた場合,最高裁がどう判断するかは明確で無いと思います。

 ゴルフ場経営のために土地を借りる場合は,長期に亘って借りることを前提にしていますし,賃料の改定を認めても良さそうですが,皆さん,どうお考えになられますでしょうか?

投稿日:2013年7月25日 10:47|カテゴリー:最近の法律問題

職場内のいじめは早めに解決

 最近,学校でのいじめ問題がマスコミをにぎわせていますが,職場においてもいじめ問題は存在します。

 学校と違って,いじめる方もいじめられる方も大人ですから,当事者同士で解決できるはず,と思われるかもしれません。

 しかし,いじめられる方が,無口な人であったり,ため込んでしまったりする人だと,重大な結果を招きかねません。やはり,芽が小さいうちに解決すべきです。

 もし,あなたが管理職や経営者で,部下からいじめの報告が上がってきたら,直ちにいじめの事実の有無を積極的に調査し,速やかに善後策を講じて,職場環境の調整をする必要があります。

 それをしないまま,その部下が精神疾患となり自殺してしまうようなことがあれば,安全配慮義務違反があったとして,自死に関する莫大な損害賠償責任を負担するおそれがあります(安全配慮義務というのは,雇用者側が職務から生じる一切の危険から職員を保護しなければならないという義務のことです。)。

 いじめ問題を放置して安全配慮義務違反が認められた例として,東京高裁平成15年3月25日判決があります。

 同判決では,適切な措置を講じていれば,職員が職場復帰することができ,精神疾患も回復し,自殺に至らなかったであろうと推認できる,と述べ,雇主(市)の安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任を認めました。

 もっとも,いじめがあればいじめた方を厳しく処分すればいいかというと,そう単純ではありません。

 以前,当事務所で対応した団体交渉の事案では,いじめをした当事者が,経営者に対し,労働組合を通じて,いじめを理由とする懲戒処分の白紙撤回を要求してきたことがありました。

 労働組合の担当者曰く,これはいじめではなく,職員間の喧嘩に過ぎず,経営者が職員間の喧嘩に口出しすべきではない,とのことでした。

 「いじめ」を職員間の喧嘩だと軽くとらえるならば,たしかに経営者が口出しすべき事柄ではないかもしれません。

 しかし,上記のような重大な事態に発展する可能性を考えると,組合の意見には賛同できません。

 いじめの有無や程度については緻密に調査した上,厳格な対応をとるべきではないかと感じています。

 

投稿日:2013年7月22日 19:29|カテゴリー:労働問題, 弁護士の役立つ情報

ショムニで描かれた,従業員を監視する会社

 先週より,人気ドラマ「ショムニ」の2013年度版が始まりました。

 「ショムニ」は,会社から使えないと烙印を押された従業員達が,雑務ばかりをやらされる「庶務二課」(ショムニ 今でいうところのリストラ部屋ですね。)なる部署に送られ,様々な迫害を受けながらも,江角マキコをはじめショムニの面々が,たくましく能力を発揮し,むしろ会社を窮地から救う,という,痛快ドラマです。

 江角マキコが,OL制服に身を包み,脚立を担ぎ,廊下をねり歩く姿がとても印象的です。

 さて,

 昨日放映されていた「ショムニ」の第2話では,

会社が業員のインターネット閲覧履歴やメール送信歴を全て閲覧できるようにし,従業員を監視するという内容でした。

 近時,会社のパソコンがインターネットに常時接続しているため,仕事をするふりをして,業務とは無関係のホームページを閲覧して業務をさぼっていたりSNSで内部情報を流出させてしまったり,といった問題が頻発しており,会社が従業員を監視する必要性も高まってきました

 ショムニは,いささか大げさに描かれていましたが,多くの会社で,多かれ少なかれ,一定の監視がなされてきていると感じています。

 このように会社の監視が日常的になった結果,従業員の職務怠慢の事実を掴んだ会社側が,安易に従業員に懲戒処分を下してトラブルになるケースが増加してきました

 安易な懲戒処分は認められていないのが実情です。

 たとえば,
1日あたり2通の私用メールをしていた場合に職務専念義務違反にはあたらない,とした裁判例(東京地裁H15.9.22判決),
7か月のうちに28回の私用メールをしたこと,チャットソフトをダウンロードしたこと,を理由とする減給処分が無効とされた裁判例(札幌地裁H17.5.26判決),
6か月間に1700件余りIPメッセンジャーで私的連絡をしていた従業員に下された解雇処分を無効とした裁判例(東京地裁平成19年6月22日判決)
などがあります。

 要は,常識論でしょうが,社員同士の世間話の延長的なものは,会社も許容しなければならないでしょう。

 会社は,就業規則で私的なメールやHP閲覧を厳しく制限し,また,従業員に周知徹底をさせておかないと,懲戒処分を下すのも容易ではありません。

 092

投稿日:2013年7月18日 17:02|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

後遺障害が発生した場合の請求

 交通事故で,後遺障害が発生した場合,たとえば腕のシビレがとれない等,被害者は加害者にどのような請求ができるでしょうか。

 後遺障害の程度に応じて請求できる項目が増えることもありますが,大きく,「後遺障害慰謝料」「後遺障害逸失利益」の2つが請求できます。

 「後遺障害慰謝料」というのは,そのような後遺障害と一生付き合って行かざるを得なくなったことへの慰謝料です。

 これは,認定された後遺障害等級(1から14級まであり,1級に近づくほど重い)によって,金額がだいたい定まっています(判例が集積されており,あまりぶれがありません。)。

 たとえば,一番低い14級だと90~120万円,12級だと250~300万円,高いものだと,1級が2700~3100万円となっています。

 次に,「後遺障害逸失利益」ですが,要するに,後遺障害で逸失した利益,つまり,後遺障害のせいで働けなくなった分の補償の趣旨の賠償金です。

 基本的には,①基礎収入×②労働能力喪失率×③喪失期間(に対応するライプニッツ係数)で計算します。

 たとえば,①300万円の収入の人が,②1級の障害を負い(たとえば,四肢麻痺 喪失率100%),③あと40年働けるはずだった(ライプニッツ係数:17.159),ならば,

 300万円×100%×17.159=5147万7000円となります。

 もっとも,障害の内容によって,①②③は必ずしもはっきりとは定まらず,①②③の数値の決定は非常に難しいです。

 また裁判所によってまちまちな判断がされるため,被害者の実情をきちんとアピールする必要があります。

 「後遺障害逸失利益」は,極めてもめる可能性が高い損害項目だと言えましょう。

 

20130702112230

投稿日:2013年7月12日 16:58|カテゴリー:交通事故, 弁護士の役立つ情報

業務上過失致死事件と執行猶予

 ご記憶にあると思いますが,岐阜市で解体工事中の工場の壁が倒れ,通行中の女子高生がその下敷きになって死亡した事故がありました。

  この事故で業務上過失致死罪に問われた同市の解体業者の元専務と社員の両被告に対し,本日,岐阜地裁は10日,それぞれ禁錮1年2カ月(求刑は,禁錮1年6カ月と禁錮2年だったそうです。)の判決を言い渡したそうです。

http://www.asahi.com/national/update/0710/NGY201307100001.html

 通常,検察官の求刑が1年6月程度であれば,よほど重い過失,前科,強い被害感情がない限り,死亡事案でも執行猶予付き判決がつくことが多いです。

  これに対して,検察官の求刑が,4年以上だと,実刑を覚悟すべき事案だということになります(執行猶予がつくのは懲役3年までだからです。)。

  したがって,今回の判決は被告人や弁護人にとっては予想外に厳しい内容に感じられたのでは無いでしょうか。

 ただし,検察官が短い年数を求刑した場合でも,強力に実刑を求めていることが分かる場合があります。

 それは,検察官の論告求刑の際に「矯正施設に収容の上」という言葉を入れてきた場合です。矯正施設というのはもちろん刑務所のことです。

  このような記載がある場合,裁判官は検察官が強く実刑を希望していることが分かるので,検察官の意向を尊重し,被告人に実刑を科す場合があります。

 求刑が短期であっても,上のようなフレーズがないか注意すべきだと言えましょう。

 

penitentiary-3_2434119

投稿日:2013年7月10日 16:21|カテゴリー:刑事事件, 弁護士の役立つ情報, 随筆・雑文

模倣商品に対する規制は?

 たまに,自社の製品が模倣されたということで他社製品の差止め請求をしたいと相談にみえるお客様がいらっしゃいます。

 模倣製品がお客様の登録商標や登録意匠を侵害している場合は,商標や意匠に基づいて差止請求をすることが可能です。

 しかし,特に商標登録や意匠登録が無い場合でも,不正競争防止法に基づく差止請求ができる場合があります。

 それが,不正競争防止法第2条第1項の第3号に規定されている,「他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為」に該当する場合です。

 ここで「模倣」という言葉の意味が問題になります。

 特許庁で登録されていなくても保護してもらえるわけですから,相当酷似していないと模倣とは言えません。

 有名な裁判例としては,ドラゴンキーホルダー事件というものがあります。

 この裁判では,結局模倣したとは言えないという判断となりましたが,かなり酷似していないと模倣とは言いがたいことがよく分かります。アイディアそのものを保護するわけではないので,外観がほぼ同一というレベルの模倣が必要だと言えます。

 なお,どれだけ似ているかはこちらのリンクから確認して頂くと良いと思います。http://www.kojimatokkyojimusho.net/hanketsu/h7.html

c1-13-1

東京高裁平成10年2月26日判決を引用しておきます。

「不正競争防止法2条1項3号にいう「模倣」とは、既に存在する他人の商品の形態をまねてこれと同一または実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいい、客観的には、他人の商品と作り出された商品を対比して観察した場合に、形態が同一であるか実質的に同一といえる程に酷似していることを要し、主観的には、当該他人の商品形態を知り、これを形態が同一であるか実質的に同一といえる程に酷似した形態の商品と客観的に評価される形態の商品を作り出すことを認識していることを要するものである。
 ここで、作り出された商品の形態が既に存在する他人の商品の形態と相違するところがあっても、その相違がわずかな改変に基づくものであって、酷似しているものと評価できるような場合には、実質的に同一の形態であるというべきであるが、当該改変の着想の難易、改変の内容・程度、改変による形態的効果等を総合的に判断して、当該改変によって相応の形態上の特徴がもたらされ、既に存在する他人の商品の形態と酷似しているものと評価できないような場合には、実質的に同一の形態とはいえないものというべきである。

 原告商品は頭部が1個の通常の竜であるのに対し、被告商品は胴体の両端に頭部のある双頭の竜であるという相違点が存するところ、被告商品の製造、販売時において、双頭の竜を表したキーホルダーが存在したことを認め得る的確な証拠はなく、また、双頭あるいは複数の頭を有する竜のデザイン自体がよく知られたものであることを認め得る証拠もないこと、原告商品、被告商品とも、基本的には、洋剣と竜のデザインを組み合わせたものであって、商品としての形態上、竜の具体的形態が占める比重は極めて高く、被告商品において洋剣の柄部分側と刃先側に表された竜の頭部が向き合っている形態は、需要者に強く印象づけられるものと推認されることからすると、被告商品における竜の具体的形態は、被告商品の全体的な形態の中にあって独自の形態的な特徴をもたらしているものと認められること、本体部分の大きさの違いもわずかであるとはいえず、表面部分の面積を対比しても、ほぼ1(原告商品)対2(被告商品)程度の違いがあり、量感的にも相当の違いがあることからすると、原告商品の形態と被告商品の形態との間に前記のとおりの共通点が存すること、及び、原告商品の製造、販売当時(平成6年1月)において、原告商品の基本的構成である、本体部分において、全体が金属製で偏平であり、柄及び刃体と鍔部とが交差して縦長の概略十字形で表面側の十字の中心部分に宝石状にカットされた円い形状のガラス玉がはめ込まれている双刃の洋剣に、竜が、洋剣の刃先部分から、刃体、鍔部、柄部と上方に向けて左巻きにほぼ二巻き螺旋状に巻きついた状態に表側、裏側共に浮彫りされている形態、あるいはこれに類似する形態を有するキーホルダーが存在していたことを認めるに足りる証拠がないことを考慮しても、被告商品の形態が原告商品の形態に酷似しているとまでは認め難く、実質的に同一であるとは認められない。

 したがって、被告商品は、原告商品の形態を模倣したものとは認められない。」

 

投稿日:2013年7月02日 17:15|カテゴリー:弁護士の役立つ情報

番号で呼ばれても怒ってはいけない

 本日,新聞報道やテレビ報道がされたのですが,病院で自分の名前が呼ばれず,受付番号で呼び出されたことに立腹した県会議員がブログで不満をぶちまけるという事件がありました。

 http://www.asahi.com/national/update/0618/TKY201306180010.html

 しょうもないことで怒る議員がいたものだ,と少しあきれました((さらに料金を払わずに帰ったり,ブログにアップしたりするなどは開いた口がふさがりませんでした。)。

 最近,病院でも個人情報保護が叫ばれるようになって,患者の名前を呼ぶことを避ける傾向があります。

 そういった病院では,患者を受付番号で呼ぶようになっているのですが,分かりにくいのはしょうがいないことでしょう。

 名古屋の家庭裁判所においても,離婚調停や遺産分割調停などの事件について,事件番号で呼び出す運用になりました。名前で呼出しをするのは,プライバシーへの配慮を欠くという声があがったからです。

  しかし,自分の事件番号を呼ばれても,本人がわかっていないことも多く(病院の受付番号と違って,1ヶ月以上前に決められた番号なので本人もおぼえていないことがあります。),結局,名前を呼ばれてしまう場面を何度も見かけました。

 家庭裁判所に対して,何で名前で呼ばないんだ!分かりにくい!とのクレームが何件か寄せられたようですが,そもそも,名前を呼ぶことにクレームがあって番号呼出しに変更された経緯があるため,裁判所も対応に苦慮しているところでしょう。

 というわけで,番号で呼ばれたくらいで怒ってはいけません。

 

 

 

投稿日:2013年6月18日 13:14|カテゴリー:随筆・雑文

ややこしい国際取引紛争

 グローバル化した今日,商品を海外から仕入れて国内で販売することは非常に多くなりました。

 それに伴い,国際取引にまつわる紛争も増加しつつあります。当事務所でもいくつか国際取引に関する相談があります。

 国際取引にまつわる紛争については,2つの大きな問題があります。

 1つ目は,①日本の裁判所で訴訟ができるか(管轄の問題),2つ目は,②どこの国の法律が適用されるか(準拠法の問題),です。

 まず,①日本の裁判所で訴訟ができないならば,相手方の国で紛争を解決するほかありません。したがって,裁判管轄がどこになるかは最重要です。

 それよりは重要度が劣りますが,2つ目の②準拠法の問題も重要です。

 仮に日本で裁判ができるとしても,どこの国の法律が適用されるかで当事者の有利不利が決まることがあるからです。

 読者の方の中には,日本で裁判するのに日本法を適用しないの?と驚かれる方もいらっしゃるでしょうが,実際,日本の裁判所では他国の法規が解釈適用されて判決が下される場合もあるのです。

 これら①②の事項は,極めて重要な事項ですので,契約書にきちんと謳っておくのが一般的です。しかし,ごく稀にきちんと定めていない場合があり,こういった慎重でない契約をする時に限って,紛争が生じがちです。

 契約締結の際には,売買条件等にばかり目が行きますが,紛争可能性を常に視野に入れて,管轄や準拠法等の契約条件をきちんと定めることが,無用な紛争回避や費用支出を回避する第1歩になると思います。

 なお,①管轄や②準拠法については,色々法律や判例がありますので,またの機会にアップしたいと思います。

2012111601

 

投稿日:2013年6月07日 19:08|カテゴリー:中国情報, 弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題

テレビガリレオの第7話犯人の動機

 現在,視聴率20%代をキープしている東野圭吾原作のテレビガリレオの第7話で,相続が犯人の動機になる場面がありました。

 父,母,子の3人家族で,父母が何者かに殺害された状態で発見され,発見時には,先に父が殺害されその後に母が殺害されたような物的状況となっていました。

 真相は,父が母を殺害した後,自殺したというものなのですが,犯人(子)は,その死亡順序を父→母に偽装したのでした。

 偽装の動機について,子供が母の連れ子で,父と養子縁組をしていなかった事実が明かされます。

 もし,母→父が死亡順序だと,父の遺産は,養子縁組していない子には相続されません。しかし,父→母だと,父の遺産は母に相続された後,連れ子に相続されることになります。

 これはミステリーで定番の法的知識でもあり,謎解きの前におおよその筋が分かってしまいました。

 ミステリーのトリックを見抜くとすぐに人に喋ってしまいたくなるのが人情ですが,一緒に見ている家族のためにはぐっと我慢しなければいけませんね(笑)。

 ちなみに,興醒めなことを申し上げると,この件だと,連れ子は,母の父に対する損害賠償請求権を取得し(殺されたため),これを相続することになりますから,実質的に父の遺産の一部を取得できることになります。

 そこまで調べてもらえると,我々弁護士としても,「よく勉強しているなー。」と思えるのですが,さすがに言及はありませんでした。

ミステリ

 

投稿日:2013年5月30日 09:57|カテゴリー:弁護士の役立つ情報, 最近の法律問題, 随筆・雑文

高齢者と交通事故

 最近,自賠責保険料が値上がりしたり,任意保険の保険料が値上がりするという新聞報道がされています。http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130520/fnc13052022240017-n1.htm

 背景にあるのは,高齢者が加害者となる交通事故が増えている実情があります。

 私は,交通事故の案件を多数取り扱ってきましたが,最近は,高齢者の方が加害者となる事案が増えてきた,という印象があります。

 どういった事故態様が多いかというと,ご単純な追突です。

 すなわち,停止中の車両に気付くのが遅く,あるいは気付いてもアタフタしてブレーキが遅れ,追突してしまうというものです。高齢者でなければ,見通しがいいのになぜ追突してしまったのだろうと疑問に思うようなケースも散見されます。

 若い頃と同じように車間距離を詰めて走っていると,どうしても反応が遅れてしまうため,高齢者のドライバーには車5,6台分の車間距離をとって走行して頂きたいものです。

 高齢者の社会進出が求められる昨今,高齢者による自動車運転の機会は増えることが予想されますが,それに伴い,保険料の上昇も不可避だろうと思います。

 保険料の上昇を嫌ってますます若者の自動車離れが加速しないか心配です。

ojiisan

 

投稿日:2013年5月21日 13:20|カテゴリー:交通事故, 弁護士の役立つ情報

052-231-1706
ご相談フォーム

営業時間  
月曜日~土曜日9:00~18:00(休業日:日曜・祝日)※予約のあるご相談は、時間外でも対応いたします。

〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内二丁目19番25号 MS桜通7階 
FAX:052-204-1633